おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)

著者 : 宮部みゆき
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年4月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002810

作品紹介

17歳のおちかは、川崎宿で旅籠を営む実家で起きたある事件をきっかけに、他人に心を閉ざした。いまは、江戸・神田三島町に叔父・伊兵衛が構える袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働く日々を過ごしている。ある日伊兵衛は、いつも碁敵を迎える「黒白の間」におちかを呼ぶと、そこへ訪ねてくる人たちから「変わり百物語」を聞くように言いつけて出かけてしまう。そして彼らの不思議な話は、おちかの心を少しずつ、溶かし始めていく・・・。おちかを襲った事件とは? 

連作長編時代小説「三島屋」シリーズ第1弾、ついに文庫化。
第一話「曼珠沙華」、第二話「凶宅」、第三話「邪恋」、第四話「魔鏡」、最終話「家鳴り」

おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 闇の深淵に沈み込んでいるおちかの心を何とか助け出そうと、三島屋の主人・伊兵衛は世の中にある不可思議な話を聞き取る・・・という仕事をおちかに与える。
    凶事があったとき、事件を起こした人が悪いのは誰もがわかっている。
    けれども、加害者だけにすべての原因があるのか?と考えると、そうではない場合もある。
    あのときこうしていれば。
    あのときこう言っていれば。
    どんなに悔やんだとしても、過去が変わるわけではない。
    それでも悔やまずにはいられないのが、人というものである。
    おちかも、三島屋の黒白の間を訪れる客たちも、後悔という感情に押しつぶされ、自分を責めることでようやく生きているようにみえる。

    その物語も、不思議な出来事が語られている。
    原因があって結果がある。
    それだけではない何か・・・一筋縄ではいかないものが、物語の中に潜んでいる。
    面白いけれど不気味な、怖いけれどどこかあたたかい。
    そんな不思議な物語だった。

  • 自身がみまわれた凄惨な事件の影響から、人との交わりを嫌い、心を閉ざしてしまった17歳のおちか。
    そんなおちかを預かった叔父夫婦の営む袋物屋「三島屋」で、叔父の伊兵衛は何の思惑か、不思議だったり怖かったりする体験をした人々を招き、おちかにその話の聞き手としての役目を与えます。
    語られる話は、小泉八雲の「怪談」やキングの「シャイニング」を彷彿とさせるものもあり、当初考えていたよりもずっと怖い話でした。
    人の情念や負の感情に基づく怖さがありました。
    おちかは、そのような話を聞き、自分の中でしっかりと受けとめ、それらに対する自分なりの赦しを見出すことで、やがて自身に降りかかった事件を見つめ直し、前に進んでいけるようになっていきます。
    読む前は、もう少し軽めのユーモアのある話かと勝手に想像していたため、その重さや怖さに少し戸惑いがありました(☆が一つ少ないのもそのせいです)が、読み終わってみれば、やはり宮部みゆきさんらしい、優しさと慈しみに溢れた素晴らしい話だったと思います。
    百物語を模したということですので、まだまだ続きがあるようで、それも楽しみです。

  • 江戸の神田三島町の袋物屋の主人夫妻はわけありの17歳の姪、おちかを預かることにしました。彼女には拭いきれない過去があり、それ故、三島屋でも一歩も外に出ず閉じこもったまま、自ら女中と同じように忙しく立ち働く日々を送っていたのでした。
    そんな彼女にある日叔父の伊兵衛は、突如来客の相手を頼みます。不本意ながらも彼女はその来客の相手をすることになります。来客はおちか相手に自然と胸に秘めてきたものを語り出します。三島屋が不思議な話を集めているという趣向は叔父が仕組んだものだったのですが、おちかはそれから訪ねてくる客の怪談を聞くうちに、叔父の真意を考えるようになります。
    世の中には恐ろしいことも割り切れないことも、たんとある。答えの出ないこともあれば出口のみつからないこともある。・・・と思い至った彼女は、女中のおしま相手に自分の秘めた過去を語り出すのでした。
    怪談が5つ登場します。因縁めいたおどろおどろしい話や怪奇現象ともいえる出来事も登場して、確かに「おそろし」なのですが、反面、多くの人との出会いで、おちかが自分の身の上に起こったことを真正面で受け止め、それを乗り越えていく強さを身につけていく過程が見てとれて、さわやかな印象が最後に残りました。

  • 宮部みゆきさんは、人の心の闇を描くのがとてつもなく上手い。
    そしてそれは、どこか別の世界で起こっている「闇」ではなくて、内側にそっと隠れている、ゾッとするくらいの近さを持っている類のものだったりする。

    それを、物語に乗せて、語り部に語らせて、そして、不完全な許しをくれる。

    完全な姿には決してならない。なれない。
    だから、今日も頑張らないと。

    100の物語。
    あたしは聴けるかなぁ。

  • 叔父の酔狂から、黒白の間でお江戸の怪談を聞くことになったおちか。
    怪談話の登場人物に心を寄せていくうちに、自身の傷ついた心と不思議の扉を開いていく。
    読んでると心が重苦しくなってきたんで、続編はもういいかな。

  • 自分から手に取るような物語ではない、と思っていたのですが……、意外に夢中で読んでしまいました。なんだろう、変な例えですがハリーポッターを読み始めた時のことを思い出していました。ちょっと気持ち悪いところもあるのに、どんどん引き込まれてしまう。最後、姿の分からぬ土蔵の主に、一人で対峙するときに亡者たちが力をくれたりするところも、なぜかハリーを思いました。
    さすがに最終話はかなりファンタジーっぽくなりましたが、一話の曼珠沙華は一番自然な流れで好きです。

    叔父さん叔母さん女中さんの暖かさにホロリとさせられ、四季の移ろい、江戸の商家や町の賑わいなどがすぐ目の前にありありと浮かび、不思議と心に染みる物語でした。

  • 心に負った傷を怪異譚を聞くことによって癒していく。怪談は現代が舞台だと一瞬で嘘くさいものになってしまうが、時代小説だと納得できるものになる。宮部みゆきの作品はよくやさしいと評されるが、登場人物は悲惨な過去を持っていることが多い。そこからどう立ち直っていくかが醍醐味となるわけだが、ついに怪談によって立ち直るおちかという存在が誕生した。ラストの犯罪を犯した側にも事情があるからといって許していいのかという問いは『模倣犯』にもあった。彼女の中で大きなテーマとなっていることがわかる。人間の心の闇を浮かび上がらせる宮部みゆき。落とし所をどこに持っていくのか興味を惹かれる。

  • 結局のところ、一番おそろしいのは人間の心の内なのだ。

    5篇の怪談はいずれも語る者が変われば受ける印象も変わるのだろう。登場人物みなに言えるのは下手人でもないのに自分を責め立てるところが実に日本らしい。明確に誰が悪だ、何が善だと切り分けるのではなく、なるようになった結果がこうなのだと思わせるもやもやとした結末。

    怪談の不気味さよりも人の世の儚さやままならなさに気が重くなった。なにより最終章でまるっと解決するかと思いきやがっぷり次巻への伏線を見せつけて幕引きとは…。これは読まねばならぬ。あんじゅうへ続く。

  • 不思議でゾクッとする話に惹き込まれました。続編もあるみたいなので、文庫になったらぜひ読みたい。

  • 宮部みゆきの歴史物はいいです(*^^*)
    ストーリーも短編調なので読みやすいですね。でも登場人物が多くて少しこんがらがりました笑

    おちかが過去の辛い体験と向かい合う健気な強さ、気丈さが、10も年上の私からみても憧れます。

    ストーリーはラストが少しファンタジーちっく。幽霊の話なのでアリなのかもしれないですがちょっと残念なところです。
    あんじゅうも早く読みたいです。

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