AV女優、のち (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 62
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821771

作品紹介・あらすじ

<<時代を駆け抜けた7人のAV女優たち。彼女たちは当時なにを考え、現在どのように振り返るのか。そして、これからどこに向かおうとしているのか。元有名女優7人のライフヒストリー>>


 本書に登場した7人の「元」AV女優たちが、「あの時期を後悔しない」と言った言葉を信じたいという気持ちもある。

 常に新しい表現を求めて切磋琢磨していた制作者たち、そこに単なる性欲の処理以上の「なにか」を求めていたユーザー、そして、女性として最も美しい時期のきらめきを余すところなく我々の前に見せてくれた女優たち。

 そのすべてを「恥ずかしいもの」「残しておいてはいけないもの」として片付けてしまうのは、あまりにも残念な話である。

 だからこそ、「あの10年」に活躍したAV女優たちに会ってみたかった。今、あの頃を振り返って、どう思っているのか聞いてみたかった。

(「おわりに」より)

感想・レビュー・書評

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  •  引退した女優たちにデビューから引退までを聞き、AV女優をやっていて良かったと思うか、という問いを投げかける。
    その中で見えてくるのは「社会的なものを犠牲にしつつ、その世界にいる」(p.147)人々。長いことAV業界にいたために社会的な常識が分からなかった子もいる。「おわりに」にあるように、女優をやっていたことを後悔している人々、そもそも取材を受けなかった人たちも多い(だから話者たちには、いわば成功者体験でもって取材に応じたというバイアスがかかってはいるだろう)。

     この本のインタビューで麻美ゆまさんの引退後を知り、ガンの啓蒙活動に関わっていることがわかって、安堵する。業界の陰陽を窺い知ることのできる一冊だった。そして、とても多くの人生があることを改めて知る。

  • <目次>
    エピソード1  みひろ
    エピソード2  笠木忍
    エピソード3  麻美ゆま
    エピソード4  愛奏(元薫桜子)
    エピソード5  長谷川瞳
    エピソード6  泉麻那
    エピソード7  真咲南朋

    <内容>
    AV女優は使い捨てである。男の夢のためだけに働いている。そして、身体を張って仕事をしても、その後訪れるのは、仲間からの白い目、そして結婚して子供ができてからの、子どもへのカミングアウト。したがって、多くのAV女優は引退後は、ひっそりと暮らしている。自分の過去を語らない。その中で、この7人の元女優(現女優も)は当時思いやAV界へ足を踏みこんだ理由、現在の姿を語る。
    面白いのは、AV業界にいた頃にはそこに窮屈さや、報道されてきたような、虐待はなかったこと。全員が「楽しかった」「大切にされた」と語っていること。おそらく報道は、メディアをコントロールした部分が多々にあるに違いない。
    むろん、彼女たちの仕事は、表立って言えるものではないし、女性を肯定的に扱っているものではない。しかし世には様々な仕事がある中、表向き素晴らしそうな仕事でも、とんでもないものもある。彼女たちにとってAV業界は、それに比べればよい職場だったのではないか?

  • 現役を引退した元AV女優たちにインタビューをおこない、彼女たちの「今」に迫った本です。とりあげられているのは、みひろ、笠木忍、麻美ゆま、愛奏、長谷川瞳、泉麻耶、真咲南朋の7人です。

    AV女優へのインタビューは、永沢光雄の『AV女優』『AV女優2―おんなのこ』(ともに文春文庫)という優れた試みがあり、その後中村淳彦の『名前のない女たち』シリーズ(宝島社文庫)がそのフォーマットを踏襲していますが、この手法は2000年代前半のセルビデオを通じて人気キカタン女優が登場した時代の刻印を受けているように感じています。とくに『おねがい!マスカッツ』(テレビ東京系列)以降、ブログやSNSなども含めてAV女優のキャラクター管理が徹底されるようになり、視聴者も画面には映らない女優たちの真実をかいま見ることで興奮を得るといった見方から離れていったように思います。そしてそれにともなって、上述のようなインタビューの手法も、AVを享受する側の実感から乖離しはじめたように思います。本書もそうした枠組みにそっているように見えたため、正直なところあまり期待することなく読みはじめました。

    ただし、いくら視聴者が、キャラクターを徹底管理されたモニタのなかの「アイドル」としてのAV女優に耽溺するようになったとしても、それを演じているのが生身の女性であることには変わりはありません。AV女優という職業は、多くの男性たちの前に身体をさらす仕事なので、セカンド・キャリアをめぐる問題は他の職業にくらべても厳しいものとならざるをえません。本書は、そうした問題をあらためて読者の前に提起してみせたということもできるように思います。

    とはいっても、登場する7人はいずれも、現在新しい道を生き生きと歩んでいることが明かされており、「AV業界の闇」に切り込むといった内容ではないので、読んでいて気持ちがなえるということはありませんでした。むしろ、現役だった頃や引退後に多少の偏見にさらされることはあっても明るく前を向いている彼女たちの姿にエールを送りたくなるような内容になっており、読み物として成功していることはまちがいないと思います。

  • 自分は経験していない人生を知ることで、自分の可能性や選択肢が増える気がする。好奇心以上に得るものがあった。

  • すでに引退した人気AV女優だった方たちのインタビュー集。
    何故、この仕事を選んだのか。また、その当時堂だったのか?引退した後の話なとが、インタビューであきらかになっている。

    世間的には、闘病してた麻美ゆまのインタビューとキス我慢でおなじみのみひろのインタビューは読み応えはあると思う。個人てきには笠木忍のインタビューを読みたかった。

    また、著者である安田理央さんの膨大なアーカイブによる、過去の媒体でその当時語っていた言葉を引用されており、一人一人のインタビューがより立体的に厚みがあるので、読み応えありです。

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著者プロフィール

一九六七年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究家。美学校考現学研究室卒。主にアダルトテーマ全般を中心に執筆。特にエロとデジタルメディアとの関わりに注目している。AV監督としても活動し、二〇一一年には、AV30周年を記念し、40社以上のメーカーが参加するプロジェクト「AV30」の監修者を務める。著書に「裏デジタルカメラの本」(秀和システム)「日本縦断フーゾクの旅」(二見書房)、「エロの敵」(雨宮まみとの共著、翔泳社)、「痴女の誕生」(太田出版)などがある。

「2018年 『AV女優、のち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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