鬼の跫音 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 2000
レビュー : 264
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000120

作品紹介・あらすじ

刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており…(「〓(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが…(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 彼の作品にはミステリーと思わせる要素が多くありますが、読み終えてみて結果的にミステリーだと言い切れないところがあります。普通は現実または物理的な恐怖が心理的な恐怖を生むのだと思いますが、彼の作品は先に心理的な恐怖があり、それが現実や物理的な部分に作用していくという形が多いと感じます。この短編集は、これから何かが起こるという恐怖ではなく、すでに何かが起きてしまったという恐怖を見事に描いた作品だと思います。

  • ミステリーというには謎解きに重点を置いてなく、ホラーというにはコミカルさが鼻につく、ダークファンタジというよりダークでありたいメルヘンかな。。
    表現が良い様に言えばポップ、悪く言えば軽薄だからだろうな。
    終わり数行で不穏な空気を残す作品もあるのがポイント高い。
    この作者は短編より長編が好み。
    今のとこ1勝1敗1引き分けだな。

    解説と称して鬼の蘊蓄を放り込んでくるのはさすが!京極さん。

  • 全ての物語に死が潜んでいる。
    道尾っぽい落ちなんだけど毎回驚く。
    この人の短編は本当に面白い。

  • 道雄秀介さんのミステリーは好きですが、これはちょっとホラー色が強すぎて…

  • ホラー短編小説。どれも一筋縄ではいかない内容。人間の暗い部分を見せつけて、明確な解答を出さないまま余韻を残して終わるから、余計に怖い。
    『鈴虫』…どんでん返しとしてはわりとシンプルだったと思うけど、全く気づかなかった!悔しい(笑)書き方の妙というか、思い込みにしてやられた。最初から、本当のことを言ってたのね。
    『ケモノ』…救いのありそうな雰囲気で進むけど、見事打ち砕かれる。後悔先に立たずだが、そこまで追い詰められたのが悲しい。家族って、何だろうね。
    『よいぎつね』…因果応報、というのかな。ファンタジックな終わり方で、映画のような怖さに感じた。悪い事はやめましょう。
    『箱詰めの文字』…これも最後までわからなかったな。人間の言動は小説のようにはいかないってことかしら。って、これが小説だけど(笑)
    『冬の鬼』…日付が逆になっているのは、すぐにわかったけど、単純に遡ればわかるって話ではなかった。日記のスタートがとにかく衝撃。そして、それを知った上で冒頭の日記を読むと…。その後には、何が続くのか、な。
    『悪意の顔』…事実と真実は違う、ということかな。それぞれの深い悲しみや痛みが交錯して、事実とは違う真実が生まれたのかもしれない。実際は、なんてことない見たままの事実だけなのかもしれないけど、3人にとってはそれぞれの真実があったのかなと。怖くて、切なくて、一番気に入りました。

  • 2014年9月1日読了。「このミステリーがすごい!」2010年度の第15位の作品。道尾秀介のホラー仕立てのミステリ短編集、6編を収録。6つの話は一部登場人物の名前や、鴉や虫といった道具立てが共通することを除いて特に共通した内容ではないが、どの話も語り手やその周囲の人々の狂気と絶望が感じられて薄ら寒くなる。ミステリ的に結末もひねってあって、読後感もなかなかよろしい。(よろしくない?)タイトルと同じ名前の短編はないが、「冬の鬼」の構成と簡潔さ、読む側の想像をかきたてる内容は特に秀逸。薄い文庫本だが、充実の内容だった。短編もうまいねこの人。

  • 刑務所で作られた椅子に隠されるように彫られた奇妙の文字.僕はその謎を追いかけ,悲しい事件の真実にたどり着く・・.怖さと悲しさが同居する全6編の短編集.この季節にぴったりの一冊.

  • 6編からなる短編集、一気に読み終えた。特に「冬の鬼」と「鈴虫」は印象に残る。読後しばらく、道尾小説の中にひとり取り残された感覚に浸ることができる。

  • 全6篇の短編集。

    解説に書かれているように「恨んだり、怒ったり、嫉妬したり」して「人を見失う心の動き」を「鬼」と呼ぶのだとすれば、全編に共通しているのはその「鬼」の存在。衝動的に現れる「鬼」。にじり寄る「鬼」。少しずつ醸成されていった「鬼」。

    「鬼」が心の前面に出てくる様子を「跫音」と呼んでいるのかな、なんて思いました。

    扱ってるのが心の暗い面なので、どの話もはーっとため息を吐きながらうなだれてしまうような印象。薄い文庫本ですが、読後感は重たかったです。

  • 向日葵の咲かない夏のような後味の悪い作品。でもそれが面白いし、道尾作品っぽくて良かった。

    私の読んだ道尾作品の中で初めての短編集だったので、最後どんなどんでん返しが待っているのだろうという期待が大きすぎてちょっと残念さもあった。

    誰しも心の中に鬼を潜めているんだという考え方は今後の人生においても考えさせられるよい作品だなとも思う。

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著者プロフィール

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年、兵庫県生まれの小説家。玉川大学農学部卒業。会社員生活を続けながら小説を執筆しており、2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
2007年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2009年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。2010年、『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞受賞。『光媒の花』で第23回山本周五郎賞受賞。2011年、『月と蟹』で第144回直木賞受賞。直木賞にはこの作品で5回連続のノミネートだった。
その他代表作として『向日葵の咲かない夏』があり、文庫版は100万部を超えるベストセラーになった。『カラスの親指』は映画化された。
ほか、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞の選考委員を務める。

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