夢のカルテ (角川文庫)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 606
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000786

作品紹介・あらすじ

銃撃事件に遭遇した麻生刑事は、毎夜の悪夢に苦しめられていた。心理療法を受けようとした彼は、来生夢衣というカウンセラーに出会う。若いが有能な彼女には、ある特殊な能力が秘められていた。他人の夢の中に入ることができたのだ。その能力を活かして患者の心を救おうとする夢衣と、凶悪犯罪に立ち向かう麻生。二人は次第に惹かれ合っていくが-幻想的な愛の中に四つの難事件を織り込んだ、感動のファンタジック・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 萩尾望都さんの『バルバラ異界』で、
    他人の夢に入り込む夢先案内人、という設定に夢中になった私。
    ブクログ仲間さんのレビューでこの『夢のカルテ』を見つけて
    これはもう、絶対に読まなくちゃ!と、早速借りてきました。

    雑居ビルの一室で、たったひとりでカウンセリングルームを営んでいる夢衣(ゆい)。
    毎夜、女性を襲う殺人鬼となった自分の夢を見る男性も訪れたりするのに
    かよわい女性ひとりっきりで大丈夫なの?と心配になってしまうのですが、
    彼女が他人の夢の中に入り込めると気付いたのは、なんと4歳の頃。
    女手ひとつで自分を育ててくれた母親と、少しでも長く一緒にいたかったから、
    というのがいじらしい。

    第一章『刑事の夢』で出会った健介と、さまざまな事件の謎を解きながら過去の傷を癒し、
    心を通わせていく物語なのだけれど
    愛する人の夢も覗き込める上に、心理学の素養もあるのだから
    彼の心をつかむのもさぞや簡単なのだろうと思ったら
    彼への恋愛感情は逆転移なのでは?とか
    彼が自分に寄せてくれる好意も、実は患者にありがちな陽性転移なのでは?とか
    カウンセラーならではの悩みの、なんと複雑なこと!

    映画やテレビの脚本を書かれていた高野さんらしく
    登場人物の輪郭がくっきりと際立っているので
    例によって脳内キャスティングが着々と進行したりして。
    夢の中を漂い、入り口となるポイントにすうっと身を滑り込ませる
    儚げな夢衣の姿を、ぜひ映像で見たくなる物語です。

    • まっき~♪さん
      まろんさん、こんにちは。

      高野さんって脚本かかれていたんですね。
      知りませんでした。

      この作品あまり目立たないけど私はすごく好きで自分の...
      まろんさん、こんにちは。

      高野さんって脚本かかれていたんですね。
      知りませんでした。

      この作品あまり目立たないけど私はすごく好きで自分の感情に悩む夢衣や
      カウンセリングして夢に入っていくシーンは、とても好きでした。

      ということは、萩尾望都さんの『バルバラ異界』も見る価値大ありですよね。

      『バルバラ異界』を探す旅に出なくっちゃ!
      (たぶんAmazonで買うでしょうが・笑)

      新しく読む作品が出てくると、うずうずしてしまいますね(o^∀^)
      2013/04/29
    • まろんさん
      まっき~♪さん☆

      まっき~♪さんはじめ、尊敬するブクログ仲間さんたちのレビューのおかげで
      手に取り、読むことができた本です。いつもありがと...
      まっき~♪さん☆

      まっき~♪さんはじめ、尊敬するブクログ仲間さんたちのレビューのおかげで
      手に取り、読むことができた本です。いつもありがとうございます♪

      そうそう、夢衣が夢の中に入り込むシーン、映像が浮かんでくるようで素敵でした。
      カウンセリングを進めるにつれ、
      夢衣が介入することで夢の風景が変わっていくのも、とてもおもしろくて。

      『バルバラ異界』、ちょっと背筋が凍るようなシーンもあるのですが
      夢先案内人とか、バルバラの雰囲気とかがとても素敵で
      読むたびに新しい発見がある本です。
      夢や精神分析やSFに造詣の深いまっき~♪さんに読んでいただけたら、
      萩尾さんファンの私としては、とてもうれしいです(*'-')フフ♪
      2013/05/01
  • 他人の夢の中に入れるという特殊な能力を持つ心理カウンセラーと刑事さんの恋愛ミステリー。

    心理カウンセラーとか精神科医とか心理学者とかってほんと大変だな。
    恋をするにも自分や相手の心の奥底を探ったり、なぜ相手に惹かれるのかなんてのを考えてしまうのだから。
    恋は理屈じゃないのに。
    それともそんなこと言ってるから世の中離婚率が高いのか?
    もっと自分の心や潜在意識を研究すべきなのか?

    とかいいつつも心理学ってなんか惹かれる。
    自分や相手の心の奥底をもっと知りたいってのはみんなが持ってる欲求だと思う。

    恋愛と犯罪が絡んでどきどきハラハラさせられて、一気に読んでしまった。
    面白かった。
    ほんと高野さんの小説はどれもハズレがないな。

  • 他人の夢に入り込める特殊な能力を持つ心理カウンセラー。
    さまざまなクライエントの心の奥底に眠る闇の根源を探る。
    象徴的にしか見えない夢の中。
    無意識下に閉じ込めた記憶は、その中には現れない。

    フロイトとユングの精神分析、間主観的夢、恋愛転移。
    この本では特に恋愛転移に重点を置いている。
    心理学に興味がある人には最適な一冊ではないでしょうか。
    でも、もっと丁寧に描いてほしかった部分もあり、少し残念でした。

  • 恋愛模様がちと古臭いが、しっかりとしたサスペンスでスリルある内容が楽しめた。相手の夢を見るには自分も眠らなければならないという無防備な状態、という設定も面白い。

  • 特殊な能力を持つカウンセラーの話。恋愛、心理、ミステリと娯楽小説としては十分。ちょっと心理部分は過剰かなという印象を受けたけれど、読みやすかったのであまり抵抗はなかった。

  • 高野和明氏の小説を読むのは二度目。
    来生さんの恋愛が完全にだらけるというかうわあああ恥ずかしい!となるような初々しさがあって途中で投げようかと思ったけど「自分が好きになるタイプはみんな同じ」=「自分を認めて欲しい部分を求めているだけにすぎない?」という悩みというか考える部分が出てきてからぐっと面白くなりました。
    最終的な落ちとしてはちょっとインパクト弱い上に最後の話がおいおいwとなる展開ではあったけど、集中して一日で読めました。

  • ラブ+ファンタジー+サスペンス小説。

    内容としては重くなく、さらっと読めますが、
    なかなか心に響くような言葉が使われていて、
    心に留め置きたい一文が何個か出てきます。

    きれいな小説で、心を洗いたい気分のときにぴったりの物語です。

  • 人の夢のなかに入れる心理カウンセラーの女性。4つのカウンセリングから成るストーリー。読んでいて気持ちのいい作品だった。恋愛要素多め。
    高野和明さんって色んなジャンルを書くんだなと少し驚き。

  •  題材が自分の好みドストライクだったのでこの評価(笑) 夢判断と刑事事件を巧みに絡めてあってすごく良かったです。学生時代に習った単語が続々出てきて楽しかったけど、専門家同士の会話としては不自然だな~という気はしないでもない。

  • 主人公の夢衣は他人の夢の中に入る事が出来るカウンセラー!
    全編にわたり心理学の話が散りばめられている。なんとなく松岡圭祐の千里眼を思い出した。

    本作の中に出てくる心理学用語で恋愛転移なるものがあるらしく、患者と医者が治療時に心を寄せ会う事で勘違いから相手に好意を抱いてしまう現象らしいです。
    主人公は終始、自分の恋愛についてこの転移を疑い、相手の気持ちにも何らかのトラウマが潜んでいる事を疑っています。
    しかし、私は人の好き好みは経験の積み重ねにより形成されるものでその経験に良いものもあれば悪いものもあるのが一般的ではないかと考えます。だから心理学的に言えば人を好きになるメカニズムに人工的なものが混ざっていても排除しなければいけないような事ではないと思います。
    『何も無い中で人を好きになるほうが不自然では無いか?』と主人公に問いたくなりました。



    続編がありそうな物語です。

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著者プロフィール

高野 和明(たかの かずあき)
1964年、東京都生まれの小説家・脚本家。日本推理作家協会会員。
幼少の頃から映画監督を志していた。ロサンゼルス・シティー・カレッジ映画科中退。 1991年Vシネマの監督を誘われたことがきっかけの中退で、帰国後は脚本家として活動した。
2000年に江戸川乱歩賞への応募を目的に書かれたミステリー『13階段』が、2001年第47回江戸川乱歩賞を満場一致で受賞。その後も脚本家として活動しつつ執筆活動を行っており、2011年の『ジェノサイド』が第2回山田風太郎賞と第65回日本推理作家協会賞(長編および連作短編編集部門賞)を受賞、「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」ともに1位に。本屋大賞ノミネートも果たしている。2013年に文庫化され、ベストセラーとなった。

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