ダブル・ジョーカー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003282

作品紹介・あらすじ

D機関シリーズ第2弾が文庫化!

結城率いる異能のスパイ組織”D機関”に対抗組織が。その名も風機関。同じ組織にスペアはいらない。狩るか、狩られるか。「躊躇なく殺せ、潔く死ね」を徹底的に叩き込まれた風機関がD機関を追い落としにかかるが…。

感想・レビュー・書評

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  • ジョーカーゲームシリーズ第2弾。
    結城中佐率いるスパイ組織“D機関”プライド高いスパイ達が暗躍する短編6編。こちらは、対スパイ戦の作品が多いですね。
    「ダブルジョーカー」
    新たな陸軍諜報機関“風機関”を一蹴する結城中佐。
    「蝿の王」
    亡き兄の遺志を継ぎ、ソ連のスパイとなった軍医を暴く。
    「仏印作戦」
    D機関を騙る詐欺集団の罠にハマる電信係を助け出す。
    「柩」
    不慮の列車事故で命を落とすD機関のスパイ。最期にまで任務の隠蔽を遂行する。これに若き日の結城中佐のお姿あり。
    「ブラックバード」
    任務遂行の為、現地で結婚までして完璧な活動をしていたD機関のスパイ。協力者であった腹違いの兄の病死により、アメリカ戦争介入を止められず。
    「眠る男」
    深層記憶を駆使したD機関の協力者を描く。
    殺さず、死なず。彼らの活躍は、洗練されているんですよ。もう、次も読みます。

    • みんみんさん
      死んだのって可愛い顔の人だよね?
      よく出てきた人?
      名前わからないけど。゚(゚´Д`゚)゚。
      死んだのって可愛い顔の人だよね?
      よく出てきた人?
      名前わからないけど。゚(゚´Д`゚)゚。
      2023/05/29
    • おびのりさん
      みーんな、ビジュアルも良いのよ。
      アニメ見た時、誰が誰だかわからないわー。って不服だったのだけど、これは、彼らは誰にでも擬態して、自分の顔を...
      みーんな、ビジュアルも良いのよ。
      アニメ見た時、誰が誰だかわからないわー。って不服だったのだけど、これは、彼らは誰にでも擬態して、自分の顔を持たないって前提だから、顔の区別はできないのよ。
      2023/05/29
    • みんみんさん
      眠る男が文庫書き下ろしだって〜
      文庫で読み直したい…
      眠る男が文庫書き下ろしだって〜
      文庫で読み直したい…
      2023/05/29
  • ジョーカーゲームの続編。
    「D機関」に対抗して、「風機関」設立!
    こっちは、バリバリの帝国陸軍!
    「躊躇なく殺せ!潔く死ね」っ戒律!
    …で、この機関同士の対決がずっと続くのかと思いきや1話だけでした…
    今回も結城中佐の過去、過去に因縁のある敵のエピソードなどの短編集の形で進む。
    短編ばかりだけど、テレビなどのエピソードな感じで面白い。
    「D機関」が、いくら活躍しても、第二次世界大戦に突入してしまうねんな。これが…

  • 相変わらず面白い、サクサク読めるスパイ・エンターテインメント。
    結城率いる「D機関」のスパイを主人公として描かれている作品あり、「D機関」に敵対したり利用されたりする側からの目線もあり、シリーズものでありながら、きちんとバリエーションがあって飽きない。

    エピソード「柩」では、現役のスパイとして活動する若かりし結城の凄みが描かれており、興奮して読んだ。
    また、最後のエピソード「眠る男」は、一作目を読んだ読者へのプレゼントというか、うん、これはシリーズ作品として備えるべき魅力をきちんと備えたエンターテインメントだと思います。

  • 『ジョーカー・ゲーム』に続くD機関シリーズの二作目
    (って、こんなシリーズ名がついているのかは知らないけれどなんとなくで書いてしまった……)

    D機関という存在の特殊性ゆえに、どうしてもどんでん返しが当たり前のお話になってしまうのだけど、どんでん返しが当たり前になったうえでそこから更にどう楽しませるか、というのが徹底されていて面白かったです

    この作品の話ではなく、例えば本の帯に「最後の一行まで油断できない」的な宣伝文句があるとちょっと構えて読んでしまうんですけど、『ダブル・ジョーカー』からはそんな紹介をされたとしてもそれでもなお楽しませてやるぞ!ってなもう一歩先を見据えた心意気を感じました

    短編集なんですけれど、一作品ごとに楽しませ方を工夫されているなぁと
    ワンパターンになりそうなの設定なのにまだまだこんなにも楽しめるのか!という別方向からの驚きも得られました

    この感想を書きつつ柳先生のwikipediaを見てみたら、さらにまだ二冊のシリーズ作品が発売されているようで、どんな楽しませ方をさてもらえるのか読むのが楽しみです
    ……あと、D機関シリーズって名前も使われているみたいでホッとしました(笑

  • ちょっとダークな話もありますが、何となくスカッとする不思議な感じです。D機関が無双するのがヒーロー戦隊ものとかプリキュアを見る感覚に近いのでしょうか。スリルと安心感が短編で味わえるのでお得ですね。

  • 太平洋軍司令部に勤務する元陸軍将校が、交際相手の中国人留学生に核兵器に関する機密を漏らしたらしい。所謂ハニートラップ。32歳下の美女によほど惚れ込んでいたのだろうか。

    ハニートラップなら楽しんだ時間はあるだろうが、こちらに登場するスパイは怖い…。D機関は「死ぬな、殺すな」の教えを部下に叩き込み、相手の裏をかいて暗躍する。どちらかと言えば男性読者に好まれそうなお話である。実際、結城の格好良さには痺れる。

    ハニーどころか謂れのない悪意に陥れられ、仲間は敵陣に特攻隊として派遣されることになり…虎の威を借る狐の作戦に不安ばかりの日々。フィクションならいいが、実際身に降りかかると胃痛のタネだ。

    だからって思い通りになんか、なってやるもんか。

  • ジョーカー・ゲームの続編、ダブル・ジョーカー、結城率いるD機関の考え方は、「死ぬな。殺すな。」が根底にある。片や風戸率いる風機関は、「躊躇なく殺せ。潔く死ね。」陸軍に機密諜報機関は二つ要らない。風機関がD機関を追い落とそうとする。

    表立って結城は登場しないが、結城の存在が顕著に現れた作品群である。先の先の先まで読んで準備をしているのはドイツ軍か、アメリカ軍か、イギリス軍か、はたまた日本陸軍なのか、スパイものの王道だと感じた。

    アメリカ合衆国は嘘をつかないことをワシントンの逸話で子供の頃から教えられるが、正直なのかというと、実際は相当な策士だと思うのである。

    ジョーカーゲームほどのインパクトはなかったが、パラダイス・ロスト、ラスト・ワルツまでは読みたいと思わせられた。

  • 結城中佐率いるD機関スパイの暗躍を描いたシリーズ第2彈。「ダブル・ジョーカー」「蝿の王」「仏印作戦」「柩」「ブラックバード」「眠る男」の6篇収録。

    「ブラックバード」では、スパイの活躍も虚しく、遂に真珠湾攻撃で日米開戦。スパイの役割も終焉を迎える。

  • タロットカード『魔術師』のアルカナには、強い意志、緻密な計画性、機知、適応能力、手腕、外交、策略などの意味があるらしい。
    魔王・結城中佐の現役当時のコードネームが『魔術師』であったことは決して偶然ではないだろう。

    登場は僅かであっても圧倒的な存在感を醸す『D機関』のボス、結城中佐。彼の伝説のスパイ時代と、一瞬垣間見える情を描く『柩』のエピソードが良かった。

    諜報活動の真の成功とはスパイの存在を認知させないことにある。
    その意味において、スパイ組織『D機関』の面々を主人公に据えながらも人物を直接に描くのではなく、背景を塗り、輪郭を丁寧に縁取っていくことによって実像が浮かび上がってくる構成が多いのが、このシリーズの面白いところだ。

    シリーズファンとしては、超人的な集団なので窮地に陥っても必ずや成功するであろうという安心感や慣れが出てくる。しかし、その限りではない。「死ぬな、殺すな」がモットーの組織であっても失敗は死を意味する。

    単行本未収録の『眠る男』は、前作『ジョーカー・ゲーム』を読んだ人ならニヤリとするはず。

    • kwosaさん
      まっき~♪さん

      コメントありがとうございます。

      『柩』は非情であることを恒とするスパイの切なくしびれる話でしたよね。

      『眠る男』は文...
      まっき~♪さん

      コメントありがとうございます。

      『柩』は非情であることを恒とするスパイの切なくしびれる話でしたよね。

      『眠る男』は文庫版のみのボーナストラックといった感じで、本当に短い話です。
      これだけのために文庫買うのもどうかな、と思いつつも、やっぱりニヤニヤしたいですよね。

      『パラダイスロスト』は文庫化まで待つつもりで未読なのですが、読みたくなってきました。
      ほんわかしてるんですか!? 気になります。

      こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。 

      2013/02/11
  • シリーズ第ニ作。『D機関』対『風機関』を描いたダブル・ジョーカーと、結城中佐の過去が明かされる柩が面白かった。

  • シリーズ2作目。
    色んな立場の人の目線でD機関を見るのが面白い。
    「眠る男」を読んだらまたジョーカー・ゲームを読み返したくなった。

  • スリルを糧に、自分は人より賢いんだという矜恃で生きる人たち。出し抜くこと、自分自身を賢いと思ってる他人をコントロール下に置くことが三度の飯より好き。でも戦争には負ける事実は変えられないし、最終章ではどうなるんだろう。

  • 前作と同様、読みやすくておもしろい。けど、前作ほどの興奮というかワクワク感はなかったかな。短編だからサクサク進んでいいんだけど、もうちょっと深く読みたい気もする。

    『眠る男』は途中からもしかしてと思ったけど、やっぱりそうだった。前作を読んだときは、シルエットでしか想像していなかったスリーパーが、一人の人間として浮かんできて、「こう見せるか~」という感じでオチがかっこよかった。

  • ジョーカーゲームの時のように、d機関無双…というほどでもなかった。冷たい血が流れているような人間味が失われたスパイでも、ひょんな事から人間味が出てきてしまうところもある。人間こ脆さのようなものを感じた。

  • ハードボイルドだ。。。

    やっぱり男性向けの小説だなぁと思う。
    読みにくいわけではないが、自分はあまり得意ではない。

    短編だし、好きな内容ではないのに最後まで読んでしまった。
    最後まで読ませる何かがあるんだろうなぁ・・・。

    最後の一話にホっとして、★★★★。
    ↑こういう一話は大好きだ!

  •  今回読んだ物語の多くがアニメ化されていないが、どの話も常に緊張感がある展開で面白く読めた。本作最初の話である『ダブル・ジョーカー』p12は、岡崎久彦『戦略的思考とは何か』(中公新書)で指摘された内容が如実に反映されている。それは日本が日清戦争と日露戦争で勝利した経験から根拠なき自信をつけてしまい、反省を怠ったことである。それが今回の話のように、諜報活動が重視される現状の世界情勢を無視して、組織が膠着状態に陥る。 
     スパイとは周囲から関心を寄せないように工夫を凝らさなければならないと前作でも再三言われてきたが、本作の後半に収録される「ブラック・バード」を読むと、スパイとは平時だからこそ役目を果たせると実感できる。この話を最後まで読むとわかるが、いざ国家間の戦争が開始されると、それまでの努力が一瞬にして水の泡となるのだ。物語の終盤、日米との戦争が始まり(今回は真珠湾奇襲による太平洋戦争の開始)、アメリカ側が国内に潜む外国人を一斉に摘発する方策をとり、それを受けて、この話の主人公は最後に逮捕されてしまう。このように、諜報活動はたとえ過酷な選抜試験を突破した強者集団だとしても、強大な組織、国家の前には抗えないという個の限界が垣間見える。

  • 前作『ジョーカー・ゲーム』が面白くて、アニメ版も一気見、もっと読みたい! となって手を出した。
    「自分ならこのくらいできて当然」という矜持のみで難しい任務に挑むD機関の活躍がおもしろい! 今回は、周りの人物から見て誰がスパイなのかまったく分からないのに彼らのシナリオ通りに事が運ぶのがカッコよかった。

    表題作『ダブル・ジョーカー』では、風機関というD機関に対抗する機関が現れる。彼らのモットーは「躊躇なく殺せ、潔く死ね」、死ぬな殺すなを第一戒律とするD機関とは真逆であり、訓練の最終段階として戦地で極秘裏に人を殺している。
    同じ案件に関わることになった二つの機関、その結末は。
    もちろんD機関の圧勝で、鮮やかな逆転が痛快。「自分の頭で臨機応変に考えられる」ことの大事さ、無駄なプライドの高さは「天保銭(でくの坊なのに陸軍内だけで逆の意味に使われる)」だというのが、しみじみと感じられた。

    『蝿の王』
    軍医として大陸の前線にいる脇坂は、実はモスクワのスパイだ。ある特殊な方法で情報を渡している。スパイ狩りが行われているという警告があり、どうやら「わらわし隊」という慰問団に関連しているらしい、スパイハンターの暗号名は「笑わぬ男」だと伝えられる。
    脇坂は、スパイハンターが誰なのか考え、目を光らせ、逆に罠に嵌めようとする。
    しかし、本物のスパイハンターは別の人物で、脇坂は自筆の告白分を用意されて「自首した」という形にされる。
    このあたりの駆け引きとどんでん返しがおもしろい。そして脇坂を告発するようD機関が動いた理由。本当なら泳がせておいてもよかったが、暗号文を入れる死体がなかったため、一般人を殺して死体を作った。しかもそのことについて悔いを感じていないから。
    このあたり、合理性からの行動なのだろうけれど、人情的にも読者が共感できて、エンタメとしてうまいなあと思う。

    『仏印作戦』
    通信士として陸軍の暗号文を打電する高林は、「極秘任務に従事している」という男に助けられ、あなたにも極秘任務を引き受けて欲しいと持ちかけられる。いざというときはD機関の名前を出せ、と教えられて。
    結局はこの人物は詐欺師で、敵のスパイだと思い込んでいたのが本物のD機関員ではなかったか? というところで話は終わる。
    決して他人に気づかれてはいけないというスパイの掟を忠実に守りつつ、目的も達するD機関の鮮やかさが浮き彫りになる。

    『柩』
    スパイとしての矜持を感じる、美しい作品。
    偶発的な列車事故に巻き込まれ、もう助からないと悟ったD機関の一人は、安らかな顔で死体となった。
    彼は普段から細心の注意を払い、潜伏先ドイツの住まいにも手がかりを残さず、死の淵にありながらも情報をD機関に渡せるようにしてから死んだ。ドイツ軍が怪しんでどんなに調べても最後まで証拠は挙がらず、彼はスパイとしての人生をまっとうした。
    その職務意識の高さとプライドに、ただただ感動する。

    『ブラックバード』
    シリーズ内に時々出てくる、「集めた情報がうまく使われていない気がする」「スパイ活動は平時において威力を発揮する」という意味合いの言葉。本作ではとうとう戦争が起こってしまい、アメリカに長期潜伏していたスパイの努力は水泡に帰してしまう。
    有能なD機関員をもってしてもどうしようもない「戦争」という選択の最悪さをひしひしと感じる一作。

  • ジョーカーゲームをアニメでしか観たことない人は是非読んでみてほしい!「柩」が入ってます。しんどいです。しんどいですが、かなり素晴らしいです。ぜひ読んでみてください…(語彙力の低下)

  • 前作に続き、面白いです。

  • ジョーカーゲームの続編

  • 「ジョーカーゲーム」シリーズの第2弾となります。
    相変わらず面白いし、スパイがかっこいいです。

    ちょっと難しい部分があるけど、それでもおすすめできる作品。

  • 面白いけど、もう少し裏切りと展開がほしかった。
    結城中佐の過去を見れたのはよかった

  • ジョーカーゲーム第2弾
    面白かった

    前作同様6本の短編からなる物語
    ■ダブルジョーカー
    D機関の追い落としを狙う別組織。
    結果は、もちろんD機関に軍配が上がるわけですが、それに至る経過がやはり面白い。
    今回は、女中さんがキーポイント!

    ■蠅の王
    慰問公演に絡んで、スパイを摘発します。二重スパイは誰かというところより、その摘発者が誰かというところが物語のポイント
    当時の共産主義の考え方も参考になります

    ■仏印作戦
    陸軍と海軍の軋轢から、無線機を持たない陸軍の通信使として、一般人が巻き込まれます。
    そして、そのままスパイの通信にも巻き込まれていきます。
    暗号通信の解読のための仕掛けが面白い

    ■柩
    魔術師と言われていたスパイ時代の結城中佐が描かれます。
    ドイツでの拘束、そして脱出劇

    ■ブラックバード
    アメリカ西海岸でのスパイ活動。バードウォッチングを使って、中枢に入り込みます。いろんなトラブルありながらも、実は自分のストーリの中と思いきや、大きなミスを犯すことになります。

    ■眠る男(特別収録)
    これは前作のロビンソンの裏話だと思います

    本作も、のめりこみました。
    心に残る様なエピソードやヒューマンドラマはありませんが、エンターテイメントとして楽しめます。
    アニメになっているのもわかります。

    お勧め

  • 人から勧められてこの本から読み始めたので、シリーズ二作目と知ってちょっと驚き。まず一作目を読まなければ。読みやすかったけれど、あまりよくわからず最後までいてしまった感じです。

  • 前回読んだ時に、第1弾でやめた自分を殴りたい(笑)
    とてもおもしろいじゃないかっ!
    今回はD機関のライバルが出てきたり、結城中佐の過去がわかったりと、盛り沢山でした。
    それにしてもいつも「この話に、D機関はどんな風に絡んでくるんだ?」とワクワクさせてくれるなあ。
    最後の「眠る男」も、「あっ、あの話のB面的な!?」と嬉しくなっちゃいました。

  • 正直前作ほどではないかな。やはり、設定に慣れ驚きが少なかった。あり得ない人物設定をここまで読ませる筆力はさすがだが、あまりに非人間的すぎる。近くにいたらお友達にはなりたくない。

    続編読むのどうしようかな。結城中佐の結末を見届けたい気もするが・・・。

  • スパイ小説が 大戦時期を背景にして
    このように、巧みに えがかれると、引き込まれていく。
    日本という国の立ち位置が いろんな角度から
    見ることができる。

    ダブルジョーカー。
    風戸陸軍中佐は、諜報機関の設立を具申していた。
    阿久津陸軍中将が、風戸を直接呼び、諜報機関をつくることを任命した。
    その理由は、結城中佐がつくったD機関が目覚ましく
    成果を上げていくことに危機感を持ったのだ。
    風戸は、D機関の『死ぬな』『殺すな』が、気に食わなかった。
    元英国大使白幡樹一郎が スパイの容疑で 調査しろ
    という命令がくだされたが。
    圧倒的に 結城中佐が スパイとして姿をあらわさずに、
    任務を達成する。
    まぁ。旅館の女中と侮ったのが ウンの尽きですね。

    蠅の王
    慰問団の一行が 二重スパイを摘発すると警戒していた。
    慰問団は 荒鷲隊をわらわしたい。ということで、結成されている。
    ダジャレに次ぐダジャレ。関西のノリだ。
    脇坂軍医は 兄が 特高に殺されたことで、静かに 潜行した。
    社会的不公平を理論的に説明する。ふーむ。
    だれが 摘発する担当者なのか?

    仏印作戦
    陸軍と海軍が ベトナムに視察団をおくる。
    そこでの 通信の役割をする 高林。
    無線機をもたない陸軍の愚かさ。
    容易に 巻き込まれる 高林。そりゃ、分かるでしょ。

    柩。
    結城中佐のできた はじまりが 描かれる。
    舞台は ドイツだった。死なないという信念が、結城中佐を助ける。
    予測できない不意の『死』に対しても、対処する。
    整理整頓することで、身を守る。

    ブラックバード
    D機関で 養成された 仲根は、バードウォチィングで、
    つながりをつくっていく。
    アメリカ西海岸における 諜報活動。
    その潜入の仕方が 巧みで うまく潜り込むが。

    スパイは 発見されないこと という 基本が
    物語の 構成が うまく、こんなところに 結城がいた
    と思えるようにつくってあるが すばらしいなぁ。

  • シリーズ第2弾。結城中佐が率いるスパイ組織『D機関』の暗躍が淡々とした文章で綴られる。この冷めたような淡々とした文章が物語に真実味を与えており、ストーリーの面白さをさらに際立たせているのかも知れない。

    表題作の『ダブル・ジョーカー』、『蝿の王』、『仏印作戦』、『柩』、『ブラックバード』、単行本未収録の『眠る男』の6編を収録。

    『蝿の王』と『眠る男』が秀逸。

  • D機関に対抗するように陸軍内部で作られた、もう一つの諜報機関。
    どちらが生き残るか…
    表題作が面白い!

  • やっぱり滅多なことでは表舞台に出て来ない結城中佐、かっこいいいい!でも、出し惜しみしつつ、ちゃっかり美味しいところは持っていきます。そんな中佐の勿体ぶったような登場の仕方が…好っきやねん…←

    中佐単推し(笑)の私のお気に入りはもちろん、表題作です(^p^)相手を飄々とやり込める中佐が凄く素敵なのです…
    あとはやっぱり、中佐の現役スパイ時代の「柩」でしょうか。敵方の手に落ちて拷問を受けるだって⁈ごちそうさまでーす!←
    と思わせて置いて、やっぱり中佐は若くても中佐なのでした←

    その他の作品は、結城中佐の部下達の活躍っぷりと、その影に見え隠れする中佐のラスボス感をたっぷり楽しむという、前作同様の短編集です。ここまでライトに読めるスパイ物ってないんじゃないかなあ。と思ったけど、そういえば私、スパイ物読んだことほとんどなーい\(^o^)/←←

    時代が徐々に太平洋戦争に近付いてきたのがちょっと気になりました。
    いざアメリカとの戦争始まったら、日本人は敵国で諜報活動ってできないよね、多分。戦時真っ只中の結城中佐の動向がとても気になりました。
    どっちかというと、戦争真っしぐらの軍部とは距離を置いて、停戦or終戦に尽力しそうだよね。っていうのは、夢見過ぎかしら…。見過ぎだな…。



    「躊躇なく殺せ。潔く死ね」
    結城中佐率いる「D機関」の存在を疎む軍部の意向で、もう一つの諜報組織「風機関」が設立された。エリート軍人のみで構成された風機関のメンバー達は、任務遂行の為なら自死も厭うべからずと教育されていた。
    そんなある日、D・風両機関に、同じ任務が与えられる。D機関を失墜させるチャンスに、風のメンバーは意気込むが…。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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