なぜ日本経済は後手に回るのか (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823799

作品紹介・あらすじ

今回のコロナ対策では、その官僚の腐敗ぶりが集中的に現れた。本書では、それを詳細に分析していく。ちなみに、日本を立て直そうと思ったら、彼らを東京から切り離して、国のことを考えるという本業に徹してもらわなければならない。最大のカギは、首都機能移転だと私は考えている。(本書「はじめに」より)

新型コロナウイルス対策でも目立った、日本の後手後手の経済政策が、日本経済に「大転落」をもたらし、急激な「格差」の拡大を引き起こしている。「小さくて、遅くて、非効率」な日本の経済政策の典型例となったコロナ対策の失敗の貴重な記録と分析を交え、失敗の要因である「官僚主義と東京中心主義」に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 新型コロナ影響が、首相のお友だち、官僚の忖度、都知事の選挙対策、経済団体の思考停止などにより増幅されたことは、太平洋戦争時の状況と左程変わらないように思える。

  • 東2法経図・6F開架:332.107A/Mo57n//K

  • 年収が少なくても工夫したら楽しい生活ができる、という本を以前書かれていて読んだことがありますが、今回の内容は厳しいことが書かれています。

    いままで何冊かこの本の著者の森永氏の本は読んできましたが、数年前にかなりの減量に成功されたようで、写真映りが少し変わったように思いましたが、内容もそれに応じたのでしょうか。

    令和2年という年はコロナに始まり、コロナで終わりそうですが、日本政府の対応のまずさを欧州などの例と比較しながら一つずつ指摘しています。コロナの最中に長らく続けてきた安倍首相が突然辞めて、その後を菅氏が引き継ぎましたが、日本経済は大丈夫なのでしょうか。以前、日本のデフレは30年続くと、平成初期に、最近お亡くなりになった長谷川慶太郎氏が本で書かれていましたが、その通りになってしまいました。

    森永氏は日本が発展するためには、官・僚主義と東京中心主義を打破するために、「首都移転」を主張しています、そしてこれは1990年に法律まで作って候補地(福島)まであることを記しています。そういえば、新入社員のことにそんなニュースがあったことを思い出しました。福島復興のためにも、首都移転(国会・中央官庁・最高裁判所)を実行するのも良い方法かも知らないと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本のコロナ対策は2つの点で諸外国と明らかに異なっていた、1)積極的な検査を行わなかった、2)都市封鎖を行わなかった、日本の死亡者数はアジアの中で見ると、フィリピンについで2番目に多い(p22)

    ・新型コロナウィルスには治療薬もワクチンもないので、感染が広がった時の対処法は、1)感染拡大地域を封鎖、2)その地域内で徹底的な検査、3)感染者を隔離、である。日本政府はこの対処方針を採用しなかった、それは今も続いている(p32)まず東京都で無作為抽出による1000人規模の抗体検査とPCR検査を同時に行って感染実態を明らかにすべき(p69)

    ・令和2年度予算を審議する国会で、最大野党の立憲民主党は消費税減税をしろという主張を一切せず、経済失速を無視した議論が予算委員会で延々と続けられた(p93)

    ・景気対策として最も公平で効果的、効率的な手段は、消費税率をゼロにすること、1)公平性、2)効果の大きさ、3)効率性の点から良い(p95)

    ・事業を取り仕切る事務局への事務依託費(GOTOキャンペーンでは、予算1兆6794億円において、18%を占める)は、消費税をセロにする場合は、一切かからない(p97)

    ・政府は2020年4月7日に新型コロナウィルスの感染拡大に対する緊急経済対策を発表した、総額108兆円と過去に例のない大型対策だと安倍総理は言ったが、これは融資枠などを合計しただけの事業規模で、実際の財政負担額(真水)は39兆円と小さい(p98)

    ・消費税減税に財源はいらない、赤字国債を増発するのみ、これを日銀が買ってしまえば財政負担はない、政府は日銀に国債金利を支払わなければならないが、支払った金利は国庫納付金として政府に戻ってくる、日銀が国債を買った瞬間に通貨発行益が生まれてその借金はなくなる(p120)

    ・安倍政権が発足した2012年末の日銀の国債保有は114兆円、6年後には468兆円、1年間あたり59兆円の国債保有増加があった、言い方を変えると毎年59兆円の通貨発行益が生み出され続けたことになる。その結果、2018年までは物価は上昇したが、19年に大幅に減らしたので上昇率は下がってしまった(p121)

    ・東京都は全国で唯一、4、5月に休業要請に協力する企業に対して1ヶ月50万円の休業協力金を出していた、財政調整基金(貯金)を5月19日の補正予算までで95%を取り崩して、残高は500億円となった。休業補償をともなわない再自粛要請を出したら都知事選は戦えないというのが小池都知事の本音であったのだろう(p150)

    ・平方キロメートル辺り1万円の規模を封鎖するとすれば、東京23区と武蔵野市、三鷹市だけを封鎖すれば良い(p187)

    ・ニューヨークはピーク時には1日6000人以上の感染者を出していたが、20年8月下旬現在では100人程度に抑えられている、最大の要因は、誰でも何回も無料で受けられるPCR検査、さらに在留資格を聞かれることもない、つまり不法滞在者まで幅広く検査している(p189)

    ・日本の命運を変えたのは、緊急事態宣言解除の東京都の扱い、東京の感染は収束していないのに東京の自粛要請を解除、東京から都外への移動を解禁したのが第二波ん正体である(p196)

    ・最も効果的な手段は首都機能(国会、中央官庁、最高裁)を地方へ移転させること、1990年11月に衆参両院において決議されている(p200)栃木・福島エリアと、岐阜・愛知地域の2箇所に絞り込み、2000年から2年を目処に候補地を一本化する予定であったが、その後は動きを止めてします(p202)

    ・太平洋戦争中の食料不足を解消するために東京緑地は農地として活用されていた、GHQはそれを農地とみなしたので農地改革により農地として解放された、いまなお残る、小金井公園・神代植物公園・砧公園・舎人公園・水元公園などは東京緑地の名残である、外側をグリーンゾーン、内側をレッドゾーンとして日本に一国二制度を導入する(p210)

    ・2016年のSNA産業連関表で計算すると、農林水産業の金額ベースの自給率は87%、情報通信機器の自給率は56%であり農業よりずっと低い(p214)

    ・安倍総理辞任会見にて、新型コロナウィルス感染症を、感染症法上の2類相当から外す方針を明らかにした、感染者の病院やホテルでの隔離がるようとなり、感染経路の追跡も行われなくなる。つまり、集団免疫を目指す方向へ政策を切り替えた(p222)

    ・新型コロナウィルスに感染した場合の死亡率は全体では4.4%だが、50代以下は1%以下、60代は4.7%、70代は14.2%、80代以上は28.3%、亡くなるのは高齢者ばかりなので、新型コロナウィルスを封じ込めなくても労働力人口は奪われず経済への影響はきわめて小さい(p223)

    2020年10月25日作成

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著者プロフィール

1957年生まれ。経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。東京大学経済学部卒業。
 日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁(出向)、三和総合研究所などを経て、現職。
著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)、『こんなニッポンに誰がした 森永卓郎の政治経済学講座』(大月書店)、『庶民は知らないデフレの真実』(角川SSC新書)ほか多数。近刊は『年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学』(PHPビジネス新書)『グローバル経済の終わりとガンジーの経済学』(集英社インターナショナル新書)。ブックレット『新型コロナ 19氏の意見』では、グローバル資本主義の行き過ぎから転換する生き方として、ガンジーの近隣の原理とマイクロ農業を提唱している。

「2021年 『森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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