新聞記者 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821917

作品紹介・あらすじ

第1章  記者への憧れ

演劇に夢中になったころ
小劇場へ、母と
人生を方向付ける一冊の本との出会い
記者の仕事をしていた父からの言葉
吉田ルイ子さんのあとを追って
TOEFLの得点に愕然
留学先での大けが
大学のゼミで感じた核抑止論ありきのマッチョさ
入社試験は筆記が軒並み不合格……
新人研修で新聞を配達
記者になり、いきなり後悔
ヒールにスカートの新聞記者
県警幹部との早朝マラソン
「今すぐ車から降りろ!」

第2章  ほとばしる思いをぶつけて

鬼気迫る形相で警察に挑む先輩記者
情熱をもって本気で考えるかどうか
贈収賄事件で警察からの探り
県版からはみ出せ!
読売新聞からの誘い
極秘に手に入れた不正献金リスト
他紙との抜きつ抜かれつ
くやしさで検察庁幹部に怒りの電話
抜かれたら抜き返せ
特捜部からの出頭命令、2日間の取り調べ
「東京新聞は書きすぎた」
内勤部署への異動
整理部が教えてくれたもう一つの新聞
転職に初めて意見を言った父
武器輸出に焦点を定める
相次ぐ門前払いのなかで

第3章  傍観者でいいのか?

編集局長への直訴
菅野完さんが持っていた受領証
母に何かが起きている
「ありがとう、ありがとう」
新聞記者になったのは
朝日新聞「政府のご意向」スクープ
眞子さま報道の裏側で
尊敬している読売新聞が……
「貧困調査」には納得できない
事実と推測を分ける真摯さ
和泉補佐官との浅からぬ縁
教育基本法の改正と安倍晋三記念小学校
自分が出るしかない
「東京新聞、望月です」

第4章  自分にできることはなにか

抑えきれない思い
男性特有の理解?
社内での協力者と共に
見えない権力との対峙
興奮して迎えた会見当日
「質問は手短にお願いします」 
「きちんとした回答をいただけていると思わないので」
記者たちからのクレーム
想像を超えた広がり
声援を受けて募ったやるせなさ

第5章  スクープ主義を超えて

突然の激痛
あの手この手、官邸の対応
記者クラブ制度の限界?
不審な警告と身元照会
産経新聞からの取材
もっとも印象深い事件
冤罪事件に國井検事が登場
日歯連事件からの因縁
隠したいことを暴いたその先で
スクープ主義からの脱却
心強い2人の記者
目を合わせない記者たち
輪を広げるために

感想・レビュー・書評

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  • 以前から気になっていた本。臨場感のある事柄が書かれていて、新聞記者の取材方法、気持ち、メディアで報道されていない事件の裏側等、実名も交えて出てくるので「えー!」という驚きを持って読み終えました。テレビの菅官房長官の定例記者会見で時々名前を聞いた東京新聞の望月衣塑子記者。ネットで酷い書かれ方をしていたのを読んだこともあったので、興味もあってこの著者を手にしたのだが、日歯連事件、森友加計学園の疑惑、村木厚子さんの事件、他最近の大きな事件を追いかける望月記者の心意気みたいなことが伝わってきました。ネットの書き込みを見ただけでは鵜呑みには出来ないなあと改めて感じます。
    「私は特別なことはしていない。権力者が
    隠したいと思うことを明るみに出す。そのために、情熱をもって取材相手にあたる。記者として持ち続けてきたテーマはかわらない。これからも、おかしいと感じたことに対して質問を繰り返し、相手にしつこいといわれ、嫌悪感を覚えられても食い下がって、ジグソーパズルのようにひとつづつ疑問を埋めていきたい。」
    応援したくなる一文です。

  • 望月記者といえば、菅総理が官房長官だったころから確執が多いことで有名だ。
    定例記者会見で、何度も食い下がりながら質問をぶつける。そのしつこさに官邸側と菅氏はイライラを募らせ、つい声を荒げる。ときには菅氏が嫌味たっぷりな回答をして、記者席の記者たちが同調してあざ笑うということも起きており、まさに記者クラブから孤立している状態だった。

    そんなメディアと官邸のなれ合いを問題視した、金平氏の言葉が強く印象に残っている。
    「安保法案が審議されていたとき、メディアはその法案について、どこがよくどこが悪い、と本来きっちり言うべきなのに、立ち上がったSEALDsの奥田愛基さんたちを大きく報道した。今時の若者らしくてシンボリックだと祭り上げる一方で、彼らが非難を浴びたときに守る訳でもない。臆病なメディアが他人を使って報道している面もある、表立って責任を取りたくないのだ」

    そう、本来は望月氏がするようなことは、メディア全体が行うべきなのだ。しかし、一歩踏み込み責任を取るのは嫌で、常に後ろ側から様子見だけをしている。

    こうしたメディアの姿勢が、「独り相撲するお邪魔もの」という印象を望月氏に与えてしまったのではないだろうか。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――
    関連する本として、以下の本がオススメ。
    ●政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す
    https://booklog.jp/item/1/4022950773

  • 映画がTwitterで結構話題になっていて興味を持ち、この本を手に取った。
    最初は少し入りづらかったけれど読み進めていく内に、引き込まれた。淡々と書かれている文章だけれどその裏側に著者の情熱、信念、誇り。。。そんなものが見て取れた。そして何と言っても、気骨があり、ものすごくカッコいい!!!同じ女性だけれど惚れてしまいそうになった(笑)

    昨今、マスゴミと言われたり報道の仕方、扱われる事柄に眉を顰める事も少なくないが、この著者の様に権力の背後に渦巻く隠蔽、疑惑等々を暴こうと正々堂々と立ち向かう人がいるのだと知った。そして、著者にはこれからも国民が知りたいと思っている事の裏側、ひいては真実を引き出してもらいたい。

  • 淡々とした筆致ながらもその熱い思いが伝わってくる。著者のキャリアアップストーリーは、仕事と真剣に向き合ってきたからこそであろう。一皮向ける瞬間、会社の垣根を超えた人との出会い...。自身の仕事観を今一度考えさせられた一冊。

  • このノンフィクションを原案とする同名の映画を観た後、
    実は自宅に本が既にあったことを知って読んでみた。
    東京新聞の記者さんの自叙伝であり、
    新聞記者という職業にまつわる様々な話、そして、
    現代日本に渦巻く問題について、etc.

    滅茶苦茶マルチタスク。
    視野が広く頭の切り替えが早く、行動力があって、
    協調性も高くなければ務まらない職種なのだな……と感心。

    ここからはパンフレットを登録できず、
    鑑賞後に感想を書けなかった映画について少々。

    女性新聞記者の熱意と奮闘をクローズアップした
    フィクションで、
    制作サイドが「世界観」を共有するために、
    望月衣塑子『新聞記者』を読み込んだ、ということなのかな、と。
    映画のストーリーと雰囲気は、
    テレビでよく見る二時間ものの刑事ドラマから
    刑事を差し引いたかのような趣だった、
    変な言い方だけれど。
    したがって、途中、
    「警部殿、そろそろ出番ですーーー!!!」
    と叫んでしまったのだった(笑)――心の中でね。

    ともかく、マスメディアは「公人」に対しては
    一切の忖度なしで
    今、何が起きていて、どこが悪いのか、
    事実を正確に伝えてほしいと思った。

  • 今、最もブンヤらしい人と言えば、この東京新聞の望月記者であろう。
    新人で千葉、神奈川、埼玉で事件記者を経て、東京本社の政治部へ異動し、そこで彼女の本領が発揮される。
    今や安倍総理の記者会見では、決して指名されない。そう入りの記者会見で指されるのは、読売と産経ばかりだからだ。
    しかし菅官房長官は手を挙げている記者なら質問はさせてくれる。菅氏は最低限の常識は持ち合わせているようだ。
    それでもその回答は木で鼻をくくったようなはぐらかしをする。そこで望月氏がしつこく食い下がると、忖度側マスコミの記者が勝手に会見を終了させる。この国はそんな仕組みになっているらしい。
    当初は孤軍奮闘で他社の反発を招く事も多かったようだが、現在はわずかながら味方の記者も出てきたらしい。
    この様な望月氏の行動に対し、いくらやっても無駄だとか、
    結局今も何も変わっていないとか批判する人も多い事だろう。そんな人にはこの本の後書きにも書かれていた次の言葉を贈る。「あなたがすることのほとんどは、世界に対して無意味であるが、それでもしなくてはならない。それをするのは世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」(マハトマガンジー)

  • 2年前の刊行であるが、封切りされた映画の原案ということで、一躍ベストセラーに。
    著者のジャーナリストとしての歩みと、記者としての思いを綴っている。
    著者の「メディアの萎縮が言われて久しい」との指摘は、門外漢にとっても頷ける問題と思える。
    太田愛が小説『天上の葦』で、「ひとつの国が危険な方向に舵を切る時、その兆しが最も端的に現れるのが報道です。報道が口を噤み始めた時はもう危ないのです」と、作中人物に言わせている。
    本書の著者も、共通する思いだろう。
    今後とも、時の政権に媚びず、ジャーナリストの本来の精神を貫いて、報道に与することを期待しよう。

  • 熱い想いをもつ記者さんなのだなと思った。

    でも、新聞に求めるものは、私はスクープではない。じっくりじっくりいろいろな人の話を聞いて、様々な視点で見つめて、その記事を書くひとりの人の立ち位置がわかるもの。だからこそ、望月さんが、結婚され、お子さんを育てながら記者を続けるところのほうに惹かれた。

    どうして、日本は、質問したり批判的なことを言うことに躊躇するのだろう。メディアの役割は何なのだろう。メディアに関わっている人は、何のためにその職業に就いたのだろう。(すごい倍率をくぐり抜けたはずなのに)。世の中に中立なんて存在しない。それぞれが、それぞれの立ち位置や価値観を持って出来事に向き合っているのだ。そのことさえわかっていれば、「中立」にこだわることの無意味さに気づけるはずなのに。なんてkとをぐるぐる考える今日このごろ。

    某トリエンナーレの企画展が断念されたニュースを見て、本当に驚く。そんな時にたまたま読んだこの本にいろいろ考えさせられた。望月さんだけを応援してはいけない。彼女のような記者が「当たり前」になることを願い続けなけれないけないと感じた。

  • この本が元になった映画を見た感想


    日本の政治の裏を見たような...
    小説の中のフィクションであるとは思うが、加計学園が本当にこうだったら。。。なんてゾッとした

  • なんとも言えない腹がたつ部分もありますが、望月さん頑張れ!変えてくれ!応援してます。

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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。東京新聞社会部記者。著書に『権力と新聞の大問題』(集英社)など。2017年、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞

「2018年 『しゃべり尽くそう! 私たちの新フェミニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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