戦友の恋 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001288

感想・レビュー・書評

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  • ”完璧な小説だ。”とは北上次郎さんの文庫解説の冒頭の文。
    これは単行本の時の感想で、装丁・挿画・造本等はこの原稿を書いている文庫版がどうなるかは判らない。と書いている訳だが、この文庫は「北上さんの解説まで含めて完璧」だ。
    漫画原作者の主人公佐紀と同年齢の編集者玖未子との関係を描いた小説だが、実は冒頭から仕掛けが施されている。
    六話の連作短編の中で時間は過ぎ行き、あっというまの20年前後を描いている。
    話の終らせ方が実に巧みで、短編にありがちな「それからどうなった?」と思わせないところがいい。それでいて、解説によれば「それから」が描かれた小説もあるらしいからニクイな。

  • 恋愛小説と思うと構えてしまう自分がいて、というのはそれを読んで感じ入った記憶が殆ど無いからであって、本作も入手してみたものの、なかなか手が出なかった作品。”読むのが怖い”で大森氏も絶賛しているのを見て、それならばってことでトライ。で、これがまた素晴らしかったんです。やはり出色は表題作だけど、それ以外も色んな人間模様が描かれていて、バラエティ豊かで○。サラッと読める分量だけど、しっかり余韻を残す物語でした。

  • おもしろかった

  • 泣ける。漫画原作者×編集者(百合要素)

  • 読み終わってすぐ、もう一度読んだ。
    淡々と語られる、大島真寿美の文章は心地よい。

    1行目にして“生前”という単語が出てくる、亡き友を偲ぶ物語だ。

    親友の玖美子の他にも、別れや、別れの予感のようなものに満ちている。
    元彼、すなわち、既に別れた人との食事。
    親友との思い出の場所のオーナーは、病に倒れ、入退院を繰り返し、確実に弱っているように思われる。
    それに伴い、想い出のその店も、なんとなくもう潮時を迎えていそうな…

    逆に、死んだと思っていた音信不通の人がひょっこり現れたり、偶然、幼なじみに再会したり。

    平凡な一日は、しかし健やかな一日でもあり、友の死につづける世界の中で、ヒロインは毎日生き続ける。
    毎日が繰り返されるという事は、今日が終わり、明日が再生されること。
    輪廻転生のように、新しい若い人たちに、かつての自分と戦友を見る。
    喪失と再生の物語だ。

    ちょっと気の毒だったのが、玖美子の後を引き継いで、担当になった編集者、君津。
    ちょっと、この作品の中では場違いに元気が良く、感情もはっきりしている。
    ある意味、異端分子?
    良いアクセントを添えているのだが、しかし完全なつなぎの立場だった(笑)
    そんな君津も成長した。
    良い作品でした。

    あと、佐紀が食べる、漬物やお魚といった和風ご飯が何気にとても美味しそう。
    リズのぺペロンチーノもにんにくの香り立つようで食欲をそそる。

  • 読書部課題図書その17

  • 2014.07.22.

  • 著者作品の中で一番!と
    あとがきに大絶賛されていた作品。

    主人公はマンガ原作者で
    その彼女を発掘し、育てた
    編集者が亡くなってから
    立ち直る話。

  • 漫画原作者である佐紀(あかね)はデビューより共に戦ってきた編集者の玖美子を突然の死により失う。喪失した中でスランプにおちいり、淡々と日々をこなす佐紀が、幼馴染、新しい編集者、元彼などと接し、何気ない穏やかな毎日をすごすことで、徐々に緩やかに立ち直っていくお話。喪失やスランプがあったとしても人間は生き続ける。立ち直るのに、特別なことがあるわけではなくて。何気ない日々の生活を描かせたら、大島さんに勝る人はいないのではないだろうか。酸いも甘いも知った年だからこそ、その中であきらめの心境もあり、複雑なんだけど、これが大人というものなのかなと思う作品でした。連作短編集。

  • 変わってしまったかつて行きつけのライブハウスで、自分の歴史を知らない若い女子の横に座り、変わってしまった味のペペロンチーノを食べながら、昔の思い出に耽る。この年取った感がいい。戦友のような友人を突然亡くしてからの日々が淡々と綴られる本書。生きてる彼女は年を取るのだ。優本!

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。

「2018年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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