ローマ帽子の秘密 (角川文庫)

制作 : 越前 敏弥  青木 創 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 367
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002568

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の「カッコイイお兄さん」エラリー・クイーンがサポート役にまわり、「ダンディーな親父」リチャード・クイーン警視が陣頭指揮を執る警察小説のような趣き。そこが意外だった。

    ブロードウェイのローマ劇場にて上演されている人気舞台劇「銃撃戦」の最中に、観客席で男が毒殺された。
    劇場はほぼ満席で容疑者多数。
    だが、クイーン警視と息子エラリーは死体発見時に感じたひとつの違和感から、ロジックをつなげて真相へと辿り着く。

    作中の謎のひとつに関しては、ディクスン・カーの某作を読んでいたので何となく予想はついていた。
    そして、ある捜査の過程では「あれぇ、あそこは調べないのかなぁ」なんてモヤモヤをかかえていた。
    そのわりには三歩あるけばすべてを忘れる鶏のような頭なので、犯人は予想外で結局驚いてしまった。

    ひとつの事象から論理を展開していくのが楽しい。
    要所要所でクイーン親子がディスカッションをして状況をまとめてくれるので、読者も一息ついてこんがらがった脳内を整理できる。

    最後の解決編で、ひとつだけ「あれ、そんな描写あったかな」と腑に落ちない点があったが、それも巻末の「解説」で文字通り見事に解説されていて唸った。そして、その部分こそが今回の新訳の大いなる意義であることがわかり面白かった。

    「のどごし」の良い文章で読みやすかったが、五百ページ近くの長丁場だったので、少々「コク」も欲しいと思ったのは贅沢か。

    古書マニアで推理作家のエラリーと、息子が可愛くて仕方がないといった感じの老警視リチャード。
    そしてクイーン家を切り盛りする若き執事ジューナもなかなかいいキャラで今後が気になる。
    『ローマ帽子の秘密』がデビュー作というのだから、この後の「国名シリーズ」のロジックはキレが増していくのだろう。楽しみだ。

    (ちなみに本作の原題は『The Roman Hat Mystery』
    「roman hat」でGoogle画像検索したら、なんだか派手なトサカのついた兜がいっぱい出てきて笑ってしまった。)

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:Browsing
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=90157

  •  

     リチャード警視、エラリー探偵のクイーン両氏(父子)が登場する、国名シリーズ第一弾。モンティ・フィールド弁護士が<銃撃戦>観劇中に毒殺された。 彼は、特に芝居好きでもないのに、誰と約束があったのか。 どのように殺されたのか。

     登場人物の紹介のページは単なる役柄設定の他に、別ページに人物のどういう性格かなどを、列記しているのだが、ここは先に見ない方が楽しめたのかもしれない。

     被害者モンティ・フィールド弁護士は、かなり悪名高い弁護士で、裁判を取引に使ったり、かつての同僚だったり、交友関係にある人たちの弱みを握っては、その廉で、恐喝強請りを働いていた。舞台関係者の招待で観劇に来ていたという、彼の元同僚弁護士ベンジャミン・モーガンも強請られていた。

     観客の中に社交界の華で富豪の娘、フランシス・ポープがいた。彼女は舞台俳優スティーヴン・バリーと婚約していた。たまたま、被害者の持ち物の中から、女性物のバッグが見つかり、彼女が事情聴取されるが、彼女は衝撃で失神してしまった。ちょうど、付き添いに来ていた舞台女優、とバリーも同席していたが、悪態つくのは、どうかな。

     被害者宅には愛人がいた。被害者と元同僚のモーガンは、折悪しくに愛人に、話のやり取り、暴言を盗み聞きされていて、愛人は、モーガンが殺したとの一点張り。それを警察で知ったモーガンは、強請りネタをばらすなら、あんたの悪行も洗いざらい喋ってやるという意味で、言ったのだが、袂を分かった折に、殺してやると言っていたので、疑われても仕方なかったのだが、それについては、不問とされた。

     この、作品の中では、シルクハットの行方がかなりのウェイトを占めてて、そこに至るまでがただただ長かった。被害者宅で最後にシルクハットが見つかったのには、後ろめたい過去を強請りの材料にする被害者 モンティ・フィールドも相当のワルだが、まさか自分が殺されようとは全く計算してなかったか、ちょっと間抜けに思えた。

     国名シリーズ、本の表紙の絵で、かなりエラリーが若く見えるうえ、新訳だから?か、喋り口調がちょっとタメ口ぽいのが気になった。
     
    2017.11.18読了

  •  国名シリーズを新訳で読みなおそうと思い立ち、第1作のローマと最終作のスペインを一緒に買う。
     いずれも中学生のころ読んでいるのだが、ローマに至ってはすっかり忘れている。
     井上勇訳のエラリーは父に丁寧語で接していたような印象がある。新訳ではぞんざいな口調である。ナマイキ盛りのエラリーならさもありなん。
     翻訳ミステリーでは、作者の仕掛けた罠に訳者が気づかず、謎解きを妨げる場合がしばしばある。
     クイーンに限らず、ミステリーの翻訳には監修者が必要ではないか。

  • 事件に関わるキーになるものやことの多くは、現代では変わっていることが多くて、ピンとこない部分もあったけれど、そのような「古きよき」部分も含め楽しめた。

  • 江戸川乱歩に続き、装幀に今だと呼ばれ読む。

    とっても、とっても面白かった!名作というのは訳や編が合わないとまるで楽しめないので、これは幸いでした。
    コロコロと態度の変わるリチャード(エラリー不在時の不機嫌さは思わず恋人かよ!十代の!と突っ込んでしまった)も生暖かく見守れるし、エラリーの行動と言葉は嫌味なく興味深い。
    刑事ひとりひとりも職務に忠実な様、容疑者たちの人間くささ。
    ジューナとの親子の空気。
    警戒していた苦手な外国人名も、読んでいる間は殆ど混乱せず。

    肌に合う小説がシリーズものだと、嬉しさは跳ねあがる。

  • 作者と読者の真剣勝負
    最もあり得なさそうな人が犯人でした

  • 160807-24

  • ミステリの大御所、エラリー・クイーン。記念すべき1作目。

    事件発覚時からの過剰な演出に少し困惑。最近読んでいたシリアスなミステリとは明らかに一線を画す設定で、良く言えばハラハラせずに安心して読めるミステリ。
    帽子に纏わる仕掛けや、そこに至る推理には「なるほど」と思わされたし、捜査が進展しないにも関わらず、ひとつの事件だけで最後まで読ませるところはさすが。
    ただ期待していた程面白さを感じることができなかったので、次作を読むかどうかは微妙かな。

  • 国名シリーズ一作目。
    日本のミステリ作家に与えた影響の大きさを感じた。クイーン親子の関係とか、法月綸太郎の設定と一致。
    このページ数で、一つの事件を徹底的に捜査・推理する展開は、読み応えがある一方で途中で飽きるかも。
    論理的な推理によって犯人を特定する、ミステリ作品の醍醐味の一つを堪能できる作品ではある。

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