ナメてるお嬢を俺がわからせた (富士見ファンタジア文庫)

  • KADOKAWA (2024年7月20日発売)
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感想 : 3
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  • 本 ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040755038

作品紹介・あらすじ

イケメンながら処女厨・クズと評判の大学生・九頭竜。彼は友人の紹介で、同級生・三姫とデートをすることに。美人だが、男にマウントを取ることしか考えてない彼女は……徐々に理解する。九頭竜の秘めた完璧さに!?

感想・レビュー・書評

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  • 貞操観念を大いに拗らせた『天才』イケメン主人公(童貞クズ)・九頭竜と『奇跡』のマウント至上主義ヒロイン(処女ビッチ)による痛快ラブコメ。テンポ感がとても良くて、二人の掛け合いと二人の心の声(本心)が実に面白い。主役二人もさることながら、真性ブラコン九頭竜妹の真白や彼の友人たちもまた個性が尖っていて、でもそれらが喧嘩することなく主役二人の物語を盛り上げるように働いているところに著者の技量の高さが伺えますね。さて、『クズ(天才)』と『ビッチ(奇跡)』が手を組むと一体何が始まるのか。続きがあれば嬉しい限りです。

  • Q.この作品はどういう物語ですか?

    A.大空大姫さんの思いの丈をぶちまけた『処女』作です♡




     ……………………


     ……嘘やでぇ?(野クル風味)
     と言いたいのですが、大体合ってます。笑 



     以下の人におすすめです。

     ①才能や環境に恵まれたゆえに葛藤と成長する主人公が好きな人

     ②主人公を取り巻く個性的な登場人物が好きな人
     
     ③歯に衣着せぬ本音を言いたい人

     ④爽快な喜劇と人情浪漫を楽しみたい人

     ⑤「こういうのでいいんだよ!」
      ラブロマンスの王道が好きな人



     いかがでしょう。
     ピンと来るものがございましたでしょうか。
     気になった方は是非一度ご覧くださいませ♡







     ※
     以下、ネタバレを含みます。
     感想及び、個人的な雑記となります。
     時間の許す方のみ、お付き合いくださいませ。







    ・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・









     元のタイトルが「くずとびっち」だったというのは、あとがきの証言で衝撃的でした。笑 ある意味そちらの方が分かりやすい?とはいえ、おそらくそういう意図があるのだろうなぁとは思っておりました。



     京極くんは名前からしても「あ(察し)」でしたところ、これまた案の定ヤの人でした。むしろ七海ちゃんの方がヤバそうな気もする———? とにもかくにも、京極といえば、由来を追えば、佐々木道誉にたどり着きますものね。彼は確かに横暴なふるまいで有名ですが、同時に、日本の文化を多く花開かせた、芸事の達人としても知られています。王子くんを助ける京極くんの才能の数々は、そうした経緯からも見られそうだなぁと思えました。



     王子くんが本物の「天才」になった理由が、才能や境遇ゆえに孤独になった友人達を救うためだったというのは、なんとも胸が熱くなる展開です。寂しそうな人をみると放っておけないという人情に厚いところも、真白ちゃんを放っておけない美姫さんとそっくりで、とてもお似合いのカップルに見えます。単純に絵になる、見た目の釣り合い———といえば、なんとも身勝手な測り方ですが、それを承知の上であえて釣り合わせても、全く問題ない2人が、心模様まで重なるとあっては、もう、ぶっちゃけ、会話してるだけでセックスですね(こらこら)(詳しくはタオコードをご覧ください)(ちゃっかり宣伝!)(こいつ俺たちの脳内に直接)(デッドプール……)
     才能がある人と他の誰にも思われている人が、実は秀才型で、誰にも知られない努力の上に成り立っていたという展開は、ある程度作品の数を見て来た人にとってはお決まりの王道です。しかし、何故、王道と名づけられるのでしょう?それは、書きやすい手抜きなどと斜めに構えたものではなく、まさしく、人が何度でも求めてしまう、心の真実めいた何かがそこにあるからではないでしょうか。少なくとも私は、秀才が、愛した人の幸せを願って努力する展開は大好きです。非情に振る舞っていても、ヘタレすぎる童貞で、そのくせして、見た目は他の誰もが認める美しさというあたりも、私の好きな「Hyper Highspeed Genius」の主人公・明智久司朗くんにそっくりです。笑

     この人には敵わないと思わせることで、素直に諦めさせ、それは清々しい、自分らしい生き方を目指せるきっかけとなる。まさに、なまじ侮れば勝ててしまう力関係だからこそ争いは起こります。野心など持たない人が他の誰にも負けない強さを持てば、なるほどそれは平和となります。
     もちろん、その人がいなくなってしまえばまた同じ繰り返しである以上、依存してはよくはないのですが……誰もがそうあろうとしたならば、確かに平和になり得るのです。相手の尊厳を卑しめるのではなく、ただ真剣に誠実に向き合って、勝利する。そんな強者を見たとき、人は己を恥じることなく、相手をただ素直に尊び、愛し、己の在り方を初めて省みることが出来るのかもしれません。
     この三次元の、物理法則の世界に生きる私たちは、相対の仕組みで生きていますから。光は影があって初めてみえますし、空気は水に溺れて吸えなくなって苦しむことで初めて知覚します。相手に潔く敗北できることこそ、相手が真剣に誠実に向き合ってくれることこそ、己の尊厳を確かめられる「相対」なのでしょう。自他合一を奥義とした、新当流の塚原卜伝さんを彷彿とさせてくれます。つまりは、王子くんの、「友を助けたいがゆえに、友を圧倒する才能を手に入れる」という願いと、見事叶えてしまったその努力は、まさに日本人が持ち続けていた精神的なものにとてもよく似ている気がしたのです。もののあはれ哉。




     最後に、私の脳内劇場配役をご紹介。敬称略。



     王子:石谷春貴    三姫:雨宮天


     カズ:寺島拓篤    七海:種崎敦美


     真白:田中あいみ   パパ:速水奨 

     
     九頭竜ビジネスの部下たち:森川智之


     Banチャンネル:千葉繁


     石谷さんと雨宮さんはピンと来る人には来ますでしょうか。そうです。星見プロです。牧野航平くんと天動瑠依さんの印象でお招きしました。同じ理由で、速水奨さんは朝倉恭一パパに由来します。笑

     七海ちゃんは、ノラとと・明日原ユウキちゃんがしっくりくるので、それで。寺島さんは私が一番好きな男性声優さんというエゴです。笑 そして森川さんは同じくアクセルワンの責任者さんというよしみで。

     田中あいみさんは星見プロとしてはkanaさんですが、お兄ちゃん好きすぎる妹———土間うまるちゃんを連想しました。あんなに自堕落ではな……いのかどうかは作中では分かりませんが、うまるちゃんも学べばできる天才タイプなので、家事をやらせたら2人とも実はとてもスペックが高いのはすぐに分かります。

     最高の悪役・Banチャンネルさんに関しては、アニメ版ぼっちざろっくの世紀末くんから連想しました。笑 あるいはニンジャスレイヤー・リー博士でしょうか。笑



     全くの余談ですが、本日(10/9)は長瀬麻奈ちゃんのお誕生日です。星見プロのお話をしておりましたので、なんともめでたいです。

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