知られざる皇室外交 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 125
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820873

作品紹介・あらすじ

1953年、19歳だった明仁皇太子はヨーロッパ各国を訪れた。大戦の遺恨が残るなかで何を感じたのか。そこから続くイギリス、オランダなどとの交流、慰霊の旅を続ける理由など、知られざる姿を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 「平成」という時代が終わろうとしている今、何か思いを巡らせるヒントになるかなぁと思い手に取りました。

    著者は、新聞社の特派員として7年間パリで活動した間、国賓あるいは公式賓客などのさまざまな形で海外元首と交流する皇室メンバー(特にその時代の両陛下と皇太子殿下夫妻)の活動を取材する中で、皇室が外交面で非常に重要な役割を果たしていると認識し、それ以来、皇室外交に着目して取材を続けてきたとのこと。
    一般国民に伝えられている「皇室外交」の姿や意味が十分でない、いや、伝えられていないと、メディアに対して痛烈に指摘しています。

    本書は、国家元首相互のさまざまな接遇のルールを解説するとともに、その背後にある交流・和睦の機運を醸成する暗黙の了解のようなもの、儀礼的に見える歓迎の辞・答辞が実は非常に綿密に練られ、思いの込められたものであること、「国賓」の相互訪問の背景にある国際情勢などを具体的な事例(晩餐会のメニューも!)を並べながら紹介しています。

    特に印象的に思えたのは、オランダとイギリスの王室とのこと。私たちはオランダは鎖国時代に唯一交流していた西洋の国という歴史を教わり、とても親しみある国だ(だから向こうもそうだろうという)印象を持っているだけだけれど、実はオランダ国内では、先の大戦で生じた反日感情(日本軍の、捕虜への過酷な処遇や慰安婦問題によるもの)が根深かったそうです。イギリスも然り。それを緩和するためにそれぞれの王室(日本は皇室)が配慮と工夫を重ねて対応したことや、天皇・皇后両陛下の彼の地での振る舞いや発言が、反日感情を和らげるためにいかに大きな役割を果たしていたのか。

    そのほか、
    「天皇家」は、「万世一系」と呼ばれ、千年を超える長きにわたって続く、伝統と格式に裏打ちされた皇統。それは世界でも稀なことで、政治トップでは決して補えない、国としての一貫性を示すもので、だからこそ外交に非常に重要な役割を果たし得るのだということ。
    国賓の外国訪問には当該国の戦没者慰霊が必ず盛り込まれ、国賓としての行き来の際に相互にそれを行うもことが基本になっていること。それが過去の戦いからの和睦と現在の良好な関係を意味するということ。ところが、我が国を訪問する国賓は日本でそれは行えない、なぜなら戦没者全体を国として慰霊している靖国神社には、戦犯とされた人々が合祀されているから。だから日本から海外を国賓として訪れる皇室メンバーの、彼の国での慰霊だけが行われる一方通行になっている(つまり、私たち日本人は、海外の国賓(大戦で戦った相手国を含めて)が日本の戦没者を慰霊してくれる姿を見ないということ。オバマ大統領の広島訪問は本当に印象的な出来事だったけれど、あくまでもあれは原爆死没者への慰霊に限定されている。)、その歪さ。

    自分の国のことなのに、なんと多くのことを知らずにいることかと愕然とさせられました。

    皇室について自分の考えを語ることはつい慎重になりがちだけれど、いろいろなことを置いておいて、素直に、戦後の皇室が、とりわけ国際社会の中で(日本のために)果たしてきたこととその成果を受けとめたい、これから先は、きちんと事実を知りたいと思いました。

  • 皇室の重要性、陛下のお人柄をかんじることが出来る

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=333028

  • 東2法経図・6F開架 319.1A/N83s//K

  • 生まれてから亡くなるまで変わらない皇族という在り方による長期的な外交がいかに日本の国益に貢献してきたか、ということを具体的なエピソードを集めて教えてくれる。実利的な外交と、観念的な外交の両輪が日本にはあって良かった!

  • ちきりん氏の推薦本。
    皇室外交が日本の重要なアセットであることは理解した。
    個々のエピソードは感じる人は居るのだろうけど、あまりピンとこなかった。

  • 天皇制は便利だなー。外交関係が柔らかくなるのって、とっても大事。ノブレスオブリージュはあり続けるべきである。


     政治家や政府外交官だけが外交をすればいいのか。そんなことをしたら、即物的で、利害関係しか追究しない外交戦略ばかりになるんじゃないか。そんなスケベな国は国際関係上、好意を持たれるわけがない。
     日本は政治から独立した皇室がある。そのおかげで、政治とはワンクッション置いた外交ができる。そのおかげで、温和な外交交渉ができてきた。そういう実績がある。
     日本が第二次大戦の太平洋戦争で犯した失敗を償って、補償するという困難な外交も、皇室外交があったからうまくいっただろう。そうでなければ、うまい汁だけ吸われて、日本なんて干からびていたんじゃあないか。



     民主主義のくそなところは、下等な賤民が政治に口出しして権利を主張しすぎるところである。そのポピュリズムに迎合して、政治に高貴さが亡くなれば、社会倫理は崩壊し始め、国家は崩れていくだろう。

     日本は、天皇というノブレスオブリージュの象徴があったから、高貴さを保ってきたところもあると思う。そういう意味で、天皇家には感謝しきれない。

     皇室の存在の是非を問う人間がいるが、そんなことより、皇室が2000年以上存続し続けたことに感謝すべきである。
     そういうことができない、正義に固執する人がいるんだろうけれど、そういう人が国を亡ぼすんだよなぁ…。
     もっと粋を大事にしてほしい。
     そうすれば、天皇家のありがたみもわかるだろう。

     

  • 皇室外交すごい
    常にあり方を考える方

  • 知らない世界。1人の皇族の寿命と比べると、皇室の諸制度もそんなに安定的なものでもないのだなあ… そもそも安定性を重視すべきなのか、本人の想いなのか、世論か、政権か、というところだけど。国民からの人気のない皇族が出てきた時、果たしてどうなるのだろうか。

  • これを読むまで「ほんとに皇室って必要なのかな?」と思ってた。
    政治にかかわらないという前提はあるものの、外交上重要な役割を果たしている皇室。
    政治と切り離されているという建前があるからこそ持てる親しみというのもありそう。
    またどの国賓もすべからくできうる最高のおもてなしをするという点で日本の皇室は特異である。

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著者プロフィール

長崎県生まれ。毎日新聞客員編集委員。東京外国語大学中国語専攻を卒業後、71年に毎日新聞入社。テヘラン支局、パリ支局、ローマ支局などを経て、98~2001年外信部長。あわせて皇室外交の取材を一貫して行っている。主な著書に『ワインと外交』新潮新書、『饗宴外交』世界文化社、『歴代首相のおもてなし ~晩餐会のメニューに秘められた外交戦略』宝島新書などがある。公益財団法人日本交通文化協会常任理事(事務局長)、公益財団法人日仏会館常務理事。

「2016年 『知られざる皇室外交』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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