天地明察(上) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.03
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本棚登録 : 7602
レビュー : 771
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003183

作品紹介・あらすじ

四代将軍家綱の治世、ある事業が立ちあがる。それは日本独自の暦を作ること。当時使われていた暦は正確さを失いずれが生じ始めていた--。日本文化を変えた大計画を個の成長物語として瑞々しく重厚に描く時代小説

第7回本屋大賞受賞作、待望の文庫化!
監督:滝田洋二郎、主演:岡田准一で映画化も決定!2012年9月公開

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の囲碁や測量の世界を垣間見させてくれて教養としても面白い。主人公のキャラクターが漫画のようでリアリティがないようにも感じた。

  • 実に清々しい小説。読み終わって気持ちいいい。内容は、徳川4代将軍の時代に新たな日本オリジナルの暦作りに奔走する若者の奮闘記。同年代の数学の天才である関孝和に刺激を受けながら、保科正之や水戸光圀などの庇護を受け、20年の歳月を掛けて暦を完成させる。測量技術も地図も時計もない時代に、星や太陽、月の動きだけで正確な暦を作る大事業。必ずしも順調ではなく失敗も多いが、なぜ次に期待してしまうし、応援したくなるのは、主人公が若く一途だからか。また人間の力だけで天を相手にしようとする無謀さにも共感するからか。新しい暦の完成を確認したころには40代半ばとなっていて、若者の頃にはなかったしたたかさと知略を用いる場面がある。こういうところも、共感できて、とても良い本。

  • 徳川四代将軍の治世、日本独自の暦を作り上げるという一大事業が計画される。その実行者に選ばれたのは、碁打ちの名門に生まれた渋川春海。そして、北極星の測量に赴くのだが、果たして天との勝負はつくのか。

     時代小説にはまだまだ可能性があるのだなあと改めて感じました。

     渋川春海という人物はまったく馴染みがなく、新鮮な印象を受け、さらに碁打ちの名門に生まれながら、算学に夢中になっているという若者がとても生き生きと描かれ、魅力的に感じました。

     戦の終わった徳川時代にこんな戦いがあったというのも、新しい視点で興味深かったです。

     下巻でどのように新しい暦を作り出していくのか、春海を取り巻く人物がどのように関わっていくのか、楽しみです。

  • 主人公の渋川春海が自分と同い年で、絶妙なタイミングでした。若さゆえの浅はかさ、恥、情熱、バイタリティが爽やかに詰め込まれていてよかったです。
    文中の、「からん、ころん」、拍手(かしわで)の音、「明察」が効果的に繰り返されて心地良いです。
    中盤の、無邪気なおじいちゃんたちが出てきた時、心底元気になりました。いいなあ。
    終盤の、ある別れは切なく悲しくて、思わずほろりとしてしまいました。
    時代小説だけど、いきいきと映像が浮かんでくるようなドラマチックな展開が、とても読みやすいです。チャンバラシーンもないのにわくわくしました。
    下巻もなかなかに楽しみ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「チャンバラシーンもないのにわくわくしました」
      確かに、、、まぁ、そんな話(チャンバラ)が出てくるとは全然思わずに読み始めましたが。。。
      「チャンバラシーンもないのにわくわくしました」
      確かに、、、まぁ、そんな話(チャンバラ)が出てくるとは全然思わずに読み始めましたが。。。
      2012/08/20
  • 読了2019.4.16
    上★★★☆☆
    下★★★★☆

    1日は約23時間56分4.06秒。1年365日、4年に一度の閏年。私が生まれた時から数えて、正しい(と信じられる)カレンダーが35周している。それがもし、ズレていたら?この世の中にどのような影響があるかなんて考えたことがなかった。

    まだまだ信仰の熱い江戸時代。縁起がいいか不吉かで公を決めることも多い中で、空を読めたら?税金(年貢)納めの日取り決め、ズレていけばどうなる?
    正しい暦法とは私が想像する以上に宗教、政治、文化、経済、つまりは天下に影響する物だった。

    戦国時代が過去になりつつある泰平の江戸時代前期。江戸城に雇われた囲碁棋士且つ天文暦学者であった渋川春海の生涯を綴る。貞享暦作成に携わる様々なドラマが描かれる。文字通り、命を懸けてたくさんの人の想いと政治と算術と暦法に生きる姿がサラサラと綴られている中で、内なる熱い想いと等身大な春海の人柄に気持ち良さを感じた。公式に当てはめれば答えが出る数学ではなく、まさにその公式作りにあたるわけで、そう簡単にはうまく行かないストーリーに「え?!どうして?!」としっかり感情移入して最後まで読み進むことができた。そして人柄あふれる最期に、読後感は気持ちのいいものだった。

    暦法作成には算術が土台なのでよくよく出てくる。
    ご多分に漏れず、私は数学の様々な公式をぐぬぬと覚えた学生時代だったけど、それを生み出した人が必ずいるんだよなぁと不思議な感覚だった。ひとつの公式ができたときは大騒ぎだっただろうなぁ。

    ちなみに、登場人物として出てくる会津藩藩主・保科正之を自担としたい。めっちゃステキ。具体的に行った政策を扱った小説があったら読みたいなぁ。

    時代物は苦手だったけど、平成から令和に変わるこのタイミングで、改暦という天下を変えるテーマの話を読めて良かった。実際の歴史上の人物なのでwikiで検索しながら、人物の背景や人柄をチェックしながら読みました(笑)
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    天地明察 上◆内容(BOOK データベースより)
    徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。

    天地明察 下◆内容(BOOK データベースより)
    「この国の老いた暦を斬ってくれぬか」会津藩藩主にして将軍家綱の後見人、保科正之から春海に告げられた重き言葉。武家と公家、士と農、そして天と地を強靱な絆で結ぶこの改暦事業は、文治国家として日本が変革を遂げる象徴でもあった。改暦の「総大将」に任じられた春海だが、ここから想像を絶する苦闘の道が始まることになる―。碁打ちにして暦法家・渋川春海の20年に亘る奮闘・挫折・喜び、そして恋。

  • 挑む人を描く小説。なかなか良いですね。時代劇で算術という取り合わせも目をひきます。下巻が楽しみ…

  • 打ちである2代目安井算哲が自分の生まれの枠組みを脱するまでが上巻となっている。
    すでに世間的には十分な立場ではあり、安井家を継いでもおかしくない立場でありながらも、自身の興味や関心といった内なるものからすると満足できない感情を持ち合わせている。そんな算哲は、渋谷春海と別名を名乗っており、本来の自分を殺さないように保っている。そんな様子がいじらしく、惹かれる要因であったのであろう。
    といいつつ、私がはじめ惹かれたのは、作内で紹介された図形問題だったのだけど。算術と作内では読んでいるが、数学の問題を解くことの楽しみを学生時代ぶりに思い出した気がした。
    きっと春海も同じように問題を解くのが楽しい、ある種娯楽としてすら思っている節があるのだろう。そんな無邪気な人たちが他にも出てきて、星の観測を長年夢見ていた伊藤と建部という、風変わりで無邪気なおじさまにも惹かれる。「星だ!観測せよ!」という台詞はいかにも無邪気。
    意気込み過ぎて誤問を出しちゃう春海も可愛げがあるが、たしかに自分もその立場だったら同じように絶望してしまうかもしれない。が、周りの人達、それこそ無邪気なおじさま達からすると「見事な誤謬なり!」と喜ばれてしまう次第。
    誤りを恐れて何もしないより、自分の内なる熱意にかまけて失敗する方がよっぽど良いと言うこと。誤謬をみてせせら笑う人達もいたけど、そんな人達はそもそも表に出てこない。出てくるのは、そんな熱意を真剣に見てくれる人達であり、ちゃんと結果の裏にある熱意まで汲み取ってくれる人達である。そんな人達だけ相手にしてればいいよと言ってくれる。そうすれば、内なる本来の自分を生かしてあげられるよと言われた気がした。

  • 生きがいを見つけることの苦悩、葛藤、素晴らしさを素直に感じられる作品...。
    建部と伊藤の老いて益々盛んな活き活きとした姿に、人は生涯、成長する生きものであることを実感。夢中になれることがあるって生命力の源であると...。下巻も楽しみ。

  • 中学生の時に読もうとして、わずか数ページでリタイアしてしまった本。今回は最後まで読めて、なぜこの本の面白さがわからなかったのか不思議。
    囲碁、算術、暦学…色々な学問で戦う江戸時代の人々が熱くて惹かれる。特に、春海は性格的に好きになれる主人公だと思う。えんと春海が今後どうなるのか楽しみ。

  • 現代で言う数学・天文学を、碁打ち衆で算術に長けた春海を通して、実にドラマティックに書き上げられている。伝記というより時代小説なのだが、当時の江戸城内での人間関係の描写も面白い。老中に命じられて北極出地に旅立つが、北極星の高度を歩測と計算で解くというのは、生半可な数学の知識ではないことに驚かされる。本書の前半で引用されていた直角三角形に内接する2つの円の直径を求める問題なんて、錆びついた自分の数学力では解けなくて、なんとも悔しい!

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著者プロフィール

冲方丁(うぶかたとう)
1977年、岐阜県生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。
『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞にノミネートされた。『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞。
代表作となる『天地明察』は2011年にコミック化、そして2012年に岡田准一主演で映画化されヒット作となる。2019年1月、『十二人の死にたい子どもたち』が堤幸彦監督により映画化。

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