門 (角川文庫)

著者 : 夏目漱石
  • 角川書店 (1951年2月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001097

門 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この作品は、『それから』のそれからといった感じで、代助夫婦を、宗助夫婦に置き換えて、その顛末を描いたような作品である。俗世の人間を厭い、婦人にさえも信を置けない宗助は、苦悩の末山奥の禅寺へ入門するが「我」を捨てることを躊躇い、山を下って元の生活に戻るという話しだ。僕は話しの筋よりも、冒頭から70ページぐらいまで続く宗助夫婦の生活描写に魅了された。これが抜群に上手い!  

    崖の上で世を忍ぶように生活する夫婦の姿が、小じんまりとしているがさもしくなく、二人が住まう静謐した空気とゆるりとした時間が、作品内に絶妙に息づいている。素晴らしい!これだよ、これ!! 後日、吉本隆明さんの『漱石を読む』を本屋で読んでいたら、吉本さんも同じ箇所を絶賛しておられた。小説を読んで、同じ箇所で心が動いたことが、何とも嬉しい。

  • 宗助とお米は、穏やかでお互いに思いやりを忘れずに暮らしている。
    その所作や何気ない一言一言は、素直に理想的と思えるものであり、美しい。

    そのようにしてふたりが深く結びついているのは、ふたりがふたりのみ世間と距離を置いて暮らしている、暮らさざるを得ないが故。

    そんなふたりは、それでもなお、分かり合えない余白を残している。
    その余白が宗助の不意の一言をきっかけに現れた時、人ごとで無いような怖さが湧いてくる。

    夫婦の美しさと哀しさを感じるこうした描写が胸を打つ。

  • 新潮版の『門』も読んでいるのだけど、再読がてら出版社を変えてみる。
    装丁のきれいな文庫本。(画面表示のランプのイラストも可愛いけど!)

    読み進める内に、私の中では漱石で一番好きな作品であることに気付いた。
    『それから』のストーリーも好きだったけど、宗介とお米の、自分たち二人だけの寂しい仲睦まじさは私には好ましくも映る。
    しかし、一緒にいるからこそ世間的には後ろ指をさされる矛盾した苦しさもまた、分からなくはない。

    二人だけの世界に、弟が入り、叔父の息子が関わり、家主と懇意になったところで、宗介を破綻に導く安井の名が挙がることの運命。

    そうして、同じ悩みの淵には「立てない」と取るのか「立たせたくない」と取るのか、宗介は安井の名をお米には出さないのだった。

    そこで、悟りによって救いを求めるため、禅寺の山門を叩く。
    普通なら、ここで彼は何らかの救済や解決のフラグを立てるはずである。
    けれど、漱石は動かさない。
    門の前で、進むことも退くことも出来ず、ただ宗介はじっと途方に暮れている。

    でも、私はこのシーンに救われるのだ。
    何の解決にも救済にもならず、禅寺で過ごした時間はただの無駄だったんだ、と自嘲する宗介に、果てなく共感を覚える。
    『それから』でも、『こころ』でも、己の苦悩に対し、一定の動きによる解決をはかり、エンディングを迎える。
    けれど、動かない結末が、私は好きだ。

  • 前期三部作、やっと読み終えました。

    後期三部作へ続きましょうか。

  • 夏目漱石3部作 第3作
    主人公の宗助が出家していく。

    門とはその境を暗示している。

  • 前期三部作と言われる三作の中では世間的評価が最も低いかもしれないが、それはこの作品が恋愛成就後の現実を描くからだろう。
    二人は共犯者としての過去を共有するが、その罪をそれぞれに見つめた結果、ある意味最も遠い存在同士になってしまう。
    それでも人生は容赦なく回り続けるため、その現実を受け入れ、慣らされていく(そして時に過去に慄く)。
    この作品は決して諦めを描いているのではなく、生きるということの本質を抉りだそうと漱石がもがいているのだと思う。

  • 深すぎて私ごときには全く理解できませんでした。というかそれこそ、この作品を真に理解すること=悟りを得ること、なんじゃないだろうか。とすると私のような俗な人間じゃ到底無理だー・・・。

  • 『三四郎』『それから』に続く、前期三部作最後の作品。親友であった安井を裏切って、その妻である御米と結婚した宗助が、罪悪感から救いを求める様を描く。

  • 独特の閉塞感と諦観に、暗い息苦しを味わった。他の作品も読み直してみたいと思った。

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