ザ・コストカッター (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001981

作品紹介・あらすじ

名うてのリストラ屋・蛭田明は、米系投資ファンドによって極東スポーツの社長として送り込まれ、苛酷な大リストラを敢行。社員の首を次々と切る一方、短期間で株価をつり上げて私腹を肥やす。そのカラクリを見抜いたカラ売り屋「パンゲア」の北川靖が、ニューヨーク・ハーレムの子どもたちのあと押しを受け、全面対決を挑む。現代の資本市場を舞台に、強欲に踊る人々の栄華と末路を描いた問題作。

感想・レビュー・書評

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  • カラ売り屋「パンゲア」の北川と、リストラ屋「極東スポーツ 社長」の蛭田の対決。
    ワンマン経営の不正を暴いていく北川の姿が、まるでミステリーの謎を紐解いていくようで、とても面白かった。

    アメリカ、日本、メキシコなど多くの都市が舞台として登場し、その都市の歴史や特徴などを詳細に記述しており、多くの知識を得ることができる。
    また、実在の企業や人物なども登場し、その記述も興味深い。

    企業の「再建王」坪内寿夫、「再建の神様」大山梅雄にも大きな関心を持つことができた。
    最後に、経済・金融用語集がまとめられており、小説の内容の理解を深めることができる。

  • 本書をどう読むか?所謂、リストラ屋と称されるコストカッターの実態とリストラクチャーされる企業側の悲哀を浮き彫りにした物語として読むことも出来る。カラ売り屋の北川も不正を暴く正義漢として描かれるが、所詮カネ儲けの手段としてヒルのように喰らい付いているだけといえばそうとも言える。(事実、最後に儲けたのは米国投資会社とカラ売り屋である)読後感もあまりよろしくないし…但し、逆説的に企業がかくあるべきというかリストラ屋では、会社がよくならないことを暗示している点では共感できる。

  • カラ売り屋 対 コストカッターの話

    経済小説を読みたくて手に取った。きっかけは「この経済小説がおもしろい! 堺憲一」。上記本おススメの「エネルギー」を買いに行ったが書棚になく代わりに購入。

    ミステリーのように楽しく、かつ勉強にもなる内容だった。金融の仕組みを巧みに用いた内容であるが金融専門外の自分が読んでもサラリと分かりやすい。会社はこんなに単純なことで財務の数字をいじり世間を騙せるものかと驚く。
    仕組みとしては単純ではあるが外部からすぐにそのことに気づくのは難しい。社内のモラルによるところが大きいと感じた。ここに近年増える社外取締役の意義があるのだろう。
    この仕組みの中での問題の一つがストックオプション制度。これまで経営陣、従業員のモチベーション高める良い仕組みであるというようにしか捉えていなかった。しかし財務の数字をいじれる人がストックオプションを持つと問題を生じると可能性があると分かった。

    また黒木亮の他の小説にも挑戦してみたい。

  • 不振の企業に着任した経営者とカラ売り屋の話である。

    描写として特徴的なのが、経営者が悪で、カラ売り屋が正義となっていること。着任した経営者はアナウンスメント効果で株価を上昇させるが、結局売り上げをごまかし、最終的には粉飾してしまう。
    カラ売り屋にスポットライトが当たる面白い小説だった。

  • 【No.247】「世の中には人種や肌の色や家柄で相手を見下したりする馬鹿な人間がたくさんいる。でもそういう人間は、結局どこかでつまずいている」「 希望退職者をつのると、優秀な人から辞めていく。残るのは沈みかかった泥舟であってもしがみつかなければならないような人ばかり。そういう会社は悲惨だ」

  • 数字しかみない雇われ経営者は現場を見ないで意思決定をしがち。人間味のない決断を連続して下すと優秀な社員が離れ企業が崩壊する。ベンチャーキャピタルのマネーゲームは人も企業も不幸にするね。

  • カラ売り屋と企業再生請負人の攻防についてのお話。
    他の作品同様、臨場感があり好きです。
    作品としてキレイにまとまってるとは思うが、テーマに魅力を感じれなかった。

  •  株価をつり上げるためだけに雇われた蛭田明は、更なるリストラを断行する。歴史があり世間から信頼されていた企業ブランドは地に落ちる。一時的な株価上昇という目的は達成するかに見えるのだが、蛭田のリストラの影響は甚大であった。不自然な株価上昇、社員の困惑、社会に与える影響などについてはカラ売り屋の北川の目を通して語られる。企業の社会における役割を見失うことがいかに不幸なことであるのか、そんな当然のことも強欲投資家たちにはわからない。

  • カラ売り屋vs企業再生請負人を描いた経済小説。ビジネスや人物の描写の仕方がリアルで、惹き込まれてしまいました。面白かったです。

  • カラ売り屋とリストラ屋の対決。
    会社のコアコンピテンシーって何やろうと我が身を振り返り再考させられる良本。
    やはり人材と人材を育てられる文化なんだろうな、というのが私的結論。

    スピード感があって良かった。

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プロフィール

1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『エネルギー』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

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