IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820583

感想・レビュー・書評

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  • 年が明けてしまいましたが、私、この本のタイトルである「IoT」という言葉、昨年(2016)に初めて知ることとなりました。新聞や雑誌の見出しに使われることも多く、何のことかと思っていましたが、インターネットの進化形ということになるのでしょうか。

    以前、コンピュータ、ロボット等が、ついに人間の支配を脱して自分の意志をもって行動して人間と闘うという映画(ターミネーター)がありましたが、この「IoT」はそこに至るまでの最初のステップなのでしょうか。

    それはともかく、今年(2016)一杯は、IoTとは何なのか、人間と共存することは可能なのか、それにより私たちはどのような影響を受けるのかについて考えていきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・IOTとは、ユキビタス、その前は「どこでもコンピュータ」、さらに前には、「HFDS=超機能分散システム」、今のインターネットが、ウェブやメールなどの人間のコミュニケーションを助けるものであるのに対して、コンピュータの組み込まれた「モノ」同士がオープンに連携できるネットワークであり、その連携により社会や生活を支援する、それがIOTである(p13)

    ・蒸気、電気(モータ等の電機化)、オートメーション(コンピュータ等による電子化)につぐ、第四の産業革命が、IOT化、部品製造から組み立て販売まで、すべての現場が連結され透明化されるとドイツでは言われている(p33、81)

    ・トヨタのカンバンシステムもIOTであるが、それは系列に閉じたIOTである。インダストリー4.0が目指すのは、標準化したカンバンによりドイツ、さらには世界中の製造業すべてが繋がる、系列に閉じないカンバンシステムである。閉じたIOTから、インターネットのようになることが、世の中を大きく変えるにあたって大切なこと(p35、64)

    ・現在最新の旅客機では、機体を構成する全部の部品に電子タグが取り付けられている、1台の飛行機は400-600万個の部品で構成されるが、これにより全世界において部品のメンテナンスが効率的にできる(p53)

    ・ネットに繋ぐ、をモノが単なる「物品」でなく、場所というようなケースも包含することを明示するために、IOE(Internet of everything)という言い方もされている(p69)

    ・電話という音声通信技術の導入で1.0、コピーやFAXという文書通信技術で2.0、コンピュータやインターネットというデジタル通信技術で3.0、そしてIOTで4.0となるだろう(p81)

    ・最近のインターネットでの「データ公開」は、人間が読むことを前提としてPDFなどによる情報公開ではなく、ネット経由でほかのシステムから利用できるAPI(システムを外部プログラムから制御するための命令群)を設置して、それを公開するというスタイルである(p121)

    ・日本の電力会社は、電力メータをネットワークにつなぎ、精緻な予測を行うことで、東日本大震災以前は、年間停電時間14分という世界でも例を見ない停電時間を達成してきた、欧米は50-90分、中国は13時間(p167)

    ・成功してしまった組織は、テクノロジーの変化にはついていけるが、最適化して既得権益の塊になった社会的なクローズドシステムが残り、変化に対抗する(p175)

    ・オープンでベストエフォートで便利だが、だれも究極の保証をしてくれないのは道路交通網も同じ、安全という意味では、毎年4000人以上の死者を出しながら、日本社会に未だに許容されている最大のベストエフォートシステムである(p234)

    2017年1月2日作成

  • 当面メンテナンスなどには良いかも。どこまで広がるかは未知数だが、ビジネスとして実現すれば面白い。

  • なんとなくしかわからない。

著者プロフィール

INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、工学博士。東京大学名誉教授。IEEE Life Fellow。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長。組込OSとして世界中で多数使われている。TRONはIEEEの標準OSでもある。2003年紫綬褒章、2006年日本学士院賞、2015年ITU150Award受賞

「2022年 『教養としてのコンピューターサイエンス講義 第2版 今こそ知っておくべき「デジタル世界」の基礎知識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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