人もいない春 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001264

作品紹介・あらすじ

小さいころから執念深く、生来の根がまるで歪み根性にできている北町貫多。中卒で家を飛びだして以来、流転の日々を送る貫多は、長い年月を経てても人とうまく付き合うことができない。アルバイト先の上司やそこで出会った大学生、一方的に見初めたウエイトレス、そして唯一同棲をした秋恵…。一時の交情を覆し、自ら関係破壊を繰り返す貫多の孤独。芥川賞受賞作『苦役列車』へと連なる破滅型私小説集、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 短編小説集。特に何も残らないが読んでいるぶんには面白い。鼠が主人公のような小説も書けるのが意外だった。

  • 自分のこと(だと思われる)をここまで客観的に書けるのってすごい。

  • 短編集。私小説で有名な西村賢太だが、中ほどに収録されている「悪夢ー或いは『閉鎖されたレストランの話』」は創作ものである。同氏の多彩な文才を実感させる、秀作である。この一遍のためだけでも本書を手に取る価値はあるだろう。

  • 北町貫多 パレット ソープランドに行く為の積立資金 日雇いの湾岸人足仕事 件の職工に見咎まれる 歪み根性 醜女の部類 余裕の舌舐めずり 金輪奈落の憎しみを抱いてしまう 鬱憤が蓄積 睥睨 潜在的に抱いている雰囲気を、敏に感じとってしまった。 イニシアチブ ろう弄し 肉慾の計画 排斥はいせき 無能視 疎まれて 瞬間興醒め 飯田橋の厚生年金病院裏のアパート 青春を、十全に謳歌 これで彼奴は一生土方だと嗤ってあたらしく 不快な予言 屈辱の澱 インフェリオリティーコンプレックが再度頭を擡げてくる 鶯谷 諦観めいたものを抱きながら 脳を麻痺させる為にも 顰めっ面 異常な嗜虐の虫 嗄れた声 ゲテモノによる、グロテスクなマンズリをな 蔑んで 所詮は性根の糞袋 上野桜木町 強烈なカタルシスめいたもの 陳腐な言い草 彷徨いぶり 懲罰的な報い 嘆願して 憑き物が落ちた 甘くプラトニックな焦れったい恋情 一穴主義 新宿一丁目の豚小屋めいた八畳間の自室 自分の積年の理想像 生来短気で我儘者 能登の七尾 化粧函 何か痛々しそうな口調 勇足 哀れみをこめた目 岡惚れ アングラ劇団員 邂逅 サルモネラ菌 捨て身の復讐 更地 乞食の糧途 大学出でインテリの秋恵 成就 相思相愛 常に感謝と尊敬の念を忘れず 忘恩の質 本性が極めて冷血にできてる男 覚束ぬ 赤い脳梁 旧花園町の一角の、八畳一間の豚小屋 仔細しさい 立つ瀬 成程 爾来 興を喚起せしめてきた 清楚 邪推が妙に嬉しく 埋没 境遇 絶対的な自負 甘美な優越感 ブルマーなんて最低だよ。あんなの、一種のセクハラだよ 催しものよし 三白眼 劣情 萎えて 想起 興醒め 徹宵てっしょう 沽券 シフトを組んで 当日欠勤 ルル 微熱の範疇 破顔 邪慳 恬然と甘受 結句は変に拗らせ 欠如 芝公園で狂凍死したある私小説作家の月命日 潜伏期間 越後の辺りで客死 位牌 檀家 煩い 練り梅 頑是ない童女みたいな表情 殊勝な気持ち 瞼 聖母像めいた高貴な厳粛さ 訝しく 苦役列車 勝手に貫多とオーバーラップ オブラートに包まないブラックな感情 ズボラ 人一倍 鏤め 脱帽 失うものはもう何もない 酷く孤独で残酷 滑稽さ マイノリティ 存在することでの主張、圧力のようなものを感じます。 パフォーマンスと呼ばれてもいい 南沢奈央

  • 『だめんずウォーカー』的面白さといえばよいか。仕事仲間に対する卑下する態度、秋恵に対する酷い態度、金銭に対する著しいルーズさなどなど、貫多の屑っぷりを味わう私小説である(脚色はあるだろうが著者の体験を基とすると、、、なかなか恐ろしい)。

    (登場人物の方々には申し訳ないが)貫多の小市民的破天荒さは娯楽作品としては面白いのだが、文学作品として見た場合『どうで死ぬ身の一踊り』と比べると言葉選びの推敲がやや稚拙な印象を受けてしまう。従って、十分に面白いが、少し辛めに4点に近い3点。

  • おもろい。笑った。

  • テレビに出てる作者をみて興味をもったので読んでみた。自分勝手だけど少しの温かさを持ってる主人公がなかなか良かった。彼女がやさしすぎ。
    主人公関係ないけどネズミ目線の短編が激しかった。
    kobo


    親類を捨て、友人もなく、孤独を抱える北町貫多17歳。製本所で短期契約のアルバイトを始めた貫多は、持ち前の自己中心的な短気さと喧嘩っぱやさでまたしても独りになってしまう……。話題の芥川賞作家の渾身作!

    内容(「BOOK」データベースより)
    小さいころから執念深く、生来の根がまるで歪み根性にできている北町貫多。中卒で家を飛びだして以来、流転の日々を送る貫多は、長い年月を経てても人とうまく付き合うことができない。アルバイト先の上司やそこで出会った大学生、一方的に見初めたウエイトレス、そして唯一同棲をした秋恵…。一時の交情を覆し、自ら関係破壊を繰り返す貫多の孤独。芥川賞受賞作『苦役列車』へと連なる破滅型私小説集、待望の文庫化。

  • 西村賢太の読者にはお馴染みの秋恵と同棲中の日記。秋恵シリーズも数冊読むとパターンが判ってくるんだけど、マンネリズムの心地良さで、ついつい読んでしまう。

    一編だけ秋恵とは全く関係ない、小動物を擬人化した話があり、これはこれで新たな一面として新鮮かつ面白かった。

    しかし、一人の作家にこれだけ嵌まり、立て続けに購入するなんて滅多にないので、やはり好きなんだなぁ。

  • 中卒で家を飛びだして以来、流転の日々を送る北町貫多。一時の交情、関係を築きつつも必ず最後はメチャクチャに破綻してしまう彼の孤独な姿はそのまま自分自身の裡にあるのではないかと思い、彼の作品を読んでます。

    ここには短編集がいくつか納められていて、そのうち、『悪夢―或いは「閉鎖されたレストランの話」』以外はすべて自分自身の体験から生まれた私小説です。『人もいない春』では印刷会社の職工に些細なことで絡んで悪態をつき、雇用の契約が延長されずに解雇され、タクシーの運転手にまで当り散らし、『二十三夜』では男女のことでトラブルを起こし、大喧嘩の末に店を追い出されたり、『乞食の糧途』では同棲する秋恵との危うい生活が描かれます。

    その秋恵を『赤い脳漿』で彼女のトラウマとなっている交通事故で目の当たりにした人の脳漿にそっくりなマーボー丼を彼女に食えと強要させ、しかし『昼寝る』ではパート勤めの秋恵を心配したところで、結局お約束の展開となる彼女への罵倒となるのですが、ここではなぜか、二人の関係がよくなってしまいます。それにしても、何で自分がここまで西村賢太作品を読み込んでいるのかといえば、自身の体験したこともその一部にあるということと、彼自身の分身である北町貫多のしでかした人間関係の破綻が、そのまま自分の人生の人間関係の破綻と重なる部分があるのではなかろうかと思っております。

    どこがどうだとは具体的には申し上げませんが、今後も北町貫多の人生の軌跡を追っていきたいとともに、自分自身のことを少しは見つめて聞きたいなと思っている昨今でございます。

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プロフィール

1967年7月、東京都江戸川区生まれ。中卒。
2007年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を、2011年「苦役列車」で芥川賞受賞。刊行準備中の『藤澤清造全集』を個人編輯。文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』を監修。
著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾かかえて』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『小説にすがりつきたい夜もある』『一私小説書きの日乗』『東京者がたり』『棺に跨がる』『無銭横町』『形影相弔・歪んだ忌日』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』などがる。

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