あのとき始まったことのすべて (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003220

作品紹介・あらすじ

社会人三年目――
中学の同級生との十年ぶりの再会。それが、僕らのせつない恋の始まりだった……。

感想・レビュー・書評

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  • バカやってばかりの中学生の頃の出来事や思い出を大切な宝物のようにしまって成長した男女のなんだか読んでいるこっちが影響されて幸せな気分になっちゃうくらいのいい話でした。

    自分と同じ名字ということもあって、石井さん、という女の子がとてもとてもいいコでスゴク嬉しかったナ。こういう彼女の独特のふんわりとした雰囲気ってとてもいいと思う。惚れた。

    主人公の岡田君も素敵な男の子で、中学生の頃の石井さんが好きになっちゃうのもよくわかるね。彼と先輩社員の門前さんとの送別会のシーンなんか、素晴らしいです。この門前さんがまた男っ前なんだなぁ、かっこいいー!
    「本気で照れて、本気で笑って、自分の世界を回転させるんだよ。それで世界は変わらないかもしれないけど、自分の生きる世界は変わるんだから」
    いやもう痺れました。

    また枠を描き、また枠を描く。また枠を描き、また枠を描く。

    第二章を全部使って描写した白原さんのお話もスゴクいい。修学旅行の前夜にお母さんと二人で梅酒を飲んで話す場面とか、彼女が岡田君と石井さんのコンビがどれくらい好きだったかがかいま見えるシーンなんかは心がなんだか温かくなったね。


    切ない切ないラブストーリーなんだけど、それだけじゃない。とても素敵なものを拾った気がしました。

  • 大人の世界も、「好き」だけで一緒にいられるものだったらいいのに、と思う。年収とか相手の家族とか将来子どもが欲しいとか欲しくないとか。考えるだけでくらくらしそうな条件越しに、あなたを見てしまう。かっちりとピースが合うような人と出会えたって、手放さなくちゃいけない時だってある。

    「石井さんと一緒にいると、自分が凄く特別で、面白い人間のような気がしてくるんだよ」(本文引用)

    泣きながら飲み込んだ現在は、ありふれた過去になってゆく。あのとき、好きな人の隣で「特別」にしてもらった自分を、これからも大切にしていきたい。

  • 文庫で再読。
    読み始めは少し怠かったけど、やっぱりとても好きな本だ。

    この本を初めて読んだ時と、2度目に読む今とでは状況が変わった。
    思い返してみると、その時のことが今に繋がってるなとリアルに感じる。
    あの頃の悲しいことは過去になって、苦手だったことも少し大丈夫になって、叶わぬ夢が現実になったりもした。
    1人で読んでいたこの本を私きっかけで読んでくれた人がいて、それによって今私はまたこの本を読むことになった。

    思ってるよりも時間は優しい流れ方をしているのかもしれない。
    信じられないような奇跡も意外と起こるし、堪え忍んでいるだけでもちゃんと変わっていってくれる。
    バタフライエフェクトを信じて、下らないことで黄金回転を作って、アボカドの種を植えてくれる人を尊敬しつつ愛しく思って、毎日過ごしていきたいな。そうできたらいいな。
    と読み終えたら少し素直になってた。

  • すごく、すごく、すごく好きです。
    これ以外にも言えることなのだけれど、中村航作品には、その言い回しや表現にいちいち心を鷲掴みにされてしまいます。
    中でもこれは1番でした。
    読み終えた翌日まで、なんだか不思議な気分を引きずっています。
    果たしてこの話は、軽いのか重いのか、夢物語なのか現実なのか、甘いのか苦いのか、嬉しいのか切ないのか…そのどれもが入っているような気もします。

    雰囲気ごと、ぜーんぶ味わえる本。それでしか味わえない本。
    なので、あえて具体的な感想は書かないでおきます。

    でも…好きな人のフードには何か入れたくなる。東京。

  • あの時、こう選択すれば良かった!
    良い意味で懐かしさを思い出す作品です。
    学生のころに読むのか、大人になって読むのかで全く感じ方が違う非常に楽しめる物語でした。
    自分は覚えていない行動も、他人からすると鮮明に覚えている、あるあると思いながら読みました。
    学生のころは人との距離感、相手の感情がわからないものの、うまく踏み込めない、
    大人になったらなったでいろんな制限が出てくる。。。
    全ては自分次第であるのだが、多くの人は上手くいきれないんだなと考えさせられた。
    昔好きだった人に連絡しようかとも思ったが、もう家庭もあるし、ノリで電話してその先何がしたいのかもないので、そう思わされたその点が☆マイナス1。
    ただ、今の人生に後悔はなし!!

    • 日帰りトラックさんは40歳!プラスおっちゃん!さん
      コメント失礼します。
      当方も先程読み終わりました。
      素敵なお話でしたね。切なくとも甘酸っぱい、秋の夜長にちょいとセンチメンタルになるにはうっ...
      コメント失礼します。
      当方も先程読み終わりました。
      素敵なお話でしたね。切なくとも甘酸っぱい、秋の夜長にちょいとセンチメンタルになるにはうってつけでした。
      主様は後悔なし!!当方は……後ろ髪を引かれる思い、まだあるところ。
      しかしながら作品を共感出来た所に、コメントをせずにはいられなかった次第です。
      突然の駄文失礼しましたm(_ _)m
      2023/09/27
  • あー、この本好きだーって思った。
    まだ1話読んだところ。

    いいな、
    昔の同級生に会いたい!
    わたしも、こんな風に誰かに思い出してもらえたらいいなあ

  • 「何かが始まるとき、今がそのスタート地点だと意識できることなんてなかった・・・」

    「たくさんの人の小さな羽ばたきが、あちこちでシンクロして、トルネードになったとき、大きな奇跡が起こる・・・」

    そうかもしれないなって、思いました。


    自分が覚えている瞬間を相手は覚えていなくて、
    自分が忘れていることを相手は覚えていて。

    そんな1コマ1コマが学生時代にはたくさんあったような気がします。

    切なくて、愛おしくて、恥ずかしくて、
    そんな思いを思い出させてくれる1冊です。

  • サクッと読めて心理描写細かくて切なくていい。

  • 胸が熱くなるラブ・ストーリー

    社会人3年目――中学時代の同級生の彼女との再会が、僕らのせつない恋の始まりだった……『100回泣くこと』『僕の好きな人が、よく眠れますように』の中村航が贈る甘くて切ないラブ・ストーリー。

  • 本全体で記憶を辿っていて、感情や思い出に浸る描写がほとんどだった。
    素敵な表現をたくさん吸収できたけど、物語としてはあまりパッとしなかった。

  • 学生時代に好きだった子と社会人になって再会する、そのシチュエーションだけで誰もがときめく。
    煌めくようなあの頃と、何かが違う今、そして大人になった僕たちの恋愛の行方は。みんなが好きな中村航さんの魅力の全てがつまった一冊で、控えめに言って至極。切ない、悲しい、嬉しい、いろんな気持ちを感じることができる。

  • 中村航さんらしい、優しい空気感。私自身ひとり親だったので、白原さんのくだりにはちょっとざわつくものが…でも、すごく分かるこの感じ。

  • 実は何回か目なんですよ。
    数回読んでるけど感想を書いてなかった作品。
    きっと、
    僕の中で何度も繰り返して読んでいく作品の1つになるんだと思います。

    1章・門前さんの後輩さんが岡田君で主人公。
    と、
    ある縁で中学生の時の仲良しの石井さんと再会して、
    結ばれちゃったのね。
    マリオンの話はまぁどうでもいいんでんすけど、
    シカの話は誰かにしたい!
    そして、
    しかじゃありませんって言わせたい!

    2章・ここでは中学生時代のことが書かれています。
    白原さんの隠れファンです!
    主人公が岡田君から白原さんに変わってますよ!
    岡田君、
    石井さん、
    柳君、
    白原さんの修学旅行の話しが中心!
    白原さんがお母さんと呑んでるシーンが好きかも。
    そして、
    こんな女子って居たよね。。。
    つか、
    中学生から呑兵衛ですか?!
    呑めないのでうらやましい!
    つか、
    ウルトラマンの話も深いよね笑

    3章・門前さん・・・。
    サラダガール?
    お肉姫?
    米飯娘?
    で、
    ドレッシングボーイならサラダガール。
    タレ男ならお肉姫。
    ふりかけ野郎なら米飯娘だって!
    どこかに、
    サラダガールいませんか?

    こんにゃく番長に会ってみたい!
    十二・五%のピザも食べたい!

    好きなのに、
    つながっているのに、
    つながれないのってつらたん。

    4章・巡礼
    好きな人のパーカーのフードには、何か入れたくなるんだよ!
    って、
    めっちゃわかります!

    5章・吞み会
    なんと、
    柳君と白原さんが付き合ってて、
    岡田君と白原さんも含めて飲み会ですよ。
    あの、
    修学旅行とか日常にあった疑問と謎が解き明かされていくんです。
    恋愛って、
    つきあったり、
    わかれたり、
    エッチしたり、
    それだけじゃないんですよね。

    一生懸命やればすむことは、一生懸命やればいい。
    だけど上手くやるのは、とても難しいことだ!
    って、
    仕事でも恋愛でもそうよね。
    上手くなりたいよね。。。
    不器用な僕ですいません。

    全肯定とか全否定とかはあり得ないだろう。
    あるのは優先順位だけなんだよ。
    って、
    岡田君には痛い言葉だったのでは?
    似た言葉で、
    優先順位を決めるの!
    何があってもそれを守る覚悟を決めるの!
    そうなんですよね。。。
    なかなか、
    優先順位も決められないし覚悟も決められないのが人間だもの。
    でもでも、
    必要ですよ必ず!

    女の子はめんどくさいことを抱えてるんだよ。
    そういうことから守ってあげれるといいよな
    by門前
    と、
    そんな占い師もいますが、
    ここにいる占い師はそんな感じじゃないんだよな。

    アホウドリの話は使えますよ笑

  • 切なくて甘酸っぱい…

  • 途中断念

  • 好きな人のパーカーのフードには、
    何か入れたくなるらしいよ

  • 「夢とか希望とか、友情とか愛とか、案外そういうバカみたいなことで、世界は回るんだからな」

    それなら自分も世界を回せるんじゃないかなって、思わせてくれる門前さん好きだな。

    「好きな人のパーカーのフードには、何かを入れたくなるんだよ」

    これから好きな人のパーカーのフードに何かを入れてみようって、思わせてくれた白原さん好き。

    あのとき始まったことのすべてと言える原点を、ここだ!って理解出来る訳がない。未来は見えない。だけど、この物語を読み終えた自分自身だけは、あのおみくじから、また岡田くんと石井さんの恋が始まることを信じて本を閉じたいと思う。

    懐かしくて、キラキラしてて、切なくて、笑えて泣ける、そんな本に巡り合えて幸せです。

  • どうでもいい会話の応酬でした。

    でも日常で交される言葉ってそんなものなのかもしれない。
    ましてや中学生の会話なんてのは、その時期を過ぎてみれば、あるいは他人が聞いてる限りは大したことではない。
    箸が転げてもおかしい年頃、だし。

    だからこそ、大人になって再会してもなお、どうでもいい会話をネタに屈託なく盛り上がれるというのは、貴重なことなんだろうかと思わされました。

    そういうのは、頭を空っぽにして、率直に話せるという意味で、安らぐ時間だし、楽しいものなんだろう。

    郷愁や甘酸っぱさが混ざった感じの小説で、友情や青春の残り香を楽しめました。

    登場人物に癖がないので、劇的な感じはしないけれど、だからこそ気楽に読める。
    ただ、会話内容に意味を求める人は向かないかもしれない。

    パーカーのフードの魅力は、とてもよくわかる。
    いたずら心をくすぐるものがある。

  • 石井さん、白原さん、柳、そして僕。不器用ながらもしかし幸せだった僕たちは四人で中学時代を過ごし、やがて卒業を機にバラバラになった。それは3年間の思い出になるはずだった。石井さんと僕は10年ぶりに再会を果たす。そして僕は、恋におちた――
    良いです。
    思えば中学の卒業って特別のような気がする。小学校の卒業はあまり覚えていないし、高校の卒業はむしろこれからはじまる大学生活に思いを馳せているし、大学の卒業なんて卒業旅行でどこに行くかが最大の問題だ。
    でも子供から大人への階段を一歩踏み出そうとしている中学は、はじめて親友と呼べるような友達ができたり、はじめて部活動に本気で取り組んだり、何よりはじめて本気で誰かを好きになったりする。中学を卒業するということはそれらに終止符を打つということ。中学の卒業ってすごく尊いものなんじゃないだろうか。
    そんな風に思わせてくれる良作でした。
    あと、
    女の子を笑わせる=たいていの邪悪は退散する=女の子を守る
    という考え方がすごく好き。

  • 2013/5/23 朝ごはんがハンバーグだった日の通勤電車内にて読了

    読後感は、とても甘酸っぱくて同級生に会いたくなる気持ちにさせられた。

    読んでるうちに、人の思い出話をきいて自分の話を思い出すように、頭の中に中学生時代の思い出が流れるみたいに駆け抜けた。
    主人公に関して言えば、ハッピーエンドじゃないとも取れるけど爽やかな気持ちになれる不思議さがある。

    何より好感を持てたのは、小説独特のつまらない冗談で笑うなんて事はなく、本当に冗談が面白い。お陰でちょっとニヤニヤしながら読んだ。
    だから他の青春小説よりリアルな気がする。(あまり青春小説を読まないから断定はしない)

    気軽に読める、素敵なお話。通勤にオススメ。

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著者プロフィール

建築家。博士(建築学)。株式会社MOSAIC DESIGN代表。
1978年東京都生まれ。2002年日本大学理工学部建築学科(高宮眞介研究室)卒業、2005年早稲田大学大学院修士課程(古谷誠章研究室)修了。2008年同大学博士後期課程単位取得退学、助手・嘱託研究員を経て、2010年〜16年東京大学大学院隈研吾研究室助教。2011年東南アジアのストリートの屋台に関する研究で博士(建築学)取得。同年建築設計事務所MOSAIC DESIGN設立。明治大学I-AUD、早稲田大学、日本大学などで非常勤講師を務める。店舗・住宅・ホテル・商業施設・マーケットなど、屋台からアーバンデザインまで、何か楽しいことやりましょう!をキーワードに大小さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

「2023年 『POP URBANISM』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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