ザ・コストカッター (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001981

感想・レビュー・書評

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  • 日本の会社の一部では企業価値を高めるために海外投資ファンドから厳しい提案を示されるケースが見られるものの、海外の会社のほうが手厚い処遇で従業員に優しいことも多くなった昨今、時代背景は変わってきたように思えるものの、一方、日本の企業の生産性の向上は待ったなしということは間違いないのではと感じる。その実行には優れたリーダーが必要と考えるが、本作では私利私欲にまみれたステークホルダーにより会社が破壊されていく様子が描かれている。リストラ屋社長の生い立ちやハーレムの子どもたちに語られる作品最終部は、社会問題意識が喚起される読後感を残した。

  • ファンドに買収されたスポーツシューズメーカーが、コストカットで経営を再建してきたというプロ経営者を雇い再建に乗り出すも、コストカッターの実態は株価の釣り上げのための無茶なリストラを行うのみで、結果的にはカラ売り屋に見破られ、プロ経営者は追い詰められていく。

    コストカットが賞賛されつつも、それにより崩壊する組織の様、証券アナリストの推奨コメントの当てにならなさ、証券会社の儲け方など非常に勉強になった。

    また黒木亮的な人間描写は毎度ながらお見事。

  • 最初のタイトルは「リストラ屋」だった。
    この作品にも「カラ売り屋」のパンゲアが登場します。

  • 数字しかみない雇われ経営者は現場を見ないで意思決定をしがち。人間味のない決断を連続して下すと優秀な社員が離れ企業が崩壊する。ベンチャーキャピタルのマネーゲームは人も企業も不幸にするね。

  • シビアすぎて、現実感のない経済小説だ。企業再生経営と称して理不尽なレベルのコストカットを強い、株価を上げて報酬だけもらう。それは本当のハイエナである。
    後味の悪いことこのうえなし。

  • カラ売り屋と企業再生請負人の攻防についてのお話。
    他の作品同様、臨場感があり好きです。
    作品としてキレイにまとまってるとは思うが、テーマに魅力を感じれなかった。

  •  株価をつり上げるためだけに雇われた蛭田明は、更なるリストラを断行する。歴史があり世間から信頼されていた企業ブランドは地に落ちる。一時的な株価上昇という目的は達成するかに見えるのだが、蛭田のリストラの影響は甚大であった。不自然な株価上昇、社員の困惑、社会に与える影響などについてはカラ売り屋の北川の目を通して語られる。企業の社会における役割を見失うことがいかに不幸なことであるのか、そんな当然のことも強欲投資家たちにはわからない。

  • 空売り屋とリストラ屋の攻防を描いた、空売り専門のパンゲア&カンパニーのシリーズ。

著者プロフィール

黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

「2021年 『カラ売り屋vs仮想通貨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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