三四郎 (角川文庫)

  • KADOKAWA (1951年10月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041001073

作品紹介・あらすじ

熊本の高校を卒業後、大学進学のために上京した三四郎。
道中であった女性と一夜をともにする羽目になったり、電車が鳴らす鐘の音に驚いたり。戸惑うばかりの都会生活にも少しずつ慣れ、青春を謳歌する日々を送っていた。だが、大学構内の池の端で出会った女性・美禰子に抱いた恋心は、思い通りにはいかないようで……。
愛されようとしているにも拘わらず愛を得られない複雑な心理を描く。『それから』『門』へと続く初期3部作の序章。


※カバーの絵柄は(株)かまわぬのてぬぐい柄を使用しています

みんなの感想まとめ

都会に出て新たな生活を始める若者の心の葛藤や成長を描いた作品で、主人公三四郎は、東京の喧騒と新鮮さに戸惑いながらも、青春を謳歌する日々を送ります。美禰子との恋心や、友人との交流を通じて、彼の内面的な成...

感想・レビュー・書評

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  • 「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
    「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」

    新聞にこの一節が載っていて、ハッとしたのが本書を手に取ったきっかけです。
    漱石先生の本は、高校時代に授業で扱った『こころ』以来。さすがに普段読んでいる本と比べるとむつかしい部分も多く、数多の夜の睡眠導入剤となったのですが、今月は3冊しか読めていなかったので慌てて宿題を終わらせました。笑
    学生時代に他の文豪の作品も読みましたが、読みやすさでいえば漱石先生が一番。じっくり味わうとまではいかずとも、おおむねの内容は読み取れたと思います。

    明治時代の学生といえば、外国に追いつけ追い越せでさすがの向上心だと感心しますが、その一方でその学生生活はかつての自分に通じるものもあり……。都会の新鮮な空気に触れて田舎を疎んだり、一方でなつかしく思ったり。
    美禰子さんはたしかに都会的な美女ですが、個人的にはよし子さんの方がいい奥さんになりそうだなと思ったりもしました。無邪気でいい子だ。
    ただ、展覧会を二人で見て雨宿りをするシーンはとても絵画的でよかった。

    冒頭で引いた一節の他に、印象に残った文句をもう一つ。
    「三四郎は切実に生死の問題を考えたことのない男である。考えるには、青春の血が、あまりに暖かすぎる」
    この春から大学生という若者たちにも、ぜひ読んでみてほしいなと感じました。

  • かなり久しぶりの夏目漱石。明治後期の日本の大学の様子や若者の雰囲気も感じられ楽しめました。弁当箱を列車の窓から捨てる、、等当時の民度も興味深い。司馬遼太郎の「坂の上の雲」の描写等も思いだされました。何か大きな出来事が取り上げられるのでもなく、田舎から出てきた学生の日常や成長を描く青春小説という感じかな。

  • 前期三部作。ちゃんと読むのは実は初めてだったが…いいねいいね、これはいい。
    自分の学生時代を何となく思い出した。
    勿論、こんなに多彩な人たちが、周りにいた訳ではないが、いつの時代も青春ってこんな感じだよなぁと思った。

    三四郎の美禰子に対する言動が、段々と積極的になってきたところで、突然現れた紳士と結婚してしまう。
    ただ…美禰子の方も、三四郎を憎からず思っていたのではないだろうか…と言うのは、短絡的過ぎるだろうか。

    9月11日から授業が始まるから学校に行ったのに、誰もいない。学生課へ行って「いつから授業が始まるのか」と聞くと、9月11日からだと言う。でも、授業がやっていないと言うと、「先生が来ていない」と言われる。そこで三四郎は「なるほど」と思うのだが…いやいや「なるほど、じゃねーよ」みたいに、思わずクスリとくる場面もあり、文豪の書いたものだからと、ちょっと敬遠してしまうのは勿体ない。
    文章自体も読みやすいし、田舎から出てきた大学生の日常、と言う感じでよかった。

    ただ、与次郎。借りた金は返しなさいよ。

  • 与次郎の「人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」という言葉に共感。与次郎みたいな友達がいたら学生生活楽しくなりそう。

  • 久しぶりに読むと、こんなにも美しく面白い話だったかと驚いた。後期3部作の、人間の本質に苦悩する重苦しさとは全く別の、瑞々しく美しい情景描写に惹かれる。三四郎と美禰子の、互いに意識するかしないかの心の通わせ方、距離の感じが素晴らしい。最も印象深いのは雨宿りのシーンで、情景が目に見えるような透き通った美を感じる。
    多分、美禰子は三四郎に心惹かれるものはあったのだと思う。ただ、プライドか何かは分からないが素直にその気持を認められず、どっちつかずの態度を取らざるを得なかったのかと。三四郎がお金を返そうとしても中々受け取らなかったのは、無意識に繋がりを保っておきたかった表れではなかろうか。最後にお金を受け取った時、我はわが咎を知る、と呟いたのは、素直な気持を最後まで出さなかった自分を咎と称したのかと思う。stray sheepとは、時代の精神ともとれ、美禰子の自分自身を表した言葉とも取れる。

  • 大学進学のために上京してきた三四郎が、構内の池のほとりでひとめぼれした女性との顛末と、その周囲の人々との学生生活を描いた青春小説。
    美禰子という女性の知性的でミステリアスで、落ち着いた魅力に三四郎のみならず私まで惹かれてしまった。魔性感を感じさせない魔性の女だ。三四郎の気持ちにも気づいていたのは言うまでもなく、なんなら美禰子も三四郎のこと好きだったんだと思うけど、ああいう将来を選んだのは何故なのか。ストレイ・シープ。なんたる思わせぶりで危うげなことか。ヘリオトロープの瓶。四丁目の夕暮。ストレイ・シープ。
    偉大なる暗闇とか、哲学の煙とか、ほかにも印象的な言葉がいくつかでてくる。
    全体的に遅々として奥ゆかしく、もどかしくてしかたなかったんだけど、それがこの時代の恋の精一杯だったのかなぁ。

  • 基本的に淡々と話が進むが、美禰子と接する時のみゆっくりと感じる。細かな所作の描写が多いためだと考えた。
    262ページ、初めて踏み込んだ主人公と美禰子の対応がリアル。
    美禰子が主人公に惹かれてるのも主人公目線の描写により分かりづらいが解説ページで確信を得た。

  • 不思議と三四郎本人に共感というか、まるで自分事のように読めた。自分は三四郎タイプの人間だ。
    新しい世界に飛び込み、あれこれ思いを巡らせるけれど、どこか受け身で積極的には動かない。特に人間関係。
    人間関係も与次郎が持ち込んできたものを中心に成り立っていて、自分から友達を作ろうと積極的に行動したわけではない。故郷にいるおかんですら、未だに影響力がある。
    連れだって歩く時も、イベントに連れ出される時も、どこか傍観者。
    催し物に呼ばれて行くと、友人知人は自発的にあれやこれやと動いて、運営サイドにまわっている。自分はそれをはたから眺めるだけ。
    当然、人間関係の強いベクトルが向いてくる恋愛にうまく立ち回れるハズもなく…。
    なので「人間関係あるある」とも読めたし、自分に似通った明治時代の学生さんの生活を覗き見する感じでも楽しめた。
    「いや、もっと恋愛的な視点があるでしょ?男と女の心理とか見るべきところがあるでしょ?」と問われれば、なんとも言えないのだけど…。
    三四郎のようなニブチン(死語?)が読むとこうなる、ということで。
    ニブチンのうえ、長年合わない接客業についてしまったがために、もっと人間関係が疎ましくなってしまった。

  • 数十年後には三四郎にも青春の1ページとして思い出されるであろう甘酸っぱい失恋のお話。美禰子の心理描写が全くないのでその思わせぶりな態度は解釈に迷う部分もあった。美禰子のstray sheepという言葉が彼女の心の揺らぎを暗示する。三四郎がもっと早くに思いを告げていたら美禰子はその思いに応えたのだろうか。

  • しみじみ、いい。とぼけた感じの三四郎に、善意で行動力もあるが空回り気味の与次郎、光る言い回し、クセになる言葉づかい、プラトニックな男女。やっぱり漱石は好きだ。でも電車の窓からゴミをすてちゃあだめですよ。

  • 大学の時に初めて読んで、多分これで3回目かな。
    すごく、ぼやーっとした淡い恋愛(青春?)小説。まるでピンボケしたレンズで主人公たちの感情をのぞいてるような…
    でも次第に淡々としてられなくなって、溢れる思いを投げかける場面もあって、最後は、切ない!
    100年前の小説だから、当時の人にしか通じない話題もあったり、ところどころよく分からない言い回しがあるのも事実だけど、そこはスルーしても十分物語として楽しめる作品でした。
    これを機に他の夏目作品も読み進められたらと思う。(こころは高校の授業で読まされたけど、当時の自分には苦痛だったな笑)

    p95
    「風が女を包んだ。女は秋の中に立っている。」
    この一文がすごく好きです。

  • 恋愛小説をイメージして読んだけれど恋愛だけではなくて若者の上京物語といった色が強かった。
    新しい世界を知ってわくわくしたり人の気持ちを想像してやきもきしたり身の程を知ったりと時代に関係なく共通した若者の青春が眩しい。

  • 熊本から東京の大学へ上京してきた三四郎。

    大学構内で出会った女性に恋心を抱いたり、大学の授業の話しを仲間としたりと、いつの時代も青春とはこういうものか、と思いました。

  • 田舎から上京して、都会での学生生活に胸を踊らす三四郎の生活、周りの人から受ける刺激、妄想のなかでの淡い初恋を描く。
    非常にピュアですがすがしい。当時の学生生活ってこういう感じだったのだろうか。文学部の三四郎、理学部や哲学科の友人たち、さぞかし優秀だったのではなかろうか。
    田舎から出てきて変わってゆく部分、変わらない部分と三四郎の人間としての成長を描いている。単純なハッピーエンドではないところも良い。
    登場人物が少なく、数人といつもばったりと出会う。交通機関も発達しておらず徒歩の生活圏は狭い。
    漱石の文体はやや分かりづらいところもあるが、総じてさわやかで品が良い。

  • 主人公・小川三四郎が上京し、美禰子をはじめとしたさまざまな出来事に翻弄される話。
    三四郎は美禰子に想いを寄せていたが、結局恋がかなうことはなかった。
    大きな事件が起きるわけではないが、三四郎が出会う人はそれぞれに個性があって彼らに振り回される、切なくて愉快なお話でした。

  • 新年1冊目。
    夏目漱石はやっぱり風景描写が豊かだなと思った。空、木、街並み、ありふれたものを鮮やかに書いている。その描写が心情とリンクしているのが凄い。
    大層難しい話なのかと身構えていたが、実家を出て上京した者が実家と今を異世界に感じ、狭い世界で生きていたなと達者になりセンチメンタルになる話じゃないかと気づいてから読みやすくなった。難しい恋でもなく、淡い恋で終わった。
    原口が美禰子の絵を描いている時に言っていた、「心が外へ見世を出しているところを描く」という言葉が何故か印象に残っている。
    『それから』と『門』も購入したので、読むのが楽しみ。

  • 夏目漱石の取っ掛かりどころがわかってきたかも。物語、というよりは人生の一部を切り取ったような作風なのね。人生は、抗っても抗わなくても、奇跡は起きない。

  • 昔の人の小説は妙にディティールを細やかに表現する傾向がある様に感じる。
    意味があるのか無いのかは正直分からないが、少しでもイメージを伝えようとする姿勢を感じられる。
    100年以上前の大学生も、今と同じ感じだったのだなと身近に感じられる。
    激しい感情の表現はなく、淡々とした文章の中から主人公が何を、どう感じているかを読み取るのがよい読み方なのだろう。

  • 三四郎を中心に展開される当時の東京大学学生生活の描写が良い。
    三四郎と美禰子の関係が最初に読んだときは、良く分からないしあまり面白さも感じなかったけど、何回も読んでいるうちに面白くなってきた。漱石の作品はそういうのが多い。

  • 大学生の風変わりなスローライフが、森見登美彦作品感あって好きだった!

    途中から与太郎は小津と思って読んでた、笑笑

    また、好きな人と結ばれないオチも良いよね〜
    (結ばれるより、よっぽど深みがある)

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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