こゝろ (角川文庫)

著者 :
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感想 : 565
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001202

作品紹介・あらすじ

「自分は寂しい人間だ」「恋は罪悪だ」。断片的な言葉の羅列にとまどいながらも、奇妙な友情で結ばれている「先生」と私。ある日、先生から私に遺書が届いた。「あなただけに私の過去を書きたいのです…。」遺書で初めて明かされる先生の過去とは?エゴイズムと罪の意識の狭間で苦しむ先生の姿が克明に描かれた、時代をこえて読み継がれる夏目漱石の最高傑作。解説、年譜のほか、本書の内容がすぐにわかる「あらすじ」つき。

感想・レビュー・書評

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  • Kの死、先生の死、彼らは、自分のあるがままを受け入れることはできなかった。
    恋は、罪悪だとも神聖だと言った先生。
    人のこころが、時として善にも悪にもなると解るのなら、倫理としての誠実さを善の積み重ねで都度悪を消していけば良いではないか。残された人の気持ちを思うと、切ない。

    今の時代を生きる私は、読後そのように感じたが、
    大真面目に生きている彼らの時代に流れている
    "明治の精神" を理解するのは、難しい。

    • ドラ小瓶さん
      heuchera29さんへ
      こんにちは!私もこの本読みました!今、若い人たちに人気が出てきてるみたいですね!
      何回も読み返していきたい一冊だ...
      heuchera29さんへ
      こんにちは!私もこの本読みました!今、若い人たちに人気が出てきてるみたいですね!
      何回も読み返していきたい一冊だなー
      ところで、わたくし事ですが、フォロワーさんが101人を突破いたしました!ありがとうございます。
      と言う事で、フォロワーさん101人突破のある感謝企画をします。
      その名も「あなたにピッタリのオススメ本、選書します!」企画です。
      名前の通り、heuchera29さんに、ピッタリ!と言う本を私が選書し、オススメするというものです。
      突然なので、「は?何やってんの。」となるかもしれませんが、「ぜひ選書してもらいたいな!」と思ったらここにコメントしていただけると幸いです!
      よろしければおねがいします。
      小瓶より
      2021/08/09
  • 有名すぎて今更レビュー書くまでもないけど。笑

    これは多分昔一度読んでるなと思いながら読んだけど記憶が曖昧で、大方学生時代に感想文を書くために読んだというところだろうと推測。
    でもこの物語の深み、中高生の時に理解出来てたかな?と思った。

    「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」からなる長編。
    奇妙な友情で結ばれている先生と私。ある日先生から私に遺書が届き、初めて先生の過去が明かされる。そこには、エゴイズムと罪の意識の狭間で苦しむ先生の姿が在った。

    「こうなってしまったのは自分のせいだ」と思う出来事は生きていればけっこうな確率で起こる。些細なことから、人の命が関わることまで。
    その罪の意識を抱え続けるのはあまりにも苦しいから、大抵の人はそれを薄れさせる図太さと時間に身を任せる。そして実際だんだんと忘れていく。
    だけどそれが出来ない人間もいて、先生はそういう人間だったのだと思う。
    それは物凄い自己陶酔でもあると思うけれど、本人にしてみたら逃れられない思いなのだろう。
    もしかしたら頭では色んなことを理解していたかもしれなくて、起きてしまった出来事も様々な要素から成っていて自分一人の責任ではないことも先生は分かっていたのかもしれない。でも頭では理解出来ても“こころ”が許さない。人の心は、思うようには操れないから。

    先生の奥さんは本当に何も気づいてなかったのか?とひとつの疑問。ある程度勘の鋭い女なら気づきそうな気がする。
    でもそれは男性作家の作品だから、善良すぎて鈍感な女性として描かれているのかも。

    そしてこの装丁が素敵。昔の純文学の小説がちょくちょくこういう装丁で売られてるから、ついつい買ってしまうという罠が。笑

  • 高校生の時に国語の授業で読んで、「向上心がないものはばかだ」って流行ったのを思い出しながら読んだ。
    今回は丁寧に字引もしたから読了に時間がかかった。

    大人になったから、高校生の時には「ふーん」程度に思ってたことが自分のことみたいにスッと入ってくる。人間の汚さや嫉妬心がこの何年間かで染みついたと思うと悲しいけど、大人になるってそういうことなのかな。
    取られたらどうしよう、あいつも好きなのかよっていうそういう気持ちをこういう浅い言葉じゃなくて、うねうねした重いパンチで書いてくれる夏目漱石やっぱりすごい。村上春樹読んだときは「頑張ったらこれくらい思いつきそう」って舐めてたけど(実際にはもちろんできないよ)夏目漱石の真似は到底できないと感じた。多分同じものを見ていても見方や感じ方がわたしとはだいぶ違う。
    出る杭だなと思った。

    小説の何が嫌いっていちいち感情移入しちゃうから読んでいて疲れて嫌いなんだけど、読み応えがあるから止められない。

  • 何回目かの再読。

    カリスマホストの書評に「他の男に対して威嚇し、マウンティングを取りたい先生が、お嬢さんをそのための道具として結婚する、現代においては賞味期限の切れた話」というようなこと(かなり要約したがズレてないつもり)が書いてあった。

    「高尚な文学作品」を、このように扱われると怒り出す人もいるだろうか。
    かくいう私の前回のレビューにも、内容については割と似たようなことを書いていて、思わず、えっ、私こんなこと書いたっけ?と驚いてしまった(笑)

    誰かが自分の人生を決めることが当たり前だった世の中から、自分が自分の人生を決めることの当たり前に移ってゆく。
    先生とKがその先駆けだったとすると、「私」の時にはそれがもっと敷衍していたとも言える。
    「私」にとって実父は田舎の悪習でしかなく、先生こそが新時代のお手本として、上・中は展開する。

    しかし、先生もKも故郷を失った人間だった。
    そういう意味で、二人は同じ「寂しさ」を抱えていたのではないだろうか。
    先生はKを「人間らしく」するために奮闘するわけだが、その実、二人ともきれいなまま、自分として生きることを誰かに認められたかったようにも思う。
    結局、それは恋という形で、お嬢さんに向かうしかなかったのかもしれない。

    私はずっと、乃木大将の自殺と先生の自殺に何の因果があるんだろうと、疑問に思っていた。
    時代の終わりって、何なんだろう、と。

    乃木大将は、忠君という、誰かによって自分の人生を決める時代の象徴だったのだろうか。(言い方が難しいけれど)
    先生とKもまた、そんな時代に抗おうとする一方で、個人として生きてゆくことの「寂しさ」を抱え続けてきたのかな。

    一途すぎる二人の大学生と、友人を亡くして後もきれいであろうとする先生を見ていると、今回の再読は苦しかった。
    死を選ぶことで解放される、そんなエンディングは人間に何を残すんだろう。

    作品に賞味期限は、ないと思う。

  • 生きていた三十五年が苦しいか、また刀を腹へ突き立てた一刹那が苦しいか、どっちが苦しいだろう…


    妻の記憶を純白のままに保存してやりたい、というのは先生の卑下とエゴだな… 私は女なので、お嬢さん(妻)の孤独を考えると、たとえ若き日の清い記憶が汚れたとしても共有して欲しいと思ってしまう。妻が「今」を生きているのに対して、先生が「過去」を生きてしまってるがゆえに起こるすれ違いだと思った。

    でも、苦しみを誰にも共有せず自ら孤独になろうとする先生やK(や漱石)に共感する部分もある。その不器用が己の弱点なのだと、頭で理解しててもどうにもできないのが不器用なんだよね。読んでてなんだか苦い気持ちになった。

    解説にある通り、この作品を読むときに問われるのは、もはや他人の人生ではなく、私の生き方の方なのだ。きっと、重ねて読むたびにまた違う響きをもって、私の心に訴えかけてくれるのだろう。

    (2020. 8. 16)


  • 2020.06.27 読了
    名作と呼ばれあまりにも有名なため、今更ながらとなかなか手が出せなかった本。人間らしい心の描写が丁寧で、時にその激しさに苦しくなる。

  • 心に染みるセリフが多くありました。

    一番自分に響いたのは、先生が主人公に言ったセリフで、何度も何度も読み返しました。そして、素直に涙が出ました。


    “私は過去の因果で人を疑りつけている。だからじつはあなたも疑っている。しかしどうもあなただけは疑りたくない。あなたは疑るにはあまりに単純すぎるようだ。私は死ぬまえにたった一人でいいから、ひとを信用して死にたいと思っている。あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。あなたは腹の底からまじめですか。”

    人を信じたくないけど信じたいという相対した矛盾を感じるこのセリフが、切なくて素直で人間らしいと思いました。

    私もなかなか人に腹の中を見せない質で、交友関係も狭い領域に鎮座しています。
    別にその事を卑下している訳ではありません。きっと死んでも変わらないと思います。

    でも、生きていく中でこんな言葉を掛けてみたくなる人に出会えるのは羨ましく、素直に共感しました。

    それに、こんなに長い遺書を書ける人生は美しいと感じます。後悔や苦悩の上に成り立つ人生は生きていくかいがあると思いました。

    幸せな人生と捉える人は少ないと思いますが、私はそんな人生を歩んで殉死した先生がひどく美しく儚く見えて、なんて豊かな生涯だったのだろうと胸が熱くなりました。

    けれど、やっぱり主人公に打ち明けて死ぬところも人間らしく可愛らしいと思いました。

    また読み返したい作品です。

  • 10年以上も前に一度読みかけて挫折してから、ふとしたきっかけで手に取って再読。今度は一気に読みきった。
    その違いは、自分が10年の間に年齢を重ね、いろいろな人と出会い、関わり、苦い複雑な思いを経験してきたからだろう。



    この物語は、エゴイズムと倫理観の葛藤の物語であり、明治という旧い日本的価値観と西洋から入った新しい個人主義の葛藤の物語であると解釈されることが多い。

    その辺の文学的な解釈は専門家に任せるとして、この話には、
    <ある日偶然出会ったその人を「先生」と呼び、慕う「私」。その先生は、過去に好きになった女性(現在の妻)を得るため、同じ人を好きになった親友のKを裏切り、死に追いやってしまった罪悪感に苦しみ、明治の終わりに自ら死を選ぶ>
    というあらすじから抱く印象以上の、繊細で複雑な心の機微が含まれている。
    人によってどこがこころを揺さぶるかは、きっと違うのだろう。



    私は、「先生」のこころに、とても共鳴した。してしまった。

    先生が抱くある意味とてもエゴイスティックな孤独感と愛への渇望、それゆえ赤の他人である「私」に「遺書」という形でしか自分の心のうちをさらけ出せなかった哀しさ。(当然、妻に知らされることも想定してのことだろう。本当に墓場に持っていく気なら、遺書など書く必要がないのだから。)それでもエゴイスティックになりきれない、中途半端な潔癖さ、その狭間での葛藤。先生が感じた、人間の罪、自分を含めた人間への絶望と希望。

    私がもし先生と同じ立場だったら、きっと同じ道を辿っただろう、そう思う。



    序盤で「私」が先生を評した次の言葉が、こころに響き、先を読ませた。

    人間を愛しうる人、愛せずにはいられない人、それでいて自分の懐にはいろうとするものを、手をひろげて抱き締めることのできない人、――これが先生であった。

    これはまさに、私の一面だったから。



    ※読書リハビリ中につき、書き溜めていたものを放出中

    レビューブログ:http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-520.html

  • 10年ぶりに読んだけど昔読んだ時と感じ方が違くてこれだから読書は最高だなと思いました!!!
    時折入る植物の描写が好き。精神の動きの描き方が丁寧で手に取るようにわかる。また10年後に読みます。

  • お嬢さんのことを考えたら罪を背負っても生きていかなくちゃ。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石⑥-3 吾輩は猫である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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