吾輩は猫である (角川文庫)

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  • 角川書店
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本棚登録 : 642
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (578ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001011

作品紹介・あらすじ

苦沙弥先生に飼われる一匹の猫「吾輩」が観察する人間模様。ユーモアや風刺を交え、猫に託して展開される人間社会への痛烈な批判で、漱石の名を高からしめた。今なお爽快な共感を呼ぶ漱石処女作にして代表作。

感想・レビュー・書評

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  •  シニカルかつキュートなネコが、飼い主やその周囲に集う友人・知人たちを観察し、その様子を、しれっと悪びれない姿勢とナイスな毒舌で語る、11編からなる連作短編集です。  英語教師のくせに、貧乏・偏屈・半ひきこもりと残念な三拍子が見事に揃った、語り手ネコの飼い主である苦沙弥(くしゃみ)先生の小汚い家は、所詮は類友と言うしかない、個性的かつ、それぞれにどこか残念でおかしな要素を持つ友人数名の溜まり場になっています。  

    訪問者は友人だけではありません。偏屈で名の通った先生の家には、あるくだらない事件を機に先生を目の敵にし、夫とともにしょうもない嫌がらせをするようになる器の小さい嫌味な成金オバサンやその手下ども、先生宅に連日ボールを投げ込みまくって先生を激怒させるクソガキたちなど、招かれざる客も多くやってきます。  

    目の前で繰り広げられる、先生と彼らの滑稽で時々アホくさい遣り取りに、(心の中で)ツッコミを入れ、鋭い批評を加えていく、皮肉屋ネコの的確かつコミカルで斬新な表現は、ニヤリとしてしまう笑いから、ププッ!と思わず吹き出してしまう笑い、アハハッ!と大爆笑してしまう笑いまで、多種多様なたくさんの笑いを引き起こします。

     薄暗い虚無感や厭世観が影を落としている部分もありますが、それでも11編全体を通して見ると、笑いが勝っており、まるで、上質な落語を文字に起こしたような作品です。  そして、この小説の魅力は、鋭い人間観察だけではありません。

     こっそりつまみ食いした雑煮のもちを喉に詰らせてアワアワしたり、飼い主家族にバカにされた悔しさから生まれて初めてネズミを取ろうと駆けずり回ったのに結局うまく取れずにグッタリしたりと、所々に散りばめられた語り手ネコの猫らしい愛すべき振る舞いもこの小説の目玉の一つとなっています。

     かくしゃくとした文体と、現代ではすっかり廃れてしまった100年前の常識に基づく表現が多く見られるため、読みづらい箇所も多々ありますが、それを差し引いても、ユニークで面白く、笑える小説でした。

  • 漱石の作品群の中での評価という意味も含めて★4つ、単品なら★5つでも良いかと思う。
    非常に独特の空気をもっており、これに続き並び評される作品はそんなにないと思う。
    ただ漱石好きの当方の感想は、やはり「デビュー作」であるということ。
    異様なまでのテンションなど才気に満ち満ちているのだが、詰め込みすぎで脱線のきらいもある。
    良い意味での乱雑さとその後の作品にて徐々に洗練されていく変化を作家の成長・成熟と見るか才能の枯渇と見るかは正直好みの問題だと思うが、当方は前者の立場。
    でも良い作品、これは疑いようもない。

  • 漱石は猫に始まり猫に終わる

  • 再読。
    登場人物が個性的でとても愉快。
    苦沙弥先生と仲間たちが巻き起こす珍事件や、彼らの馬鹿馬鹿しい議論などを猫目線で毒舌でナレーション。まだ2歳程の猫なのに博識過ぎる。猫又の類か…。
    猫が登場人物を馬鹿にするので、つられて自分も馬鹿にしていたが、なるほど鋭い意見を述べる事もあり感心した。彼らは変人だけれど馬鹿ではなかったらしい。
    結末について前回も思ったが、長い話を読み登場人物に愛着が湧いてきたところで、猫が死んでしまうのは残念だ。

  • ママのおさがり

    Box2

  • 苦沙弥先生のような自若の中に天然を併せ持った性格は個人的にツボだった。そこに迷亭の飄々とした性格が合わさると尚面白い。

    高度な教養から高度な洒落が放たれて、反応できない所が多過ぎたが、漱石の俗人を寄せつけない天才肌を感じられて面白い。

    猫に人間哲学を啓蒙された気分になった。人間を皮肉っているが厭味がないのは、それが至極的を射ているからだと思う。
    100年以上経っても人間の本質は変わっていない、だからこそ色褪せず支持される作品だと感じる。

  • 猫の目を借りて作者自身を軽妙に諷刺する様子がなんともいえずおもしろい。西洋風の近代個人主義の発達に対する痛烈な批判も。

  • また途中で挫折です。
    これで何回目だろう^_^;
    今回はドラマの影響もあり、
    それなりに面白いと思って読んでたのにな〜
    途中から字を追うだけになっちゃった。。。
    気が向いたら続きを読もう。

  • 猫の視点で書かれた小説。漱石やみんなが集まって話している風景。
    泥棒が入った時など想像すると面白いと思う。とてもユーモアのある小説
    500ページくらい熱い小説。読みごたえが十分。

  • 猫から見た視点で、主人や友人など人間世界の様子が綴られている。人間は、滑稽だったり、妙だったり、おもしろいそうだ。当時の日本で文明が進むことにより起こる弊害を風刺しているようで、今の日本にも通じるところもあるみたいに思えて驚いた。この猫は、随分かしこくて、まるで悟っているように見える程だが、主人や友人などにあくの強い個性的な人物が多く飽きなかった。

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著者プロフィール

慶応3(1867)年、現在の新宿区生まれ。明治23(1890)年、帝国大学文科大学英文科に入学。明治28(1895)年から29(1896)年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。明治33(1900)年9月、イギリス留学出発。明治38(1905)年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載。明治40(1907)年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などを連載。『明暗』が未完のまま、大正5(1916)年12月9日、胃潰瘍にて永眠。

「2018年 『道草』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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