IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2016年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040820583
作品紹介・あらすじ
今までの日本のICT(情報通信技術)戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている。
IoTがその轍を踏まないようにすること、そのためにも哲学が重要なのである――。
「IoT=モノのインターネット」とは何か。何のための技術であり、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。技術研究開発や社会制度設計、ビジネスや実用の最前線から、豊富な実例をあげつつ、その現状・課題・未来像と、日本への指針を示す!
感想・レビュー・書評
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IoTという分野の全体感への理解を深めたく読書。
勉強になるだけでなく、読み物として面白い。
以下学びがあった点のメモ
・道路とインターネットの類似性
→全体の責任者なし、しなやかで強い
・オープンデータ、オープンAPIが重要となる
・機器メーカー側が主導権を取るためにアグリゲートコンピューティングを実現すべき
・日本でのIoT発展には技術より制度上の課題が多い
→技術先行に陥る日本、オープン/ベストエフォート/マッシュアップ文化は強い
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Kindle unlimitedで読了。IOT系の本の中で、かなり深いところまで言及されている。
Iotにおいてオープン化が重要かわかる。
キャリア主体型から変革できずに日本はガラケーがスマホでやられたように、IOTも遅れてしまわないかが懸念である。
ギャランティ思考があるが故に、高い品質の製品を日本が出してるが、あらゆる技術がコモディティ化したいま、それが足枷になっていくのではないか。 -
IOTとはユビキタスのことで定義は全く同じである。
それは書くコンピューター、物が相互に連絡しあって効率的に動くことである
こういうものっていう紹介はあるけど心には響かないな。
情報たくさん集めていろいろ活用する社会になればいいのにね -
自分の情報を自らの意思で出すか、それとも自動的に情報を取られることには大きな差がある。自らのかざすというSuicaなどの方式は情報の出し側に主導権がある。
ベストエフォート型とギャランティ型。
道路はベストエフォート型で鉄道はギャランティ型という例えはよく分かる。
鉄道はインフラだけでなく、その上に乗るサービスも提供保証する。
一方、道路はインフラは管理するが、その上のサービスは利用者個々の責任である。
ベストエフォート型は脆弱だが、柔軟性がある。
これから発展していくだろうIoTの理解の一助となった。 -
IoTとは何か、という書名に正面から答えをもらったような気がする。読んで良かった。TRONプロジェクトはすごく理想的で、社会への出口まで考えられているのに、それでもまだ実現していないのはどこに問題があるのだろう。なかなか自ら悪いとこは書かないだろうから、違う方面からの話も必要なのだろうけれど、API含めたオープン化は避けられないんじゃないだろうか。
180424 -
2016年の書籍。オープン化の世界的な流れに逆らう囲い込みは望ましくないが、ビジネス的に成り立たなければ社会に受け入れられない。孤立しない囲い込みとして、自社クラウドに直結してAPIを公開することで、独占性というビジネス要求を満たしつつ、オープン化による連携を可能にするアグリゲートコンピューティング(著者・坂村健氏提唱)を推奨。
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【書誌情報】
著者:坂村 健
定価: 880円(本体800円+税)
出版社:KADOKAWA
発売日:2016年03月10日
判型:新書
商品形態:書籍、ソフトカバー
ページ数:240
ISBN:9784040820583
〈https://www.kadokawa.co.jp/product/321509000527/〉
【簡易目次】
第1章 IoTの登場
1、IoTとユビキタス・コンピューティング
2、世界をつなぐオープンシステム
第2章 IoTの実用化とその可能性
1、IoTの実証実験
2、オープンIoT
3、IoTによるサービス
第3章 オープンとクローズ――日本の選択
1、オープンのインフラがもたらす世界
2、IoTで製品はどう変わるのか
3、世界競争と日本のジレンマ
4、オープン・イノベーションを求めて
第4章 IoT社会の実現と未来
1、すべては「ネットワーク」と「識別」からはじまる
2、アグリゲート・コンピューティング・モデルを目指して
【目次】
目次 [003-007]
はじめに [008-010]
第1章 IoTの登場
1、IoTとユビキタス・コンピューティング 012
IoTとは何か/ハイプ・サイクル/HFDSからユビキタスへ/「インターネットのようにオープン」/リアルタイムOSの必然性
2、世界をつなぐオープンシステム 028
世界の組込みシステム化/黒船来襲に驚く日本/クローズなIoTとオープンなIoT/曖昧なバズワードの潜在力
第2章 IoTの実用化とその可能性
1、IoTの実証実験 040
モノのトレーサビリティ/食品から廃棄物までをもトレース/モノのメンテナンスと汎用の重要性
2、オープンIoT 059
インダストリー4・0/インダストリアル・インターネット/IoTからIoEへ──場所の認識/目指すべき「IoE国土」日本/建築のIoT化でプログラムできる環境を
3、IoTによるサービス 080
サービス4・0/2020年に向けた「おもてなし」の課題/レガシーとなりうるサービス高度化インフラ/既存インフラを積極的に活用/プライバシーの概念とICカード/組織や応用を超えたオープン性を/クラウド展開の可能性/クラウド化で実現するさまざまなユースケース/CRMからVRMへ
第3章 オープンとクローズ──日本の選択
1、オープンのインフラがもたらす世界 110
ベストエフォートとギャランティ/TRONのオープン哲学/オープンソースとオープンデータ/情報公開の新たなスタイル/Gov2・0の本質/オープンAPIの効用/世界でたったひとりにも最適化/オープンな領域の広がり/モノを全部インターネットで繫ぐ
2、IoTで製品はどう変わるのか 140
オープンIoT時代のカメラ/ナチュラル・ユーザインタフェース/アグリゲート・コンピューティングとは何か/オープンカメラAPI
3、世界競争と日本のジレンマ 151
国家レベルのプログラミング教育競争/日本的ギャランティ志向/オープン化とガバナンスの溝/技術先行に陥る日本/「データのガバナンス」と「制御のガバナンス」/スマートグリッドの課題/米国発のスマートグリッド構想/日本型スマートグリッドの限界/ガバナンス面での日本の弱さ
4、オープン・イノベーションを求めて 174
既得権益を解体せよ/革新を阻む日本型ビジネスモデル/海外スマートフォン上陸の衝撃/「スティーブ・ジョブズは、なぜ日本に生まれないのか」/個人の権利から事業者側の義務へ/ガバナンスチェンジの必要性
第4章 IoT社会の実現と未来
1、すべては「ネットワーク」と「識別」からはじまる 192
実世界のモノ・空間・概念を識別する/uIDアーキテクチャとucode/場所概念の標準化/ucodeとJANコードの違い/ローカルからクラウドへ
2、アグリゲート・コンピューティング・モデルを目指して 208
IoT化で主たる機能に特化/ガバナンス管理が直面する矛盾/エッジノードがクラウドに直結/ホームサーバーが消える/自立性を確保する新たなビジネスモデル/ユビキタスからアグリゲートへ/日本におけるオープンデータ実現のために
おわりに(2016年2月 坂村健) [229-237]
参考文献 [238-239] -
物をインターネットにつなぐと言うのがどういうことなのかがよく理解できる本です。
ただ社会に浸透させるためには日本のガバナンスを変えていかなければなかなか難しいと言うのもよく分りました。その点海外(アメリカ)のガバナンスは日本と違いどんどんチャレンジできる環境にあるので日本より発達していくということも分かりました。
今後どのように物のインターネットが発達していくのか注目していきたいと思いました。 -
タイトルの通りIoTとは何かを解説した本。IoTが生まれた背景とその歴史、現在の実用化と今後の可能性、IoT社会について語られている。
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今まで「モノをインターネットにつなぐ」という文字通りの理解しかしていなかったIoTについて、具体的な活用シーンや仕組みについて知ることができ、理解を深められた。
オープンな仕組みであることがしきりに強調され、これからの普及は技術的な問題でなく制度面に左右されると知った。日本はオープンな技術に乗り遅れていて、インターネットに続いてIoTにおいても同じ轍を踏むのは避けたいと思った。