- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040821733
作品紹介・あらすじ
ある「こども食堂」での話。
今日は鍋にしようと、大人たちが鍋料理を作ったところ、高校生の女の子が「みんなで鍋をつつくって、本当にあるんだね」と言った。彼女には、その経験がなかった。みんなで鍋をつつくというのは、テレビの中でだけ起こるフィクションだと思っていた。スーパーマンが空を飛ぶように。
同様の話を、よく聞く。大学生のボランティアに会った中三生が「大学生って、本当にいるんだね」、簡単なクリスマスパーティをしたら「これって現実なのかなぁ」。中三生でも「偏差値」という言葉を知らない。高校生がテスト中に先生を呼び止めて「『氏名』ってなんて読むの?」と聞く。
「あたりまえ」の経験や知識が欠如している子どもたちが増えている。
この子たちが世の中を回すようになったとき、世の中はどうなるんだろうか?
このような状況に腐らず、諦めず、1ミリでも対策を進める人たちが、まだこの国にはたくさんいる!
「あの子はラッキー」で終わらせない。
1ミリを動かすどんな試みが巷に溢れているか。その諸相を紹介していく。
そこには、状況の厳しさと同時に、それに立ち向かう希望が示されるだろう。
子どもの貧困は減らせる。私たちの社会は、私たちの手で変えていける。
それは、たった1ミリに敬意を払う、私たち自身の姿勢から始まるはずだ。
貧困問題の第一人者が取材した、「解決」の最前線!
感想・レビュー・書評
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なんとなく子ども食堂のことを知りたくて、この本に行き着いた。
実際はインタビューや実例をもとに、子どもの貧困の実情と、なぜそれが生まれるのか、をさまざまな角度から知ることができる。
漠然とボランティアとか、子供支援とか考えていた自分には、問題意識をシャープにできるすごい本だつたと思う。
実際、読んでいるうちに、こんなこともあるのか。こんなこともあるのか。と何度も頭を殴られた。
ぜひたくさんの人に読んでほしいし、自分のこれからの活動の指針にもなる気がした。 -
この本では、第一章で相対的貧困率の数値等を用いて"子どもの貧困問題"の現状を具体的に示し、第二章〜四章からはこの問題に最前線で取り組む人々・団体(インフォーマル中心)にフォーカスする。
面白かったのはそのフォーカス先のセレクト。子どもの貧困問題への支援というとこども食堂が最も有名だろうし、実際、当書でもしっかりめに取り上げられていた。しかしそれだけにとどまらず、一見この問題とは直接的には結びつかなそうなDMMアカデミー等の取り組みも事例として挙げられていたのが、個人的にはかなり印象に残った。こういう枠に囚われない発想がほしいものだ。
福祉関係の本でいえばかなり読みやすい方だと思うので、『ケーキの切れない非行少年たち』を面白いと感じた人などにおすすめしたい。 -
子どもの貧困についての入門書。現場の人々の意見がところどころみられて参考になる。医療や教育よりも「モノ(テクノロジー)とカネ」という考え方に新鮮味を覚えるのと同時に「なるほどね」と思わず納得してしまいました。
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経済的な理由で塾に行けない子供たちを集めて勉強を教えることが将来の夢なのだが、湯浅氏の活動は大いに励みになる。自分一人ができる事はたかが知れているが、だからと言って何もしないでいるよりも、1mmでも前に進めることが大事だという事が再認識できてよかった。
そして著者の問題への向き合い方も参考になる。この本はこれまでの著作と違い、短い文章でテンポよく進んでいくのに違和感を持ったが、ヤフーニュースの再編集だと知ってその理由が理解できた。少しでも多くの人に読んでもらえるよう、媒体の特性に合わせて文体を変えていたのだ。そこまでするのか。
本当はこういう志の高い人にこそ国政を担ってほしいのだけれど、現場から離れた議員の活動には興味ないのかな。 -
退屈は、何の希望も意欲ももたない状態では、人は退屈だと感じない。何かをやるエネルギーが自分の中に生まれているのに、何もやることがないとき、人は退屈だと感じることができる。
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読了。貧困をどうするのかと前に進む話だったので希望が持てて、明るい気持ちになった。
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子どもの貧困に立ち向かう仕事をしていて、心が折れかけたときに勇気をもらいました。
これだけたくさんの人が、真剣にとりくんでいる。
コップを1cm動かすところからはじめよう。
正解なんてないのだから。 -
貧困に対しどのようにアプローチするのか
事例に沿って説明されている。
口語で書かれている部分が割と多い。 -
自己責任論と社会システム論を考える上で様々な取り組みが紹介されている。ほんのちょっとでも自分にできることを考え、行動するきっかけになる良書です。