女神記 (角川文庫 き 34-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年11月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041000205
感想・レビュー・書評
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女性の強さや執念を感じる一冊。神話をベースとしつつも、桐野夏生らしい生々しい感情のうねりが表現されている。
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まさかまさかの、古事記物語
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ヤマトの南の海上に位置する海蛇島の、巫女の家系に生まれたナミマという女性が主人公の物語です。
彼女は幼い頃、一つ年上の姉であるカミクゥから引き離され、「陰」の巫女として、毎日カミクゥの食べ物を届ける役目を担うことになります。やがてナミマは、第二巫女の家系のマヒトという青年とともに、カミクゥの残した食べ物を口にするという禁忌を犯し、その後ナミマはマヒトの子を身ごもります。
ある日、マヒトは島を出ようとナミマに言い出し、ナミマはそれを受け入れて、2人は舟で沖へと出ていきます。ナミマは、海上で娘の夜宵を出産しますが、その後マヒトは、ナミマの首を絞めて殺してしまいます。
死んだナミマは黄泉の国に行くことになり、そこで女神のイザナミに仕えることになります。やがて彼女は、スズメバチの姿になって生者の世界を見ることになりますが、そこでマヒトはカミクゥの夫となり、ナミマが生んだ夜宵はマヒトの妹として育てられていました。マヒトの裏切りに恨みを抱いたナミマは、マヒトを刺し殺しますが、死んだマヒトは自分の罪もナミマのことも忘れてしまっていました。恨むべきマヒトの不甲斐なさに、ナミマはもって行きどころのない怒りに苛まれます。
一方、イザナミの夫であったイザナギは、八岐那彦(やきなひこ)という人間の名前で暮らしていました。自分の愛する女たちがイザナミによって殺されることを知ったイザナギは、人間へと身をやつしてイザナミのいる黄泉の国へとやってきて詫びますが、イザナミはそんな彼を許そうとはせず、黄泉の国の神として、死者を選ぶ仕事を続けます。
愛の恨みを抱く女たちと、その恨みを受け止めるだけの強さもない男との対比が一方の軸となり、恨みを募らせるも恨むべき男の不甲斐なさに恨みを貫けずかえって苦しみを負うことになるナミマと、同じく人間となったイザナギに失望しながらも、神として冷徹な姿勢を選び続けるイザナミの対比がもう一方の軸となって展開していく物語として読みました。 -
読み終わって一言
女ってずっと女で男は男なんだ
と思った。 -
難しかったけど、なかなかおもしろかった。読むのに時間がかかった。
イザナギ イザナミ カミクゥ ナミマ -
初めて桐野作品で挫折・・・。
島の掟に従って、運命が分かれた姉妹の話だが、イザナミとか登場した瞬間お手上げでした。 -
思ってたより読みやすかった。
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女というものはかくも業の深い生き物であることよ。