思考法 教養講座「歴史とは何か」 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040822099

作品紹介・あらすじ

世界は、教養なくして語れない。

朽ちない教養をこの手に!!
「二時間でわかる哲学」などは、あり得ない。

現実は、思想が未だ動かしている。
いま世界で起きているのは、すでに克服され、古いものになったはずの民族問題であり、宗教問題の再発である。
歴史とは何か? ヒューマニズムとは何か? 近代<モダン>とは何か? 
冷戦後、終わったことにされた近代<モダン>こそが未だに世界では影響力を持っている。
古今の書物に脈々と流れる論理の構造を掴み、解き明かすことで、危機の時代を生き抜く思考法を身に付ける。

講義形式で贈る人生の実用書!!
■陰謀史観に対抗できるのは、健全なユーモアと笑いだ
■ヘブライ的な発想とギリシャ的な発想
■力で物事を理解するのは、新自由主義の市場の発想だ
■我々はボランティアのことを翼賛と言っていた
■ヒューマニズムは個人主義でも合理主義でも生命至上主義でもない
■日本が露骨な帝国主義国になっていく可能性は高い

「知性によって裏付けられたユーモア、ときにはアイロニー(皮肉)を用いることによって、われわれ一人ひとりが社会的にどのような位置にいるかを知る」

※本書は『危機を克服する教養』(角川書店、2015年)を新書版として改題し、加筆修正したものです。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優氏が教養講座の中で述べた内容を本にしたもの。深い内容を簡潔に述べている。考え方は参考になるが、神学については知識がないため難解だった。
    「(新井紀子)コンピュータは計算機に過ぎない。できるのは四則演算だけだ。過去4000年の歴史の中で数学が獲得した言語は、論理、確率、統計の3つだけだ。次世代スパコンや量子コンピューターが開発されようとも、非ノイマン型コンピューターが開発されても、使えるのはこの言語だけなのである。AIは計算機ですから、数式、つまり数学の言語に置き換えることのできないことは計算できません。では、私たちの知能の営みは、すべて論理と確率、統計に置き換えることができるでしょうか。残念ですが、そうはならないでしょう」p8
    「太平洋戦争後の日本人の世界観のいわば背骨となった「合理主義」「個人主義」「生命至上主義」では危機を克服することができないという現実に我々は気づいている。しかし、どうやればよいか具体的な処方箋を書くことができない。そのために、奇妙な妖怪が日本を徘徊する事態になっている。その妖怪の名は、反知性主義だ。反知性主義とは、「合理性、客観性、実証性を軽視もしくは無視し、自分に都合がいい断片的事実や根拠のない伝説をつなぎ合わせて作った物語を信じるという態度」を指す。高等教育を受けていても、反知性主義的主張をする人は少なくない。それは、高等教育の基本にある合理性、客観性、実証性とは別のところから反知性主義が生まれるからだ。反知性主義者は、「状況はよくわからないけれども、ぼくの言っていることが絶対に正しい」という幼児性を脱却しない心理に囚われている。それだから、理性や事実など知性の言葉で反知性主義者を説得しようとしても無駄だ。反知性主義者が知性自体を信じず、憎んでいるからだ」p19
    「戦時体制に協力した本を、岩波は復刻しない傾向が強い」p28
    「本物の思想は、人を殺すのです。人を殺すぐらいの力がないと、思想として実際の力を持ちません。それは、思想を受け取る人間を、大義名分のため、その思想のために自分の命を捧げるという気持ちに、必ずさせるのです。自分の命を捧げるということは、自分の命を大切にしない人となるいうことです。そういう人は、他人の命はもっと大切にしない傾向が強い」p29
    「旧TOEFLは、帰国子女だと620ぐらいみんな取れました。新TOEFLで110ぐらいかな。しかし、英検2級を取れなかったりする。英検はすごく重要。日本語を英語にする、英語を日本語にする翻訳能力が問われるからです。なんとなく頭の中でわかっているとか、反射神経で対応できるレベルだと、英検には歯が立たない。英検準1級以上であれば、外交官としても、商社員としても十分対応できます」p43
    「戦時中の日本の思想のレベルは、相当に高い。戦争に負けたがゆえに、思想的に我々の方が劣っていたということでは全くないのです」p253
    「戦前の日本について誤解があります。戦前は社会主義や革命は一切タブーで、そうしたことを口走ると警察にしょっ引かれたと思われていますが、全くそのようなことはないのです。社会主義云々ではなく、国体を変更すると言うと捕まった。ですから、日本共産党は戦前は共産主義革命を主張していません。日本共産党は、日本は封建制の下にあるという考えでした。封建制の下にあるから、プロレタリアートは資本家と手を握って市民革命を起こさないといけない。では、資本家って何? 三井・三菱? いや、三井・三菱とも手を握って、地主の親玉である天皇をやっつけよう。そのためには戦わないといけないというのが、共産党の32年テーゼです。だからこれは治安維持法で捕まるわけです。2・26事件や5・15事件を行った連中も革命を訴えました。右翼でも社会主義を考えている者はたくさんいました。北一輝の純正社会主義に表れるように。つまり、社会主義も革命も全然タブーではなかったのです」p266

  • 社会に対して思う疑問は,昔から多くの人がやはり疑問に思ってきて,また,それらに対してどうして?を考える人達もいて,書物としてまとめられているのだ,という自分の矮小さとともに安堵感を感じる.しかし,もし疑問に思わない人が大勢を占めるような状況がさらに加速すると,どの段階でこの国を見限らなければならないのか,とも思わなければならない.

  • 危機を克服する教養の加筆修正

    新井紀子

    コンピュータは計算機に過ぎない

    コンピュータには意味がわからない できるのは四則計算 過去4000年 数学が獲得したのは、論理、確率、統計の3つ AIは計算機ですから、数式、つまり数学の言葉に置き換えられないことは計算できない

    田辺元 哲学入門 戦後ベストセラー

    ファウスト 知識人としての入場券
     先行作品 ダンテの神曲

    ラテン語 ニューエクスプレス

  • 改題本だった、読んだことあったのでお馬鹿しました

  • 勉強になった。普通に読めるほどの知的レベルにはないのだが、理解出来るところを読んでいくだけでも為になった。反知性主義が蔓延しつつあるのは危機感を感じる。

    学校でもっとちゃんと授業を受けていればよかった。それともただ、テスト勉強だけの詰め込み教育に問題があるのか。とにかく一人ひとりが真剣にどうしたら良いか考える土壌があったら今のような世の中にはなっていないのでは。準備して先手で対策うっていかないと後手後手だと確実に大変なことになると思う。

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著者プロフィール

作家・元外務省主任分析官。1960年東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア連邦日本国大使館勤務等を経て、本省国際情報局分析第一課主任分析官として、対露外交の最前線で活躍。2002年背任と偽計業務妨害罪容疑で東京地検特捜部に逮捕され、512日間勾留される。09年、最高裁で上告棄却、有罪が確定し外務省を失職。05年発表の『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。翌06年には『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

「2018年 『宗教と生命 シリーズ:激動する世界と宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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