ステップファミリー 子どもから見た離婚・再婚 (角川新書)

  • KADOKAWA
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感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823676

作品紹介・あらすじ

それは、「正しい親」幻想が原因だった!
第一線の家族社会学者による、「家族観」を一新する衝撃報告!

子どもは「新しい親」を求めていない!
「親になろうとしてごめんなさい」。ある幼女虐待事件の裁判で、継父の被告が発した言葉はすべてを象徴していた。“ステップファミリー=再婚者の子がいる家族”では、
継親の善意が暴走し、子どもが追い込まれている。「親代わり、良い親にならなければいけない」。伝統とはまったく言えない、つくられた家族観が親も子も不幸にして
いるのだ。私たちを幻想から解き放つ、現実の数々!!
●実父の写真を探したのを見つかり、継父から「家から出て行っていいよ」
●継親から「お父さん」と呼ぶことを強要され、激しい暴力に発展……
●“継きょうだい”の生活空間を分け、みんなが安心できる再婚家族づくりに成功

感想・レビュー・書評

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  • 読了。目黒区の虐待事件の話しが、あった。父親が悪の元凶と思っていたが、違った。悲しい事件なんだと理解した。「幼な子われらに生まれ」の映画の紹介もあった。この映画は見に行った。自分には関係ないと思っていたが、思春期の女の子と暮らすヒントがあるのではと見た。ヒントよりも大きな学びがあった。

  • 東2法経図・6F開架:367.3A/N98s//K

  • 20万5972人。
    これは、2019年に親の離婚を経験した未成年の子どもの数だ。予想以上に多い。
    もちろん親が再婚して幸せな暮らしを送れるようになった子どももおり、親の離婚が子どもを不幸せにすると一概には言えない。だが、子どもが継親に虐待されたニュースを見るたびに、なんとも言えない気持ちになる。

    本書は、昨今のステップファミリーに見られる落とし穴を指摘する。
    子ども目線の「家族」とは何か、再婚家庭へのアドバイス、法改正への提言もある。日本の単独親権制と協議離婚が、世界的に見ても珍しいことは知らなかった。
    また、よりよいステップファミリー関係を築いていくための手引き書にもなる一冊。

    p42
    継親子の対立状況で、自分の親が自分の側ではなく新しいパートナーの側についてしまったと感じると、子どもは絶望的な心境に陥ります。

    p48
    離婚する夫婦の約六割ちは未成年の子どもがいます。(中略)二〇一八年の一年間に親の離婚を経験した未成年子の数は約二一万人に上っています。一九六〇年(七万人強)に比べると約三倍です。

    p53
    処女性の概念は明治以降に 西洋から輸入されたもので、それ以前と庶民の間では婚前の性的関係への許容度が高かったこともあり、当時の「出戻り」女性は「きず物」扱いされるようなことはなく、むしろ結婚によって経験を積んだことを評価されたとさえ述べられています。

    一方、明治以降、離婚・再婚についての制度や価値観が大きく変わったのも事実です。一八七一(明治四)年の(現在の戸籍のルーツとなる)戸籍法の制定、一八八六(明治十九)年の戸籍制度の改革、一八九八(明治三十一)年の明治民法施行と戸籍法の全面改正という一連の制度化が行われ、結婚も離婚も次第に整備されつつあった官僚制組織である役所に届け出る制度になり、国家が把握すべき事柄となったのです。
    と同時に、家父長ていた家族観に基づい、家長(戸主)が圧倒的な統制力を持つ家族制度が導入されました。戦前までは、子どもの「親権」を持っているのは婚姻関係にある両親のうち父親だけでした。ですから、子どもの両親が離婚した後に子どもが属するのは父親の「家」でした。母親はたいてい子どもを夫の家に置いて出ていく(実家に戻る)ことになりました。

    p55
    要するに、江戸期の日本は離婚・再婚が珍しくない社会でしたが、明治以降に離婚・再婚が抑制・抑圧される社会へとかなり急激に変化したのです。とくに家長である父親に権限が集中し、その子ども、とくに女子の婚外の性的関係を統制し、結婚相手を決定する傾向が強まりました。そして、一度結婚式したら離婚は避けようとする態度が社会に浸透していきました。

    p68
    明治期に民法が成立して以降、日本では離婚の圧倒的多数が協議離婚によるものです(二〇一八年は八七・四%)。つまり、夫妻が話し合って離婚することに合意できたら離婚届に署名・捺印して市区町村に提出し、受理されることで成立する離婚です。子どもの共同親権者である夫婦の離婚の場合でも、離婚後の(単独)親権者が誰かが記載されていれば離婚届は受理されます。
    協議が調わない場合には、家庭裁判所での調停を経る調停離婚(同年、九・五%)、それでも合意に至らない場合に裁判を経る裁判離婚(同年、一・〇%)などのルートがあります。

    先進国の大多数は、離婚の成立に裁判所が関わる制度になっています。

    p69
    日本で圧倒的多数の協議離婚‪では、離婚後に親権者と非親権者となる親の二人が、離婚後に父母がどのように子どもの養育や教育の責任を果たすのかについて「協議」しなくても、親権者だけを決めれば離婚できてしまいます。その結果として、親権を失った親は子どもの監護・教育の責任から完全に離脱できてしまいます。

    p114
    ステップファミリーというと、血縁のつながりのない継親子関係に目が行きがちですが、子どもの精神的健康にもっとも大きな影響を与えるのが同居親の態度や行動です。ステップファミリーがどのような関係を築いていくのかを左右するキーパーソンは同居親です。
    同居親は、子ども、継親、別居親それぞれと直接のつながりを持つポジションにあります。継親子関係、別居親子関係、子どもの間の(継/異父母)きょうだい関係に介入し、仲介・調整・支援できるのは同居親のほかにいません。継親との対立が生じた際、自分を支持してくれない同居親から裏切られたように感じる。同居親とと親密さが損なわれて疎外感を抱く。継親との関係で苦しんでいるのに(虐待があるケースを含みます)、同居親がそれを察知していながらも保護してくれない。そして、強い不信、怒り、恨みの感情を抱く。このような子どもたちの声を、私たちは何度も聞きました。
    そして、成人後も同居親との関係に悩み、適応上の問題を経験しているケースや、同居親との関係から距離を取り絶縁状態にあるケースもありました。

    p126
    つまり、同居しているメンバーだけで「ふたり親家庭」を再建しようとする大人と、同居・別居にかかわらず「家族」を柔軟にとらえている子どもとのあいだで、家族観に大きなズレが生じていることがわかります。

    p187
    ①継親について-継親には「親」とは異なる役割がある
    第一に、継親は親になろうとしないこと(中略)。子どもにとって、継親と親とは別の存在です。継父は父親ではないし、継母は母親ではないという「事実」に立脚して家族の関係を築くことが賢明です。しかし、それで自分の価値が貶められたと思う必要はありません。継父/継母になることは、親になるよりも難しい挑戦です。親のお手本やガイドは世の中にたくさんあるのに、継親のお手本はなかなか見つかりません。そこに難しさがあります。
    その挑戦において大事なことは、いきなり継子との距離を縮めないこと。しつけなどの親役割は同居・別居の両親に任せて、一歩引いてゆるやかに子どもと関わることです。もちろん、呼び名もニックネーム、姓や名に「さん/ちゃん」付けなど、継子に自由に決めてもらうのもよいでしょう。継子の抵抗感が少ないものを柔軟に受け入れる心の広さを見せたいです。

    p188
    一方で、継子が同居親や別居親との関係、さらに祖父母などの親族や友人との関係をうまく維持できるように支援しましょう。継子の人生から重要な家族が失われないように支援すれば、継子の継親に対する安心感や信頼感が増すでしょう。
    別居の親から継続して支援を受けるのと同時並行で、知識・趣味・お金の面など独自の得意分野で継親の支援を受けられる子どもは、初婚核家族にはない人生の豊さを手にします。時間はかかるかもしれませんが、心の広い継親に対して継子はいずれ感謝の気持ちを抱くでしょう。

    ②同居親について-子どもの家族関係調整役という新しい役割がある
    子どもの親は、さらに祖父母など周囲の人も、継親に「新しいお父さん/お母さん」として振る舞うことを期待しないことが重要です。

    実際には、継親(およびその子ども)が一緒ち暮らすようになると家族の構造や状況が大きく変化します。したがって、同居の親の役割も当然大きく変わる必要があるのです。

    p190
    (前略)子どもは未知の大人である継親や継きょうだいがいる時間や空間ではリラックスできません。親と継親のカップルが親密に会話や行動を続けていると、子どもはこれまでのように自分の親だけと親密に話したり、楽しんだりできません。子どもが継親や継きょうだいに親を奪われたような喪失感を抱くことは珍しくありません。

    親との関係が基本的に変わらないと保証してあげることは、子どもの適応にとって重要です。

    p191
    子どもが母親や父親を奪われたと感じないように、あるいは継親が子どもとの距離を詰めすぎないように配慮することは、ステップファミリーの同居親に特有の役割です。同居親は、子どもの別居親、継親、祖父母のいずれとも接点があり、子どもとの関係を橋渡しして促進したり、逆に抑制したりするゲートキーパー的位置にあります。再婚後はこの難しい役割に挑戦する意識を持って、子どもの福祉や感情に敏感に配慮していければ、子どもたちの新しい生活への適応は大いに助けられるでしょう。

    ③別居親について-子どもを支援する親であり続けたい
    (前略)アメリカなどとは異なり、日本の制度状況においては、子どもの別居親(親権を失った親)は、非常に弱い立場に置かれています。日本の子どもは、その多くが親の離婚時に、さらにその後も同居親・別居親の再婚時などに、親権を持たない親との交流を失っています。
    親権を持つ親の意向で交流が途絶えてしまうケースもあれば、とくに同居親が再婚した場合、別居親は子どもを支援する義務が消失した(新たに親になった継親に入れ替わった)と誤解し、親子間の愛着の感情を無理に断ち切って、みざから子どもとの交流や養育費の支払いを止めてしまうケースもあります。

    p193
    離婚後の父母の関係は、婚姻時や離婚に至るまでのカップル関係とはまったく別の関係になったと肝に銘じて、子どものために連絡を取り合う努力をしましょう。子どもの健全な育ちのために協力する親同士としてビジネスライクな(個人的感情をはさまない、仕事上の取引相手同士のような)関係を作り上げることが肝要です。

    p195
    (前略)子どもの権利を保障するという観点からの制度構築が遅れています。そして、子どもの権利条約の理念に沿って二十〜三十年かけて制度や慣習を変えてきた他国との間に大きなギャップが生じてしまいました。
    そのために日本政府は、国連子どもの権利委員会から勧告を受けたり、EU欧州議会から一方の親の子どもの連れ去りへの対処を要請されたりしています。

    第一に、離婚後も共同親権の継続が標準的なパターンとなるような法改正を提案します。離婚後の単独親権制の存在が、「離婚→ひとり親家庭→子連れ再婚→ふたり親家庭」という固定観念の基盤となっています。子どもが一つの世帯や戸籍だけに所属するものという明治以来の家族観は、改訂されずに現在まで温存されました。そのために、親権者である両親とつながっていた子どもから親権者の一人を剥奪しない限りは離婚が成立しない制度が、子どもの権利(条約)にいかに反することか、日本社会では認識が広まりませんでした。
    この単独親権制が、親権をめぐる両親の争いを構造的に引き起こすので、協力的な離婚後の父母関係形成が妨げられています。共同親権が離婚後の標準のなれば、まずは父母が子どものために対等に協力するための土台ができます。

    p197
    さらに、子どもの福祉や利益を中心にすえた制度への転換を目指して、親の離婚・再婚後も親子関係の継続を保障する制度が必要です。親権(アメリカでの法的監護)だけでなく、子どもと一緒に暮らしてそのケアを担う義務(アメリカでの身体的監護)を別居親も共有する「共同養育」を促進する法律です。

    p198
    面会交流と養育費の支払いについて子どもの利益を最優先して父母が協議すべきだと新たに民法に定められたのに、現状ではそれが実行されたかを確認するすべがありません。実際、二〇一六年「全国ひとり親世帯等調査」では、協議離婚の場合、面会交流の取り決めをしているケースは母子・父子世帯のいずれも二割程度にすぎません。養育費の取り決めも、母子世帯で三八%、父子世帯で一六%に止まっています。

    p210
    なぜ、子どもたちの気持ちが見過ごされてしまうのか。離婚・再婚後の家族を、初婚と同じような「ふたり親家庭」と見なしてしまう「常識」があるからです。大人側がこの常識にそって、子どもから両親のうちの一方を切り離し、継親が新しい親になり代わろうとするのが正しいと思い込んでしまうと、子どもの気持ちが見えなくなってしまいます。そのことを本書では繰り返し指摘してきました。
    この常識化した離婚・再婚観への罠へと誘導しているのが、離婚後はひとりの親しか親権をもてない単独親権制と、当事者の合意だけで成立する協議離婚制です。現行の日本の法制度にある重大な欠点に目を向け、世界のトレンドから大きく立ち遅れているという事実を、まず知る必要があります。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000053356  資料ID:0128731 請求番号:367.3/N98

  • 再婚家族で起こる虐待の悲劇。

    それは、「正しい親」幻想が原因だった!
    第一線の家族社会学者による、「家族観」を一新する衝撃報告!

    「親になろうとしてごめんなさい」。ある幼女虐待死事件の裁判
    で、継父の被告が発した言葉はすべてを象徴していた。“ステッ
    プファミリー= 再婚者の子がいる家族” では、継親の善意が子
    どもを追いつめやすい。「親代わり、良い親にならなければいけ
    ない」。日本の伝統といえる家族観が親も子も不幸にしている。
    現実を受け止めた先に見える、親子が幸福に生きる“家族の形”。

    ●継父を「パパ」と呼ばせても、
    子どもは何年たっても、新しい父とは思わない。
    ● 実母が子どもに失望される瞬間は、
    継父との「親子」喧嘩にあった。
    ● 2組の親子の生活空間を分け、
    みんなが安心できる再婚家族づくりに成功。

    社会が子どものセーフティーネットを創り直し、
    多様な家族が“子ども中心”に幸せな暮らしを築くための、最良の処方箋!
    もくじ
    第一章 家族の悲劇をどう読むか――虐待事件の背景にある離婚・再婚
    第二章 離婚・再婚の変化と「ふつうの家族」
    第三章 「ふたり親家庭」を再建する罠 
    第四章 世帯を超えるネットワーク家族へ
    第五章 ステップファミリーの未来へ――どのような支援と制度が必要か

  • 正しいはおっかない。介護もそう。親だと、子供が逃げ場がなくなる。子育ては次世代につながるから大変。介護はそこで終わるからね。
    金とケアと承認が必要で、リソースをあちこちから供給するか。一本にしないほうがいい。

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著者プロフィール

1959年生まれ、茨城県水戸市出身。1989年、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。社会学修士。専門は家族社会学、社会的ネットワーク論。明治学院大学社会学部教授。2001年より菊地真理らと協働して日本のステップファミリー研究を牽引。その間、フロリダ州立大学・オークランド大学で客員研究員。支援団体SAJと協力して一連の国際会議を開催する。単著に『ネットワーク論に何ができるか―「家族・コミュニティ問題」を解く』、共著に『ステップファミリーのきほんをまなぶ―離婚・再婚と子どもたち』などがある。

「2021年 『ステップファミリー 子どもから見た離婚・再婚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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