ふたりの距離の概算 (角川文庫)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003251

作品紹介・あらすじ

大人気<古典部>シリーズ第5弾が文庫化!

春を迎え2年生となった奉太郎たちの古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げる。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は走りながら彼女の心変わりの真相を推理する!

文庫第5巻はアニメ版表紙とのリバーシブル仕様です。

感想・レビュー・書評

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  • 古典部シリーズ再び。
    長距離走という苦行のさなか、奉太郎は推理する。
    勧誘らしい勧誘もしていないのに仮入部し、上級生にも馴染んでいたように見えた一年生はなぜ、急に本入部をとりやめたのか。

    千反田えると彼女の間に何が起きたのか…

    んもう、そんなの…

    新歓で折木奉太郎先輩に一目惚れ♥→仮入部→高校生活、恋に燃えちゃうゾ♥→あれ、千反田先輩と奉太郎先輩ってもしかして?→思いきって千反田先輩に訊いてみた→「はい」→そっ、そんな…礼儀正しくて顔が広くてお料理だってパパッとできて、野菜や山菜の下処理まで詳しい千反田先輩相手じゃ勝ち目ないよ…→悲しいけど入部取りやめます!くすんくすん…

    これで決まりでしょう!と思ったんだけど、米澤さんがそんなベタ甘展開を許す訳ないのでした…

    今回も奉太郎の姉から目が離せない。目からレーザーを撃てる招き猫…私、気になります!

  • だんだん好きになっていくシリーズ。
    あの省エネ少年、奉太郎がこんなにも走り回って推理するなんて。ま、マラソン大会に参加しながらなので、走るのは当然なんですけどね。でも、最初の頃の奉太郎より今の方が断然好きです。
    今回は問題が学校の外に出ました。まだまだ高校生の彼には何とも出来ないようです。でも、それは見捨てるのとは違うよって言いたいです。それに全てさらけ出すだけが、解決というわけでも誰かの為になるわけでもないなと。もどかしいし、自分の限界を感じてしまいますね。えるにしても、自分の生まれた環境はどうすることも出来ないものだし、そのことによって誰かを傷つけたり恐れさせたりしてるなんて、理不尽なことだと思います。人との距離のとりかたは難しいです。近すぎても息苦しいし、離れすぎればわからくなってしまうし、それこそお互いに見捨てた、見捨てられたと感じてしまうかもしれません。
    奉太郎が今回の真相にこんなにまでも真剣に取り組んだのは、えるのことをちゃんと理解しはじめたからでしょうね。あいつが他人を傷つけるはずはないと、彼と彼女の距離は少しずつ縮まっているようですね。そうそう、えるが奉太郎の家に行ったこと、他のメンバーにお互いが何となく言いづらかったことかその証拠じゃないかしら。距離が近づくほど、2人だけのヒミツって出来るもんじゃない?うふふ。。。

  • 珍しく後味の良くないお話だったなと。学生の手の届く範囲ってどうしてこんなに小さいんだろうね。どうにかしたいけれど何もできない時は中途半端に手を伸ばすよりもすっぱり切ってしまうことが優しさなのかな…とか、考えてしまいます。何もできなかったという事に対して罪悪感を抱く奉太郎が、大日向さんのことより千反田を思っての事なのだろうなーと感じるのが微笑ましくも残酷ですね。

  • 「古典部シリーズ」第5弾。奉太郎たちは二年生になる。
    後輩ができるだけで立場が変わる。
    見上げられるということは、或いは理由もない恐れを抱かれることもあるということ。

    一年生だけだった古典部だが、奉太郎たちが2年に上がり、大日向友子という新入生が仮入部してきた。
    少し思い込み激しくテンション高め、小麦色で元気すぎるほど元気な子。
    部に溶け込んで楽しそうに見えていたのだが、いきなり辞めると言ってきた。
    千反田は自分のせいだと思い込んだ。

    人との距離の取りかたは本当に難しい。
    言葉を捻じ曲げて受け取られたり、勝手な方向に想像を膨らませられたりという経験は誰でもあるのではないだろうか。
    とても丹念に書き込まれている。
    マラソンしながら(というかほとんど歩きながら)推理して、聞き込みをして、という形式が面白い。
    里志が総務委員会副委員長として、走らなくていい立場であり、傍観という立場にいるのも、いつもの彼の立ち位置を象徴するようで面白い。


    序章 ただ走るには長すぎる
    省エネ人間の奉太郎は、走るだけでは時間の無駄なので、有効活用しようと思ったのである。
    めずらしい。
    「私、気になります!」と言われていない気がする。

    一章 入部受付はこちら
    「あたし、仲のいいひと見てるのが一番幸せなんです」
    大日向はそう言って入部してきたのだ。

    二章 友達は祝われなきゃいけない
    奉太郎の誕生日を古典部が祝いに来た。
    ちょっとした隠し事にハラハラするが…
    あとで思えばポイントはそこじゃなかった。

    三章 とても素敵なお店
    大日向が、いとこが喫茶店をオープンさせるので試食をしてほしいと頼んできた。
    「千反田先輩って顔が広いんですよね?」
    何を知りたかったのか。

    四章 離した方が楽
    昨日の放課後に何があったのか…
    奉太郎は必死に記憶をたどる。

    五章 ふたりの距離の概算
    「君の考え方はここで間違っていた、ここも違っている」人の過去の言動にいちいち赤ペンをいれていくのは気の重い作業である。
    模範解答があるわけではないからだ。
    人と人の距離を測るのも難しい。
    伸びたり縮んだりするからだ。

    終章 手はどこまでも伸びるはず
    大日向の思い込みの激しさは、ちょっと厄介な子だなという印象だったが、理由が分ってみれば気の毒でもあった。
    自分のためでさえ何かをしたがらなかった奉太郎が、千反田のためなら自発的に活動するようになった。
    彼は更に世界を広げつつあるのかもしれない。

  • 四巻の『遠回りする雛』が短編集だったので、久しぶりの長編という感じがします。
    三巻までの彼らの関係の変化を短編で埋めていく四巻でしたが、五巻はさらに彼らの関係の変化が見えます。
    福部くんと摩耶花ちゃんの変化、ちーちゃんと奉太郎の変化に、にやにや←

    マラソン大会中に謎を解くということで、奉太郎の走った距離が増えれば増えるほど、謎が解かれていく過程がとても面白かったです。
    奉太郎が過去を思い出しながら走っていくので、臨場感?リアル?な感じです。
    こういうミステリーもあるんだなあ、と驚きつつ勉強になりました。

    相変わらず、奉太郎も福部くんも難しいこと考えてますね。
    私はあんまり人のこと言えないかもしれないけど←
    奉太郎曰く、下らないことも役に立つことも(私も友達と)話してます。
    だから、彼らには共感できる部分があるかも。

    古典部シリーズは、伏線をきちんと全て回収していくイメージがあって、読んでて気持ちが良いので私は好きです。
    伏線回収ってミステリーでも、ミステリー以外でも大事ですよね。
    日常の謎ってことで、リアルで想像しやすいのも良いです。

    次の巻も楽しみです。
    彼らの二回目の文化祭、修学旅行に期待。

  • ある。猜疑心とすれ違い。若ければ若いほど。きっと自意識の高さ故なんだろうなぁ。懐かしさと同時に甘酸っぱい。

  • 古典部シリーズ5作目。
    「古典部」に仮入部してきた新入生・大日向友子は「ともだち」という言葉に強いこだわりを持っていた。
    一方、折木奉太郎は相も変わらず、何事に対してもそうそう強いこだわりを持つことがない。
    そもそも、折木にとっては「古典部」のメンバーは友達というよりも、同じ「古典部」の仲間といった意識が強いような気がする。

    奉太郎が定義する「ともだち」とはどんな存在なのだろう。
    奉太郎自身には自覚がないようだろうけれど、いわれのない理由で「ともだち」が傷つけられるなら、出来る範囲でその傷が少しでも小さなものになるよう全力で努めるような気がする。
    たとえ真実が辛いものになったとしても、出来るだけ小さな傷ですむように・・・。
    奉太郎にとって「古典部」のメンバーが特別な存在なのは間違いない。
    何故なら、それ以外の人間に対しては関心すら持たないのだから。
    大日向が「ともだち」に抱く思い。
    友情という言葉では表しきれない複雑な気持ち。
    親しさや信頼、楽しいときもあれば存在自体を重く感じることもあるだろう。
    離れたいと願う一方で、自分だけは絶対に「ともだち」を裏切らない、見捨てないという思い。
    けっして単純な「友情」という言葉では済まない感情がそこにはある。
    もともとの思い込みの激しさも原因のひとつになっている。
    でも、それだけではない。
    「ともだち」に対するうしろめたさが、結局はこの騒動を巻き起こしたように思う。
    「ともだち」にまっすぐに向き合うことは難しい。
    「ともだち」だから余計にこじれてしまった感情を素直に伝えることが出来なくなる。

    「古典部」のメンバーの成長。
    葛藤や戸惑い。
    瑞々しい感性が詰まった「古典部」シリーズはやはり面白い。

  • 折木奉太郎という人格を作り出した
    米澤穂信という作家に 心底驚いた。

    目の端に映る ほんの少しの兆候。
    耳に残る ちょっとした言葉の切れ端。
    そんな断片たちから 全てを見透す。
    洞察力という言葉は 彼のためにあるように思う。

    そうして何よりも深く思うのだ。

    折木奉太郎の生活第一信条
    「やらなくてもいいことなら、やらない。
     やらなければいけないことなら手短に。」
    これは守られなければならないのだ。

    もし彼が自身の能力に自覚的で 
    人生を歩くのに能動的であったなら
    多くの人が その心の中を見透かされ
    傷つき 彼のそばを去っていくことだろう。

    彼の友人たちのために。そうして誰よりも
    彼自身のために。彼は動いてはいけない。

    彼が動くとき 彼は自身の能力ゆえに
    誰よりも深く悩み 苦しみ 傷ついてきた。
    折木奉太郎は 本当は誰も傷つけたくないのだ。
    それは優しさであり 自己防衛なのだ。
    人を傷つけるごとに それより深く傷つく彼は
    このままではいずれ 自らの心を壊してしまうから。。。

    彼は自覚的に 能動的に
    やらなくてもいいことは やらないのだ。

  • 終盤、大日向とホータローの会話はこちらまで緊張感が伝わってくるようだった。お互い悪意はないのだろうが、それぞれ腹の探り合いのような会話。
    人を探るような言葉遣いだったり、他人には分からないような小さなトゲを含ませたり(主に大日向)。人の『弱い』部分について触れるものだから互いに慎重になるか。
    この話で『皮肉』という単語の意味を思い返していた。

    個人的に。
    大日向がやたら『○○が言っていたんですけど~』という第三者を引き合いに出して語るのは、彼女が自論に自信を持てない性格なのかと思って読み進めていたが、これがキーワード。
    大日向が周囲の『友達関係・人付き合い』について妙に食いつくなぁとは思っていた。なるほど、読んで納得!
    人とのココロの距離、マラソンでの走行距離について測る、まさしく『ふたりの距離の概算』というタイトルは秀逸。


    そして相変わらずホータローは思慮深くて優しい(笑)
    今回の新入部員・大日向をはじめ、古典部員はモチロンのこと、千反田に対しても。

    「どうした」
    そして、もう一度。
    「どうした?」

    ごちそうさまです!

  • 「氷菓」と続けて読む。アニメーション化されていないので、初めて出会う物語。「氷菓」よりもずっと読みやすい文体になっていて、面白くぐいぐいと読める(オレキ君はじめ高校生っぽくなってていいです)。最後があっけない幕切れだけれど、ほろ苦い。あの子が次巻で普通に戻ってきてたら、それはそれでがっかりしちゃうぞ。

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プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気となった。
2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。度々直木賞候補にも名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。

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