野蛮なやつら (角川文庫)

制作 : 東江 一紀 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 159
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001745

作品紹介・あらすじ

舞台はカリフォルニアのラグーナ・ビーチ。2人の若者ベンとチョンは、幼なじみのオフィーリアとの友好的な三角関係を愉しみつつ、極上のマリファナの栽培と売買で成功を収めていた。だがメキシコのバハ麻薬カルテルが彼らのビジネスに触手を伸ばす。傘下入りを断った2人に対し、組織はオフィーリアを拉致。彼女を取り戻すため、2人は危険な賭けに出るが-。鬼才ウィンズロウの超絶技巧が冴え渡る犯罪小説の最進化形。

感想・レビュー・書評

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  • わーいウィンズロウの新刊だ!今度はどっちかなーとページをめくったら、ハイな方で、主人公が犯罪者の方で、分量は少ない方でした。好きな方のウィンズロウじゃなかった。

    東江さんの訳だったからすごく期待したのだけど、いつになく文章がぶっとんでるというか、冒頭のざけんなの精神にのっとって正しいとされる句読点やらなんやらにざけんなしちゃったのか。読みやすいけど。めちゃ軽いエルロイみたいに感じたけど。

    三人組があんな関係性で、ラストがああだからこそ面白いんであって、あれが三人なりのハッピーエンドなんだからいいんじゃないかな。むしろあれ全員無傷とかだと80年代の映画みたいじゃないの。

    あとがきに続編云々書いてたけど、フランキーマシーンはともかく犬の力とはあまりにノリが違うんじゃないかな。
    また黙って次回作を待とう。

  • こりゃ凄いわ!「ざけんな」(F**K YOU.)の一言のみ、あとは空白の1ページ目に始まり、ラストまで文字通り息もつかせぬ全力疾走。類い稀なる頭脳と戦闘力を持ち、やってることは極上の大麻製造販売にトリップしながらのセックス三昧なんだけど、3人が魅力的で惹きつけられる。久々に小説でぶっ飛んだ。

  • これは暴力の詩だ。常に変化を求めるドン・ウィンズロウがたどり着いたひとつの極北。それに応える翻訳も、爽快な冴えを見せる。日米のエンタの差を感じたのは、ヒロインのキャラクター。オーは女の魅力全開で、日本の魔法少女とだいぶ違う。中で「明日に向かって撃て」のオマージュが登場するが、最後にヒロインのオーはキャサリン・ロスのように一人しぶとく生き残る。こんな強さもある。

  • 文体がエルロイみたいになって来た。

  • ドン・ウィンズロウの作品をこの本から読み始めてしまうと、この作者の本はもう読まないと思ってしまうのでは。

    たまにはこういう作品もありかな、そんな感じで読んだ。
    必ず、ヒット作を作るアーティストは、どうも嘘っぽく感じてしまうので、
    この作品のように新しいことにチャレンジするアーティスト・作家は好きだ。

    詩的な要素(ラップ?)が入っているのだが、全く伝わってこない。
    ただ、ストーリーのテンポは好き。世界観も。

  • メキシコのハバ麻薬カルテルが絡む話ですが、『犬の力』のような重量級を期待すると外されます。
    多彩な人物達の思惑が絡み、終局へ向かっていく面白さは有りましたが、日本語訳では伝わりきらない文体に、リズムを狂わされます。
    原文で読めたら、その辺りも面白いのでしょうが・・・。
    映画版のレンタル開始が楽しみです。

  • 「エルロイ」を狙ったのか?
    でもまぁイイや

  •  あれ? と思う。また、マフィアの話か。若手主人公たちによるハチャメチャなノワールか。メキシコのバハ・カルテルが出てくるのか。この世界に関しては、ウィンズロウは、あの有無を言わせぬ大作&傑作『犬の力』で、頂点を極めたのではなかったか?

     カリフォルニアのラグーン・ビーチでマリファナの栽培に手を染めるベンとチョンにオフィーリアを入れて、まるで『明日に向って撃て』や『俺たちに明日はない』みたいな、男二人女一人のトライアングルを構成し、どんな力にも屈せず自分たちで無法の王国を切り拓こうとする無鉄砲でロマンチックなチームがストレートに疾走するこれは物語である。

     多くの血が流れ、銃弾が飛び交い、ねぐらが焼け落ち、女たちがレイプされ、男たちの手足がバラバラにされる世界。コロンビア・マフィアとのコカイン戦争だったり、メキシコ・マフィアとのマリファナ戦争だったりの掟のない世界。傘下に入らなければズドンの容赦なき世界。それでいて輝く太陽と青い海に囲まれた叙情詩的でセンチな世界。若くても夢が持て、その代償が予想を超える残虐さで返される可能性が極度に高い世界。ウィンズロウが傑作『犬の力』で描いたはずのそんな世界が、また本書でも繰り返される。

     その意図はよくわからない。しかし、違いは明確である。『犬の力』が散文であるとするならば、『野蛮なやつら』は、まるで<詩>だ。

     とことん既製の決まりごとを破壊してみせる小説が、他にないわけではない。ジェイムズ・エルロイが、かのLA四部作の掉尾を飾る『ホワイト・ジャズ』でついにやらかした文体破壊には、1996年当時驚かされたものだ。絶賛を浴びたあの文体破壊は、日本でも馳星周のデビュー作『不夜城』において活用されるが、当時日本の小説としてはショッキングなスタイルで綴られはしたものの、まだまだ若干遠慮がちな破壊であった。しかし、本書の文体破壊は、また、なんと言う……。

     そう、ウィンズロウは、かつて『ボビーZの気怠く優雅な人生』で疾走感に溢れる文体での、比較的短い長編小説を披露してみせた。普段はニール・ケアリー・シリーズなどでたっぷり感のある大作をいっぱい書いているけれども、こんな芸当だってできるんだぞ、とばかりに、テンポのいい、リズム感に溢れる、まさにバイオレンス小説であった。文章も内容も破壊的だった。まるで小説界のサム・ペッキンパだった。

     ところが『ボビーZ……』を遥かに凌駕した形で、さらなる崩しをやってのけ、さらなる疾走テンポ、リズム感満点の、音楽を聴くように読む小説、というやつを作ってみせた。ある種の快感さえ得られる、マリファナみたいな(経験はないけれど、きっと…だろう)本が出来上がってしまったのだ。

     一種、軽い、と言われてしまうかもしれない。しかし、内容は『犬の力』なのだ。スピードアップしたビルディングス・ロマンだ。高圧縮された大河ロマンだ。軽い。早い。短い。しかし、三人の若者たちの友情と、パワフルな指向性と、壮烈な闘いと、そしてそこはウィンズロウ、青い海に清潔なビーチがある、他に比類のない傑作がここに出来上がってしまったというわけである。その意味は非常に重い、と思う。

  • 疾走するDQN。ビートはDQNのためにある。詩も哲学も最先端のテクノロジーも、全てはDQNたちが繰り広げるエンターテイメントのためにある。
    良かったです。映画も観ます。

  • ウィンズロウ新作ということで期待したが、フランキー・マシーンの冬には遠く及ばない。映画の脚本を読まされている気がした。オリバー・ストーンの映画の方はトレーラーを観る限り期待できそう。

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著者プロフィール

ニューヨークをはじめとする全米各地やロンドンで私立探偵として働き、法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ。

「2016年 『ザ・カルテル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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