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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041000670
作品紹介・あらすじ
筑前の小藩、秋月藩で、専横を極める家老への不満が高まっていた。間小四郎は仲間の藩士たちと共に糾弾に立ち上がり、その排除に成功する。が、その背後には本藩・福岡藩の策謀が。武士の矜持を描く時代長編。
みんなの感想まとめ
歴史と青春が交錯する物語が描かれています。主人公の間小四郎は、専横を極める家老に立ち向かう藩士として、仲間と共に自藩を守るために戦います。ストーリーは、友情や努力といった普遍的なテーマを持ちながら、秋...
感想・レビュー・書評
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こんど福岡県朝倉市秋月に行くので読みました。秋月の大人気カフェのオーナーさんから、秋月に来るなら読んどくといい、とこの本を教えていただきました。
時代小説なので、なんで?、と思いましたが、読み終わった今なら最高の秋月ガイドであるとわかります。小説なのでひとの名前も覚えられて、秋月のすべてがつまっているかんじです。
小説のストーリーは実在のひと、架空のひとの混合です(普通の時代小説)。主人公は秋月藩の藩士、間小四郎(あいだこしろう)さんです。ストーリーのところどころに、これでもかと秋月が盛り込まれています。
三方に山、清流あり街道交わる風景、名所である石の橋の建設秘話、葛が秋月の特産になった裏側にある悲しき物語など、巧みに組み込まれています。
ほんとうにこれを読めば秋月通になれそうです。秋月に行くのが楽しみになりました。
メインのストーリーもおもしろかったです。前半は小四郎さんの少年・青年時代、逃げない男、になるんだとがんばります。「友情・努力・勝利」の少年ジャンプです。
後半は、秋月藩という組織の中で敵対勢力と闘います。お金がからんだりして、その姿は半沢直樹にも重なりました。「少年ジャンプ+半沢直樹」おもしろくないはずがありません。
そんな小四郎さんに、秋月の実在した有名人がからみます。例えば、ジェンナーより6〜7年早く種痘法を確立した緒方春朔さん、とか、旅する男装の女流漢詩人さんとか。もう秋月版大河ドラマですね。
それから、小説なんでほんとかどうか分かりませんが、藩士のひとたちの行動パターンが新鮮でした。
特におもしろかった行動が「うわさ話をする」です。やたらと人んちに行ってうわさ話をしてました。
うわさ話が広まって、みんなが「あゝそうなんだ~」となったらハイ!うわさの当人は悪人決定!ってかんじです。陥れるために計画的にやったりします。
よく見ていた水戸黄門なら悪人の手下の自白とか、現場に踏み込んで悪事確定でしたけど、なんとなく悪人にされるかんじです。これは今もいっしょか。SNSの誹謗中傷は直接だけど、こちらは間接的で戦略的な誹謗中傷かな。フェイクとかあるし、いつの時代も大変ですね。
あと、いろんな流派があって、◯◯流◯◯、とか枝分かれするやつ、みんな好きですね。日本の伝統をくむブクログレビューにもあるんでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H29.6.17 読了。
・「山は山であることを迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。ひとだけが、おのれであることを迷い、疑う。それゆえ、風景を見ると、心が落ち着くのだ。」・・・作中の言葉です。とても深い言葉ですね。 -
福岡出身の私にとって秋月は小さい頃何度か行った思い出の土地である。覚えている記憶は、紅葉と葛餅。最近では台風や水害で話題になっているが、本作は私の知っている秋月をふんだんに詰め込んだ作品だった。
話自体は歴史物でよくある巨悪と対峙する青春一代記物。怖がりの小四郎が同年代の仲間とともに乗っ取りを狙う福岡藩と戦い、自藩を守っていく。戦いの場面や友情の話などそれぞれの要素で高揚するものがあったが、それがどれも秋月の美しい風景に根付いているのが素晴らしい。
史実に根付いているからか、最後の悪に徹しても自藩を守ったというのが少し納得はいかなかったが、「織部崩し」の青春期から守るものが増えた「成年期」の葛藤など現代にもよく観られるテーマも歴史小説らしく清廉に美しく描いていて、読んでいて清々しかった。
その中でも、いとが「葛」を見つけ出し、それを名産に借金を返していくことに繋げるシーンは鳥肌物だった。ここが葛餅の原点なのかと。 -
深く澄んだ湖を見ているような気分にさせる素晴らしい作品です。力を尽くして作り上げた静謐、受け継がれると良いですね。毅然とした生き方、そして信念。私も見倣わなければ…
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面白かった!
勧善懲悪だけど勧善懲悪ではないストーリ(?)が魅力!
当時の政治っていうか藩政に生涯をかけた人物の物語。
主人公の間小四郎は小藩の秋月藩の藩士。
仲間達の力と本藩の福岡藩の援助を借りて、専横を極める家老宮崎織部の排除に成功!
しかし、その裏には福岡藩の陰謀が...
そして、当時の仲間達との関係も揺らぎ始めます。
そんな中、秋月藩のため、その民ために、さらには、福岡藩の介入から守るために、自らを捨石になる決意を固め立ち向かっていきます。
グッときたシーンは、やはり、チャンバラ(笑)
仇討という名目で小四郎を討とうとする福岡藩の謀略。
さらに、その仇打ちの助太刀として16人。
一方の小四郎は助太刀を頼まず、一人で戦う決意をします。小四郎を思う女が小四郎の昔の仲間達に助太刀を依頼するも、今の生活や立場から、断られます。
小四郎は17人の相手と戦う事に..
そして、いざ、仇討ちの場所での決闘では...
昔の仲間達が助太刀にやって来て、一緒に戦うことになります。
このシーン、昔の仲間の想いにグッときました。
こうした福岡藩からの支配、確執を防ぎ、さらに秋月藩の民の為には自ら悪人になることを厭わず、生き抜いた小四郎の凛とした生き方が清々しい。
ということで、お勧め! -
時代小説好きにはたまらないと思う。さらに、どちらかと言えば男性向けかなぁ。
藩のために捨て石になり、憎まれ役を引き受け…そんな男の生き方。 -
いつの時代にも、どんな事象にも、どんな政策にも裏と面がある。
とかく若さは明るみに出ている正義の面だけを見て動きがちなのだけれど、老獪な大人に操られている危険がある事に気が付きにくい。
学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)。
むずかしい。 -
福岡藩の支藩を舞台に繰り広げられる藩内政争。流罪を言い渡され、晩節を汚す憂き目に遭って尚も泰然とする余楽斎の過去を描く。
「私は逃げなかっただろうか」
終盤の此の台詞が沁みる。今まさに落魄の最中にある人間を描いているとは思えぬほど清澄な余韻を残して物語は幕を閉じる。武士の誇りと云うものがあるのなら、本作の結末は、其の誇りの一つの有り得可き形なのだろう。 -
福岡藩の支藩である秋月藩の藩士、間小四郎の物語。家老の悪事から藩を守るため、本藩からの政治介入から守るため、時には謀議を企て、悪人になることも厭わず生きた。最後は流罪となるが藩のため民のためにを貫き、すがすがしい表情を浮かべる。「静謐こそ、われらが多年、力を尽くして作り上げたもの。されば、それがしにとっては誇りでござる」。政事に携わる者たちの思いを上手く描いた時代小説だ。
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自分の思いを貫き通す事の難しさを作者は教えてくれた
いつの時代になっても抗争は絶えない -
熊本旅行本。秋月は熊本ではなく福岡だけれど、九州つながりということで、積読だった葉室本を旅のおともに。
舞台は筑前秋月藩。若き藩士、間小四郎は仲間とともに専横の家老を糾弾する。その背後にある陰謀を知ったところからはじまる静かなる闘いの物語。
腕はたつけれども最強ではない。自分の弱さを知り、清濁併せ吞むかっこよさにしびれる。仇討ちの場面が2回。どちらも圧巻。
そして葉室本の魅力は脇役のいい男たち。家老の宮崎織部、柔術家の藤蔵、医師の香江良介。さりげないひと言が重い。
秋月城、目鏡橋。せっかくなので行ってみたいと思って地図で見たら、熊本からはけっこう遠かった。残念。次回以降に。
#熊本旅行本 -
福岡藩と支藩である秋月藩の興亡がものがたりのベースとなっている。本社と支社、親会社と子会社など、現在の会社組織に見事に当てはまる。
サラリーマンである自分自身の立場をオーバーラップさせながら読むことができた。
主人公の幼少期のトラウマと生き方が常に表裏一体でものがたりを一本の線で通している。
葉室作品らしいあっという間に読んでしまうストーリーである。 -
義母からいただいたので、読みました。ジャンル的には余り読まない時代小説ですが、この本を通して人気があるというのも理解しました。生きている時代は違えど、人として武士として生き方として、とても参考になりました。
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織部崩れの後に小四郎たちも崩れていくさまが政事の流れなのだなあと。読んでて名前を覚えるのに苦労した。
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いかにも葉室作品らしい、真っ直ぐな武士を描いた物語。義に殉じるようないわゆる武士道ではなく民衆の幸せを第一に考えて愚直に生きる主人ですが、これに立ちはだかる悪役の権力者達も決して一筋縄ではいかない面を併せ持つ。時代小説にありがちな勧善懲悪ではなく、正しく生きることの難しさを絶妙なバランスで表現されているところにいつも惹かれます。
石橋建設に関わるエピソードはどうやら史実らしく、福岡県の朝倉に今でも残っているみたいなので、一度見に行きたいな。 -
福岡の秋月藩の物語
清濁併せ呑むという覚悟に心動かされる -
淡々とした筋運びで、いまひとつ物語に入り込めなかった。登場人物やエピソードが多すぎて、私には消化しきれなかったのかもしれない。
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付箋
・おのれが弱いことを知っておる者はいつか強くなれる。お主がわしより臆病ならわしより強くなるだろう
・もし、いとがいなくなっても、葛はあの久助という男が作り続けるのではないかな。そうすることでいとのしたことは生き続けるのだ
・剣は無心でなければならん。命を捨ててというのは、逆に命にとらわれておるのだ
・自らの大事なものは自ら守らねばならぬ。そうしなければ大事なものは、いつかなくなってしまう。わたしは命がけで守るものがあって幸せだ、と思っておる
・孤り幽谷の裏に生じ 豈世人の知るを願わんや 時に清風の至る有れば 芬芳自ら持し難し 広瀬淡窓「蘭」 蘭は奥深い谷間に独り生え、世間に知られることを願わない。しかし、一たび、清々しい風が吹けば、その香を自ら隠そうしても隠せない
・目の前の敵がいなくなれば、味方の中に敵ができる
・どれだけ手が汚れても胸の内まで汚れるわけではない。心は内側より汚れるものです
・山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。ひとだけが、おのれであることを迷い、疑う。それゆえ、風景を見ると心が落ち着くのだ
・その静謐こそ、われらが多年、力を尽くして作り上げたもの。
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