女神記 (角川文庫)

著者 : 桐野夏生
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年11月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000205

作品紹介・あらすじ

遙か南の島、巫女の家に生まれた姉妹。六歳の誕生日、姉は家族から引き離された。大巫女となり、跡継ぎの娘を産むのだ。やがて姉のもとに食事を届けることが妹の役目に。-ひもじくても、けして食べてはならない。-だが島の男と恋に落ちた妹は、禁忌を破り、聖域に足を踏み入れてしまう。激しい求愛の果て、地下に堕ちた妹が出逢ったのは、愛の怨みに囚われた女神・イザナミだった。性と死の神話を、現代に編み直す。

女神記 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の分類される重要な立場が女か男かのふたつだと感じた。
    主人公は女という概念がナミマという皮を被っただけであるし、イザナミ、イザナギ、マヒトもまた同じ。
    陰にされた女、陽になった男、
    自分勝手な男、昔のことを忘れる男、突き放され怨む女、昔に戻れればそれでいいはずの女。
    徹底的にイザナギを恨み尽くすイザナミと、マヒトに優しくされたら揺らぎそうなナミマがいるが、ナミマだけが独白の文体があって感情移入しやすいし、多くの女性はイザナミよりナミマ寄りなのでは。
    そのナミマがラストでイザナミに尽くすことを誓ったということは、多くの女性にイザナミと同じく男に屈しないことを奨励している?

    イザナギとイザナミは神だからか言動が明快、絶対的で軸がぶれないが、人間たちは言動がいきあたりばったりで、未来が予測できず、他人の心が読めず(人の心情描写が少ない)、自分の行動原理もわかっていなさそうなのが現実に似ている。
    これから日本は人口が減ると言われているが、物語のラストでイザナギが千五百の産屋を建てなくなるのに、イザナミは千を殺すのをやめないというのはそれになぞらえてあるような。

    古事記での神は人間臭いが、ここでのイザナミは嫉妬、憎悪、怨恨などの感情はあるもののその他の明るい感情が感じられないので人間を超越した存在だと感じる。
    人間になったイザナギを殺してしまうことでイザナミの絶対性が浮き彫りになる。これはなんなんだろう、男が滅びても女は生き続けるということかな?
    この作品は存在も心情も極めて陽に立ち向かう陰としての女寄りにえがかれている。

    陰の世界、陽の世界、それらが混じり会う人間界のみっつが感じられて楽しい。
    "魂"の字を見ただけでなんの違和感もなく、なんとなく脳内に魂の表象が思い浮かぶ。魂の存在を疑っていない人がこの物語の魂の描写を読むとなにか根底にあるものが安心すると思う。

  • スケールの大きな話でした。

  • 桐野さんは本当に女の業を書かせると右に出る者がいないのではないだろうか。
    それほど作品数を読んでいないけれど、
    共感できなかったとしても想像することは難しくない苦しみがよく書かれています。

  • だめだ!何が言いたいのかわからなかった。
    そういえば昔、OUT挫折したな・・・。

  • 3年前に単行本で読んだが、文庫版で再読。
    男と女の性(さが)をテーマにして、古事記を下敷きに翻案したもの。

  • 人間と神の違い
    神ではなく、女神であること

  • 女性の強さや執念を感じる一冊。神話をベースとしつつも、桐野夏生らしい生々しい感情のうねりが表現されている。

  • まさかまさかの、古事記物語

  • 最近、古事記関連の本を何冊か読んでいたので、尚更面白く読めた。

  • ヤマトの南の海上に位置する海蛇島の、巫女の家系に生まれたナミマという女性が主人公の物語です。

    彼女は幼い頃、一つ年上の姉であるカミクゥから引き離され、「陰」の巫女として、毎日カミクゥの食べ物を届ける役目を担うことになります。やがてナミマは、第二巫女の家系のマヒトという青年とともに、カミクゥの残した食べ物を口にするという禁忌を犯し、その後ナミマはマヒトの子を身ごもります。

    ある日、マヒトは島を出ようとナミマに言い出し、ナミマはそれを受け入れて、2人は舟で沖へと出ていきます。ナミマは、海上で娘の夜宵を出産しますが、その後マヒトは、ナミマの首を絞めて殺してしまいます。

    死んだナミマは黄泉の国に行くことになり、そこで女神のイザナミに仕えることになります。やがて彼女は、スズメバチの姿になって生者の世界を見ることになりますが、そこでマヒトはカミクゥの夫となり、ナミマが生んだ夜宵はマヒトの妹として育てられていました。マヒトの裏切りに恨みを抱いたナミマは、マヒトを刺し殺しますが、死んだマヒトは自分の罪もナミマのことも忘れてしまっていました。恨むべきマヒトの不甲斐なさに、ナミマはもって行きどころのない怒りに苛まれます。

    一方、イザナミの夫であったイザナギは、八岐那彦(やきなひこ)という人間の名前で暮らしていました。自分の愛する女たちがイザナミによって殺されることを知ったイザナギは、人間へと身をやつしてイザナミのいる黄泉の国へとやってきて詫びますが、イザナミはそんな彼を許そうとはせず、黄泉の国の神として、死者を選ぶ仕事を続けます。

    愛の恨みを抱く女たちと、その恨みを受け止めるだけの強さもない男との対比が一方の軸となり、恨みを募らせるも恨むべき男の不甲斐なさに恨みを貫けずかえって苦しみを負うことになるナミマと、同じく人間となったイザナギに失望しながらも、神として冷徹な姿勢を選び続けるイザナミの対比がもう一方の軸となって展開していく物語として読みました。

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