日露外交 北方領土とインテリジェンス (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821443

作品紹介・あらすじ

領土問題解決の道筋は見えた。
現役外交官時代、ソ連崩壊期に匿名で緊急出版した幻の論稿を初掲載!

戦後70年を過ぎたが、北方領土交渉は実際には進捗したのか、後退したのか?
ソ連時代からあの国と交渉をし、いまも分析を続ける著者が交渉の実態を解説する。

本書には現役外交官時代、ソ連崩壊期に上司に黙って匿名で著した『ソ連の「ほんとうのホント」』を初掲載!!!
外交分析に必要な内在論理は、冷戦期も今も変わっていないのだ。
外交という“戦争”の肝を抑える、インテリジェンスの指南書。

<目次>
まえがき
第1部 極東新時代
第2部 毒蛇と毒サソリ
第3部 外交という戦争
第4部 北方領土

特別掲載 ソ連の「ほんとうのホント」
 プロローグ いま、「純粋民族衝動」がソ連を襲っている
 第一章   なぜ、バルトは泥沼に陥ったのか
 第二章   先祖返りする諸民族
 エピローグ 難局をどう乗り越える、ゴルバチョフ

感想・レビュー・書評

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  • 最近のロシア情勢、ロシアとウクライナ、北方領土のことに関して、起きていること、著者の考えが書かれている。ポイントを押さえている気がする。
    特別掲載は旧ソ連の各地域の政治に関して触れているので、業務で旧ソ連地域に携わる人がおさらいするのにも活用可能と思料。

  • 『SANKEI EXPRESS』2013年3月~2016年3月に連載された「佐藤優の地球を斬る」を取捨選択再編集加筆修正してこの5月に発行。

    ちょっと古いのかもと思ったけど、「超現代史」と思えば、読む価値は十分。
    日露関係が次々と変化し、臨場感が伝わります。

    佐藤優さんのロシアでの外交官経験と、ものすごい知識量のおかげで
    ロシアのことがどんどんわかってきてとても楽しい。(それでも、まだまだだけど)

    「米国は、ウクライナの親露派武装勢力とロシアは一体と見ている。
    従って、プーチン大統領が明示的な指示を与えれば、親露派勢力の武力行使は止まると考えている。
    しかし、ロシアと親露派武装勢力の関係は、それほど単純ではない。
    (略)
    親露派武装勢力は「関東軍化」していて、幹部にプーチン大統領の指示に従わない分子がいるので、ロシアの影響力行使に限界があると筆者は見ている。」(2015年2月21日)

    この「関東軍化」という表現がすごくよくわかるので、自分、頑張っていろいろな本を読んできてよかったなあと。

    「歴代の日本政権を見ていると、権力基盤が弱体化し始めると、外交で得点を稼ごうと考える。
    そのとき選ばれるのが北朝鮮かロシアだ。
    安倍政権の支持率も下がり始めている。
    日朝関係が劇的に改善する可能性は低い。
    このような状況で、安倍政権には、対ロシア外交での得点の可能性が実態よりも大きく見えているのかもしれない。
    不安を覚える」(2015年7月11日)
    とあり、北方領土については悲観的な感想が多いように私には見えました。

    しかし!今年の3月24日に書かれた「まえがき」に次のようにあるのです!

    「さて「地球を斬る」の連載が終了した後、北方領土交渉で大きな動きがあったのでこのことについて記しておきたい。」
    昨年12月15日山口県長門でのプーチン大統領と安倍総理の首脳会談について、佐藤さんは「大成功」と言います。
    「北方領土問題の解決に結びつく道筋を整える歴史的意義を持つ」だそうです。

    そして巻末の、ソ連の「ほんとうのホント」も面白い。
    ソ連の外交官だったときの佐藤さんが「在モスクワ日本人商社マン」という肩書で匿名で書いたもの。
    このたび、26年前と今と、佐藤さんのロシア観に大きな変化がないと再認識したそうです。

    「バルト三国がソ連からの独立を望んでいるにもかかわらず、モスクワは住民の意志を無視し、軍隊やKGBを用い、不当にこれらの国をソ連に繋ぎとめている。
    モスクワに抑圧された可哀相なバルト諸国、つまり『ソ連は悪でバルト諸国は善』であるというのが日本での一般的な印象であるが、バルト情勢の実態はこのような印象とは異なる」

    バルト三国以外でも、アルメニア、グルジア、中央アジアにも触れ、日本に住む私たちにはほとんど縁のない「純粋民族衝動」というものを知ることができます。
    すなわち「自民族のみによる純粋な支配体制の確立という衝動」。
    「純粋民族衝動」の支配する世界では、客観性や合理的思考は第二義的意味しか持たず、自己に有利なものは全て取り入れ、不利なものは一切無視するというのが掟なのです。
    どういうことかというと、たとえばリトアニアにはポーランド系住民ロシア系住民が住んでいますが、差別的扱いがなされるということです。
    そのような問題がらみで、多くの死者がでる事件がおきました。
    今、バルト三国はどうなんだろう?
    このあいだ旅サラダで特集していてとても楽しそうでした。気になります。

  •  本書は書下ろしではなく、SANKEI EXPRESSの連載コラム「地球を斬る」の記事のうち、ロシア関連記事をまとめたものである。
     日露関係のほか、クリミア併合の頃なので少し古いが、かえって当時の論考がその後どうなったかと合わせて読むと、おもしろい。
     著者の予想というか希望はしばしば外れるが、それは著者の魅力を減じるものではない。ロシアに関してはその深い見識が説得力のある説明をしてくれる。それは、この本でも変わらない。

  • 久しぶりに著者の本を予約購入しました。
    この間のロシア外交についてまとまった本です。
    地政学的に中国南北朝鮮と敵対している時にロシアまで敵に回すのはしんどいので個人的にはロシア外交はよく見ておかないといけないと思っています。
    キーパーソンは著者と森元首相と鈴木宗男さん。
    動きが総括して読めるのは著者の本なんですよね。
    沖縄論は受け入れがたいですがそれ以外についてはとても勉強になります。

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著者プロフィール

作家・元外務省主任分析官。1960年東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア連邦日本国大使館勤務等を経て、本省国際情報局分析第一課主任分析官として、対露外交の最前線で活躍。2002年背任と偽計業務妨害罪容疑で東京地検特捜部に逮捕され、512日間勾留される。09年、最高裁で上告棄却、有罪が確定し外務省を失職。05年発表の『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。翌06年には『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

「2018年 『宗教と生命 シリーズ:激動する世界と宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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