ネットは基本、クソメディア (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 89
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821573

作品紹介・あらすじ

WELQに端を発するキュレーションサイトの問題をDeNA報告書と10年以上のネット編集の実体験から解説。もはや「マスメディア」となった2017年におけるネットの現実を示した上で、身を守る術を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • ネットメディアの編集者の中川淳一郎の一冊。

    2017年初版ということもあり、当時はやっていたキュレーションメディアについて語った内容が主だった。

  • 昔はよく中川淳一郎氏のネット批判の本を読んでいたけど、最近読んでなかったなと思って読んでみた(といっても2017年の本)。
    前に読んだ本がどうだったか覚えてないけど、昔より柔らかくなってるような。もう少し過激な印象をもったような気がするのだけど、今回はそんなこともなかった。自身もネットメディアに関わった、ある意味加害者の立場でもあるからなのかも。
    それどころか、梅田望夫や東浩紀といった、昔インターネットに期待していたのに今となっては「日本のウェブは残念」という発言をとりあげているにも関わらず、著者はまだ「なんとかなる」と希望を捨てていないように感じた。意外と楽観主義なのかも(もちろん、その理由もちゃんと書いてあったけど)。
    本書のメインの話は、キュレーションメディアについての話なのだけど、この本を読んでいかに質の低い記事を乱発していたか知って驚いた。DeNAのWELQという医療系のキュレーションメディアでは、2016年6月には3488本もの記事が公開されたらしい(他の月も2000本以上はある)。よくそれだけの記事を量産できたなと驚き。バイトを雇えばいいといっても、どれだけの人数が関わっていたんだろうかと。
    後、ところどころでHagexさんのことについて書かれてあって、少し感慨深かった。この本がでて一年後に殺害されてしまうなんて誰も思わなかっただろうなと。本当、どうしてあんな事件が起こってしまったんだろうかと。あれはまさしく、ネットを起点として起こってしまった殺人事件だよなと思う。

  • ネットだけじゃ無いけど

  •  この人の本は、専門分野であるネットについて書いている分には面白いが、『バカざんまい』のように社会万般に間口を広げて書くと、たちまち底の浅さが露呈してしまう……という印象を私は持っている。

     本書はタイトルどおり、彼がたくさん出してきた“ネットのおバカ事件観察本”の最新刊。
     ただし、『ウェブはバカと暇人のもの』や『ネットのバカ』がお笑いに傾いていたのに比べ、本書はわりとマジメなメディア論としての色合いが濃い(タイトルの下品さとは裏腹に)。

     DeNAが運営していた医療系キュレーションメデイア「WELQ(ウェルク)」の炎上→サイト休止事件についての考察が、大きなウェートを占めている。事件の顛末をまとめた本としての資料的価値もある。

     WELQに代表される劣悪なキュレーションメディアの氾濫を、「『やりがい搾取』の面も多分に備えた問題」だと、著者は指摘する。

    〝ライターになりたい人はとにかく「場」を求める。それが傍から見るとクソのようなメディアであろうとも、とにかく「場」がもらえたことで大喜びし、いっぱしのライターになったかのような気持ちになれる。〟

     ライターの卵たちの「やりがい」につけ入って搾取し、信じられないような安いギャラで「コタツ記事」を量産させていたことが問題なのだ、と……。

    〝いくら手抜きをした記事であろうが、従来の「1PVは1PV」というネット上の格言によれば等価である。長きにわたる取材を行い、渾身のスクープを取った記事と、コタツで鼻くそほじりながらネット検索だけを駆使して書いた記事が等価に近い形で扱われている現状がある。〟

     著者はそうした現状を嘆いたうえで、「WELQ」事件が一種のショック療法となって、ネットメディアが改善されつつあるという希望の側面にも言及している。

     とくに、「ネットメディアのギャラが上がってきている」(「WELQ」事件だけが原因ではないが)という話は、私にとっても喜ばしい。 

  • 健康や美容、旅や食事などなど。ひとつのテーマに関して様々な
    情報を集めたキュレーションサイトが問題視された。発端はDeNA
    が運営しているサイトだった。

    私も見たわ。「肩こりの原因は幽霊」ってヤツ。なんで健康情報が
    オカルトになっちゃうんだろうと思って、ざっと目を通してあほくさ
    と思った。

    早くからネット編集を経験して来た著者が、キュレーションサイトが
    どのように作られ、運営されているか。問題点や収益の仕組みなどを
    分かりやすく記しているのが本書だ。

    DeNAという一般にも名を知られた企業が運営していたサイトだから
    大きな注目を集めて問題視されたのだろうね。それにしても酷いわ。

    著作権問題に疎い人たちが、ライターとも言えない人たちに他の
    情報源からの文章を改竄して掲載ってさぁ。ネットなら何でもあり
    を企業がやっちゃいけないでしょう。

    しかも、こんないい加減なサイトに限ってネット検索をすると上位
    に表示される。クリックした先の情報が自分の求めるものとかけ離れ
    ていて「なんじゃ、こりゃ」と感じたこともしばしば。

    何故、こんな検索結果が出て来るのかも説明されているので、なるほど
    ねえと思った。

    勿論、ネットでもまっとうな情報を提供しているサイトもある。
    書き手がきちんと取材をして、裏付けを取って初めて公開される
    情報とかね。

    情報の信頼性に関してはネットも紙媒体も似たようなものなのかな。
    結局はどこも玉石混交なんだよね。最終的には目的の情報をいかに
    的確に得るか、どの情報を信頼するかは受け手側の問題でもあるの
    ではないかと思う。

    東日本大震災の時、熊本地震の時、多くのデマが流れた。それをその
    まま拡散してしまった人だっているんだよね。紙媒体にしてもこれまで
    誤報が一切なかったってこともないんだから。

    何が「クソ情報」なのか。見極めるのは受け手側ってことかな。

  • ウェブはバカと暇人のもの、の著者、中川淳一郎の新作。DeNAキュレーションサイト問題を受けて、義憤に駆られて勢いで書いたような感じの内容だった。

    以下メモ
    ●コピペ満載のクソ記事が上位を席巻するというのは、Googleがクソサイトに完全敗北した。
    ●足で稼ぐことを一切しない「コタツ記事」。
    ●リポビタンDのCMは、山を登り1人が苦境に追い込まれたところで前方を走る男が手を差し出し救出する。そこで「ファイトォォォ!」と叫ぶと助けられる側が「イッパーーッ」と言い、最後に2人が晴れやかな表情でリポビタンDを飲む。先に飲んで、普段考えられないパワーを発揮する、の方が良いが法律に配慮して誤解を生む演出を慎んでいる。
    ●一部上場企業であるDeNAがこの騒動の元凶のように言われているが実際は違う。もともと存在する「ネットコンテンツ作りの参入障壁は低い」ことによるコンテンツの質の低さを浮き彫りにした形であり、DeNAは氷山の一角に過ぎない。
    ●公の場で情報を発信するにはそれなりの資格が必要である。
    ●スマホゲームは、基本的には「暇人に時間を使わせる」か、「金がある人間に課金をさせる」ことを収益源にしている。
    ● Jpモルガン社長が「お金持ちと結婚したい美女」に送ったアドバイスが的確すぎる、と言う記事はネットでは有名なコピペ。旅ラボの炎上案件。
    ● 一部のIT企業及びネットメディアにはコンテンツ制作へのリスペクトがない。
    ●日々粗製乱造される文章は、SEO対策だけはバッチリのため、結局は本気の取材記事を埋没させ、結果的に有益な情報がユーザに届かなくなることを意味してしまう。
    ● DeNA組織全体として、コンテンツを作ることに対してのリスペクトが希薄だった気がする。コンテンツ制作の手段がクラウドワーカー利用前提であった。
    ●ライターになりたい人はとにかく「場」を求める。それが傍から見るとクソのようなメディアであろうとも、とにかく「場」がもらえたことで大喜びし、いっぱしのライターになったかのような気持ちになれる。

  • この著者の本はいつも面白い。
    クソメディアの情報はもとから読まないのでどんなにクソかが良く分かった。

    例えば,
    北九州観光の「コタツ記事」を書いた人;あれだけ明確に誤りを指摘されても修正しないんだ;いい度胸してるというかアホ過ぎ;

  • 勢いで書いたのかな?と思いました。

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著者プロフィール

編集者、PRプランナー、ライター
1973年生まれ。東京都立川市出身。大学卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を担当。2001年に退社し、しばらく無職となったあとフリーライターとなり、その後『テレビブロス』のフリー編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々なネットニュースサイトの編集者となる。主な著書に、当時主流だったネット礼賛主義を真っ向から否定しベストセラーとなった『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)、『夢、死ね!』『内定童貞』(星海社新書)など。無遠慮だが本質を突いた鋭い物言いに定評がある。

「2020年 『意識の低い自炊のすすめ 巣ごもり時代の命と家計を守るために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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