握りしめた欠片 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.03
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本棚登録 : 148
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001660

作品紹介・あらすじ

東北の都市、海斗市から沖合5キロの泥洞島。7年前、姉の美花が行方不明になった。高校2年だった。それ以降、父は休職し、母は新興宗教にすがる日々。家族は崩壊してしまった。そんなとき、島内にある観覧車から従業員の死体が発見される。被害者の所有していた小型船から見つかったのは、いなくなった姉の携帯電話だった…。複雑に絡み合う事件の真相とは。失った家族の絆は取り戻せるか。心揺さぶる、感動の傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • ジャンルとしてはハードボイルドかな? オビは家族の絆推奨ですが、正直それ一押しという感じはしませんでした。でもでっかい意味ではみんな家族なのかな? 絆、は強くあります。
    家族の絆ということなら主人公は行方不明の姉を探し続けている家族(の中の弟とお父さんがメイン)になりますが、全体を通しての中心人物は杜間さんではないかな。杜間さんは舞台になっているガードと呼ばれる繁華街の雇われ代表(笑)人生これ受け身、というふうですが、どっこい実は骨太です。
    沢木作品にしては珍しく、この人が根暗ではない。なんとなく、ケセラセラ精神の持ち主という印象で、陰惨な話なのに読んだ後にきっとやり直せるような気にさせてくれます。
    ハッピーエンドなのかそうではないのか難しいところですが、一つの物語が終わってもまた次が始まるのだと思わせてくれる、この読後感が沢木作品は不思議なほどリアルに近いです。
    いいことだけでも悪いことだけでも物事は終わらないんだよ、と言われているような。そうそう物語ってこういうものだよね、と読んだあとの満足感がハンパないです。
    全体評価では☆5なんですが、沢木作品の中ではいい話だけどすごみには欠けるかな? ということで4つ。でも本としては十分☆5です。(じゃあ5をつければいいのに)

  • 「家族の絆に目頭を熱くした」って帯に書いてあったんだけど、何かの間違いじゃないかと思うほど内容が想像と違った。
    家族ものというよりヤクザもの?
    家族なんてほとんど出てこないし…
    背表紙のあらすじに騙されたとしかいいようがない。

  • 沢木冬吾作品現状、未読最後の1作。

    家族の物語という解説、裏表紙のあらすじなんやけど、そういうくくりは誤解を生むと思う。閉鎖された島での殺人事件と復讐そこに巻き込まれた主人公の成長譚、という風に俺は読んだが?

    沢木作品らしい、いぶし銀の展開がありつつも、ちょっと尺足らずでもうちょっと掘り下げて欲しいキャラクターや事件がいくつかあった。泥洞島の背景とか杜間の過去とか芒親子の絡みをもう少し丁寧にとか…。

    それにしても沢木さん、もっと作品書いてほしいぞ

  • 作者の力量は認める。筋の展開もほとんど読めない。ぐいぐいと読ませる。しかし読んだあとで忘れそうな物語

  • 沢木サンの描く「男」って魅力的で、時々、ハードボイルド作家風間サンを思い出すなぁ。藤間いいわぁ~♪1つの島の壮大な利権がらみと島の怪しい人々の話だけど・・・私は好きだったなぁ。

  • 特殊な場所、意味深な登場人物、過去の失踪、結構な素材が揃っているのに活かされてないような。 読むより映像で見た方が面白い気がした。

  • 何組もの複雑すぎる事情を抱えた親子が錯綜してそりゃもう大変。自分の小さい灰色じゃないお脳ではついて行くのにいっぱいいっぱい。
    あとでもっかい読むことにする。

  • 面白かった。・・・だけど、あともうちょっとって感じが否めない。登場人物の個性がいまいち薄い感じがした。

  • 霧雨のような静寂感 独特の雰囲気

  •   人は夢を見る、見えない未来に。その未来がどんなにくだらないか分っていても、どれ位くだらないか見るために生きる。そこに希望の欠片を見いだせれば、それを握りしめ未来に夢見る。

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著者プロフィール

1970年、岩手県花巻市生まれ。99年、『愛こそすべて、と愚か者は言った』で第三回新潮ミステリー倶楽部賞・高見浩特別賞を受賞。他の著書に『償いの椅子』『天国の扉』『ライオンの冬』などがある。

「2012年 『握りしめた欠片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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