統一教会との格闘、22年 (角川新書)

  • KADOKAWA (2025年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784040825250

作品紹介・あらすじ

2002年、街頭で偽装勧誘活動を偶然、目撃したのをきっかけに、統一教会とかかわるようになった著者。
いくつかの仕事を掛け持ちしながら、週の半分ほどを偽装勧誘阻止や取材活動に充ててきた。
さまざまな嫌がらせ、脅迫、圧力を受け、世間では「オワコン」となっていた問題をなぜ追求し続けられたのか。
世間に衝撃を与えた組織との格闘と、鈴木エイトであり続けられた背景をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 間近で体験したことが具体的に書かれている。読んでいくにつれ、自分だけは大丈夫という思い込みは過信だということに気付かされる。新宗教やカルトに対してどう向き合うか、改めて考えさせられた一冊。

  • 初めてエイト氏をテレビで見た時、その風貌に驚いた記憶がある。
    髪がぼさっとしていて、げっそりしていて、
    これでジャーナリストなのか?と。

    この新書を読んで改めて彼の経歴を知り、
    根っからのジャーナリストではないことを知る。
    仕事をしながら、資産運用をしながら、
    ボランティアで活動を始めた人だったと。

    その活動とは
    「覆面で行われている統一教会の勧誘から一般市民を守ること」
    やるなら堂々と名乗ってやれ、それなら止めない、
    騙してはいけない。手相を見ると言って近づき、勧誘するのは許せない。
    その正義感だけで彼は動き始めたとこの新書にはある。

    その活動を始めたのが22年前。
    その後統一教会は裁判沙汰になり、話題になったが、
    マスコミが取り上げたのはその時だけ。
    文科省は名称変更を許さなかったが安倍政権下村門下大臣下で認められ、
    政治への影響力を増し、安倍前首相のビデオメッセージの件もあり、
    宗教二世の安倍襲撃へとつながる。

    エイト氏はこの間、統一教会に訴えられ、警察に突き出されたりしながらも、
    ずっと活動をし続けてきた。
    統一教会の名を伏せて、自治会や学校で活動をしているのを突き止め糾弾する。
    そこに政治家が絡みだす。自民党もいれば民主党もいる。党派は関係ない。
    危機感を募らせたエイト氏はメディアに訴えるが全く反応はなかった。
    懸賞論文でなら、と応募してもダだった。

    それがあの襲撃事件のあと、統一教会を唯一追い続けたジャーナリストとして、
    メディアに呼ばれるようになった。
    メディアも当初は彼を疑っていたが、ようやく信頼され、市民権を得、
    現在に至っている。

    つまり彼はずっと変わっていない。
    しかし、世の中が変わった。
    劣化した政治家が、集票マシーンとして統一教会を利用した。
    魂を売ったとしか思えない。

    騙されて信者になった人、宗教二世、みな被害者だ、
    その思いでエイト氏は闘い続けている。

    はじめに

    第一章 黎明期
    仕事の帰り、渋谷の雑踏で
    一人で始めた理由
    偽装伝道に対抗するための理論武装
    会社の倒産を機に独立
    心やさしい信者たち
    痴漢狂言被害
    思いがけない助太刀
    反撃に出る教団--尾行、暴行、脅迫
    「新世」勧誘員から殴打
    不審な電話、統一教会の工作員か

    第二章 ビデオセンターでの攻防
    「エイトのブログ」開設
    ニューセンチュリーYOKOHAMA
    青年部ビデオセンター「VOiCE」で軟禁
    ビデオセンターから受講生救出
    偽装ボランティアグループとの攻防
    教団関係者との非公式会談

    第三章 新世事件の衝撃
    追い込まれる勧誘員たち
    各地で相次ぐ被害報告
    ついに教区事務所と地区教会にガサ入れ
    動揺する信者を諭す幹部
    大手メディアからの取材

    第四章 「やや日刊カルト新聞」創刊、「鈴木エイト」の誕生
    大学の対応の差がカルト被害の分かれ目に
    青年ボランティアグループの偽装活動
    横浜市の後押しまで得たボランティアグループ「ラブグリ」
    被災地の公立中学校でコンサート
    ボランティア活動からビデオセンターへの誘導
    震災への義援金を信者献金で補てん
    潜入取材、指名手配 教団の抵抗
    内部文書に記された高額献金させる卑劣な手法
    韓国で日本人の女性信者が夫を殺害

    第五章 教祖の死、多方面への侵食、そして教団名変更へ
    92歳、教祖の死
    家が一軒買えるほどの献金
    現場の信者はATMなのか
    教育現場への侵食
    病気の恐怖とニセ科学
    名称変更はなぜ認められたのか

    第六章 2世問題とメディアの追及
    ライフワークとしての「2世問題」
    2世たちが開いた集会
    地方ラジオ局の番組DJに教団責任者の夫妻
    メディアに対し先鋭化する教団

    第七章 政治家に問いただしたい
    信者を使い倒した足立区議
    総理大臣の「後ろ盾」を得て勢い付く教団
    政界工作とバーター
    安倍一強時代、完全アウェイな状況で
    国会議員による虚偽通報と刑事告訴――山本朋広防衛副大臣
    菅原一秀経済産業大臣
    追及逃れのために刑事告訴、個人情報を連呼
    安倍氏のビデオメッセージ事件

    第八章 2022年7月8日、そして――
    衝撃に飲み込まれる
    各メディアへデータを無償で渡した理由
    鈴木エイト訴訟三部作
    長きにわたるネガキャン
    解散命令確定へ「終わりの始まり」
    書き続けるために

    あとがき

  • 東2法経図・6F開架:169A/Su96t//K

  • 赤坂169.2/ス/

  • 統一教会専門のジャーナリストとして印象の強い著者のその軌跡と統一教会がもたらした被害や問題を追った22年。始まりはは善意から街の偽装勧誘を止める運動をしていたことに驚く。これまでの苦労が安倍元首相の暗殺という事件がきっかけで浮かび上がったが、これまでメディアの多くが黙殺していた事実も忘れてはならない。

  • 統一教会に徒手空拳で立ち向かい続けるジャーナリスト、鈴木エイトさんの戦いの記録。
    安倍晋三襲撃事件を得て、本当にようやく日の目が見れた感じで、ここに至るまでの果てしない苦労と努力、そしてそういった中で得た言動の一貫性というものが本書からもグッと伝わってきた。

    本書の読みどころは後半に集約されている気がする。
    本書の中に「政治家は保身の為なら警察などあらゆる権力を使ってくる」とあるが、自分さえ良ければよい、霊感商法等の悪行に何にも思わずむしろ手を組む政治家...、一般人には強く出て権力者にはへりくだる(一部)警察官...、そういった奴らと戦う著者を今後とも注目しつつ応援していきたい。

  • エイトさんの活動の歴史と、信念、どのような思いで活動しているのかが分かった。

  • よみおわ。私はエイトさんの一番ポップな部分しか知らなかったなと痛感。凄まじい「格闘」の記録をずっとたどって読んで最後の第八章、めちゃくちゃグッときた

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著者プロフィール

鈴木エイト(すずきえいと):1968年生。ジャーナリスト。ニュースサイト『やや日刊カルト新聞』主筆。単著に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(ともに小学館)、共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『統一教会 何が問題なのか文藝春秋編』(文春新書)、『自民党という絶望』(宝島社新書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)、『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』(あけび書房)など。

「2023年 『だから知ってほしい「宗教2世」問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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