人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

著者 :
  • KADOKAWA/中経出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040800202

作品紹介・あらすじ

グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能。日本トップクラスの研究者の一人である著者が、最新技術「ディープラーニング」とこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す。

感想・レビュー・書評

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  • 人工知能は、3回目の春を迎えている。
    春をもたらしたのは、ディープラーニングと特徴表現学習。これにより過去2度のブームで終わるのではなく、大きな飛躍の可能性が出てきている。

    「AI vs 教科書が読めない子供達」から本書へ。
    本書では、AIの可能性についてより詳しく説明されている。

    ブレイクスルーは、認識・運動の習熟・言語の意味理解。これだけ読むとよくわからないが、本書を読むと凄さがわかる。

    これは、人間が当たり前に出来ていること。
    赤ん坊から幼児にかけて出来るようになることが、AIはとにかく苦手。2度の冬は、この峠を乗り越えられなかった。

    犬!猫!って認識するのが難しいとか、長いもの!短いもの!丸いもの!角ばっているもの!が混ざっているとアームで握るのも難しい、木と森の違いのような当たり前のことの意味がわかならない 等

    むしろAIは、大人にならないと出来ない、難しい法律やレントゲンから診断は得意というからパラドックス的で不思議。

    これからわかることは、専門性は持たせられるが、汎用性を持てなかったということ。少しでも新しいこと(例外)をしようとすると人間のお膳立てが必要になってしまう。

    このお膳立てがとにかく手間がかかるらしい。
    ところが、お膳立てなしにAIが自分で学習出来るようになったというのだからスゴイ!

    AIの苦節60年の歴史を変えるかもしれないのだから、すごく興奮する。

    2015年の時点では、筆者はAIはまだ宝くじと言っている段階。当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。それでも当たれば大きな社会変化を生む技術と。

    現在の状態にもすごく興味が湧いてくる。
    本書が発売された年に、AIが囲碁のチャンピオンに勝っているが、これは想定よりだいぶ早いらしい。

    認識の峠を越えたAIが、どうなっていくのかとても楽しみ。

  • 人工知能開発における”ディープラーニング”の概念は、情報関係を学ぶ子供から教えてもらいました。

    人の脳の中も、多層で複雑なニューラルネットワークと外部感覚器官からの刺激の間の関係で成り立っていると思うのですが、この機能を再現することがいかに困難であるか。人工知能の機能構築を考えていくと、逆に脳科学の世界と密接に係り、自分たちの内側にある世界を記述することが複雑で困難であるかを改めて理解することになる。

    物を他の物から区別して理解すること(特徴量を見出す)、そして言葉の概念を付与していく。区別された事象に意味のネットワークをどのように構築していくか。象徴的には「猫を見て、猫と理解すること」を機械の中で再現することが、どれほど困難なことであったのか。

    従来の人工知能のアプローチ(IBMのワトソン、ディープブルーでさえ)では、多くの入力応答系の教え込みが必要であり限界がある。機械が自分自身で特徴量の抽出、意味ネットワークを構築していく機会学習のアルゴリズムがディープラーニングの意味するところ。

    「シンギュラリティー(特異点)」という考えがあるようで、これは人工知能が自分の機能以上の人工知能を自己再生できる時点を表した物。これ以降は指数的に人工知能の能力が爆発していくという懸念。ターミネーターの世界を想像しつつ、そうは話が単純ではなく、人の思考や創造性はもっと複雑でしなやかだと思う。I will be back!

  • 2015年の作品ですが、人工知能の研究の歴史と現在の到達点について、順を追ってわかりやすく解説されています。決して煽ることなく、それでいて、ダメ出しもすることなく冷静に人工知能について書かれているのが印象的です。

    機械学習、ディープラーニングといった技術については、他の本も読みましたが、本書を読んでもまだストンと腹落ちしたわけではありません。(何となくのイメージは掴めたようですが)
    人工知能が人間を征服するかという問いかけに対しては、知能で人間を超えることはあっても、人工知能は生命ではなく、生命体として人間を超えるような自己複製を短期間で繰り返すことはあり得ず荒唐無稽と一蹴されてたのには、なるほどなと思いました。それよりも怖いのは、軍事応用や産業上の独占であるという指摘も、頷けました。

    やはり難しい人工知能ですが、少しでも概要をわかりたい方にはお勧めの1冊です。

  • 4年以上も前の本になるが、人工知能の現状理解のため、松尾豊さんの頭の中を覗いてみたく読みました。
    ディープラーニングとはどのようなもの(何ができて、何ができないか)で、近未来に実現できそうなことと暫くできそうにないことを知っておきたいということもありました。

    専門家でない人はいたずらに人工知能を過大評価するし、そうでないものも人工知能と言ったりする。
    逆に松尾さんのような専門家は困難さがよくわかっているだけに技術を過少評価しがちだが、正しい人工知能の理解のためには信頼性が高い。
    PythonやTensorFlowをいじくりまわしてみれば、もう少し理解度が増すのでしょうが、そこまで深入りするわけにもいかないので概要理解だけ。

    本書を読んで、人工知能がそう簡単にはできそうにないことが自分でも判断できるようになった気がします。
    ・手足を伸ばして仰向けに寝ている子猫をカワイイと感じること。
    ・「お前なんか大嫌いだ!」が、本当は「大好きだ!」ということを理解すること。
    などは超難しいでしょうね。

  • 本著は人工知能やディープラーニングの初心者向けの本と言える。人工知能の初心者向け本としては、棋士の羽生善治氏が書いた「人工知能の核心」が良書として挙げられる。こちらは、テレビの映像が流れるように書かれているのに対して、本著は人工知能の定義、歴史、ディープラーニング、社会への影響といった具合で教科書的に書かれている。

    結論を先に言うと、仕事で新規事業やサービスを検討している場合や自分の会社に対してどう影響してくるのか知りたい場合は、松尾氏の本著が良いだろう。雑学として、あるいは人間の知性とは何か知りたい場合は、羽生氏の本が良い。

    どちらも良書なので、できれば両方読むのが良い。順番をつけるとすれば、羽生氏→松尾氏と読むと分かりやすい。

  • 2015年頃読んで、初めてディープラーニングの触りを理解した本。素人向けの入門書としてはとても良いと思います。
    ちなみに、ちょうどこの頃に娘が一歳くらいだったので、子供の成長と具体的にイメージを比較しながら読んでました。そして、改めて人間ってすごいんだなぁー、と思ったりしてました。

  • 人工知能の歴史、課題など著者の経験、思いと合わせて展開。
    ド文系の私には機械学習の項目からだんだん理解が怪しくなってきた。
    ただ、すごいスピードで人工知能はその能力が高まり、身近に広がってきている。倫理の問題、仕事での活用の仕方、子供達をどう教育して行くか、自分で考えて行かなければならない。

  • 松尾豊「人工知能は人間を越えるか」読了。AIの定義や歴史がまとまっていてAIに対する過度な期待や誤解が解消された。2015年発行との事だが初学者には十分な内容かと思う。著者のAIにかける思いが伝わってきて感動を覚えた。昨今のAIの趨勢にも数多の技術者の思いが籠っていると感じ見方が変わった。

  • これだけ流行っている人工知能(Artificial Inteligence)。何か知っておかないとなあと思って購入した一冊。勝手に勉強してどんどん頭がよくなるというぼんやりしたイメージしかなかったけど、なんとなくそのアルゴリズムを知って、人工知能が人間を支配するのはまだまだ先だなと思った(AIには欲望がないから)。また、人工知能は1950年代から開発されていて最近のブームはあくまで特微表現学習、ディープラーニングの分野であることを知った。本書から人工知能の開発は知能の定量化、アルゴリズム化でロマンのある分野だと感じたし、それと同時に知能に関わる反面、倫理や哲学にも絡む、サイエンスだけではない分野であることに非常に興味を感じた。そう感じられたのも著者の人工知能に対する熱量が伝わってきたからだと思う。ただニューラルネットワークやディープラーニングの考えがいまいちつかめなかったので、pythonとかで手を動かしながらなにかやれたらなあと思った。あと、人工知能と飛行機の例(飛ぶ原理をはばたきではなく、揚力に気が付いたこと)がアイデア発想の原点として今更ながらすごくぐっときた。


    特微量:機械学習の入力に使う変数のことで、その値が対象の特徴を定量的に示す(p46)

  • AIについて語る前に知っておかなきゃ行けないことがてんこ盛り、分かりやすいし非常におすすめ。

    松尾さんはただのaiバブルとなることを避けようとしている。そのために発信することの重要性も分かってて色んな団体を運営したり著作を出してるんだな、というのがヒシヒシと伝わってきた。
    人工知能の発展を時系列に紹介していて、その時代ごとの新発見をどこが凄いのか分かりやすく説明してくれる。

    G検定とるぞぉ。

  • 【無限の知】
    個人的には人工知能でも、生物を超えることは不可能と思っています。

    人工知能がそれなりにできるようになると、なくなる仕事(職を失う)が出てくるといわれますが、わたしはそれでいいと思います。

    わたし自身、仕事は機械にしてもらうことをつねづね考えています。
    「仕事なんかは人のすることではない!」
    人はもっと創造、芸術、美術、探求に時間をさくべきです。

    日々の小金稼ぎに時間を取られて、いかに効率よく時間を使い、いかに仕事をこなしていくかを必死に考えている場合ではありません。
    また、仕事で疲れた体を、趣味やスポーツでリフレッシュしている場合ではないのです。
    リフレッシュなんか必要ないのです。

    ギリシア時代の奴隷制度ではないですが、奴隷の部分を機械が担うのです。
    仕事→奴隷✕
    仕事→機械○

  • グーグルのα碁がイ・セドルに完勝した衝撃から1週間、もはやα碁が世界トップクラスの実力を持ちさらに強くなっていることは疑いようも無い。相手の能力を吸収する人造人間セルに対する人間界の英雄ミスター・サタンになぞらえられたイ・セドル(元々囲碁界の魔王と呼ばれている)が一矢報いた4局目ではα碁はまるでバグを起こしたようにミスを連発した。今日行われたコンピューター囲碁大会では日本のZENが優勝したが、ここでもディープラーニングを用いてレベルが上がったようだ。

    本書の発行は2015/3/10、そしてちょうど1年後の今年3/9のα碁の勝利でディープラーニングの有効性は証明されたと言って良い。1,2局はイ・セドルにもチャンスがあるように見えた。4局目ではα碁がバグを起こしたように見えた。しかし、3局目や5局目はほぼ完勝に見える。どうやったらこんなに強くなるのか本書にディープラーニングがどういうことをやってるのか解説されている。

    チェスや将棋では駒得を点数化したり最近の将棋ソフトでは3つの駒の位置関係を点数化したりしてどの手を選ぶかを判断している、この場合点数の重み付けをするのはプログラマーだ。そしてモンテカルロ法という手法で手を選ぶ。将棋の場合先手の勝率が52%程度でこれがベイズ確率で言う事前確率だろう。モンテカルロ法ではランダムに次の手を選び何通りもの対局をさせてみる。点数の重み付けは勝率に跳ね返るので、例えば次の手が10通りなら一番平均点数の高い手を選べば良い。

    しかし囲碁ではこれまでは良い重み付けができなかった。またオセロが10の60乗、チェスが120乗、将棋が220乗に対し囲碁は360乗の変化がある。ちなみに100乗はgoogolと言う単位だ。1年前までは人工知能学者以外は囲碁はAIは人間の敵では無いと考えられていたし、α碁がヨーロッパチャンピオンに5連勝した昨年10月でもイ・セドルに勝てるようにはとても見えなかった。ではどうやったらこんなに強くなるのか。

    コンピューターに黒白どちらが優勢かを教えるのは難しい、そこで取られた方法がディープラーニングで簡単に言うと画像処理装置を持ったα碁は過去のプロの対局を学習し、どうなれば優勢かの特徴を自分が集めた画像データーを元に解析した。α碁は過去の対局から独自に特徴を見つけだし、自分で重み付けを作り出す。残念ながらそのアルゴリズムを言語化する事ができないのでα碁が何を考えているのかはわからない。手だけを見てると、過去の常識が通じない、新しい常識が生まれるというような感想が出てくるわけだ。「特徴表現をコンピューター自らが獲得する」ことができれば後はひたすら学習を繰り返しセルのように成長していく。

    何がディープかと言うと人間の神経系を模式化したニューラルネットワークの階層が深い層になっている。特徴表現は何種類もあるので例えば10通りの特徴の程度を入力し、さらにその影響度に重みをつけて次の階層に送る。人間の場合は刺激によって神経同士をつなぐシナプスが強化されて重み付けをしている。そこに色だとか形だとかの情報が取り込まれ統合されて一つの認識を作る。コンピューターも多層化するとAからJの10通りのうち次の層ではABC、BDIなど複数の組み合わせでデーターを処理しさらに次の層に送る。そうして高次の特徴を積み上げていくとそこに概念が生まれる。

    ここで面白いブレークスルーが入力と出力を同じにするようにした事だ。多層にすると浅い層までフィードバックがうまく働かなかった。平社員の情報を統合して社長まで伝え、それに対する答えを平社員に伝えるといつの間にか前提が変わっていたと言うようなものだ。そこで、出力を同じにして答え合わせをし処理がうまくいっている事を確認する。他にもある特徴はまとめて集団化したりわざとノイズを与えて頑健性を強めたりという事もする。

    2012年グーグルは「ネコ」を認識するのに1000万枚の画像をニューロン同士のつながりが100億個という巨大なニューラルネットワークを使い、1000台のコンピューターを3日間走らせている。金額にして1億円相当だ。α碁の場合はCPU1202、GPU176からなりグーグルのHPで見積もるとお値段は60億を超えるらしい。

    α碁が負けた第4局ではイ・セドルの歴史に残る1手がα碁が見積もる勝率を狂わせたのかもしれない。コンピューターは不利な状況になるとモンテカルロ法により変な手を繰り出す傾向があり、粘って逆転というのは苦手らしい。スカウターが故障したようなものか?これも本当のところはα碁に聞いてみないとわからない。

    「目の誕生」によるとカンブリア大爆発は視覚の獲得によって起こったとされる。コンピューターはすでにイメージセンサーという視覚とGPUという視神経を手に入れ自ら学習するようになった。コンピューターが自分より賢いコンピューターを設計できるようになる日は思ったよりも近いかも。

  • 著者は国内トップクラスの研究者で、人工知能学会の編集長も務められた方。学会誌を研究者だけでなく多くの人に興味を持ってほしいと尽力された方とのことです。
    そういった経緯の方だけあって、興味を抱きやすい導入部、わかりやすい説明、もう少し詳しい内容を記した書籍への誘導など、「人工知能とはなんぞや?」な素人にこそおすすめしたい本です。私自身がその素人ですが、とてもわかり易かったです。

    15年以上前にとある漫画がきっかけで人工知能に興味を持っていた時期があり、ロボットや心に関する新書を何冊か読んだ程度の知識でこの本を手に取りましたが、当時得た知識がページを捲るごとに塗り替えられていくのに興奮しました。技術の進歩のスピード感と、最先端の技術が日々の生活に密接に関わって実現していることに驚かされます。
    また、終章のあたりではこの国の現状、そして将来の展望についても語られていて、著者の方が抱かれている危機感――この本を執筆された動機――にも触れられます。
    このあたりは門外漢の素人には考えるのが重いテーマに感じられましたが、10年くらい経った後に読み返したらまた違った感想を抱くのかもしれません。

    人工知能の現在・過去・未来について今の視点から語られた本です。今のうちに広く読まれて欲しい。

  • 分かりやすい言葉で終始書かれており、知識が少ない私でも読み易くて面白いと感じた。

    ディープラーニング、という言葉は知っていたが、何が凄いのか、どんな技術なのかは知らなかった。ディープラーニングは情報の特徴量を機械学習で発見出来る技術であり、過去50年打ち破れなかった壁を越えた技術である。
    chatgptのようなAIが登場した背景を少し学ぶことが出来た。

  • AIに何が出来て、何が出来ないのか。

    人工知能について手っ取り早く基本的なことを知りたい時はこの本!と言われるほどベーシックな一冊。

    7年前の本ですが入門用には、良書かと思います。

  • ザクッと人工知能への挑戦の歴史と現在その中核となる、ディープラーニング、機械学習とその基盤となっているベイズ統計の位置付けについて理解できる。

  • 人工知能について、ディープラーニングについて、素人にも概念が掴めるように丁寧に解説していて非常に良かった。
    2014年時点で人工知能学者の目指している人工知能はまだ出来ていないが、人工知能が出来ないわけがない。その理由も述べられているが、これには首肯する他ない。

    また、あとがきの筆者の純粋な人工知能に対する思いになんだか笑ってしまった。
    今読んでも学びになる、とても良い本だと思う。

  • 2022.08.05

    以前に新井紀子氏の「AIvs教科書の読めない子供たち」を読んでいたので、ある程度の前提知識を持って読むことができた。
    悪くいうと既に知っていることも多く書いていたということになるけれども・・・(私みたいな素人が知ったかぶりをするのは恐れ多いが)

    今はいわゆる「3度目の人工知能ブーム」と言われる。人工知能ブームは過去に2度あったが、ブームが過ぎたあとは「人工知能の学者はいつも間違ったことを言う」と言われるような冬の時代が到達したという。
    世の中が人工知能に期待しすぎるのだ。
    まだまだ研究余地のある分野だからこそ、世間は人工知能の限界を見誤るらしい。

    人工知能が自身よりも知能の高い存在を作り上げる(シンギュラリティ)がくることはないだろうというのが著者の考え。SFの世界のようなことは起こらない。けれども、現代社会に確実に大きな変異をもたらすことは間違い無いだろう。
    なぜなら人間=知能+生命であるからだ。
    知能は作り出せても生命を作り出すことは難しい。

    人間の脳は電気信号によって思考している。これは紛れもない事実である。
    ならば人工知能は理論上作ることが出来と言われているが、まだ完成していない。

    第二次AIブームで分かったのは「知識をコンピューターに入れれば賢くなる」ということ。
    (エキスパートシステム)
    この世の中に溢れる膨大な知識をコンピューターに入れていこうというプロジェクトもあり、なんと1984年から現在まで続いている。
    それだけ人間の知識は膨大なのだ。

    機械学習とは、人工知能のプログラム自身が学習する仕組み。
    第三次AIブームの鍵となる。
    機械学習において必須なのは「特徴量を設計すること」
    特徴量とは平たくいうと「何を持ってある物事をそれだと判断するか」である。
    人間は深く考えることなく「あれは猫」「あれは馬」などと見分けることができるが、コンピューターにとってはそれが難しい。
    何を持って猫、何を持って馬と判断するのかは人間が教えてあげないといけなかった。
    しかしそこに「ディープラーニング」が登場する。
    ディープラーニングとはコンピューターが自ら特徴量を作り出す技術。
    技術の詳細は本書で説明されていたが、あまりきちんと理解できなかったので(笑)ここでは割愛する。
    とりあえずディープラーニングができてからコンピューターは自分で猫とか馬とかを見分ける方法を見つけることができるようになった。

    日本企業では残念ながら「機械学習の精度が上がると売り上げが伸びる」という考えが浸透していない。そのため日本企業がなかなかAI分野に投資をしない。海外企業に出遅れる可能性がある。
    しかし日本は人工知能研究者の層が厚いというのは筆者の考え。
    今後の人工知能の発展と活用に期待がかかる。

  • 人工知能とはなにか、どういう変遷を経て今に至るのか、という話を、なるべく細かく難しい部分を抜いて説明されているように感じた。
    全くの初学者の状態で読みましたが、読みやすく理解しやすかったです。

  • 人工知能研究分野における権威の1人、松尾豊先生により人工知能研究の経緯から今後の発展にいたるまで、わかりやすく説明された本。いかに人工知能研究において、「人間とは何か」という本質的な部分にフォーカスが当てられてきたかがよく分かり、面白い分野だなと改めて感じた。

  • 人工知能、とくにディープラーニングに何ができて何ができないのか、将来的にはなにが期待できるのか、よくある理想論だけじゃなくて具体的によく書けている。
    ディープラーニングがあればなんでも学習、予測できると勘違いしてるエセコンサルは是非読むべき。
    ただ、人工知能は人の仕事を奪うのか、に関しては少々現実に対する考察が甘い気がする。
    できるのかできないのかに加えて、実際人はそれを実行に移すのか、に目を向けないと、最終的にどうなるのかを見通すことはできないと思う。
    とはいえ、非常に良書であることに違いはなく、世の中の勘違いコンサル、自称エンジニアどもは爪の垢煎じて飲め、って感じ。

  • 私(文学部卒)→星5
    夫(理学部大学院卒)→星2
    足して2で割って星3.5。
    分かってる人からすると「ふーん」。ほぼ分かってない人には「へー」。
    そんな本でした。初版から6年経ったので、現在の研究や実用化の進展具合から考えるとどのくらい現在性があるのか私程度の人間では判断できません。が、ひとつだけ。これが書かれた時点ではこんなにもペッパーくんに期待が寄せられていたんだなぁ、と。たしかに、一時期、イオンの店頭にいっぱい並んでたもんなぁ。今、さっぱりお見かけしなくなったけど。「人間同士のやりとり同様にやりとりする人工知能」の呪縛が日本では強すぎるのかな。手塚先生と藤子不二雄先生以来の刷り込みが。

  • 人工知能の第一人者である松尾氏が経産省審議官にプレゼンした内容ベースとした入門書的な分かりやすい書籍。

    人工知能と一括りにするにはステップがいくつかあり、単純な区分プログラムから自分で考えることができるものまである。

    とはいえ、人間であれば自然と理解しているその前提をサンプルで教え込むことの難しさがあり、今まで人工知能は2度の冬を迎え…今ディープラーニング等と共に3度目の挑戦に臨んでいる。

    これから、シンギュラリティを迎えるのかわからないが人工知能が発展する中での人間との関わり方をを見たいと思った。

  • 2020.4.17 読了
    面白い。面白すぎる。
    久々にこんなワクワクした。
    東大の松尾研がAIで有名なのは知っていた。しかし、その松尾豊氏の話のうまさ、わかりやすさ、人の興味を惹く力が余すことなく載っている本だと感じた。
    機械学習の基礎から応用、その実用までかなり分かりやすく描かれている。
    もう一度大学受験するなら浪人してでも東大の松尾研に入りたいと思うような内容だった。

  • 今から2か月ほどで、AIに関して集中的にインプットしようと思い立った。
    そのための1冊目として、読者評価が高く、
    4年以上前に発行された「王道&古典」とも言えそうな本書を選択。

    人工知能の歴史、研究の変遷、ブレークスルーのポイントなど、
    これから学習する上で基盤となる全体像がイメージできたと思う。
    私は本書しかまだ知らないけれど、
    多くの人から高評価されているのは納得できると感じた。

  • 松尾さんの講義きっかけ。

    g検定を前に再読。人工知能についてちょっと勉強しただけやけど、初めて読んだ時よりかなり内容を理解できたと思う。事前知識が多いほど、同じことを勉強してもより吸収量が多くなる、勉強のべき乗則(今勝手に作ったw)を実感した気がする。

    最後のあとがきにある文章が印象的。松尾さんが人工知能の研究を始め、それに身を捧げる個人的な理由、知的好奇心が表れている気がする。素敵すぎます。人間の知能と人工知能への興味を刺激してくれる本。

  • 人工知能と一言で言っても、何を指してるかよくわからず、大学の授業で紹介されたのを機に読んだ。

    人工知能発展の歴史と共に、人工知能を四段階にわけ、それぞれの特徴を説明している。非常にわかりやすかった。

    人工知能についての概要を学べることはもちろん、普段自分がどのように物事を認識・習熟していくのか、についてのヒントも得られそうだと感じた。

  • 最近、あらためて注目を集めている人工知能。というか、人工知能という言葉はぼくが子供の頃からあって、どうして最近再び注目を集めているのかよくわからなかったので、ちゃんと知りたかったのだ。そういう意味ではよくまとまっていて、期待通りだった。人工知能の歴史や意味、仕組みや今後の成り行きなども解説してくれる。

    人工知能を理解する上でのキーワードは「ディープラーニング」と「特徴表現学習」。ここが腑に落ちるかどうかで人工知能が理解できるかどうかの分かれ目になりそうだと思った。が、残念ながらその部分の説明がいまいちわかりにくい。ぼくは3回くらい読み直した。

    ディープラーニング=人工知能のアルゴリズムの一種で、「特徴」を上手に「抽象化」することで、融通の効く判断を行う手法。

    特徴表現学習=多数のサンプルから自分で「特徴」を抽出した学習すること。たとえばいろいろな動物の写真を特徴でいくつかに分類し、その後にあるグループに「猫」という意味を紐付けることで、以降「猫」を見分けられるようになる。

    と理解したのだが、合っているだろうか?

    人工知能はいずれ、いくつかの分野で人間を凌駕するだろう。たとえば正確に計算するという点では数百円の電卓に人間の暗算が及びもつかないように、膨大な知識ベースや試行錯誤を前提とした判断などは近々、人工知能に任せたほうが効率がよいということになるだろう。道案内はすでに助手席のナビゲーターの仕事じゃないし、電車の乗り換えも駅員よりスマホに聞いたほうが早い。いずれ通訳や、病気の診断なども人工知能にとって代わられるのではないかと思う。
    その先、どこまで行くのかはわからない。いずれ「2001年宇宙の旅」のHALや、「月は無慈悲な夜の女王」のマイク、「ガニメテの優しい巨人」のゾラックといった面々に、ぼくらは出会うことになるのだろうか? ちょっと楽しみだったりして。

  • ●なぜこれまでの研究で人工知能は実現しえなかったのか、なぜ今また大きく話題になっているのか、人工知能はこれからどんなインパクトを与えていくのか、そういったことを本書はわかりやすく解説している。
    ●人工知能がより進歩していき、やがて人類を脅かす存在になる、といった流布が見られるが、著者はそれはないと断じる。その理由として、現在のディープラーニングで起こりつつあることは、「世界の特徴量を見つけ特徴表現を学習する」ことであり、これ自体は予測能力を上げるうえで重要なことだが、このことと人工知能が自らの意思を持ったり、人工知能を設計し直したりすることとは、天と地ほど距離が離れている、からだと言う。

  • 最近読んだ本の中で『お金2.0』と並ぶくらい面白かった本。
    人工知能の今までの歴史を踏まえて、ディープラーニングが人工知能の50年来のブレークスルーであることが解り易く説明されている。
    人工知能の研究を通して、ヒトの知能が如何に複雑な処理をこなしているのかが分かってとても興味深かった。
    高度な学習が出来るのはヒトの特権なので、余すところなくその恩恵に与りたい。

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著者プロフィール

1953 年、新潟県五泉市生まれ。1978 年東京教育大学教育学部芸術学科(彫塑専攻)卒。1989 年、毎日新聞社主催・毎日郷土提言賞富山県優秀賞受賞。
著書に『新潟街角の芸術̶̶野外彫刻の散歩道』(新潟日報事業社,1987)、『富山の野外彫刻』(桂書房,1991)

「2015年 『パブリックアートの展開と到達点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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