Another(下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.89
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  • (71)
  • (13)
本棚登録 : 5350
感想 : 499
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000007

作品紹介・あらすじ

奇妙な「二人だけの孤独と自由」を過ごす中で、恒一と鳴、二人の距離は徐々に縮まっていく。第二図書室の司書・千曳の協力を得つつ、"現象"の謎を探りはじめるが、核心に迫ることができないままに残酷な"死"の連鎖はつづく…。夏休みに入ったある日、発見させる一本の古いカセットテープ。そこに記録されていた恐ろしき事実とは!?-ゼロ年代の掉尾を飾った長編本格ホラー、驚愕と感動の完結巻。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻で思った通り、下巻ではぐわぁーと恐怖感が波のように押し寄せてきて、途中で止まることはできなかった。

    物語のクライマックスは夏休み中の合宿。
    山麓の森の中に建つ洋館風の建物。雨が降りはじめた夜。怪しい管理人……
    このゾクゾクとするミステリのような設定。そして、ついに残酷な“死„の連鎖が再び起こりはじめる。ぎゃあぁぁっ!

    恒一たちが中学生ってこともあって、各々の考え方や行動には幼さが残っていたことは否めないと思う。仲間に対する疑心暗鬼や戸惑い、そして正義感。それらが行動を誤った方向へ導いてしまったり、物事を複雑にしちゃったり。でも、恒一と鳴、勅使河原や望月は、そのなかで精一杯やれることをやろうとする。その気持ちが溢れていて青春小説としても読むことができた。特に鳴にあっては恒一と過ごすうちに、心の中にたまっていた澱が溶けていったんじゃないかな。

    「災厄」は“死者„である彼らが直接手を下しているわけじゃないよね。“死者„は自分が「もう一人」だとは知らずに“死„を引き寄せながら、ただそこにある。そう思うと、この現象は彼らにとっても残酷なことのように思えてくる。
    今回の「もう一人」が誰だったのか。明かされた真実にはやられてしまった。うわぁ、ちょっと引っ掛かる箇所はあったんだけどなぁ。つづいて、これはヤバいんじゃないかいと、ある人物のことが心配になった。その後、この物語の重要な設定を思い出して作者の優しさを感じた……のは、深読みのしすぎかな。

    これは誰かの作為じゃなくて、そういう「現象」なんだ。
    人がつい何にでも理由や意味、名前をつけたがるのは、わけのわからないものや現象に対して、本能的に恐れを抱いているからだろう。
    それらをそんなものなんだと受け入れることの、なんと難しいことだろう。
    けれど人間が誕生する前の世界には、あらゆるものが自然のまま、自然の法則に則り存在していたんだとしたら。人間はその世界にお邪魔しちゃっただけかもしれない。だとしたら人間中心で考えるのは思い上がりというもの。超自然的自然現象のなかでは、人間が異分子なのだろうから。

    • とし長さん
      地球っこさん、コメント失礼いたします。

      毎回、古いレビューにまでいいねをありがとうございます。

      今回久々に自分のAnotherの...
      地球っこさん、コメント失礼いたします。

      毎回、古いレビューにまでいいねをありがとうございます。

      今回久々に自分のAnotherのレビューを読みましたが、若書きだなあ、と少し可笑しくなりました。

      当時、本格ミステリのルールをかじり始めた時だったので、フェアとかアンフェアとか、一席ぶちたくなったんでしょうね。
      この頃は高校生だったと思うので、ちょっと知識を出してイキリたかったんだろうなあ(他人事)

      まあ、今のレビューも本質的には変わりませんが……。

      この作品を読んだのはだいぶ前ですが、「もう一人」の正体は今でもハッキリ覚えています。
      綾辻さんのミステリってどこか、悪夢の中や記憶の狭間、あるいは幻想の中を漂っているような浮遊感を感じるときがあって、このAnotherも、特にラスト近くは、そうした印象を受けたような記憶があります。

      あの人にとっては、こうした曖昧で、記憶の彼方に消えていくような部分が、ある意味優しさなのかなあ、と地球っこさんのレビューを読んで思いました。(地球っこさんと同じ人物のことを思い浮かべられているか、ちょっと微妙ですが……)

      そしてこうした幻想的な部分が、本格ミステリを知った当初の自分は戸惑ったのかもしれないなあ、とも思います。

      もし今の自分が、初めてこの本を読んだとしたら、フェアとかアンフェアとかも(多少は)グチグチ言いながら、たぶんそのあたりの良さを強調したレビューを書くのかなあ、と思います。

      あと鳴の魅力も、もうちょっと感情込めて書くかもしれません。最近キャラ萌えが激しくなってきてるので(笑)

      少し話は変わりますが、地球っこさんのレビューを読んで、久々に本格的なホラーを読みたくなってきました。殺人鬼や正体不明の悪霊に追い詰められるのも、怖いけど読んでる分には楽しい(?)ですものね。

      それでは失礼いたしました。
      2020/03/17
    • 地球っこさん
      とし長さん、おはようございます!
      コメントありがとうございます。

      まずは、とし長さんの『Another』のレビューが高校生の頃だなん...
      とし長さん、おはようございます!
      コメントありがとうございます。

      まずは、とし長さんの『Another』のレビューが高校生の頃だなんて、とても驚きました。
      私が高校生の頃は、とし長さんのようなカッコいいレビューなんて書けませんでしたよ。
      と、いうか読書をしてレビュー(感想)を書くなんてこと思ってもいませんでした。
      せいぜい、詩をノートに写すくらい……
      私もいつか、とし長さんのような素敵なレビューが書けるようになれたらいいのですけど……

      ホラーって怖いから避けてきたジャンルなんですけど『Another』は面白かったです。
      こんなホラーならこれからも読んでいきたいです。
      彼らはきっと思い出すことはないはず。
      なのに、何かの拍子に記憶の欠片がチクリと心に刺さったとき、白昼夢を見ているような不安定な面持ちを抱えながらも、切なさも溢れてきて……そんなノスタルジーを感じさせる作品でした。

      本格ミステリとホラーって、何だか正反対に思えます。
      フェアプレーでなければならないミステリと空想的で恐怖という感情を楽しむホラー。それを融合させる綾辻さんて凄いです。
      でもそんな二つのジャンルなんだから、ミステリ側とホラー側から見える風景は、見る読者によって、ガラリと印象が変わるんでしょうね。うーん、だまし絵的な?
      何を言ってるのだか、自分でもよくわかりません……(*T^T)

      とにもかくにも、綾辻さんは優しい方なんですよ、きっと。
      はい、それが私の結論です 笑

      あとキャラ萌えいいですね~。
      鳴の魅力を理解するには、同級生である中学生にとってはなかなか手強いキャラかもしれません 笑
      私も最近『翡翠城市』で久々にキャラ萌えいたしました。全くこの作品に関係ありませんが、はい。
      2020/03/17
  • これは面白かった!!
    恥ずかしながら僕は綾辻行人先生の小説を読んだのは初めてだったのですが、面白いですね!!

    もちろん綾辻先生のことは知っていましたよ。僕も「ミステリー読書人」の端くれとしては当然、綾辻先生の『○○館の殺人』シリーズとかね。

    ではなぜ有名な『○○館の殺人』シリーズではなく、あえて学園ホラーの代表作的な本書を選んだのか?

    そうです。
    今年の9月30日に続編の『Another 2001』が出版されたからなんですね。
    表紙イラストを見て非常に興味をもってしまいました。

    っていうか、あれ、分厚すぎでしょw!京極夏彦かよ!!

    と心の中で思いっきり突っ込みましたよ。

    そうなると当然、続編を読むならば元ネタを読まねばなりません。
    というわけで、本書を手に取った次第です。

    そもそも僕はあまりホラー系の小説は読んでないんですよ。
    有名な鈴木光司氏の『リング』とか小野不由美さんんの『残穢』とかも未読なんです。

    いままで一番僕が読んでホラーだった小説はあれですよ。アレ。
    あの伝説のストーカー小説。
    五十嵐貴久氏のデビュー作『リカ』ですよ。『リカ』様。
    あれは恐怖だったな~。

    そういえば、僕がブクログで書いた『リカ』のレビューにつられて、うっかり「あれ」を読んでしまい何人も犠牲者が出たという話はちらほら聞いています(笑)。

    『リカ』はグロテスク系恐怖へ振り切っていましたが、本書をカテゴライズするとなんだろう?
    災厄系?
    呪いとか祟りとかじゃない、理由の分からない現象?
    なんて言うか、この訳のわからなさが面白い(怖い)んですよ。

    ホラーものの定番である「ゴースト」とか「ゾンビ」とか「モンスター」とか「サイコパスな人物」とかじゃないものによる恐怖、いわゆる雰囲気で恐怖させるというのはジャパニーズホラーの真骨頂ですね。

    あらすじとしては、とある場所に存在する田舎の中学校が舞台。不定期にその中学三年のあるクラスにだけ起こる怪異現象。原因は全く不明。26年前に当時人気のあったクラスメイトの一人が亡くなって以来、不可思議な現象が発生するようになる。そんな中、東京から転校してきた主人公の榊原恒一と、そのクラスで特殊な立ち位置にいる謎の眼帯美少女が事件に巻き込まれていくという感じですね。

    学園ホラーにミステリー要素も加えた本作。
    ストーリーの面白さもさることながら、登場するキャラクターが非常に際立っているのです。この『Another』は。

      特に主人公の眼帯美少女が!!!!!(←結局そこ)

    「眼帯美少女」と言ったらもう、僕なんかの世代には『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するヒロイン「綾波レイ」一択なんですけど、本書の眼帯美少女の『見崎鳴(ミサキメイ)』ちゃんもかなり良いですね。

    見崎鳴ちゃんは綾波レイよりもっとしゃべるしね。
      「あなたは死なないわ。私が守るもの。」
    っていうセリフをぜひ見崎鳴ちゃんにもしゃべっていただきたいと心の底から思いましたよ。おっと、思わずガチ系のエヴァネタをぶち込んでしまいました。失敬。失敬。

    ただ、僕にとっての『元祖眼帯美少女』である『綾波レイ』のイメージが強すぎて、僕の脳内では本書に登場する全てのキャラクターが全部エヴァのキャラクターで再生されてしまったんですよね(笑)。

    例えば、見崎鳴ちゃんはもちろん『綾波レイ』ですが、そのほか主人公の榊原恒一君は『碇シンジ』、恒一君の友人の勅使河原君は『鈴原トウジ』、委員長の赤沢さんは『惣流・アスカ・ラングレー』、恒一君の叔母の怜子さんは『葛城ミサト』って感じでね(笑)。

    というか、本書を読み終わってから知ったんだけど、この『Another』はアニメにも漫画にも実写映画にもなってたんだね。
    しかもアニメは結構人気があったみたいだし。
    そんな『Another』フィーバー(←死語)が起こっているとは全く知りませんでした。僕としたことがうかつ過ぎましたwww。

    まあ、この物語は謎解きの要素も満載なので、ネタバレしているアニメも映画も今更見ませんけど。

    さて、本作を読んだから、もう件の『Another 2001』に行けますね。

    ・・・・・・え、ちょっと待って・・・・・・
    『Another エピソードS』って何?
    そんなの聞いてないよう~。

    ふう。危なかった。
    危うく直接の続編『エピソードS』をスルーしてしまうところでした。

    「1」を読んで「2」をスキップして「3」を読んでしまうなんてことをしでかしたら、読書人としてもう世間に顔向けできなくなるところでしたよ。

    こう見えても以前、僕は浅田次郎先生の新選組を女性の視点から描いた傑作『輪違屋糸里』を何の疑問も持たずに『下巻』から読み始めてしまったことがありますからね(しかも読み終わるまでそれが『下巻』であることに気が付かなかったというw)。

    というわけで『Another 2001』を読むために『エピソードS』に突入しますね。

    やっぱ、美少女小説っていいですよね(←いや、全然違うし)。

    • kazzu008さん
      くるたんさん。こんにちは。お久しぶりです。
      コメント遅くなってすみません。
      僕は、綾辻先生の本を読むのは初めてなんですが、さすが新本格派...
      くるたんさん。こんにちは。お久しぶりです。
      コメント遅くなってすみません。
      僕は、綾辻先生の本を読むのは初めてなんですが、さすが新本格派。面白かったです。
      あっという間に「エピソードS」も読んでしまい。「2001」はいつでもOKという状態ですね(笑)。

      2020/10/25
    • kazzu008さん
      くるたんさん。こんにちは。お久しぶりです。
      コメント遅くなってすみません。
      僕は、綾辻先生の本を読むのは初めてなんですが、さすが新本格派...
      くるたんさん。こんにちは。お久しぶりです。
      コメント遅くなってすみません。
      僕は、綾辻先生の本を読むのは初めてなんですが、さすが新本格派。面白かったです。
      あっという間に「エピソードS」も読んでしまい。「2001」はいつでもOKという状態ですね(笑)。

      2020/10/25
    • kazzu008さん
      たけさん。こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      『リカ』ネタに反応していただきありがとうございます(笑)。
      あれは強烈でしたも...
      たけさん。こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      『リカ』ネタに反応していただきありがとうございます(笑)。
      あれは強烈でしたものね。

      このお話も人がたくさん死にますが、謎解き感覚の部分もあり、非常におもしろかったですね。おすすめです。
      2020/10/25
  • どうしても頭の片隅で
    「もっと他の方法あったでしょうに...」やら
    生徒間だけの秘密として頑なに守ってる生徒しかいなかったり
    それ故に遠くに逃げる事も出来ない なんて無理矢理の滞在理由に
    むむぅ..(´•ω•`)となってはいましたが
    学園ホラー として十分に楽しめました。
    終始 赤と黒の色味を感じる世界観で場面によってはモノクロになったり
    この様な作品は初めてでしたが意外と映像が頭に流れるのに驚きながら、あぁつまり私はこの作品を楽しんで読んでいるんだな。
    と、アニメの方も気になってしまいました(๑˙꒳​˙๑)
    無理矢理感を除けば、物語のサイズ感も丁度よく読みやすい作品だと思います。

  • 図書館本。
    パズルのピースが頭の中でカチカチはまっていく後半が面白かったー。ほぼ一気読みで、鬼滅の映画放送もあった日なので危うく夜更かしするところでした。カセットテープ世代なのでテープ回収するあたりがマックスで面白かった。(懐かしい…)

    物語の中の色んな人があやしく思えて、ホラーというよりも考えることが多くて、入れ替わってんじゃないかとか思っていたら、哀しい感じでそう来ましたか……。切なく感じました。不透明、何が正解かわからないものは不安や恐怖をもたらす。それと同時に死は日常の中に溶け込んでいてその一部でもあるのだな…と思った。

  • 夜見北中学の不思議…その発端は26年前に起きたある生徒の事故死にあった。

    「死」に近づいてしまった三年三組では、その後度々関係者が連続死することに…
    「ない年」と思われていた今年も「それ」は始まってしまった…

    自覚なき「死者」が紛れ込み、皆の記憶も記録も改竄され…そして、、、

    いつの間にか増えた1人の代わりに「いないもの」の役割をあてられていたミサキに話しかけ、「おまじない」の効力をなくしてしまった榊原。

    始まってしまった「それ」を止める方法がOBの残したカセットテープから明らかにされるが…

    球体人形や眼帯、義眼など氏の偏愛嗜好は健在ですね。

    「呪い」とは違い、悪意のない超常現象としての禍が描かれますが「そんなはずない、糸を引く人物がいるはず…」と勘繰ってしまうのは、それで納得したいからでしょうか。

    説明のつかない現象ゆえの不気味さ。夜見=黄泉の世界に引きずり込まれるぞわりとした感覚。

  • 上巻はいるのかいないのか、下巻は防ぐことができるのかできないのか、といった大筋でした。序盤は緊迫感があり、終盤は躍動感があり、メリハリのあるお話しでした。わたしならどうするだろうか、と作中に入り込みながら読んでいくのが楽しかったです。

  • 最後のオチとかはおもしろかった。 現象だからといって納得さえできれば楽しめるお話。 正直、上下巻構成やから、もう少し壮大な話を期待してしまってた。

  • アニメ版は以前見た事があったような、無かったような、記憶がうっすらと残っている気がする。
    アニメと原作では展開がまた違い楽しませてもらった。

  • 最後にいろんな辻褄が合ってくる所がすーっとする。ぼくの目線が高校生らしくて…やっぱりさすが綾辻さん!どんどん橋落ちた しか読んでない私の言うことではないか笑

  • 読み終わった後、ホラー要素が強いにもかかわらず、何故か郷愁の風が心に吹いてきた。主人公が中学生というのも影響しているかと思うが、何かしら懐かしい何かが残った。
    ミサキメイに関わる謎がひとつひとつ解明されるにつれてエンディングに向かう展開は様々な予想を覆していった。まだまだ深読みの出来ない未熟者である事が、読書として逆に嬉しい限りだ。

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著者プロフィール

1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院修了。1987年に『十角館の殺人』で作家デビュー。「新本格ムーヴメント」の先駆けとなる。1992年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。『水車館の殺人』『暗黒館の殺人』『奇面館の殺人』など、「館シリーズ」と呼ばれる一連の長編は現代本格ミステリを牽引する人気シリーズとなった。ほかに『緋色の囁き』『霧越邸殺人事件』『眼球奇譚』『深泥丘奇談』『Another』などがある。2018年、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2021年 『十角館の殺人(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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