覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪 (角川文庫)

  • 角川書店 (2011年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784041000236

作品紹介・あらすじ

戦争孤児が見る夢を佐々木海人も見る。小さな家を建て、家族4人で慎ましく暮らすという夢を。著者の代表作となるはずだった〈応化クロニクル三部作〉の、未完の完結編。急逝した著者が遺した希望と勇気の物語。

みんなの感想まとめ

戦争孤児が抱く夢と現実の狭間を描いた物語は、希望と勇気に満ちています。著者の急逝により未完となったこの作品は、シリーズの最終章として位置づけられていますが、内容は驚くほどスピーディに展開し、読者を引き...

感想・レビュー・書評

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  • 待ちわびた応化シリーズの最終巻。未完で終わってしまったために、上巻(海人編)と下巻(椿子編)の半分を纏めて一冊にしている。
    戦争の「終わり」を描いた上巻では、難民問題や戦後の復興へ向けての諸問題が次々と常陸軍と同盟軍を悩ませる。戦争を終わらせようと奮闘する海人たちが、途中でパンプキン・ガールズの面々と遊んでいる場面など、どこか明るいムードは健在。最終決戦の前でも相変わらず生き生きと動く登場人物たちの会話であったり、懐かしい人々の登場であったりと、終わりへ向けて熱い展開が続く。
    最後のあづみ救出の場面でようやく戦争が終わったんだなと実感できた。こういうところに描写の巧みさを感じる。
    下巻では、戦後の復興の動きが本格化していく過程が描かれている。小さなNGOがアメリカ相手の裁判を起こそうとする話は、戦争を生き延びた人間の強さを感じさせた。
    椿子の心中にとても興味があったので、あまりそれが描かれずに中途半端なところで終わってしまって本当に残念。海人、椿子、その他に戦争に関わった人たちの今後が見れないのもとても残念だけど、彼らならその後の人生もきっと大丈夫だと思えた。
    シリーズ全体を通して、素晴らしい名作だったと思う。

  • この日を待っていたのですー(号泣)。

    -----[2008.10.26 単行本を未読リストにアップした時のコメント]------

    今日、ウチに届いた角川のPR誌『本の旅人』の新刊案内を見て仰天しました。この本が出るとは!

    過激でファンタジックな日本内戦記、『裸者と裸者(上・下)』『愚者と愚者(上・下)』シリーズの続編(最終章)です。打海さんのご逝去で未完となり、遺稿が多少あっても出版されることはありえないと思っていました。

    出版案内によれば、佐々木海人くん編だけのよう(来月以降、続きが出る可能性も捨てきれない:笑)…うーん、「読んでよかった!」と思うか、「こんな中途半端に出版してー!」と暴れるか微妙(笑)。というわけで、ちょっとお取り置きです。

    あと、ヒジョーに言いにくいのですが、このシリーズは装丁のイラストが微妙に下手で…私の第1希望は、『アップルシード』な感じ(笑)。

  • 裸者と裸者上下巻、愚者と愚者上下巻に続く第三部(未完)。
    著者が亡くなっているため途中までであったが、完結編となるようだったようで、内容としてもかなり物語の進みが早かった印象です。ぜひ完成してほしかった作品です。

  • 裸者と裸者、愚者と愚者に続く第3弾。

    日本で起きた内戦。
    妹と弟を守るため、兵士となり、時代を生き抜いていく孤児の少年。
    戦争で双子の片割れを失った、ギャングのボスの女の子。
    この2人を中心に話が進む。

    作者が亡くなったため、未完。

    これを読むために裸者と裸者から読み直したけど、面白いね。
    未完なのがほんとに残念。

  • 「自分の口で夢を語るそばから、どこまでが本心なのか自分でもわからなくなる。夢はいつか叶うと無邪気に信じられた子供時代はおわっているのだ。殺戮と破壊と略奪の戦争の海にただよい出した孤児は、ふと気づくとずいぶん遠くまできてしまって、岸辺がどちらの方角にあるのかさえわからない。」

    作者の死により、和平構築プログラムの途中で物語は終了する。戦闘は終わっても戦争は終わらない。戦争を記録する団体が弾圧され、戦争責任が勝者側の論理で決定されていき、曖昧な処分で終わったことにされていく。反乱分子のテロは続き、武装解除は進まない。収束する場所が見えない中で本作は突如終わってしまうのは残念だ。
    たが、終わりがないのが戦争であるから、本作はある意味どこで作品として終わってもいいのだ。戦争責任は問われ続け、戦後の復興があり、癒えない傷があり、記憶はなかなか消えないのだから。
    残酷な物語だが、最高のエンターテイメントに仕上がっている作品だった。

  • 途切れてしまった物語をずっと読むの怖くて読めなくて、やっとやっと読んだ。
    でも文章は途切れているけど、物語は途切れていなくて、打海先生がもういないのはすごく悲しいけど、もしかしたら結末を知らなくてよかったかもしれないとすこし思った。
    三部作、具体的な結末はないけど、私の中で脊髄まで染み込んでほんとうに大きな存在としてたぶん続いていく。
    海人幸せになってくれって、言いたい、言えない

  • ああ~!ついに読んでしまったぁ~!!続きが読みたいのに、未完のまま読めないなんて、残念過ぎる!身悶えして、叫びだしそう・・・! でも、この愛してやまない小説に出逢え、それが未完というのは、ある意味すごーく奥深い感慨を覚える。完結しないってことは、つまり永遠ってことで・・・海人にマジ惚れな私としては、それもまたロマンチックだなぁ~、なんてウットリしてみたりw

  • 震災以降よく目にすることになったひたちや郡山、二本松といった地名も登場する。自分たちが住んでいるのと同じ名前のまちで生きるために戦う孤児部隊の少年たちや少女ギャングたちの溌剌とした姿に、胸を躍らせ勇気を得る同世代の少年少女がたくさんいればいいなと思う。
    未完は残念だけど、逆に今でも主人公たちが自分の中で生き続けているようで、それはそれでこの小説に相応しいような気も。

  • 読みたい!もったいなくて読めない!

  • 文庫化にともない「裸者と裸者」「愚者と愚者」を再読した上で読了。
    未完のまま著者が逝去されたのは本当に残念でなりません。

  • さすがに前作から間が空きすぎて内容覚えてなかった。最初から読み直すか。

    フィクションとはいえ、中国朝鮮からの難民流入、治安悪化、内戦突入の流れが現実に起こりうるのでは?なんつって。

  • 「裸者と裸者」と「愚者と愚者」を読み終えた後に、作者の死を知って、続きがあるとは思わずに、『ラストに見る生への賛歌を見るにつけ、捨てたものでもないという戦後を想像するのも難くない』と感想を書いたけど、本当に途中で終わってしまった第3部があったわけね。
    前半、20年も続く内戦を終わらせるための闘いが延々と描写され、後半、その戦後処理が淡々と描かれる。
    恐ろしい戦争で生き残り、それぞれの分野で成りあがった孤児、マフィアの女の子と男の子、急進派の女、武装したゲイたちが、これまで同様に自らの規範だけを頼りに日々を凌ぐ。
    “短い人生のすべてが、現実に直面するたびに問題の深さと複雑さを知るという日々” 
    “破壊と殺戮、あるいは破壊と殺戮のための訓練に明け暮れる日々”
    “世界の理不尽さをどうにもできない自分自身の悔しさ”に涙する日々
    “たまたま出会った人間のために命を張る。結果がどうあれ悔いはない。そうやって生きてきた”日々
    そして海人は“妹と弟にちゃんとした教育を与えるために徴兵に応じる。孤児兵の仲間と戦場で生き延びるために激しく闘う。戦争を終わらせるために最後の戦争に出撃する。”
    相変わらず陰影に満ちた表現が随所にあってハッとさせられるが、それにしても前2巻の文庫化から3年以上も経って文庫となり、最早かなり忘れた部分も多く、前の話を読んでなければチンプンカンプンではという感は否めず、かなり読み進めるのがきつかったのは確か。

  • スゲー面白かったよ。人間どんなとこでもどうやっても生きていけるんだなって思った。

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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