戦争と読書 水木しげる出征前手記 (角川新書)

制作 : 水木 しげる  荒俣 宏 
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 189
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820491

作品紹介・あらすじ

水木しげるが徴兵される直前、人生の一大事に臨んで綴った「覚悟の表明」たる手記。そこから浮かびあがるのは、これまで見たことがない懊悩する水木しげるの姿。太平洋戦争下の若者の苦悩と絶望、そして救いとは。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和十七年、徴兵検査を受け、出兵を控えた武良茂(水木サンの本名)の苦悩。
    武良茂はキリスト教や、仏教、ニーチェなどの哲学や宗教思想の本のなかに答えを求めた。死を意識した二十歳の青年の手記。

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    荒俣宏さんの濃厚な時代解説のおかげで、戦前や戦時中の学生たちがどのように本を選び、どのように読み込んだかがわかった気がする。
    日記を書く行為、天気を書き残す行為についての考察も大変興味深かった。

    もちろん自分が二十歳のころは戦時中ではなかったから、ここまで死を意識することはなかった(まったくなかったわけではないけど)。
    苦である現実を生きることは戦いで、休息を意味する死は幸福、そして戦っているうちに苦しみは幸福に変わる、なんて当時の自分は考えもしなかった。何かあるたびに悟ったような気分になっていたけれど、本当の悟りっていうのはこういう思想なんだと思う。

    哲学も宗教もいいけど、もしかしたら答えは自然のなかにあるのかもしれない。ニーチェや水木サンが重視した自然学。

  • 水木しげるさんが徴兵される直前に書いた手記と荒俣宏さんによる解説の書。読書と対面しながら悶々と己の生とそれを取り巻く世界を「うだうだ」と綴る姿がずっしりと伝わる。決して「平和」とはいえない現代のニッポンで、読書に対面する己とはなんなのか、その読書とはなんなのか。大学生になる前に読む本、的にオススメ。

  • 水木しげるのお兄さんはBC級戦犯として巣鴨プリズンに約9年間収監されたそう。(P202)

  • 水木しげるが20歳やそこらの青年であり、
    戦地へ赴く直前の手記に荒俣氏が解説を加えた一冊。
    世間一般に知られたる水木氏のどこかとぼけたような達観は感じられず、
    日々自分の価値観が変わっていっているような葛藤がそのまま記されている。
    それにしても現代視点で見たときには、とても20歳が書き記したとは思えないような深い思索の跡がみてとれる。語彙も大変に豊かである。
    これが往時の標準的な青年の姿であるならば、
    現在の若者が幼稚化しているという論に逆らうことはできない。

    荒俣氏の、手記の解説に留まらず「日記」という形態についての研究や水木氏がなぜゲーテを愛読していたか、を時代背景をもとに読みとく第2章も読み応え抜群。

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689997

  •  水木先生、大変なインテリ読書家である。
     第1章の出征前手記は難解かつ送り仮名の使い方が変で読みにくい。常々「なまけものになりなさい」と説いていた先生が二十歳の時点では「怠惰」を厳に戒めている。どういうことだ?と思ったら、それについて弟子 荒俣宏による解説があった。
     第2章は、戦前の読書事情、日本人と日記の関わりについて知るところが多かった。

  • 東2法経図・6F開架:726A/Mi95m//K

  • 水木しげるの太平洋戦争出征前の手記。ごく短い日記はツイッターのつぶやきに似てくる。

  • 2018/03/18 初観測

  • 新約聖書やゲーテまで読んでちゃんとものにしている水木先生の哲学的な思索に感心し、私にとっての水木先生の印象もガラリと変わった。(文章は主に荒俣宏さんのもの)

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