それから (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001080

感想・レビュー・書評

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  • 結婚は当人の意思よりも家と家の事情で決まる時代。
    また、不倫がリアル刑法犯だった時代。
    嫂、三千代、父、平岡、兄の順に一対一の対決を潜り抜け、代助は孤独への道を突き進む。

    明治の時代背景とともに、漱石先生の切り取る労働観が興味深い。
    労働はパンのためではなくそれ自体を目的としてなされるべきである。そんなカント的労働観を掲げる代助は無職で、パンのために親の脛を丸齧り。
    仕事を通じて現実社会に働きかけることこそ労働の意義だ。平岡は今日的でかつ教科書的労働観を以ってするが、会社のカネに手を付けるかなりグレーな(いや、黒い)生き方。
    労働は義務、天下や国家や社会のため誠実かつ熱心に労働に取り組むべき。父はいかにも”経営者”然としたことを言うが、その事業も叩けば埃はでるらしい。
    (怪しい)サイドビジネスをしつつ文学を志してライター生活を送る寺尾は、いつの間にか本業(?)の方でも守りに入ってしまっている。

    AIや働き方改革を持ち出すまでもなく、なぜ働くのかという課題には、現代人も向き合わざるを得ない。そこへ以って、100年前の先生からのこの意見。さて我々は。

  • 明治末の「高等遊民」を主人公にした小説。夏目漱石の前期三部作の2作目。大きな筋は一種の恋愛小説であるが、社会との関係、友人との関係、家族との関係など、いろいろな要素が盛り込まれた小説となっている。
    主人公と立場・状況は違うが、アンニュイな気分など、主人公の考えに共感できる部分も少なくなく、100年前の小説とは思えない新鮮さがあった。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    若き大助は義侠心から友人平岡に愛する三千代をゆずり自ら斡旋して2人を結びあわせたが、それは「自然」にもとる行為だった。それから3年、ついに大助は三千代との愛をつらぬこうと決意する。「自然」にはかなうが、しかし人の掟にそむくこの愛に生きることは2人が社会から追い放たれることを意味した。

    【キーワード】
    文庫・名作・友情・恋愛・青春


    +++1

  • 夏目漱石作品に外れなし‼︎の私としてはうーん今回の話はいまいちかなーと思ったけど終わり方が想定外で吃驚。

    そしてこの題名である。
    鳥肌が立った。


    ずーっと気になってたんです。
    この題名の意味するところはなんだろうと。

    まさかのまさかでした。
    題名だけで星1つ分増えた。

    そして『門』へ続く…か。


    今からだと気が急いでしまうから来年またゆっくり読もう。

  • 代助と三千代はこれからどうなっちゃうんだろう…。
    学校で映画を観るらしいので、その前にと思って読んでみました!
    三四郎とは全然違う雰囲気。
    門も読んでみたいと思います。

  • 『三四郎』に続く、夏目漱石の三部作第2弾。少し前に『門』を読んで感銘を受けたので遡るように本書も読み返してみました。装丁に惹かれて角川文庫版をチョイス。

    広く知られている通り、いわゆるニートのお話です。前半では友人を相手に「働いたら負けかなと思ってる」的な主張を敢然と展開しており、実にすがすがしいニートっぷりを披露してくれます。

    後半は漱石お得意の古めかしくも魅力的な女性が登場してきて、尻上がりにテンションが上がって(というか尻に火がついて)最高潮になったところで唐突に終わります。

    淡々と本を読んで、東京の街を散歩して、たまに人に会って他愛もない話をして帰って食って寝る。主人公の代助の生活スタイルはわたしにしてみれば憧れの極致です。特に本書の前半はニートな日常が著者独特の端正な文章でみずみずしく描かれていて、ただひたすら美しい。

    それでも代助に全面的に共感できるかというとそうでもありませんでした。きっと代助の持っている、根拠のない自信みたいなものが感情移入を妨げているのだと思います。もう少し卑屈になってくれれば共感もできると思うのですが・・でもそれだと太宰の世界になっちゃいますね。

    学生時代にも読んだと思うのですが、いまいち印象に残っていないのはそのあたりに理由があるのかもしれません。

  • 1995年 読了

  • タイトルは三四郎の「それから」というより、代助にとっての「それから」がテーマという重いテーマだと強く感じる結末だった。高等遊民いまでいう高学歴ニート。知性の豊かな主人公が世俗を馬鹿にする精神しつつ、現実に食うための仕事とのジレンマが「馬鈴薯か金剛石」という比較で表現される。嫂に「父も兄も馬鹿にしている」と喝破される。100年も前の小説でありながら、現代も変わらないと思う。三千代に告白する場面は緊張感があり、不倫へ進む心の動きの描写が絶妙。三千代が「残酷」という言葉が真に迫り、代助の罪悪感が現在の不倫ではなく、数年前の薄っぺらな友情による三千代を譲ったことにあることが、違和感というよりも、また漱石の人間描写の深淵を感じさせる。

  • 代助のふらふらとした生活に頼りなさを感じていたけど、三千代への思いを自覚してからの覚悟は 潔さがあっていい。こんな終わりかたをされたら 「門」も読まないわけにはいかなくなる‥

  • とても漱石らしい感じのした話でした。

    主人公の代助が颯爽と登場する冒頭は、なんとも滑稽でちょっと微笑んでしまうような感じだったのに、三千代に対する思いを自分で改めて認識してからは、とても痛々しくて哀れだった。

    まぁ、金持ちの坊ちゃんで、その割に変な理屈を捏ねるちょっと変わった人物ですが、この小説を読むと、無職の主人公でも好感がもてる。

    家族に勘当され、友人とも絶交されてでも、愛を貫き通そうとするには、昔も今も変わらないんだな~って思う。

    二人がやっとお互いの気持ちを分かり合えたのに、3年の間で作り上げた障害はとても大きすぎるだけに、二人の愛は昔以上に深まってるような気がする。

    3年前、平岡に本当の代助の気持ちを言って三千代と結婚してたら、そうではなかったかもしれないんじゃないか。とも思うけど。。。

    この二人は、その後どうなるのだろう。。。。

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プロフィール

明治、大正時代の小説家、英文学者。1867年、江戸(東京都)に生まれる。愛媛県松山で教師をしたのち、イギリスに留学。帰国後、執筆活動を始める。『吾輩は猫である』『三四郎』『こころ』など作品多数。

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