武器輸出と日本企業 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 101
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820866

作品紹介・あらすじ

「武器輸出三原則」が見直された。防衛省は法令を検討するなど前のめりだが、防衛企業は足踏みのところも多い。技術流出のリスク、見えない敵への恐れ、ビジネスとしての旨み……知られざる現状をレポートする。

感想・レビュー・書評

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  • p220 あとがきより

    戦後初の東大総長の南原繁
    「大学は国家の名において学問研究の自由の範囲が狭められ、時の権力によって都合よき思想と学説が保護せられ、これに反するものはしばし迫害せられ、弾圧せられ。。われわれは、我が国のかような官僚主義と中央集権制度から解放し、これを民主的また地方分権的制度に改編しなければならぬ」
    「国の政治に何か重大な変化や転換がおきるときは、その前兆として現れるのが、まず教育と学問への干渉と圧迫である。われわれは、満州事変以来の苦い経験によってそれを言うのである」

  • 武器輸出について丹念に取材されています。
    武器輸出三原則の改変。それに伴う企業、大学の対応と防衛省の動きについて記されています。

    印象に残ったのは、武器輸出をどう考えるか、ということ以前に、この国をどうしたいのかぎ重要とのことでした。

    防衛は金にならないという事実も全く知りませんでした。

    防衛防御といっても攻撃と紙一重ですし、武器輸出に対応するしないを企業やましては一科学者の倫理観に委ねるのは違うと感じました。

    デュアルユースというのも、何やら言葉遊びのような気がしてなりません。

    軍事と民事がある意味分かち難いのは良く分かりますが、一度曖昧にすると堰を切ったようになるのも目に見えています。

    この国に軍産学複合体なるものが出来ないよう、心から願っています。

  • よく調査をされたうえで書かれてますね。最後の無人殺人兵器のくだりは絶望的な気持ちになりますが。殺されるほうも殺すほうも悲惨な状況になる。

  •  日本の武器輸出解禁を追う。

     兵器輸出というのはそんなにはっきりしたものではない。軍事にも民間にも使える技術は山ほどあり、デュアルユースという言葉は兵器開発の誘惑を受けやすくしている。
     無人機などの軍事産業のハイテク化も伴って、兵器輸出の問題は大きくなっている。

  • 東2法経図・開架 559A/Mo12b//K

  •  
    ── 望月 衣塑子《武器輸出と日本企業 20160710 角川新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/404082086X
     
    ♀望月 衣塑子 東京新聞記者 19‥‥‥ ‥‥ /Mochizuki, Isoko
     
    …… 「自分が納得できないからと言って何回も何回も質問するのは如
    何なものか」菅 官房長官 to 望月 衣塑子(20170704)
    http://fate.2ch.net/test/read.cgi/seijinewsplus/1499158424/-100
     
    (20170705)
     

  • 戦争法が成立し自衛隊に新たな任務が出される・武器輸出3原則が事実上撤廃され防衛装備庁が新設される等、海外で戦争のできる体制が徐々に確実に作られようとしている中、どのような現状にあるのか知りたく手に取りました。

    著者は東京新聞社会部記者。加計学園をめぐる問題等に対して官房長官にするどく質問する姿が話題になっていますが、本書もテーマに深く切り込んだ中身になっています。粘り強く丁寧に行われた取材をもとに、武器輸出をめぐる現状が書かれていました。

    読み終えて、ほんとうに恐ろしい状態になっているなと背筋が寒くなりました。政治及び経済はすべて人々の暮らしに貢献するのが本来の役割なのに、新自由主義による経済政策のもと、お金のあるなしですべての価値判断を行うという間違った方向が進められています。武器を売ることによって誰が儲かるか、誰が不利益を被るかは明らかなのに。こんな状態を放置はできません。お金の使い方、政治の方向を変えないといけないですね。

    「デュアルユース」は、民生用にも軍事用にも使える技術のことと説明がありました。便利だなと思っている技術の背景や方向について、私たち自身がよく考えないといけないですね。

    「国の政治に何か重大な変化や転換が起きるときは、その前兆として現れるのがまず教育と学問への干渉と圧迫である」(南原繁)との発言は、今の状況を如実に表していると思いました。

    お勧めの一冊です。

  •  随分前だが、ナタデココなる食べ物が爆発的に流行ったときがあった。日本が大量に買ってくれるとして、フィリピンではナタデココ農家が激増した。ところがブームは長くは続かず、ナタデココはたいして売れなくなり、多くの農家が破産した。需要がなければ売れないのは当然のことだ。
     戦争があれば、武器に関係する企業は儲かる。設備も人員も大幅に増やし、業務を拡張する。ところが、戦争が終わってしまうとこれらは無用となる。それは困る。ある種の企業は、収益を維持し、増やすために、戦争を必要としているのである。
     本書は、武器輸出の歴史、背景、現状、問題点を的確に教えてくれる好著である。どんな理屈を並べようと、武器のそもそもの目的が殺戮であることは、争えない事実だ。こんなものを持つ必要がなければ、それにこしたことはない。人間世界の現状が必要悪として武器の存在を認めざるをえないのならば、我々は武器とどのように向き合っていくべきなのか、本書はそれを考えるきっかけを与えてくれる。
     武器の問題の難しさのひとつは、別の用途で開発されたものが武器にされてしまうことにある。例えば、米軍がベトナム戦争でスマート爆弾に装着したのはソニーのビデオカメラであり、湾岸戦争以降投入されているステルス機には、本州四国連絡橋が船のレーダーを攪乱しないよう開発されたTDKの塗料「フェライト」が大きな役割を果たしているとのことだ。
     こうしたことに目を光らせ、歯止めをかけるのは政府の仕事なのだが、「デュアルユース」「防衛設備移転」(武器輸出のこと)などと言葉をもてあそび、オスプレイなどという粗悪な商品を買わされている現政権は、残念ながら人の命には大して関心がないようだ。
     結局、防波堤は個々の科学者や技術者の倫理観のみなのだが、そんなものはとっくに放棄している科学者がいる一方で、少なくない人々がこの国のこうした流れに抵抗していることに希望が見いだせる。例えば新潟大学は、政府のくれる金に飛びつく大学や研究機関を横目に見ながら、武器開発に関する研究を行わないことを新たに申し合わせている。
     もう一度言うが、武器は殺すためのものであり、ない方がよいのだ。間違っても金儲けの手段にしてはいけない。そうした途端、武器も、どれだけ効率よく人を殺せるかという性能も、必然的に自己増殖し、暴走するからである。子ども、配偶者、恋人、友だち、猫など、自分が大切に思う命が身近にある人には、ぜひ読んでもらいたい本である。

  • 2014年4月、武器輸出三原則を47年ぶりに見直し。
    三原則は長年にわたりアメリカと財界の圧力により変化を強いられてきた。
    科学研究費と国防が結び付くと利権が自己増殖し、後戻りはできない。

  • 武器に関する著者の懸念は正常な感覚だと思う.現役時代,防衛装備品の開発に携わっていたので,丸防の考え方,企業の思惑は十分に把握している.丸防が大学まで触手を伸ばし始めている状況は第5章に詳しくあるが,所詮丸防の技術水準はまだまだ低いのが実態だ.それを認識しているが故の行動なので,ある意味で取り返しのつかない状況が出てくることを危惧する.

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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。東京・中日新聞社会部記者。慶応義塾大学法学部卒業後、東京新聞に入社。千葉、神奈川、埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材する。2004年、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の報道をスクープし、自民党と医療業界の利権構造の闇を暴く。経済部記者などを経て、現在は社会部遊軍記者。防衛省の武器輸出政策、軍学共同などをメインに取材。著書に『武器輸出と日本企業』(角川新書)、『武器輸出大国ニッポンでいいのか』(共著、あけび書房)。二児の母。

「2017年 『新聞記者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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