間違う力 (角川新書)

  • KADOKAWA (2018年3月9日発売)
3.76
  • (16)
  • (31)
  • (29)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 379
感想 : 39
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784040821986

作品紹介・あらすじ

人生は脇道にそれてこそ。
『謎の独立国家ソマリランド』『謎のアジア納豆』など、“人と違う道”を突き進んできた破天荒なノンフィクション作家・高野秀行。
その人生を振り返りつつ、人生訓を10ヶ条にまとめてみた!

第1条 他人のやらないことは無意味でもやる
第2条 長期スパンで物事を考えない
第3条 合理的に奇跡を狙う
第4条 他人の非常識な言い分を聞く
第5条 身近にあるものを無理やりでも利用する
第6条 怪しい人にはついていく
第7条 過ぎたるは及ばざるよりずっといい
第8条 楽をするためには努力を惜しまない
第9条 奇襲に頼る
第10条 一流より二流をめざす

ソマリランドに一番詳しい日本人になり、アジア納豆の研究でも第一人者となるなど、
間違い転じて福となしてきたノンフィクション作家が、間違い人生の面白さを楽しく伝える!!

本書はメディアファクトリーから2010年に出た単行本を、新書版として加筆修正したものです。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あの(⁉︎)高野氏が自身の生き方本を刊行されていると聞いたら、読まないわけにはいかない。図書館で取り寄せるのが億劫だったので、即買いした。

    ご本人が乗り気でないところを、編集者の方が激推しして(ナイスです!)刊行に至った本書。そのため自身の足跡をとんでもなく素直に振り返られているから、とんでもないエピソードも目白押しだ。(自分は耐久?がついているせいか何事もなく読み進められたが笑)
    したがって「こんな生き方真似できるか!」と彼に難癖つけるのは、ズバリお門違いである。参考にもならない常人離れした生き方本であれば、今頃絶版に追い込まれている。(失礼)
    むしろ、少量数重版になったと先だってTwitterで告知されていたし。(「塵も積もれば山となる。こうなったら少量数重版の王者になりたい」と、マイナーな地点を目指そうとされるのが高野氏らしい。ちなみに自分もその”塵積(ちりつも)”に貢献した一人だ…と、自負している笑)

    (自分を含め)何事も失敗を恐れる人が多いのに対して、高野氏の「間違う力」は明らかに逆行している。故意で間違えているのではなく、興味の赴くままに突き進んだ結果、後々になって間違った選択だったと気づく。
    しかしそれも悪いことばかりではないし今となっては笑える思い出だと、晴れやかな笑い声が聞こえてくるようだった。これだけでも結構肩の力が抜けてくると思う。

    彼の「間違う力」には10パターンあり、それぞれ章ごとに分析されている。(「怪しい人にはついていく」は時と場合による……かなぁ〜?苦笑)
    一見行き当たりばったりで行動してそうな高野氏だが、実は論理的に、理詰めでチャンスを掴みに行ってたりする。(たとえチャンスに巡り会うまでにどれくらいかかろうと…)
    自分にはその行動力が足りておらず、それについて触れられている第3・4章は熱心に読んでいたかもしれない。

    第3章「合理的に奇跡を狙う」第4章「他人の非常識な言い分を聞く」では、夢やロマン・感性に溺れてはいけないと強調されている。
    何か新しいことを始める時は心なしか視界が煌めき、周りに夢やロマンの言葉がふわふわ浮かんで見える。ワクワクする気持ちは原動力として大切にすべきものだが、ふわふわ踊っていては前進できない。目的を少しでも達成に近づけるため、現実的に、合理的な方法を取るべしというわけだ。
    それを踏まえて相手の非常識な言い分にも論理があると考え話を聞くというのも、良い意味でなかなか真似できない。

    自分が高野氏本を読む理由は、彼のような生き方ができないから。もっと突き詰めて言うと、どんな悪条件もチャンスに変えてしまえる力が羨ましいから。
    その時の悪い選択が「間違う力」によるものだったとしても、上手く工夫し切り抜けることで笑える思い出に昇華させられる。「間違う力」には、切り抜けようとする力も含まれているのでは?と思えてきた。

    • kuma0504さん
      ahddamsさん、おはようございます。
      まぁいずれ読むとは思いますが、
      レビューだけで、納得するところはあります。
      旅をすると、
      危なそう...
      ahddamsさん、おはようございます。
      まぁいずれ読むとは思いますが、
      レビューだけで、納得するところはあります。
      旅をすると、
      危なそうなところを選択した方が絶対面白いんです。
      ある程度、安全か引き返すかは、カンというものが備わるようになります。
      もっとも、私の「危なそうな」は、高野秀行さんから見たらヘソから茶を沸かすぐらいのものなんですが‥‥。
      でも高野さんが戦略的、戦術的にそれを選択する論理は読みたいとは思います。
      2023/06/06
    • ahddamsさん
      kuma0504さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      自分は旅先や日常生活で意図せず危ない方向に行きかねないので、本当に無難な...
      kuma0504さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      自分は旅先や日常生活で意図せず危ない方向に行きかねないので、本当に無難なルートしか選んで来ませんでした…笑
      そのため「少しは足を突っ込んで見ても良かったのでは?高野さんならこんな退屈なルート、即刻願い下げだろうな…」と、後々退屈だったと後悔することが結構多いです(^^;;
      希望の行き先に少しでも近づくため(また少しでも楽するために笑)、筋道立てていく努力を怠らないというのは面白かったですし、見習いたいと思いました!
      2023/06/06
  • いやいや高野さん、何やってるんですか…。
    辺境作家と言うからには、「過去異国で危ない体験いっぱいされてるだろうな~」とは思ってだけど、想像を軽く越えてた。
    正直「こんなことまで書ちゃっていいの!?」って思いました。

    よくある自己啓発本とは違う、高野節とでも言いましょうか。高野さんならではの考え方や体験談は読んでておもしろい。
    思ってたより論理的だったのがちょっと意外だったし、時々「ほお~」と頷いてしまった。
    内容については下記から想像して欲しい。

    *1章「他人のやらないことは無意味でもやる」
    *2章「長期スパンで物事を考えない」
    *3章「合理的に奇跡を追う」
    *4章「他人の非常識な言い分を聞く」
    *5章「身近にあるものを無理やりでも利用する」
    *6章「怪しい人にはついていく」
    *7章「過ぎたるは及ばざるよりずっといい」
    *8章「ラクをするためには努力を惜しまない」
    *9章「奇襲に頼る」
    *10章「一流より二流をめざす」

    目次から既に面白い気配がプンプンしませんか?
    作中で心に残った言葉、

    『一流より二流をめざしたほうが気楽に行動しやすい』

    『ちゃんとしてなくてもいい。気軽でもいい。てきとうでもいい。でも今、はじめる』

    『正しいかどうかより面白いかどうかで決めること』

    高野さんの数々の著書を思い浮かべてみて、なるほど納得。
    さて、私はこれから何をしようかな~。
    躊躇してたこと、後押ししてもらった気分。

  • 高野さんの新しい本出た❗と読んでみたら、8年前に出たのを出し直したものだった。未読だったから問題ないけど。
    高野さんがどれほど努力家で才能があるか(そしてとんでもないか)知っているので、高野さんの言うことを真に受けて実践してもなあ、一般人には厳しいよ、などと思いながら読んでいたのだが、良かった。
    気が小さいから人の言うことに従って生きてたけど、リーダーやってみたら案外楽だし、一人で好きにやったらもっと楽だ、とか、長期スパンでものを考えるな(だいたいその通りにならないんだから)とか、思いついたらとにかくやってみるとか、本当にそうだなと思った。
    特にテサロニキのブラインドサッカーの話は印象的だったな。日本の国家レベルでこういうことは無理だとしても、個人レベルならできるよな。
    しかし、社交性はないと言いながら、電車で見かけた外国人に言葉を教わったり、リンガラ語を学ぶために池尻を走り回ってコンゴ人を探した、って、めちゃめちゃあるじゃん。まあ外国に行くと日本人には信じられないほど人懐っこい人がいるけど、そういう人と比べるとないってことでしょうね。
    なんだかんだ言って凄い人です。でも、いいこと書いてあると思うよ。アヘン中毒はいかんけども、それ以外のことは若い人にも大いに参考になると思う。

  • 高野秀行入門、って感じかな。氏の著作を読んだことがなければ、『この人の本、面白そう』って思わせられそう。少なくとも数冊、作品に触れたことのある身としては、本書で語られる10か条は、『まあ、そうでしょうね』ってなもん。もちろんこれ、氏の独自性に対する信頼ありきだし、既に面白く読ませてもらっているからこその感想なんですが。

  • 人生に迷ったらとにかくこの一冊。読んだ後はなぜか気楽になれるからおすすめ。

  • ノンフィクション作家、高野秀行氏の人生訓10カ条について語ってます。色々間違って、でもその間違いを間違いじゃなくす、というか間違いと思わずに突き進み、後で間違ってたんじゃね?と思い返す。とにかく、何でもやらないよりやれ!ということを伝えています。内容的には教訓というより高野氏の経験したことを紹介しているといった感じですが、それが逆に面白かったし、氏の書いた他の本も読みたくなったので高野氏的には大成功なのでは(笑)

  • この本は著書に全くそんな意図が無いにも関わらず昨今のビジネス啓蒙書と全く同じ結論に達しているのが最高に面白い。
    ・未来志向でなく今が重要
    ・ロジカルシンキング
    ・誰もやらないことをやる
    まずこの3点だけで、完全に若手ビジネスパーソンが備えるべきマインドセットである。

    驚愕なのは著書の高野秀行氏はこのような最新のビジネスマインドを完璧に習得してるにも関わらず、サラリーマンの経験が一度もないばかりか、ミャンマーでアヘン栽培したり、インド不法滞在で強制送還されたり完全に間違った経験ばかりしている。

    なのでゲラゲラ笑いながら「なんだこの奇人は」と、楽しく読み進めているとなぜか最近のビジネス感覚を身につけられるというよく分からない謎の本である。

  • 高野さんの著作をほぼ読んできた身としては、年表で著作や活動が時系列に語られたり、あの本の背景にこんな事情が、とかうかがい知れて興味深かった。/どんなにアホでもデタラメでも今やっている者がやらない者よりえらいのだ。/予習してのぞんだ探検部の部会/王道は失敗しても様になるが、奇襲は失敗すると単なる間抜け/フランスの植民地で通訳をつけて人類学をやる先生の、日本人研究者は言語ができない、は、日本人はフランス語ができない、という話/アフリカ、南米、東南アジアとターゲットを変えた経緯/私のひそかなる夢は、「アメリカに語学留学して英語がペラペラになること」である。/テサロニキでのブラインドサッカー大会は不備だらけだったけど、「でも、ここは大会をやってるからな。やらない日本よりはるかにいいよ」と参加者

  • 個人的にはめちゃくちゃタメになりました。この本に書かれていることを指針に生きていこうと思います笑。高野さんの経験、人生は本当に刺激的で面白いですね!憧れます!

  • 雨の日に数時間で一気読みしてしまった。高野さんの人生体験、人生観、モットーといったものが展開されている。

    最初から奇人変人だったのかと思いきや、高校まではどこにでもいる品行方正な優等生。早稲田に入って周りの高い才能に気付いてこれと伍していくために奇襲作戦を常にとるようになったとか。そして行き着いたところが、人が行かないところに行き、やらないことをやり、それを面白おかしく書くことがモットーになったという。

    彼のモットー10条に沿って話が展開され、どれもこれも面白いが、あとがきで、更に煎じ詰めると、
    以下の3点、とりわけ③に尽きると言う。
    ①とにかくやること
    ②手段を選ばないこと
    ③正しいかどうかより面白いかどうかで決めること

    この3か条(②は手段の幅にもよるが)は、間違い力でも何でもなく、十分正道なクライテリアだと思う。

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

高野秀行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×