再生 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003329

作品紹介・あらすじ

平凡でつまらないと思っていた康彦の人生は、妻の死で急変。喪失感から抜けだせずにいたある日、康彦のもとを訪ねてきたのは……

石田衣良の短篇集の文庫版です。
収録作:「再生」「ガラスの目」「流れる」「東京地理試験」「ミツバチの羽音」「ツルバラの門」「仕事始め」「四月の送別会」「海に立つ人」「銀のデート」「火を熾す」「出発」計12編

感想・レビュー・書評

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  • 12編からなる短編集。

    裏表紙には

    思うように行かない人生に、苛立ち絶望しながら、それでも新たな一歩を踏み出そうとする勇気。苦しんでも、傷ついても、人は夢見ることをやめられないー。平凡な日常に舞い降りたささやかな奇蹟の瞬間を鮮やかに切り取り、かじかんだ心に血を通わせる感動の短編集。

    あとがきを読むと半分以上は直接本人に話を聞いて小説に仕立てたものだそうです。

    明けない夜はない。
    勇気を与えてくれる一冊でした。。

  • 再生。

    今は辛い時期だけど、
    必ず人はまた前に進める。

    ウィルスに負けずに、
    少しずつでも再生できる様に。

    みんな頑張っているから、
    私も頑張るよ。

  • ヒーロー、ヒロインは出ず、日々を懸命に生きる人物達をある意味ドラマチックに表現する。
    初めて読んだ作家だったけど、ハマった。日経新聞土曜版で書いている人生相談コラムは読んでて、非常に真っ当な考えをする方だとは感じていたけど、ここまで視点が優しい人だとは。別な作品も読みたくなった。

  • 切なくてなんだか最後にはほっこりするような話ばかりの短編集。
    辛いことがあったとき読んだら少し元気になる気がする。
    「銀のデート」が一番好き。
    切なくなってしまった。

  • 俯いてばかりの毎日から、すこしだけ前を向けるようになるまでを描いた短編集。
    毎日息苦しくて、もがいて、きっと大好きな本さえ読めない時期だって人生にはある。誰かの目には惨めで情けなく映っても、わたしは今日も立派に生きている。そのことを誇りに思いたい。

    「明けない夜と終わらない小説はありません。いつかみんなでウハウハする日を目指して、ゆっくりと本好きの同志を増やしていきましょう。」(本文引用)
    あとがきが良かった。
    正直リアリティが薄くて好みじゃないな…と思っていたけれど、半数以上が実話を元にしているというので驚き。人生ってドラマティック。

  • 12編の短編集。
    社会的弱者が、そこから抜け出す成功物語でも、強者たる悪い奴をやっつけるのでも無く、再生を期する話。英雄による勧善懲悪ではなく。ほとんどが考え方を変える事による再出発で、現実的でよい。

  • 再生をテーマに描いた12の短編集。半分は実話だという。妻を亡くしたり、リストラされたり、人生色々な事が突然起きる。それでも人は何とか生きていく、必ず再生できるはず。どれも頑張ろうと思える物語。

  • 再生をテーマにした十二の短編。
    解説の中村さんが言っている「ささやかとも思える奇跡」というのがピッタリな物語ばかりでした。

  •  切なさと温かさが共存する再生がテーマの短編集。短編集はあまり好きではない私には珍しくどの話も良かったが、『ミツバチの羽音』『海に立つ人』『火を熾す』『出発』が特に好き。『ツルバラの門』も良いが、主人公がボスママとの立場が逆転し、責める側に回りかけた点が気になった。アルツハイマーは恐ろしい病気だ。最後のリストラされた50代の父親の話で「どんな波もいつかは必ずすぎ去っていく。きっとこの波も越えられる」とあったが、小説としては綺麗なまとまり方だが現実を考えると少し虚しくなってしまった。

  • 短編集。半数以上が実話を元にしているとのこと。
    ●印象的な描写
    ・人の心の強さは各自ばらばらでらある者には耐えられる衝撃がたやすく別の者の心を砕いてしまうのだ。
    ・今日子は自分が夜の川に吸いこまれていくように感じた。身体ではなく、心がである。もう別に死にたくはなかった。この流れのまえでは、自分の命も、失恋も、ほんの一滴の水のようなものだった。わたしたちは一滴にとらわれ、一滴を憎み、それでもその一滴からほんの一歩も外にはでられない。それでも、その他大勢の滴たちといっしょに、この川のように流れていかなければならないのだ。生きていることなど、ちいさくてつまらなかった。
    ・人には立場があって、台詞というのはその立場にくっついているものなのだろう。
    ・人に夢をきくのは、本来自分の志と刺し違えるほどの重大事だったはずだ。いつから誰もが気安く夢を質問しあうようになったのだろうか。生きがいや仕事や夢は、手軽なアンケートの一項目ではない。十年二十年と胸に秘めて、ひそかに努力を続ける。それがたとえ指先だけでもほんものの夢に手をかけるということではなかったのか。
    ●初めて知った言葉
    ・鎧袖一触: 相手をたやすく打ち負かしてしまうたとえ。弱い敵人にたやすく一撃を加えるたとえ。鎧の袖がわずかに触れただけで、敵が即座に倒れる意から。
    ・ミッドライフクライシス:中年期の心の葛藤。自分の人生は本当にこれでいいのか?といった考え方からこれまでの生き方や自分自身方 に自信がなくなったり、不安になったりすること。
    ・フラクタル構造:ある一部分を切り取ると、全体に相似した構造になっていること。
    ・不定愁訴:臨床用語で、患者からの「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」などの、「なんとなく体調が悪い」という強く主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態を指す。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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