病めるときも (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 173
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002964

作品紹介・あらすじ

従姉を見舞った帰りの洞爺湖温泉で、明子は医学生・克彦に出会う。2人は婚約するが、明子が肺結核を患ったため結婚は先送りに。やがて明子が回復し、克彦の結核菌を殺す薬の研究が成功して喜びにひたったその夜、克彦の研究室が火事で全焼してしまう。苦労が水の泡となり、克彦は激しい衝撃を受ける…。神の前で誓った愛の重さを問う表題作ほか、愛に飢え傷つきながらも前に進もうとする人々を通して人生を描いた傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 人間の欲を丸出しに生きる人々に時代を感じるが
    現代でも人々の日常にこそドラマがあるとも思う
    愛とは何かと難しく考えてもみたが
    目の前にいる人を冷静にとらえ信じ慮る
    それができる心こそ崇高な魂なのではないか

  • 少し古い作品だから読みにくいかな?と思っていたけど、内容が重く考えさせられる分、文は軽く読みやすかった。

    表題作『病めるときも』を含め、「愛」がテーマの短中篇集。
    人を愛するとはどういうことか、形のないものを信じることの難しさ、人によって違う価値観。いつの時代も変わらぬ「愛」に対する問が投げかけられていた。
    肉体的なエロスのみを追求するのもまた愛だし、精神的に充足を求めるのもまた愛。正解はないけど、人は自分の答えを探し続けていくんだと思う。
    貞操観念について考えることがあるけど、まさに、という作品が多かったなぁ。

  • 短編集。
    頼む、、次こそ幸せになってくれ…と思いながら読み続けた。

    「愛」が難しい。
    どんなことになっても愛し続けるっていうのは、難しいんだなって思う。
    これを耐えると幸せになるの??とかを考えてしまう。。
    難しかった。。

  • 三浦綾子作品を何冊か読んできたけど、この短編集には毒のある人物が多数出ており、中にはトラウマになりそうな結末の作品もあった。おそらく自分が表面的な読み方しかできてないんだろうなと思ってる。

  • どの作品も人間の醜さのドス黒いところが感じられる作品です。
    ただどの作品にも愛とは何かを感じさせる作品でもある。

    タイトルになっている病めるときもはまさに愛とは何かを考えさせられる作品。

    井戸

    羽音
    奈落の声
    どす黝き流れの中より
    病めるときも

    の短編集

  • 短編集。
    恐らく著者が入院中に感じたことなどを中心に書いたのだろう。所々に、主人公が病気でずっとギプスをはめて寝ていないといけなかったとか、教師とかでてくるから。

    人と人との結びつきは、単なる血ではなく、愛なのだ、とある。3歳で誘拐され、実の親ではない者に育てられたが、愛いっぱいで育てられたので、実の父に会っても、育ての、しかも誘拐犯である育ての親の方に愛おしさを感じでいるところから、こういう書き振りがあったのだ。

  • 「井戸」、「足」、「羽音」、「奈落の声」、「どす黝き流れの中より」、そしてタイトルとなつてゐる「病めるときも」の六編からなる短編集です。

    どの短編も人間の弱さやら傲慢さやらが、サラリと描かれてゐるかと思へば、エゲツなさ全開に描かれてもゐます。ただ、「病めるときも」は他の短編とは異なり、人間のさういふものを超えた奥深きところが描かれてゐます。
    いづれにしても共通してゐるのは愛とは何なのか。…でせうかね。

    また、どの編もハッピー・エンドとして描かれてはゐないやうであつても、文末の句点以降の書かれてゐない白紙部分をどう読むのか。ソレをどう受け容れるのか、受け容れられぬのかを作者から問はれてゐるやうです。

    ボクはキリスト者ゆゑにソレは失望ではなく、夫々の先には希望があると信じてゐます。

  • 人の醜い部分が多分にある中で、苦難を前にした人間はどう考えどう受け入れていくのか。私はずうっと、読みたくない、けど、続きを読みたい、という不安定な気持ちにさせられた。
    字面だけではなく、非常に頭を使うことになり、なかなかの疲労感も味わった。
    とにかく読み終わってホッと一息、でもまた読みたい。そんな気持ちです。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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