「コト消費」の嘘 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040822082

作品紹介・あらすじ

「モノ」より「コト」ってホント?

連日メディアをにぎわす「コト消費」という言葉。
だが言葉に踊らされて「コト」だけを売り、売上に結びついていない事例も少なくない。
また「コト=体験」といった表層的な理解で語られることも多い。
「コト」と「モノ」をきちんと結びつけ、「買いたい!」「また来たい!」と思わせる売り方を、
多数の実例から紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 今の時代に一番必要だと思っている〝重要なあるモノ〟――物語――について。
    モノ消費に関しては、ネットショッピングの普及で実店舗の存在価値が失われた事は言わずもがな。

    著者は“ストーリーブランディング”という言葉を提言する。
    「何かの体験をする=コト消費」ではない。
    体験型コト消費を狙っても、なかなかうまくいかない。単発消費に留まってしまうため。
    大切なのは「コト」と「モノ」を結ぶこと。
    そしてお客さんと深い関係をむすんでいく(リピーターか?)「物語(ストーリー)」が必要と説く。
    それを「モノガタリ消費」と呼称。
    一種のブランディングか。
    読んでいて、目に見えない体験だけでは人は金を落とさないものなのかも知れない、と思った。目に見える物への販促はやはり経済に直結している……

    アニメの聖地巡礼が成り立つのは作品事態に完成度の高い世界観があるから成り立つことを指摘。それと比較して、土地を活性化しようとする自治体や団体が失敗する理由を「フィクション」としての完成度が低いためと指摘する。ゆるキャラとかも。

    5段階の☆評価で失敗、成功の実例を挙げる。
    店舗のコンセプトが合っているか、それが「モノ消費」に繋がっているかを著者が分析。

    コト消費の歴史。「代官山 蔦屋書店」の成功、インバウンドの爆買いが落ち着く

    7タイプの「コト消費」
    ①純体験型コト消費
    ②イベント型コト消費
    ③アトラクション施設型コト消費
    ④時間滞在型コト消費
    ⑤コミュニティ型コト消費
    ⑥ライフスタイル型コト消費
    ⑦買い物ワクワク型コト消費

    小手先の手段ではない。
    これも過去に取り沙汰された誤った「選択と集中」の見直しだろうか。
    モノづくり専門だったメーカーが「それだけではダメだ!!」と危機感を覚え、切り開いた新境地。
    「モノ」と「コト」を繋げる“仕組み”
    それは時間をかけての説明だったり、教養の提供にも思える。
    手書きのPOP、徹底したその土地らしさ(青森の津軽弁、地産のものを利用した空間)
    本屋併設カフェの、本を連想させるネーミングの製品など、ファンが体験したら嬉しい仕掛けの事例などを紹介。
    手前味噌ではなく、消費者を没入させるブランディング力の必要性を感じる。

  • ○コトが嘘、ではなくコトの使い方が嘘、の人が多いかもね

    "コト"という単語が使われて久しい。
    わたしの所属する組織ても、十年来「モノからコトへ」とさまざまな利用者提案を変えてきているが、モノ・コトの内容について冒頭からよく理解させてくれる。

    本書はその解説だけでなく、言い古されつつある「コト」という単語にスポットをあて、「コト消費」という単語を軸にコト活動を類型化する中で、本当にその単語の使われ方が作者の意図と合っているのかという点を明確にしている。

    提案の軸が「モノからコトへ」になるとしたら、モノはどこへいくのだろう。実際にはモノはどこにもいかず、購入される・利用される主体であるはず。ここが筆者の言いたかったことでないかなと思うが、コトを話すなかでモノにつなげていく、という視点がないといけないのだ。
    推して知るべし、と言われればそうだが、コト提案だけでは足りないと気づくためには、コト提案のために一生懸命取り組みをしてその結果に疑問符が付いたこと、でしか気づけないように思う。

    その点では、コトを重要視する店はこの本が必読であろう。
    大手ショッピングセンターなどの事例もふんだんであり、店舗運営研究にはもってこいだ。

  • 「コト消費」について書いた一冊。

    事例が豊富でわかりやすかった。

  • 強い旗印と熱い物語

  • モノとコトを結びつける、読んだだけではどうやったらよいのか結局理解できずじまい。ただ誠品書店や宮原眼科などがある台湾にいってみたいと思うようになりました。

  • 「物語の主人公」になることで「ファン」になってもらい「コト」を起こして「モノ」を買ってもらう。「コトモノ消費」
    そのためには
    半永久的に使うもの 経営理念・企業スローガン・行動指針
    中長期に使うもの キャンペーン・ブランド広告
    商品を売るために使うもの 商品広告・販促コピー・CM・チラシ

  • 実際に著者が行った商業施設について、5つ星で評価しているところが面白い!評価が高いところは行ってみたいと思わせられた。
    あと何より、台湾のお菓子屋さんと書店。これだけ絶賛されていたら実際に行ってみたくなるわー。

  • 大半は店舗の事例だった。シェアリングエコノミーの台頭など、ますますモノの所有に価値を見出さない生活者が増えていくことが予想されるなか、蔦屋書店が2011年12月にオープンさせた代官山T-SITEのように、ただ本を売るだけでなく、プレミアエイジ(60代以上の団塊の世代)を対象に「心地よい」「ワクワクする」「知的な興奮がある」などのライフスタイルを売り物にしたコト消費に時代がシフトしている。しかしコトとモノをつなげられていないビジネスモデルも多く、コト消費を意識した戦略だけではダメだというのがこの本の趣旨。

  • モノに満たされ、所有よりもシェアで事足りる現代の、モノ消費からコト消費への動きに見られる残念さの正体と課題解決のための提言。
    コト消費を7つのタイプに分類してみたり、コトモノ消費のすすめ、顧客を安全地帯に置き商品説明を詳しく、のれそれで熱を生み出す、人を全面になど、ストーリーを生み出し、モノガタリ消費につなげるといった内容になっている。
    コトにせよモノにせよ、商品・サービスを売る側の視点で、売り手のストーリーを売り込む印象が強いが、購買者の満足・納得・自慢・記憶などに響くストーリーであり、購買対象であることがポイントなのではないかと感じた。
    18-14

  • 紹介されているビジネスの事例から、人格を与えることと、その人格がビジョンを実現するという二つの要素が、ストーリー型のビジネスモデルの本質であるということが感じられた。

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著者プロフィール

コピーライター。湘南ストーリーブランディング研究所代表。
大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。数多くの企業の広告制作に携わる。東京コピーライターズクラブ(TCC)新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など受賞歴多数。特に企業や団体の「理念」を一行に凝縮して旗印として掲げる「川上コピー」が得意分野。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を開発した第一人者として知られる。現在は、広告制作にとどまらず、さまざまな企業・団体・自治体などのブランディングや研修のサポート、広告・広報アドバイザーなどもつとめる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』『コト消費の嘘』(いずれも角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)、『江戸式マーケ』(文藝春秋)など多数。海外においても「ストーリーブランディング」をテーマにした本がベストセラーになっている。

「2023年 『ストーリーブランディング100の法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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