罪火 (角川文庫)

著者 : 大門剛明
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年4月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002360

作品紹介

レトルト食品工場に勤める若宮は鬱屈を感じていた。花火大会の夜、少女・花歩を殺めてしまう。花歩は母・理絵とともに、被害者が加害者と向き合う修復的司法に携わり、犯罪被害者支援にかかわっていた。13歳の娘を殺された理絵のもとに、犯人逮捕の知らせがもたらされる。しかし容疑者の供述内容を知った理絵は真犯人は別にいると確信。かつて理絵の教え子であった若宮は、殺人を告白しようとするが…。驚愕のラスト、社会派ミステリー。

罪火 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 花火大会の夜、ひとりの少女が殺害される。
    殺人犯である若宮と、被害者の母・理絵。
    何故若宮は少女を殺害したのか。
    若宮の心情を丁寧に描いていくことで、物語はより深いものになっているように思う。

    事件の真相はいったいどこにあるのか。
    すべてを知る若宮は、けっしてそのことを明かそうとはしない。
    けれど、徐々に真実へと近づいていく理絵。
    そして、若宮を取り巻く人間関係。

    修復的司法という言葉を初めて知った。
    加害者と被害者が対話をすることで、本当に被害者の痛みが和らぐのかはわからない。
    どの程度有効だと思われているのかも、実際にはわからない。
    けれど、この物語ではこの修復的司法というものが大きな鍵となっている。
    最後に待ち受けていた真相には驚かされた。
    事件当時、たぶん若宮はとても不安定な状態にあったのだろう。
    母親の死、突然の告白、そして裏切られたという思い。
    若宮のしたことはけっして許されることではないけれど、真相を隠し通そうとしたことを思うと切なくなる。
    もう誰にも傷ついてほしくなかったのではないだろうか。
    いつもながら、大門さんの物語は読みごたえがある。

  • 二転三転するストーリー、最後に明かされる真実、面白かった

  • デビュー作『雪冤』に続く、社会派ミステリーの第二作。

    ミステリーとしての仕掛けも上手いのだが、それ以上に加害者と被害者の断ち切れぬ連鎖というデリケートな問題を前面に出し、強く訴えて来るものがある傑作。

    二転三転する展開からの結末には納得し、安堵するのだが、振り返るとみると、その結末に哀しみを覚えるという不思議な後味の作品。

    『雪冤』でも思ったのだが、本作もまた薬丸岳の一連の作品のような味わいの社会派ミステリーである。

  • 加害者の若宮忍と、被害者の母親で小学校の校長を勤める町村理絵。この二人の視点が交互に切り替わりながら物語が展開されていきます。殺害に至った経緯と、事件の当事者たちの心情がリアルに描かれています。
    最後に大きな仕掛けもあるので、ミステリーとしても楽しめる内容ですが、展開が多少強引かなと思います。

  • 被害者が加害者と向き合う修復的司法というテーマにした叙述ミステリー。

    途中、だらだらとした展開がないのでさくさく読めるのはいい。
    しかし、それぞれのキャラクターも心理描写も結末に至る伏線もどうも厚みがなく、活きていないような気がした。

    それでも社会に存在する課題に切り込んだ作品としてはいいのではないでしょうか。

  • 「VOM」という言葉は時々雑誌等で見かけた事がある。偽善的な行為ではないか、と思わなくもない。読み始めた当初は特にそう感じた。被害者のためといいつつ、結局は加害者側と仲介者の自己満足の行為でしかないのではないか。

    <ネタバレ>
    「罪火」を読み進めていくうち、いつしか加害者が自分の罪への反省を深めていく姿に、徐々にではあるが、この罪人が「ひと」らしい姿に映っていく。そしてラストは...。読んでいる側すら救われる様な思いだった。加害者が自分の罪を真に自覚し、後悔するのは、自分に未来があると心の底から思った時であった。加害者に罪を償わせるという行為がなければ、加害者自身も救われないし、自暴自棄な状態では罪を自覚する事すらないのだな、と。また、赦すという行為で断ち切らなければ、いつまでも復讐・恨みの連鎖は終わらない。
    しかし、現実社会では、こういう風には進まないし、被害者側からすれば、何をしても赦せないと思う。
    せめてフィクションの世界では、こういう救いのあるラストで良かった。

  • 面白かったー!
    どんでん返しがあるんだけど、なんとなく途中でそうなるんだろうなーって思ってた。
    でも読み進めていくうちに、その伏線のことすっかり忘れちゃうくらい入り込んじゃってた。
    吉田修一の「悪人」が好きな人は好きだと思う。

  • 犯罪被害者支援に携わる理恵。少年時代、殺人を犯し理恵の支援で更正したはずの若宮。しかし、若宮の心の内は荒んでおり、理恵の娘を殺害してまう、、、オーソドックスな物語かと油断していたら、最後の最後に衝撃の事実が明らかとなり、オーソドックスどころか、極上のミステリー小説と化しました。今後の活躍が期待される作家さんでしょう。

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