丘ルトロジック4 風景男のデカダンス (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001486

作品紹介・あらすじ

唐突に世界が終わってしまう、という妄想をしたことはあるだろうか?-いつものように都市伝説"ビッグフット"を取り返す計画を立てていた丘研メンバーたち。だが江西陀は沈丁花桜の「世界を取り返す」という言葉に不安を感じ、オカルトとして彼女の正体を調べようと、桜丘に相談してきた。一方歓楽街オアシスではカルト集団"セントポーリア"が超巨大勢力として復活し、"黒ミサ"がおこなわれ!?最後の丘ルトが始まる-。

感想・レビュー・書評

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  • しばらく積んでしまっていた丘ルトロジックの最終巻をようやく読み終えました。
    相変わらず江西蛇さんはえろいです。

    子供の視点からみる理不尽なオトナ達から自分たちの世界をとりもどすという視点が、個人的になんとなくなつかしの宗田理さんのぼくらのシリーズを思わせるかんじでありますが、非情にいいリズムで最後まで駆け抜けたいい作品だと思います。

    ネタばれしてしまうと面白くないので内容にはあまりふれませんが、とても好きなライトノベル作品でした。作者の次の作品にも期待したいです。

  • “こうして、この異常なマゾは完成してしまった。本来はそうでなかったはずなのに、自分を責め続け、自らをそうさせないと壊れてしまうから。
    蜂須は目を爛々と輝かせ、目尻に涙を浮かべながら嗤う。
    「そして俺の居場所は無くなった。沈丁花の隣には出島がいる。お前は沈丁花にベッタリだ。それに何より、お前に合わせる顔が無かった。お前に謝るのが恐かった!だから俺は、そのままオアシスに逃げ込んだんだ。笑っちまうだろ、笑えよ。屑って罵ってくれ、頼むよ、俺はそうしてもらわないと、生きていちゃいけないんだ……っ!」
    「そんな事ない、そんな事ないよ!私こそ、自分の事しか考えてなかった!蜂須くんが苦しんでるのに、疑問にも思わなかった!最低だよ、私……。私なんて、誰からも愛されないなら、いっそ生まれてこなければ良かったのに……っ!」
    萩先輩は両手で顔を覆い、ただ必死に謝り続ける。
    「ごめんなさい、ごめんなさい……。私なんて、生まれてきてごめんなさい……っ!」
    本来は幸せに生きる事が出来たはずの二人が、互いに存在しない罪を謝り続ける。たとえ相手が許しても、自分だけは自分を許せない。そんな負の連鎖が、永久に続いていく。
    それはもう、救いようがない風景だった。
    蜂須はついに萩先輩の元に辿り着き、倒れこむように萩先輩の小さな身体を抱く。
    「すまなかった、本当にすまなかった!許してくれなんて言わない、俺の事なんて軽蔑してくれていい!だから——」
    そして、蜂須は自分の弱さと向き合い、新しい一歩を踏み出す。

    「今度こそ、俺にお前を守らせてくれないか。もう二度とお前を離さないから……っ!」”[P.293]

    好きだなぁ。
    叩き付ける感じの言葉の応酬。
    終わりが早かった気もするけど締まりはいい感じに。これくらいが丁度いいのか。
    青色マゾ蜂須くんがハーレム状態に!
    これが一番意外だったかも面白い。
    香澄ちゃんが良いとことってった。この子好き。
    エロい恰好良い江西陀ちゃん可愛い可愛い。
    新作早くに出ると嬉しいな。

    “今はどんな言葉が来ても、何も怖くない。俺はこの人に負けることは絶対にない。
    しかし、沈丁花先輩の言葉は本当に、予想を超えて俺の運命を支配したのだ。

    「江西陀クンは、去年の春頃からキミのことを、ずっと一途に異性として好いているぞ」

    ——は?
    衝撃的な事実に絶句する。いきなり誰?江西陀?あの残念エロ女?
    一瞬、目の奥に火花が飛び散る。動悸が止まらない。えっ、ちょ、まっ。
    そんなの、いくら何でもオカルト過ぎる!!
    「う、嘘でしょう、あり得ない!どうなんですか、代表!?」
    「信じるか信じないかは、あなた次第です」
    その言葉を最後に、完全に通話は切れてしまう。

    リダイヤルを何度押しても、沈丁花先輩に連絡が繋がることは二度となかった。

    茫然として、俺は丘研の部屋に戻る。
    「おっ、長かったッスねぇ。誰からの電話だったんスか?」
    俺が戻ると、一番に江西陀が手をヒラヒラ振りながら笑顔を向けてくる。
    エロいことばかり考えていて、誰にでも馴れ馴れしく下ネタを振っかける美少女。
    でも一番身近にいて、一緒にいるだけで毎日が楽しくなる、俺の親友。
    ……嘘だよな。だったら今まで、こいつ、えっと、——すげぇよ。
    オカルトだとか、芸術だとか。くだらないと思う。ハッキリ言って、どうでも良い。
    しかし、俺たちは本当にその呪縛から逃れられるんだろうか。いかに科学が発達したところで、真実の見えない事象は、神秘は確固として存在するのだ。

    俺は言葉を探し、視線を色々と彷徨わせ、江西陀に恐る恐る質問をしてみる。


    今だけはとりあえず、まずはその神秘<オカルト>を信じてみることにした。”[P.338]

  • 最後まで無茶苦茶だった。だが、他のラノベでは決して無いような展開・結末で、そこが素晴らしかった。

    風景を病的に愛する咲丘とオカルトを病的に愛する沈丁花は江西陀が咲丘に相談してきたことをきっかけに対立する。

    1巻を超えるぶっ飛び度で今回は今まで頼もしい存在だった沈丁花が立ちはだかる。
    これだけでもビックリなのに、兄貴は死ぬし、メインヒロイン失踪な上に主人公ではなく男友達ポジションである変態マゾがハーレム形成という多分一生お目にかかれない結末。
    本当に「このライトノベルがすごい」。ここまでアクが強いとむしろ清々しいレベル(?)とても人に勧めようとは思わないけど。

  • もっと読みたかった気がするけど、それくらいがちょうどいいのかもしれんね。大団円、ではないかもしれないけど、好きか嫌いかで言われれば間違いなく好きだ!!
    あと、個人的な思い込みなのだけど、香澄はテンガロンハットなロックより、ヴィヴィアンウエストウッドなロックのが似合う気がするw

  • 「オカルト」という言葉の意味は
    「雑誌の『ムー』に載っているようなの」と思っていて
    改めて辞書をみてもよくわからない
    日本語でいうと「神秘」なのだが「神秘」って何なんだ
    「浪漫」も同じようなものだが
    結局「ファンタジー」という便利な言葉が全異を含んでしまうかもしれない
    「科学」だって「サイエンスファンタジー」だと思うのだが
    宗教だって科学だって芸術だって同じ技術ではあるけれど
    それを思うとおりに用いられないのが当たり前であるのが人間ではある
    レトリックという体系化はできても万に活用できないのは善悪正否を超えた経験則
    そういうようなところをわかりやすく伝える良い作品だった
    小説としてはすごくないかもしれないが好きな作品

  • 【あらすじ】
    オカルトとは何かを芸術と自然の観点からいい合う。

    【感想】
    面白かった。特に二回目に読んだ時にストーリーとは別のオカルトとは何かという作者の考えがよくわかった。こういう考え方もあるのかと思った。風景は好きだけど、こうはならないだろうな。
    あと、ツイッターとInstagramの組み合わせで、実際にシステムとしてはLLDはできそうとは思う。知ってやっているのかは知らないけど。
    承認要求しかない世界だった。

  • 前巻のレビューで描いてた代表の正体や蜂須の過去だけでなく、萩ちゃんのこともわかったのがよかった。
    予想のできない展開とか、扉絵で代表と敵対することはわかったけど、どうやってなるのか、ワクワクして読めた。
    まさか蜂須ハーレムが形成されるとは思わなかった。ハッピーエンドかというと難しいところだけど、江西陀ちゃんが報われそうな気がするのでよしとする!

    少し短い気もしたけど、同じ作者の作品が出たら読みたいと思う。とても面白かった。

  • 丘研において誰も触れなかった謎.
    代表っていったい何なのか?
    というわけで最終巻です.
    面白かったんだけどちょっとクドかったわ.
    そしてアレだ.
    「雛芥子から沈丁花まで,打撃混成接続」
    が脳裏をチラチラして.
    丘研を乗っ取った?風景男のラブコメ的なものは今後起こるのだろうか?

    デカダンスって聞くとどうしても刑事ダンスと変換されて
    デカレンジャーのエンディング曲が脳内再生されるんだ.

    注意力散漫だな.
    ホッホッホ,アタナの注意力は三万ですが
    私の注意力は53万です.この意味がおわかりですか?

  • どっちもどっちですな。  
    世界はもっと単純だ。 力を持っていない人にとっては。  
    代表には力があった。 代表の力に対して風景男は無力だった。  
    風景男には力がある。 風景男の力に対して代表は抗えない。  
    力なんて無い方がいいのだ。   力の代償を受けたのだ。  
    理解されたいとか思った時点で敗けなのだ。  
    考え方については代表に共感できるものがあるけど、風景男はさっぱりですわ。  行動についてはまぁナンセンス極まりないね。  まぁでも行動しようと思ったことはいいんだけどね。 力があったからね。
    なんだったんでしょうね……。  
    たぶん、叫びたかったんでしょうね。  色々と。    はた迷惑ですな。  
    江西陀が良かったなぁ。  ロックンローラーも最後に叫んだし。   
    全然めでたしめでたしじゃありませんね。

  • 若いうちにこの作品を読んだとして、
    どこまで理解し受け入れることができたでしょうか。

    人命がかなり軽く扱われている点は微妙ですが
    堂々たる完結で素晴らしかったです。

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