鬼の跫音 (角川文庫 み 39-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年11月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041000120
作品紹介・あらすじ
刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており…(「〓(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが…(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作。
感想・レビュー・書評
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怖い! ほら…あなたの後ろに居ませんか? 鬼と不幸の気配を感じられるホラーミステリー #鬼の跫音
■レビュー
鬼怖い!
いや、 ホントの意味で鬼が怖いホラーミステリー。
世にも奇妙な物語、トワイライトゾーンのようなゾクッとさせる短編が六編。
道夫秀介先生の初期の作品ですよね~、純粋に面白いし、芸術性も高いし、やっぱり人気作家さんは最初からスゴイな。
なんといっても本作の読みどころ、人の醜さ。そして不幸への気配ですよ。
マジ怖いんですけど、やめて。
ホラーがベースながらもミステリー要素もいっぱい、プロットも登場人物もバラエティーに富んでいてGOOD! 最後まで楽しく読ませていただきました。
■作品ごと簡単レビュー
・鈴虫
情景や心情描写が光る作品、人ってあさましいなと感じる作品。
・ケモノ
ミステリー感が満載で、不気味ながらも楽しく読める作品。
・よいぎつね
抜け出せない闇と、すぐそばに死を感じる。一番好きな作品、超こえーーよっ!
・箱詰めの文字
捻ったプロットが面白いですね、冒頭から読ませる手腕はさすが。
・冬の鬼
一文一文が綺麗、芸術性が高すぎ。全体から染み出る薄気味悪さが最高。
・悪意の顔
まさに世にも奇妙な物語、映像化してください。人の汚さを強烈に感じられる作品。
■推しポイント
この本は道夫秀介先生が描く、罪と罰ですよ。
手塚治虫の火の鳥異形編を読んだときと同じ感覚です。死の匂い、無の怯えがすぐそこにあるんですっ
短編なのでさらっと読めちゃいますが、テーマ性は超絶重い作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
見事な狂人達。暴走系と違う、静かなる美しい狂気達を楽しんだ。
どの作品も好きだが、個人的には「冬の鬼」がお気に入りだ。恐らく誰もがやるであろう読み終えてからの逆読み...勿論私もやりました。
どの作品にも当て嵌るのだが、短い中でのストーリーを時系列や綴り方でここまで物語に没頭させる手法が凄い、秀逸だ。
燃え上がる炎、澄んだ空に上がる白煙とだんだん形を変え消えていく達磨。そして白い息を吐きながらマフラーでも巻いて幸せな二人が手を繋いでいる。
彼らは狂ってなんかいない。
狂ってなんかいないのだ。
「鬼」って悪なのだろうか。私は身近に感じる。
ステータス防御力に全振りし、磨くスキルは「偵察能力」。そちらより、自ら鬼を纏い行った行動を一人として後悔していないそんな彼らの方が美しく感じた。 -
どれもこれも、鬼が出て来る。
鬼と言っても、角生えてとかではない。人の心を亡くすってこと。
短編集6作品やけど、どれも鬼が出てくる。契機は、鈴虫やったり、椅子に刻まれた文字、紙切れに書かれた文字etc。
それによって、人で無くなる=鬼なる。
何か、怖いなぁ〜
自分も含めて人って。
こんな簡単に壊れて…
何か、壊れてるというか、壊れそうなのを鬼になる事で、平衡を保つのか…
どの作品も終始重い。
ミステリー要素もあって、結構イケるけど、どれもこれも、後味が凄くよろしいでございます(−_−;)
夢見そうやわ(ーー;) -
全ての物語に“S”が登場する6つの短編集。
6つの物語が繋がっているわけではなく独立していますが、
歪んでいて仄暗い印象の”S”たちはどこか共通しているようにも思えました。
短編集なので読みやすく、隙間時間に1話ずつ読み進めていきました。
どの物語も薄雲がかかったような雰囲気で、恐いのはもちろんですが読んでいて不安になる作品ばかりでした。
この読後感は何とも言えないですが、この雰囲気が個人的には堪らなく好きです。 -
裏表紙に驚愕必至の襲撃作!と書いてあったので買った一冊。
6つの短編集だった。
どの話も主人公が闇を抱えている。
闇が鬼なのかね?
短い話しだがそれぞれ意外な結末で、読みごたえがあった。
でも驚愕!とは思えなかった。
この本に書かれている闇は案外身近にあったりするかもとも感じた。
なんとなくもう少し短編を読んでみたいなと感じた小説でした。 -
こわい。こわくて不思議なニンゲンの短編集。ゾクゾク、こころが重くなる、でも知りたい、心の鬼について。
読後にそうだったのか、と納得するものもあれば、ずっと考えてしまうものもあり、道尾秀介さん、大好きだ!