フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 29
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040822440

作品紹介・あらすじ

「ハイブリッド戦」を理解せずにフェイクニュースを語ることはできない――。いまやネット世論操作は「産業化」している。そして、一方で日本でも進行する民主主義の危機はこの「ハイブリッド戦」への移行を意味しているのだ――。

フェイクニュースがここまで大げさな話になっていることには理由がある。ネット世論操作は近年各国が対応を進めているハイブリッド戦という新しい戦争のツールとして重要な役割を担っている。ハイブリッド戦とは兵器を用いた戦争ではなく、経済、文化。宗教、サイバー攻撃などあらゆる手段を駆使した、なんでもありの戦争を指す。この戦争に宣戦布告はなく、匿名性が高く、兵器を使った戦闘よりも重要度が高い。EU、アメリカ、ロシア、中国はすでにハイブリッド戦の態勢に移行している(あるいは、しつつある)。そのためフェイクニュース、ネット世論操作はハイブリッド戦という枠組みの中で考える必要がある。単体でフェイクニュースのことを取り上げても有効な解決策は生まれない。(略)本書ではハイブリッド戦を軸に多面的にフェイクニュース、ネット世論操作を考察したい。(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架 KW/2018//K

  • ハイブリッド戦という戦争の概念を元に、世界に蔓延するネットによる世論操作の実態を解説している。

    ハイブリッド戦とは、軍事行動だけでなく、経済、政治、文化など国家のあらゆるものを兵器として、相手国を支配して操る戦争の形態のこと。いまの国家間の「戦争」は、軍事行動を伴うわかりやすいものから、このハイブリッド戦に移行したとされる。宣戦布告もなく平時から行われていて、ネットによる世論操作は、ハイブリッド戦の中でも重要な位置を占めているそうだ。下手すると陰謀論だと思われかねないこれらの事を、本書は実例を挙げながら、手ぎわよく整理して解説してくれる。

    個人的には「第4章 アジアに拡がるネット世論操作」が興味深かった。Facebookが結果的に独裁体制を支えているカンボジアや、ロヒンギャ族への差別拡散にFacebookが一役買ってしまったミャンマーなど、例が悲惨すぎる。情報環境が整っていない社会でフェイクニュースがはびこると、社会の安定性が脅かされることがよくわかる。大統領選へのロシアの介入をうまく退けたフランスとは好対照だ。

    その流れで日本の現状を分析した第5章を読むと、第4章で紹介されたアジアの国々の状況は他人事じゃないなあと思う。著者はさまざまなファクトや自らによる調査の結果、「日本でネット世論操作が行われている可能性は高く、その主体は現政権と考えるのが妥当である」と言う。まったく意外ではなく、悲観的にならざるを得ない。

    同時期に出た津田大介「情報戦争を生き抜く」と合わせて読むのがおススメ。事例を取り上げていても津田大介は「メディア」、本書は「インテリジェンス」の視点から記されている。問題が立体的に見えて、理解が深まると思う。


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    偽情報を考える
    機能的識字率の低さがフェイクニュース蔓延の遠因!?フェイク、世論操作を考察する書!

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著者プロフィール

一田和樹(いちだ かずき)
コンサルタント会社社長、プロバイダ役員などを歴任後、サイバーセキュリティ情報サービスを始める。2006年に退任。10年『檻の中の少女』(原書房)で第3回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。著作に『原発サイバートラップ リアンクール・ランデブー』(原書房)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社文庫)、『サイバー戦争の犬たち』(祥伝社文庫)など。ノンフィクションの共著に『サイバーミステリ宣言!』『犯罪「事前」捜査 知られざる米国警察当局の技術』(ともにKADOKAWA)がある。

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