ローマ帽子の秘密 (角川文庫)

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レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002568

作品紹介・あらすじ

観客でごったがえすブロードウェイのローマ劇場で非常事態が発生。劇の進行中に、NYきっての悪徳弁護士と噂される人物が毒殺されたのだ。名探偵エラリー・クイーンの新たな一面が見られる決定的新訳!

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の「カッコイイお兄さん」エラリー・クイーンがサポート役にまわり、「ダンディーな親父」リチャード・クイーン警視が陣頭指揮を執る警察小説のような趣き。そこが意外だった。

    ブロードウェイのローマ劇場にて上演されている人気舞台劇「銃撃戦」の最中に、観客席で男が毒殺された。
    劇場はほぼ満席で容疑者多数。
    だが、クイーン警視と息子エラリーは死体発見時に感じたひとつの違和感から、ロジックをつなげて真相へと辿り着く。

    作中の謎のひとつに関しては、ディクスン・カーの某作を読んでいたので何となく予想はついていた。
    そして、ある捜査の過程では「あれぇ、あそこは調べないのかなぁ」なんてモヤモヤをかかえていた。
    そのわりには三歩あるけばすべてを忘れる鶏のような頭なので、犯人は予想外で結局驚いてしまった。

    ひとつの事象から論理を展開していくのが楽しい。
    要所要所でクイーン親子がディスカッションをして状況をまとめてくれるので、読者も一息ついてこんがらがった脳内を整理できる。

    最後の解決編で、ひとつだけ「あれ、そんな描写あったかな」と腑に落ちない点があったが、それも巻末の「解説」で文字通り見事に解説されていて唸った。そして、その部分こそが今回の新訳の大いなる意義であることがわかり面白かった。

    「のどごし」の良い文章で読みやすかったが、五百ページ近くの長丁場だったので、少々「コク」も欲しいと思ったのは贅沢か。

    古書マニアで推理作家のエラリーと、息子が可愛くて仕方がないといった感じの老警視リチャード。
    そしてクイーン家を切り盛りする若き執事ジューナもなかなかいいキャラで今後が気になる。
    『ローマ帽子の秘密』がデビュー作というのだから、この後の「国名シリーズ」のロジックはキレが増していくのだろう。楽しみだ。

    (ちなみに本作の原題は『The Roman Hat Mystery』
    「roman hat」でGoogle画像検索したら、なんだか派手なトサカのついた兜がいっぱい出てきて笑ってしまった。)

  •  国名シリーズを新訳で読みなおそうと思い立ち、第1作のローマと最終作のスペインを一緒に買う。
     いずれも中学生のころ読んでいるのだが、ローマに至ってはすっかり忘れている。
     井上勇訳のエラリーは父に丁寧語で接していたような印象がある。新訳ではぞんざいな口調である。ナマイキ盛りのエラリーならさもありなん。
     翻訳ミステリーでは、作者の仕掛けた罠に訳者が気づかず、謎解きを妨げる場合がしばしばある。
     クイーンに限らず、ミステリーの翻訳には監修者が必要ではないか。

  • エラリー・クイーンは代表的な作品(ギリシア棺~、エジプト十字架~、それにドルリー・レーン名義作品)しか読んだことがなくて、しかも、かなり昔の話なので、第1作を手に取ってみた。
    なぜ被害者があの人に話し掛けたのか?という点が気になり、何となく容疑者が絞れたが、勿論、帽子を巡るトリックには気付かなかった。巻末の解説を読むと、そこに関する伏線にも気を遣った翻訳になっている。
    昔、他の出版社の訳で読んだ際の印象と違い、エラリーが父親に話す際の口調がフランクになっていて、親しみやすくなっているのも特徴。

  • 翻訳が読みやすかったのでよかった。

    ちょっと生意気で飄々とした感じのエラリー。
    こちらがメインかと思ってたので、警視である父のサポート役という感じの扱いだったので驚いた。
    事件解決に貢献したのはエラリーのほうで、父リチャードもそれは認めているようだけど。
    リチャードは態度がコロコロと変わってなんか怖い感じかと思いきや、エラリーやジューナに対する優しさや愛、エラリー不在に寂しがる様はかわいらしかった。

    事件はちゃんと論理的に考えれば読者にも解けるようになってるし、読者への挑戦なんかもあるけどボーッと読んでた私には犯人はわからなかった…。
    最後説明されてあぁ確かに、と。

    面白かったけど、オーソドックスな推理ものという感じで私はもうちょっとトリックや登場人物が癖の強いもののほうが好きなので続きはしばらくは読まないかなあ。

  • なるほど、こういう感じなのか…。
    思ってることがあるならはっきり言ってよ!!って近くにいたら思うかもしれないな。
    関係者、特に被疑者や「悪い人」と思っている人間に対して居丈高なのは、警察ってそんなものよねってイメージなんでしょうね。実際そうだったのかもしれないけれど。
    それにしても、動機が。
    動機が。
    それもやっぱり当時の価値観か。

  • 1929年に発表されたエラリー・クイーンの長編推理小説。

    作家エラリー・クイーンのデビュー作。
    タイトルに国名が含まれる、「国名シリーズ」の第1作です。

    ミステリー作家の大御所であるエラリー・クイーンという名は知っていたし、国名シリーズが有名なのも知っていて、いつかは読んでみようかと思っていたのですが、やっと手にすることができました。
    表紙が、ちょっと神経質そうなイケメンなので、新訳の本書はとっつきやすかったです(笑)

    ただやはり読み始めは、時代背景とロケーションがどうにも想像できず、カタカナの名前もなかなか覚えられず、巻頭にある登場人物紹介のページを何度も見直しながら読み進めました。

    ニューヨークのローマ劇場で人気舞台「銃撃戦」の上演中に発生した殺人事件。
    観客全てが容疑者となるなか、駆けつけたリチャードクイーン警視とその息子で作家のエラリークイーン。
    ある意味密室での殺人事件の謎は、「帽子」にあった・・・。

    今なら「指紋」とか「防犯カメラ」とかですぐに犯人が見つかってしまいそうですが、当時そんなものはなく、ある意味、まどろっこしいというか、のらりくらりな感じがしてちょっとソワソワイライラしながら読みました(笑)
    でもね、やっぱりミステリーは今みたいになんでもかんでもある時代より、これくらい不便な時代の方がトリックが面白いなって思います。

    犯人は、私的には怪しいなぁって思った人だったので意外性はあまりありませんでした。そして、あれほど計画的に殺人を実行した犯人がラストは短角的な行動でつかまってしまうのはちょっと残念な気もしました。

    とはいえ、今私が読んでいる様々なミステリーの作家さんたちが影響を受けたであろう作品でもあるのだろうなって思います。
    これは、エラリークイーンのデビュー作ですから、もっと後期の作品も読んでみたいなと思います。
    国名シリーズも、エラリーが魅力的だし、もっと読んでみたな(^^♪

  • ◆◆ ベッドでミステリー ◆◆ 第二十六回
     
    ・・・ 第二十六回 「ローマ帽子の謎」 ・・・

    今回は初心に返って基礎的な本を……。
    なぜかっていうと、たぶんもう、60歳以下の人は本好きでも読んでないだろうから……です。
    エラリー・クイーン
    「ローマ帽子の謎」
    クイーンの第一作め、にしてもうスタイルが完成していた記念すべき作品です。
    ローマ劇場でゆすりやが殺される……。
    容疑者は観客全員……!

    今年は一年生がクラシックに回帰してきている気配があるので(歯ごたえのあるのが読みたい、と言われた)、もしかして大人もそうかも……と思っているのだが、大人はそうそう自分の文化(50代以下は問題解決したくない→犯人が捕まる本格ミステリはイヤ)を捨てられないからダメかね?

    まあでも一度読んでみて。
    歯ごたえのある文章、論理的に一つ一つ解明されていく過程、は新鮮で快感……かもしれない……。

    そうしてこの犯人の動機は今でも泣けます。
    いまでも完全に解決しているわけではないけど、1929年当時はどれだけ過酷だっただろうかと思う……。

    そのかなりあとにでた“ペリー・メイスン”ものが、とうとう白人しか扱わなかったことを考えると、その点だけでも核心的で値打ちがあった、と思うんだよねぇ。

    2018年07月31日

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:Browsing
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=90157

  •  

     リチャード警視、エラリー探偵のクイーン両氏(父子)が登場する、国名シリーズ第一弾。モンティ・フィールド弁護士が<銃撃戦>観劇中に毒殺された。 彼は、特に芝居好きでもないのに、誰と約束があったのか。 どのように殺されたのか。

     登場人物の紹介のページは単なる役柄設定の他に、別ページに人物のどういう性格かなどを、列記しているのだが、ここは先に見ない方が楽しめたのかもしれない。

     被害者モンティ・フィールド弁護士は、かなり悪名高い弁護士で、裁判を取引に使ったり、かつての同僚だったり、交友関係にある人たちの弱みを握っては、その廉で、恐喝強請りを働いていた。舞台関係者の招待で観劇に来ていたという、彼の元同僚弁護士ベンジャミン・モーガンも強請られていた。

     観客の中に社交界の華で富豪の娘、フランシス・ポープがいた。彼女は舞台俳優スティーヴン・バリーと婚約していた。たまたま、被害者の持ち物の中から、女性物のバッグが見つかり、彼女が事情聴取されるが、彼女は衝撃で失神してしまった。ちょうど、付き添いに来ていた舞台女優、とバリーも同席していたが、悪態つくのは、どうかな。

     被害者宅には愛人がいた。被害者と元同僚のモーガンは、折悪しくに愛人に、話のやり取り、暴言を盗み聞きされていて、愛人は、モーガンが殺したとの一点張り。それを警察で知ったモーガンは、強請りネタをばらすなら、あんたの悪行も洗いざらい喋ってやるという意味で、言ったのだが、袂を分かった折に、殺してやると言っていたので、疑われても仕方なかったのだが、それについては、不問とされた。

     この、作品の中では、シルクハットの行方がかなりのウェイトを占めてて、そこに至るまでがただただ長かった。被害者宅で最後にシルクハットが見つかったのには、後ろめたい過去を強請りの材料にする被害者 モンティ・フィールドも相当のワルだが、まさか自分が殺されようとは全く計算してなかったか、ちょっと間抜けに思えた。

     国名シリーズ、本の表紙の絵で、かなりエラリーが若く見えるうえ、新訳だから?か、喋り口調がちょっとタメ口ぽいのが気になった。
     
    2017.11.18読了

  • 事件に関わるキーになるものやことの多くは、現代では変わっていることが多くて、ピンとこない部分もあったけれど、そのような「古きよき」部分も含め楽しめた。

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著者プロフィール

フレデリック・ダネイ(1905-1982)、マンフレッド・ベニントン・リー(1905-1971)のいとこ同士のユニットのペンネーム。クイーン名義の処女作『ローマ帽子の謎』(1929年)以来本格探偵小説の旗手として多くの作品を発表。本作は「エラリー・クイーン・ジュニア」名義で発表された、少年探偵が主人公のシリーズ。

「2017年 『見習い探偵ジュナの冒険 黒い犬と逃げた銀行強盗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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