ヒトの言葉 機械の言葉 「人工知能と話す」以前の言語学 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 157
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823485
#AI

作品紹介・あらすじ

AIと普通に話せる日はくるか。人工知能と向き合う前に心がけるべきことは。そもそも私たちは「言葉の意味とは何か」を理解しているか。理論言語学出身の気鋭の作家が、言葉の「不思議」と「未解決の謎」に迫る

感想・レビュー・書評

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  • 人間と自然な言葉のやりとりができるAIが登場していますが、「果たしてAIは言葉の意味を理解しているのかどうか?」という疑問について深掘りした1冊です。
    現在のAIは「こういう単語や語句の後には、このような語句が続くことが多い」といったように統計的に解析して言葉を発しているようです。これを「言葉の意味を理解している」と言って良いかどうか、微妙な問題です。
    その辺りの議論を正確に進めるために、本書は「言葉の意味とはどういうことか」という点、「人が言葉の意味を理解するとはどういうことか」などAIの議論をする前に一歩下がって、まずは「人間が言葉をどう理解しているのか」という点について言語学者の著者が分かりやすく述べています。
    「意味→単語や文そのものが表す内容」、「意図→話し手が聞き手に伝えたい内容」といった定義づけや、子供の言語習得に際して文法などの知識をいかに習得していくのか、といった言語学の興味深いトピックスも登場しています。
    私たちが日常会話でスムーズにコミュニケーションができている背景には、言葉の意味だけではなく文化や常識といった広い共通認識がベースになっていて(例えばある文脈で”あがる”という動詞について、「上昇する」のか「緊張する」のかどちらの意味か)、無意識のうちに瞬時に様々な情報を取捨選択したり推測したりしながら(”水を下さい”と言われた時、飲み水なのか、その量はどれぐらいか、熱いのか冷たいのか等)会話をしているという指摘は”なるほど”と思いました。そういう言葉の背景全てを処理できて初めて「言葉を理解できた」と言うのならば、”AIが言葉を理解する”というのはまだまだ先のように思います。
    AIの性能が日々向上している今こそ、人間のこういった能力について改めて考えなおすのは非常に重要だと感じます。そのようなきっかけとして、大変分かりやすい文章で書かれている本書はおすすめの1冊と感じました。

  • 川添氏の著作を初めて読むので期待感が高過ぎたかもしれない。
    物語の方が楽しいのかな?

  • 【信州大学附属図書館の所蔵はこちらです】
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC03834783

  • 面白かった。大変読みやすく、読むべき一冊。読みながら、もしかすると人間が対話をする機会が減っていることで揺らぎを読み取る力が目に見えて失われ、AIが人間に近づく以上に人間が現状AIのように単純化していくことなのではないか?と思えて非常に怖くなった。ハッシュタグ運動などはまさにその現れなのではないだろうか。最近読んだ翻訳や通訳にも通ずる内容。

  • ヒトの言葉から機械の言葉への橋渡し。機械の言葉を論じる前にまず人の言葉についてよく分かっていないことを思い知らされる。外国に行くと逆に自分の国のことがよく見えたりするのに似ているかも。言葉で表せないものは機械では扱えないという至極当たり前のことからやっぱりシンギュラリティはまだまだ先(もしかしたら永遠に来ないのかも)と思わざるを得ない。言語モデルGPT-3って知らなかったけれど、これはすごい。相互排他性バイアス(「ヘクを取ってあげて」)の研究はなかなか面白い。

  • 言葉の専門家が考える言葉の問題。
    言葉とその周辺には、まだまだ奥深い。AIなんて決して簡単じゃない。

  • 的確に要件がまとめられていてとても読みやすかった。

    AIの言語に対する理解は最終的には文字コードという件は、人の神経系は最終的には化学反応による電気伝達だからあまり差がないとも言えるし、現状ではまだそのロジックがわかっていないだけとも言えるとか色々なことを思ったのですが、大体の疑問の解説をされていたので、至れり尽くせりの解説本だと思います。

  • AIと言語学の入門書。とっても読みやすいので、中高生が読むのにはちょうど良さそう。
    国語学研究室出身者には聞き慣れた話が多かった。ウナギ文とか日本語の「ん」の音韻と表記の問題とか。そういや、そんな話もあったな、と。
    ひとつ前に『14歳からの哲学』を読んでたからか、「意味」や「意識」の定義の難しさがある程度腑に落ちていたので、「AIが私たち人間と完全に同じ仕方で言葉を理解」する日は、まぁ、まず来ないだろうという筆者の考えには賛成。あくまでもAIは道具にとどめておくのが賢明だろう。
    で、こっからは、杞憂。
    仮に人間と同じように思考できるものを作っちゃったらそのAIには人権が発生してしまう。そうなったら倫理的にとっても面倒臭いことになる。カズオ・イシグロの『私を離さないで』を読んで感じた「目的ある生」の問題がここにもある。
    ただまぁ、研究者さんたちは作りたいんだろうなぁ、「人間と同じように言葉を理解」するAI。技術そのものに善悪はない、とか、悪意のある国家に先に作られて利用されないように、これは平和のためです、とか、いろいろ理由のつけようはありそうだ。これ、原子力や生物兵器以上に厄介だ。だって、死なない人間が相手になるんだもの。
    以上、杞憂、終わり。

  • 『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』(朝日出版社、2017)では寓話として、『自動人形(オートマトン)の城』(東京大学出版会、2017)では中高生から楽しめるファンタジーとして、AIと言葉をテーマとした作品を送り出してきた著者による、物語形式ではない「AIと言葉」入門。
    機械(AI)もヒトと同じように言葉を使えるか、機械にどうヒトの言葉を教えるか以前に、そもそもヒトがどうやって言葉を身につけたり理解したりしているのかだっていまだに謎だらけなのだ。ということで、機械とヒトがそれぞれどのように言葉をあつかっているのか、ここ数年で話題になった具体的なニュースやわかりやすい例も引きつつ、両者を比べながらわかりやすく説明している。
    前の2作以後の最新の話題までフォローしており、これから物語を楽しむ人のサブテキストとしても、物語を堪能した愛読者(わたしと長女だ)の情報アップデートにも、そして物語形式だと読みにくかった人(そういう声もあったらしい)にもおすすめ。

    (2021年2月追記)高3長女、同じようなことが書いてあるはずなのに、情報の教科書はなんであんなに読みづらいのだろう。こっちのほうがよくわかる、と。

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著者プロフィール

作家

「2021年 『言語学バーリ・トゥード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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