政府はもう嘘をつけない (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 344
感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820927

作品紹介・あらすじ

世界を揺るがす「パナマ文書」の知られざる真相、カネの流れを辿れば見えてくるアメリカ大統領選の本質、憲法改正の入り口としての緊急事態条項をはじめ日本に忍びよる強権的「ファシズム」の怖さ、ISDS条項をはじめTPPに埋め込まれたた罠……。世界でも日本でも、違和感だらけの世界が広がっている――。でも、大丈夫! 政府がシステムで国民を縛るなら、私たちはシステムの外で動き出せばいい。世界でも日本でも、新しいうねりが動き始めている。今こそ、脳内世界地図を更新し、取るべき行動があなたにはある!

感想・レビュー・書評

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  • ジャーナリズムとは報じられたくないことを報じることだ。それ以外のものは広報に過ぎない。byジョージ・オーウェル

    世界を揺るがす「パナマ文書」の知られざる真相、カネの流れを辿れば見えてくるアメリカ大統領選の本質、憲法改正の入り口としての緊急事態条項をはじめ日本に忍びよる強権的「ファシズム」の怖さ、ISDS条項をはじめTPPに埋め込まれたた罠……。世界でも日本でも、違和感だらけの世界が広がっている――。でも、大丈夫! 政府がシステムで国民を縛るなら、私たちはシステムの外で動き出せばいい。世界でも日本でも、新しいうねりが動き始めている。今こそ、脳内世界地図を更新し、取るべき行動があなたにはある!

    米国では資産上位1%の人間が、政治を金で動かしている。そしてこの現象は、既に日本も無縁ではない。
    そのからくりはこうだ。
    政治家への献金額と企業ロビイストの数を多幅に増やし、規制を弱め、企業利益を拡大する法律を成立させ、たっぷり献金した候補者が当選すれば、自社の幹部を政権に入れさせ、法案設計チームや政府の諮問会議のメンバーに押し込む、任期を終えた政治家は企業ロビイストとして、元政府高官は取締役などの幹部として優良条件で自社に迎え入れる・・
    そして、現在(2016年)ワシントンが抱えるロビイストの数は1万7800人、国会議員一人につき13人のロビイストが常時張り付き、自社の業界の利益になるように働きかけている。(P54)
    証拠として、金融業界を規制する(はずの)政府の重要ポジションにはゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、シティグループの役員たちが就任している(回転ドア人事)。(P59)
    また、政府から中立だと思っているシンクタンクや非営利の政策研究機関の活動資金は政府(外国政府も含む)からの研究資金というのもよく知られた事実です。そして、外国政府の国内ロビー活動を禁止する法律さえ存在しない日本はやりたい放題(P82)。
    先の米国大統領選挙で金権政治にメスを入れると宣言したヒラリー候補はウォール街からの法外な講演料で有名で、しかも講演内容は金権政治をサポートするという有様・・民主党支持者の中でもヒラリーが指名されるくらいならトランプに投票するという有権者も多かったようです。
    本書で度々出てくる、金の流れをチェックすることでその活動の隠された背景を知ることができるという指摘は重要です。(P85)
    違憲状態の日本の国家公務員法の問題点、国民の手で首にできない官僚が身分を保証された公務員として自分たちの利益を拡大することが正当化されそうな(P120)流れは要注意です。そして今、国会議員ではなく選挙で選ばれていない官僚が憲法改正草案を作成して、めでたく憲法上も公務員となれば、責任も取らず落選の心配もしなくていい官僚国家が成立します。(P123)
    こうした流れの中で、首相官邸が省庁幹部人事を一元管理する「内閣人事局」で官僚の暴走に歯止めがかかると思いきや、今度は政府を忖度する官僚組織が誕生という結果に。(今の文書管理の問題などは明らかにこれが原因です)
    地方が「規制緩和」だと歓迎する国家戦略特区構想も、グローバルな視点でみれば外国資本の国内参入を促し、日本で育てた資産を外国企業に安く売る道具に利用されかねない点も要注意です。(P141)
    EUからの英国離脱もTTIPがからんでいた、また公共サービスの民営化動向も問題が多い、ISDS条項(民間企業が政府を損害賠償で訴えることができる)の怖さなどの指摘は本書でじっくりと読んでください。
    久々に読み応えのある必読書です。

  • 私は堤氏の回し者ではないが、この本は読みやすい分量、手ごろな価格の上に内容は非常に濃い。正直3000円出しても買ってもいい内容だと思う。

    【マネーよってすべてを決着させる】【そのために障壁となる主権国家、それによる規制を究極に取り除く事】それこそがマネーを持っている国際金融資本、多国籍企業(この中にはGS、JPモルガン、BP、GEなどは当然のことながらおそらくトヨタをはじめとるする日本企業も該当する)が究極とする目標である。そのために彼らは医療、教育、農業、水道といった本来民営化する事が望ましくない分野にまで手を広げるべく、積極的に政府にロビー活動を仕掛ける。


    そして金を持っている者によって支配されているメディアによって世論は形成され、かくして彼らの都合のよい政策《国民にとって良い政策とは限らない》だけが世の中に出されていく。こういった流れに関する書籍は世の中にそれなりの数があるが、概して400ページ以上にわたる内容で内容も非常に専門的で難しい書籍が多いが、この本の画期的ところはそういった内容を短く簡潔にまとめ上げているところである。


    《TPP》《水道、農業などの民営化株式会社化》《180ページから200ページ当たりに書かれているISDS条項については背筋の凍る思いがする》

    【参照文献】
    ①エコノミックヒットマン
    ②世界を不幸にしたグローバリズムの正体
    ③ロスチャイルド通貨強奪の歴史
    こういった書籍の内容を日本に関係ある部分をまとめて読みやすくしたのは本書である。

  • プロローグの「パナマ文書の何が悪い・・・」で、一番悪いのは、やはりアメリカであることがよくわかりました(笑)。
    第1章 金の流れで「アメリカ大統領選挙」が見える!
     誰が、選挙のスポンサーであるのか、お金をもらった以上、そのグループのために働くアメリカ大統領、これも、よく解りました。

    第2章 日本に忍びよる「ファシズムの甘い香り」
     選挙の洗礼を受けない、官僚たち。好き放題しているし、現首相、官房長官なんか、ズルガシコイ官僚たちにかかったら、操りやすいのでしょう(笑)

    第3章 違和感だらけの海外ニュースも「金の流れ」で腑に落ちる。
     TPPで脱原発が出来なくなる。
     ISDS裁判、原発メーカーに投資している連中の金儲けの邪魔をするメルケル首相という構図です。
     ドイツ政府は絶対勝てない裁判らしいです(こわい話)。

    第4章 「脳内世界地図」をアップデートせよ!
     アイスランドの軌跡。結局、国民が一致団結することが一番怖がっているのは、強欲資本主義者です。
     諦めたらいけません。

    この本を読み始めて、暗い気持ちになりましたが、最後のほうで、かすかに光明が見えました。
    良識あるものが一致団結することです(頑張ろう)

    最後に、トランプの勝利を祈っています。

  • 堤未果さんの伝える国際情勢の現実は、どうしても過去の名著「貧困大国アメリカ」3部作が叩き台になってるとこがあって、この3冊を先に読んでおかないことには話に入ってゆきづらい。本作もその点は同じで、かの3部作を読んで、堤流の国際情勢理解のベースを培ってない人には(必ずしも賛同はしなくてもいい)、取っ付きにくいとこもあるんではないかな?まあ紙幅の都合ってもんもあるわけだけど。

    ただ本作が、2016年時点までの新しいトピックを徹底的に網羅した力作であることに疑問の余地はない。貧困大国3部作との話題の重複みたいなこともほとんどなくて、アイスランドでの金融バブル〜国家破綻からの革命と再生とか、アメリカの新自由主義勢力に楯突いたある天才ハッカーの非業の死とか、重大トピックが次から次へと挙げられてくる。このへんは、日本における3.11以降の混乱の時期と重なってるだけに、心ある日本人の間でもついつい取りこぼされてきてしまった話題なんじゃないかな。ご多分に漏れず僕も読書中、こうしたトピックを本書を通じて初めて知って、ウィキペディアなどを当たってみてはほうほうと驚いてばかりいた。

    ベースとなる貧困大国3部作と合わせて、本書は紛れもなく必読の国際情勢本だと思う。やっぱり僕は、堤未果さんからはまだまだ教わることが多いみたいだ。

  • 民主主義の柱「三権分立」は国会議員(立法)が法案を作り、法制局(司法)がそれをチェックし、政府(行政)が実行するというプロセスがあって初めて正常に機能する。だが、日本の法律の9割を書いているのは官僚(議員立法は1割)。チェックする内閣法制局も官僚。つまり官僚が書いた法案を官僚がチェックしている。審議会の根回し役も官僚。あとは数の力を持つ国会に出して採決すれば一丁あがり。悪法、国家公務員法。公務員法改正による内閣人事局で官僚は内閣の言いなり。これは独裁政治と変わらない。

  • アメリカ大統領選挙、TPP、パナマ文書問題はこの本を読むことでいわゆるメディアの論調とは180度異なる解釈をすることができる。特にリーマンショックで破たんしたアイスランド政府の復活とパナマ文書によるアイスランド首相の辞任がこのように絡み合っていたということを知り、大変感慨を深くした。

  • アイルランドの金融破綻のその後ととギリシャの2008年の件と今回の軍事費の件はテレビ、新聞では知ることができなかった内容。文章は平易で中身は突っ込んでいる。農協はそこまで褒め称えるものかと思うが、堤さんの本をもっと読みたい。自分の頭で深く考え、判断する国民を政府は騙せない、というくだりが心を打った。

  • このシリーズは是非とも皆さんに読んでもらいたい。
    そしてよく考えてみよう。どんな国で暮らしたい?

    トランプとバニーサンダースは同じコインの表と裏。問題は
    政治と金。遅まきながらやっと政治と金に気づく市民。しかし、経済市場金融利権社会は悉く利権を守るために活動し続けている。諦めてはいけないのだ。アイスランドのように、しっかりと考えさえすれば(社会の基盤は経済市場ではなく民主主義)まだまだ立ち直れるはずだ。

    「緊急事態条項」政府にフリーハンドを与えている。
    社会を形づくる法律が顔の見えない誰かによって作られている。
    官僚の権限はどこまで????
    国民主権における公務員は国会議員だけであるからこそ、
    日本の国会議員に優れたスタッフを増やし、立法能力を伸ばす環境を整備するべきである。

    日本のもドイツのような憲法裁判所が必要。

    世論は広告代理店が創るもの。
    日本の報道をまともな方向にする。
    ①記者クラブ制度の廃止。
    ②放送法第4条の廃止。
    ③報道機関を監督する機関の設立。
    ④特定機密保護法の改正。
    ジャーナリストが個人として活動できるようにする。
    政府とマスコミの関係も問題。電波オークション制度にする。テレビと新聞が同じオーナー?

    欲しいのは、知る権利と報道の公共性。

    情報源を変えてみる。お金の流れをチェックする。

  • 今までの「政府は〜」シリーズの中でも、内容にまとまりや深みがあって、最もよかった。
    高校生が必修で読めばいいのに、と思った。

  • 今回も,いろいろ勉強させてもらいました。
    堤さん,相変わらずの鋭いです。こんなに暴いてしまって,堤さん自身は大丈夫なのかなと余計な不安がよぎるほどでした。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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